【発酵ツーリズム岡山】ママカリ:大漁を告げる魚島の幸

岡山の発酵ツーリズム:

ママカリの酢漬け(岡山県日生)| 活魚 天坊

無限にご飯が進む!ママ(飯)カリ(借り)

岡山に行ってぜひ食べたかったのがママカリの酢漬け。

ママカリ(さっぱ)という小さな魚の頭と内臓を抜き、まず塩漬けに。そして翌日に塩を洗って今度は酢漬けにする二段漬けで保存性を高め、旨味をマッシブにする。

このママカリの酢漬け、酸味と甘味と程よい脂身の三位一体が猛烈にクセになり、エンドレスに食べ続けてしまう逸品なんだよ。
夏〜秋にかけての漁期に大量にとれるママカリ。保存食としては酢漬けがポピュラーだが地元にいくとにぎり寿司スタイルのママカリ寿司や刺し身、煮付けなど様々なスタイルで楽しめる。
ママカリは魚の生臭さが少なく、油っぽくも淡泊すぎもしない絶妙の脂身、そしてペロっと食べれるサイズ感もあいまってご飯のおともにピッタリ。
あまりにもご飯が進むので、お隣にママ(飯)カリ(借り)に行ってしまう…!というのがその名前の起源なんだとか。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み

A:ママカリ(さっぱ)の頭と内臓を取って切り身に

B:切り身を塩漬けにし、一日ほど置く

C:Bを洗い、1〜2ヶ月ほど酢漬けにする

☆酢には糖分などを調味したものを使用

▶食べかた

・ご飯のお供

・刺し身的に食べる

酢漬け以外にも様々な食べ方が。写真は煮付け。

はじめて食べたのが刺し身。めちゃプリプリで美味しかった…!

▶食べられている地域

岡山県全域

▶微生物の種類

酢酸菌、乳酸菌など

旅のメモ

日生(ひなせ)は古くから栄えた由緒正しいローカル漁港。

ここの栄養豊かな入江めがけて、春になると魚群(主にサワラ)が押し寄せてくる。この魚群があまりにも大量で、島のように見えることからこの春の大漁期のスタートを『魚島』と呼ぶようになったという。『魚島』は物理的現象にとどまらず、大漁の海の幸をこれでもか!と食卓に並べる大宴会のことも指す。

取材に伺った割烹料理、天坊の座敷でぜひ『魚島大パーティ』をやりたいものだぜ(展覧会が無事スタートしたら)。

見て下さい、天坊の大将のこの最高の顔。発酵好きの腕利き料理人のつくるママカリは最高でしたぞ。


47都道府県の発酵が一堂に会する大展覧会『Fermentation Tourism NIPPON』、今年春4/26〜7/8に開催予定です。47都道府県のうち、36都道府県まで到達。いよいよラストスパート!


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小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。