去年秋に発酵デパートメントで開催した「発酵 民藝を食べる」フェアの準備のために、僕は大学時代に買った柳宗悦の全集を引っ張り出し、日本各地はもちろん韓国や台湾を訪ねて民藝運動の歩みを追っていった。
とりわけ京都の京セラ美術館の展覧会『民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美』で、民藝運動最初期の10年の展開を追っていった時に、驚いたことがあった。
なんてことだ、これは僕が発酵に出会って辿った10年とめちゃくちゃ似ているぞ…?
民藝と発酵の10年
1925〜26年▶柳宗悦を中心に「民藝」という概念が誕生
1927〜28年▶全国の民藝を再発見する調査が行われる
1929年▶調査の結果が展覧会(日本民藝品展)になり、カタログができる
1931〜1935年▶民藝をテーマにした店舗が生まれる
1936年▶日本民藝館が開館
民藝運動最初の10年はこんな感じで発展しながら、全国各地のつくり手やパトロンがネットワーク化されていく。
いっぽう自分たちが辿ったここ数年はどんな感じだったのか?
2017年▶『発酵文化人類学』が出て、発酵が単なる食を超えた文化であることが認知される
2018〜2019年▶日本47都道府県のローカル発酵文化の調査を行う
2019年▶渋谷ヒカリエd47 MESEUMでの第一回発酵ツーリズム展開催。その記録が書籍やカタログに
2020年▶下北沢に発酵デパートメントがオープン
2022〜2025年▶全国各地で発酵ツーリズムに拡がっていく
2026年▶日本の発酵文化が世界的なムーブメントに接続される←今ココ
民藝の先達はもちろん、僕の農大の師匠たちから続く偉大な系譜と自分を比較する不遜さを自覚しつつ…すごく似てませんか?
各地域に、生活に根ざして継承されてきた文化がモダンな文脈で概念化され、そこにつくり手サイドや文化を産業化させるプロデューサーサイド双方が集まり、ムーブメント化していき、全国に波及していく。
ムーブメントの共通構造
もうちょっと構造化していえば、
①まず全体を包括する概念を仮説として出す
↓
②仮説に従って調査をする
↓
③調査の結果を誰でもが直観で受け取れる展覧会にする
↓
④共感したつくり手やパトロンがコミュニティをつくる
↓
⑤実際にプロダクトを手に取れ、つくり手が集える場所(店)ができる
この順番が似ている。似ているゥゥゥゥ!!
100年前と今で社会情勢が違うのにも関わらず、ムーブメントが国境を超えて行くのも共通している。民藝であれば朝鮮半島やイギリスのセント・アイブス。発酵であればデンマークやスペイン、韓国、台湾、アメリカなど日本発の発酵のコンセプトが拡がりつつある。ローカルを探求するとグローバルの味方が増えていく。
もうひとつ僕が面白いと感じた共通点。
当初は「アノニマスなものづくりの価値」の再発見から始まったのに、結果として新世代のタレントが集まるコミュニティができるところ。民藝によって棟方志功や芹沢銈介が名乗りをあげたことと近しいことが、発酵の世界でも起きている。ムーブメントによって地域やジャンルを超えた横つながりのコミュニティが生まれ、みんなで切磋琢磨しながら伝統を再解釈するつくり手が台頭する。
民藝運動の歩みを辿りながら、僕は発酵デパートメントに集う才能たちの顔を思い浮かべてしまう。
そうか、僕たちがチャレンジしているのは、21世紀の民藝運動のリデザイン(再現ではなくて)。柳宗悦は僕の偉大な先輩だったのだ。
最後にお知らせ。
第一回発酵ツーリズム展を一緒に開催したD&DEPARTMENTチームと久々にヒカリエにカムバックします。テーマはずばり「民藝と発酵」。富山からスペシャルゲストを迎え、さらにコラボ商品『発酵民藝』をお披露目します。みんな遊びにきてね。

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