能登の発酵のいま

先週しばらく能登に滞在してきました。今回は珠洲や能登町など、震災直後はアクセスが難しかった場所を中心に。今は下道含め道路はかなり復旧し、金沢や能登空港から問題なくアクセスすることができます。地元の飲食店やお店も少しずつ営業を始めているタイミングでした。 ■いしり / カネイシ 最初に訪れたのはいしりメーカーのカネイシさん。 地盤改良した工場は無事だったものの…▶️続きを読む

「しゃべる」と「書く」の型

作家の開高健が「物書きはなるべく人前に喋る場にできないほうがいいと思ってるんですね。喋るのが上手くなりすぎると作品書けない」というようなことを言っている(そういうわりに大阪人の開高健は話めちゃ面白いけど)。 言葉に身体感覚が乗ってくる感じ。少なくない本を執筆してくると、「しっくりくる」という感覚が生まれてきます。ここには正解はなくて、標準的な言語運用としてち…▶️続きを読む

僕には大義がある。

僕は発酵・醸造に関わることを生業にしている。 最初は東京でデザイナーやっていた頃に趣味で始めたのだが、農大で微生物学を学び直し、山梨の山の中に引っ越し、発酵の本を出版し、日本全国の発酵文化を調査し、それが発展してお店になり、ついに仕事のフィールドが国境を超えて全世界になってしまった。 とうぜん一人でできるわけもなく、会社を立ち上げて今や一緒に働いてくれる人が…▶️続きを読む

41歳は現実的諸問題と概念の反復横跳びの一年にします。

41歳になりました。 誕生日を迎えて思うのは「無事に生き延びれてよかった…」ということ。 心の火が消え、戦乱で死にかけ、一文無しになり、執筆で神経衰弱になった。 度重なるトラブルの中で本当に色んな人に迷惑をかけたし、20年来の友人の訃報もあった。 でも僕は折れなかったし、胸を張れるような結果も出した。 2023年の僕はどん底だった。 でもどん底か…▶️続きを読む

作者が描いた世界が滅ぼされる快楽。ミシェル・ウェルベック『滅びる』

ミシェル・ウェルベックの新作小説を読んだ。 ウェルベックの世界はフランス特有の意地の悪さ、もっと言うと「世をあきらめているくせに妙に粘着質になってしまう諦念」みたいなフィーリングが凝縮されていて、フランスにいた頃の懐かしい気持ちになる(『地図と領土』『セロトニン』あたり最高だった…!)。 さあいつものウェルベック節を堪能させておくれ……▶️続きを読む