塩麹はなぜ「万能調味料」と呼ばれるのか?発酵の旨味分解能力を深掘ってみる

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料理好きの調味料棚にはかならず常備されるようになった塩麹(しおこうじ)。
和食のメイン調味料として、洋食の隠し味として重宝している人も多いと思います。

もちろん僕もオールウェイズ使いまくり。
あまりにも便利すぎてうっかり他の調味料いらないんじゃないか?と思うほどの万能っぷりを発揮するこの塩麹について、改めてブログをまとめておくぜ。

塩と麹と水を混ぜたペースト=塩麹

そもそも塩麹とは何か?ざっくり言えば、

・麹と塩を水で溶いてペースト状にしたもの

が塩麹の基本的な定義。作り方もめちゃ簡単で、

・塩1:麹2:水4の割合で混ぜて、5日〜10日室温で発酵させる

これだけ。
具体的に言えば、塩100g、麹200g、水400gの割合で混ぜて、今は冬なのでなるべく暖かい部屋で10日間発酵させる(1〜2日にいっぺんくらいスプーンで撹拌すると香りが良くなる)。
麹と水がよくなじんでべっこう色のペーストになり、甘酸っぱい発酵臭が漂ってきたら出来上がりで、冷蔵庫に入れたら数ヶ月は保管できます。

市販のものを買ってくるのも便利なんだけど、割といい値段するので(300gで500円とか)、自作したほうが経済的。僕はもとになる麹から手づくりしている(ちなみにイマイチな出来の手づくり麹は、塩麹にすると◎)。近所に醸造メーカーがいっぱいある地域に住んでいるなら、味噌屋さんの旨味のリッチな麹で塩麹をつくると最高のクオリティが出る。玄米麹で仕込むとねっとりした味の独特の風味になります。

【余談】ちなみに自分でつくった麹で塩麹を仕込むと、1kgの原価は100円くらい。逆に言えば、塩麹は利益率の高い加工食品と言える。塩麹は薄利に悩む醸造メーカーの救世主だ!

ルーツは漬け床

塩麹のルーツは、北陸や東北の伝統レシピである「麹漬け(三五八漬け)の漬け床」とされている(シンプルなレシピだから日本各地で自然発生したかもしんないけど)。
お米や麹と塩を混ぜた漬け床に、野菜や魚を入れてつくつ簡易漬物で、長い冬を越すための保存食として重宝されていた(北陸・東北は米どころなので材料もいっぱいある)。

本来は「漬け床」だったものを、プロセスを簡易化して直接料理に入れたのが塩麹のイノベーション。塩のかわりに使うと、普通の塩よりも旨味も甘味も香りもリッチで、シンプルな料理であっても「なんか良さげなごちそう」に早変わりしてしまうのであるよ。

ではなぜ「普通の塩よりも味がリッチ」なのであろうか。
答えは「麹に隠された旨味と甘味がペーストに溶けている」からだ。基本的な原理としては、甘酒の解説を参照にしてもらいたい。

・甘酒はなぜ甘い?酵素がつくる甘味を解説してみた。

例えば旨味。麹菌という特殊な発酵カビがつくりだすグルタミン酸は「旨味のチャンピオン」であり、昆布ダシの主成分でもある。そして甘味。同じく麹菌がつくりだすグルコース(ブドウ糖)は、和食独特の優しい甘味の主体でもある、日常の料理によく馴染む甘味なのであるよ。

試しに、発酵して麹の風味がしっかりペーストに溶け込んだ塩麹をそのままペロリと舐めてもらいたい。塩味の奥から、ダシっぽい旨味とみりんっぽい甘味が滲み出てくるのがわかるでしょ。塩麹ってのはね「ダシとみりんで味を整えた塩のチューブペースト」のようなものなんだよ。(とか言うと調味料業界から怒られそうだけど)

オススメの使い方はやっぱ漬け床!

さてそんな塩麹。
発酵デザイナーがオススメする使い方は「漬け床」(だってルーツが漬け床だからね)。
ポリ袋に塩麹を適量入れ、そこに肉でも魚でも野菜でも好きなものを漬けて揉み込んで一晩〜一日くらい漬けてから焼いたり煮たりして食べると激旨になる。

特にわかりやすいのは肉類で、安い部位でかつちょっと古くなったヤツがウソのように柔らかく旨味あふれたジューシーなテイストになる。これはなぜかというと、塩麹のなかにいっぱい入った発酵菌由来の酵素が、肉のたんぱく質を分解しまくって旨味に変え、かつ肉のカタい部分を柔らかく溶かしてスムーズにするのであるよ。半日くらい浸けると香りも食欲をそそる発酵臭がプラスされてもうたまらないぜ!という感じになります。

ぬか床をメンテナンスするのは大変…というアーバンな独身ガール&ボーイでも塩麹漬けなら簡単にトライできます。試してみてね。

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