斎藤工さんとの出会いと旅について

新著『僕たちは伝統とどう生きるか』の事前予約が始まりました。
ラジオ #ただいま発酵中 協賛してくれているVALUE BOOKSでのスペシャル企画です。

今回の特典は、俳優・斎藤工さんと僕との限定公開番組配信です。
二人で「伝統とどう生きるか」について話すに至った経緯をメモしておきます。

NHK「スイッチインタビュー」での出会い


福井ESHIKOTOでのかたらい

もともと発酵に興味があったという工さん。
2022年に工さんのお誘いでNHKの番組『スイッチインタビュー』で共演。その収録で福井の醸造蔵と、調布の映画の制作現場を行き来しながら二人でたくさんの話をしました。

そのなかで、工さんは発酵に食の領域を超えて「人が善く行きられる環境づくり」に関心があるのだということを知り、とても共感しました(僕もその意思を持って活動してます)。

映画に関わる経緯を聴いてみると、それは工さんの自己表現ももちろんありますが、時間によって積み上げられてきた文化の系譜へのリスペクトがあることにこれまた共感。ちなみに僕、一回目の大学では映画の批評の勉強していたんです(途中から人類学に鞍替えしましたが)。そんな昔取った杵柄で、僕は今でも年に何回かは、映画の上映イベントに呼ばれたり、映画の推薦文や解説をする仕事をやっていたりします。

その後、別府で仕事していた時に、ブルーバードという地元の老舗映画館のためにつくった『縁石(ふちいし)』という作品を見て、地域への眼差し、地元で生業を営む人たちへの眼差しに暖かい気持ちになりました。

震災後の能登への旅


地元の人たちの料理を手伝う工さん

そして2024年。金沢の21世紀美術館の展覧会の仕事をしている時に、能登が震災で大きなダメージを負いました。かつて撮影で滞在した能登の消息を心配していた工さんとともに、夏に能登町を訪れたんですね。

下道でしか行けない能登町は、震災直後はメディアもたどり着くことができず、その甚大な被害が世間に伝わらなかった場所です。能登のユニークさが詰まった郷土食を受け継ぐお母さんたちの多くが仮設住宅に移り、能登の文化であるみんなで精進料理を仕込んで食べる集まりも開かれなくなりました(その前にそもそもコロナで途絶えかけていた文化だったのです)。

地元の発酵食の宿ふらっとの協力で、工さんが地元の人たちと一緒に伝統的な精進食をつくって食べる集まりを復活させるイベントが開催されました。

黙々と料理を手伝う工さん、そして地元の人たちの声に耳を傾ける工さんの姿を見て、映画づくりの情熱と同じく「ずっと続いてきた時の声を聴く力」に感動したことを覚えています。
(この時の旅がのちにNHK『小雪と発酵おばあちゃん』の特別回につながっていきます)

きっとこの人は、眼の前にいる人と真摯に向かい合うのと同時に、その背後にある幾重にも積み重なってきた「誰かの記憶」も視ているのだな、と。

会が終わってお別れする時に、能登町三波地区のみんなから「いつでも待ってるから、帰ってきてね!」と声をかけられていた工さんの嬉しそうな顔、工さんの出演したドラマや映画を見てきてはいましたが、ますますファンになりました。

僕たちは伝統とどう生きるか

そして2026年。僕は講談社のオファーで「伝統」についての本を書くことになりました。
書きながら思い出していたのは工さんの眼差し。いっしょに長い時の流れ、「伝統とどう生きるか」について話してみたいと思ったのでした。

忙しいとは知りつつもダメ元で番組ゲストのお願いをしたら快諾してもらい(嬉しい)、ここ数年間の工さんと僕の現在地についてかたらうことになりました。

ここ数年間で変わったこと、そして変わらないこと。
善く生きるために、僕たちは何を行動し、どのようにあるのか。

ぜひ多くの人に届けられたらと思います。

改めてお知らせです。
新著『僕たちは伝統とどう生きるか』。長野の本屋さんVALUE BOOKSと一緒に事前予約企画を開催中です。事前に予約してくれた人は、斎藤工さんとの特別番組配信を見ることができます。
他にも本をより深く理解するためのブックガイドがついてきたり、そもそも発売日の二週間前に本をゲットできたりと豪華特典がいっぱい。

工さんファンも、発酵ファンも、みなさまふるってのご予約をお願いします。
一緒に伝統とどう生きるか、考えてみませんか?

☆☆☆事前予約ページはこちらから☆☆☆

 

Published by

小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。