そもそも発酵とはなにか。
最近本当に色んな人から聞かれることなので、ここで改めて「発酵とはなにか」を改めて整理しておきます。
発酵しているか腐っているかは、人間都合で決まるZE!
専門領域では色んな定義がありますが、超ざっくり言うとこれが発酵の定義。
「発酵している」とは、微生物が人間にいいことをしてくれている、ということ。で、「腐っている」とは、微生物が人間にイヤなことをしている、ということです。
えーとですね。
たとえば、突然いま僕が脳梗塞かなにかで死んだとしましょう。そしたら死体が地面にゴロンとしますね。もし世界に微生物が存在していなかったら、僕はゆっくりミイラ化してそのまま永遠にゴロンとしています(もしハゲタカとかが来なければ)。
しかし現実には、僕の身体のタンパク質とか炭水化物とかに微生物がとりついて、僕は腐ってそのうち消滅します。このように、微生物は自分よりも大きなものに取り付いて、細かく分解していく働きをするんですね。
同じ物質の分解過程から「発酵」と「腐敗」の両方が起こりえる
で、大きな物質を分解していく過程で、色んな現象が起こります。
ガスが出たり、匂いが出たり、アミノ酸やアルコールが生成されたり。どんな現象が起こるかは、取り付く微生物によって違います。
シュワっとしたガスとともに良い香りが出て、しかもおいしいアルコールが出るとそれはビールなわけで「発酵」している。
もし涙が出てくるような刺激臭とともにガスが出てきたら、これは確実に「腐敗」しているわけです。
この二つの現象は、どちらも同じ物質が分解する過程で起こりえる。何が違うかというと菌の種類と働きが違う。人間から見てそれがイケてるかイケてないかで「発酵」かどうかが決まる。
つまり、発酵とはすごーく「自己中な定義」なワケですよ。
それで。
人間は何千年の歴史の蓄積のなかで、「自分にとって良いことをしてくれる微生物」を見つけ出し、手なづけ、そいつらが気持ちよく働ける環境をつくる技術をデベロップしてきた。
そいつを「発酵文化」と言います。
目に見えない世界の生きものたちとどうやって関係を結ぶのか。そのテクを研ぎ澄ますことで、僕たちの祖先は厳しい自然環境のなかをサヴァイブしてきたわけです。
そして。
その目に見えないワンダーランドにルーペをかけて見えるようにするのが、発酵デザイナーの仕事なワケですわ。そこらへん、ひとつよろしゅう頼んます(←なぜか関西弁)。
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