発酵する文学。神楽坂かもめブックスにて『日本発酵紀行』展開催中!

スゴい…スゴいよ…僕の本って「文学」だったんだ…!

8/13から9/1まで、神楽坂かもめブックスのギャラリーにて、僕の新著『日本発酵紀行』の展覧会が開催されています。



本屋さんの奥のギャラリースペース ondo にて展示中

今回の展覧会は、僕の出版ツアーの特別企画。

書店員の前田さんがキュレーションしてくれた超スペシャルな展示なのです。



写真左が前田さん。右が山梨にもよく遊び来てくれてるシホ嬢

プロダクトメインの発酵ツーリズム展とは違い、あくまで本の内容にフォーカスしたキュレーションで、書籍に登場する写真と言葉がピックアップされています。以下、前田さんの寄せてくれた文章。


今年5月に発売されました小倉ヒラクさんの新刊『日本発酵紀行』は、

日本全国47都道府県の発酵食品の現場を巡ったそのドキュメントであります。

しかしながら、その冒頭「はじめに」を読み終えた段階で、

私の口からふと漏れた言葉は「これはもう小説みたいだな…」というものでした。

・「人間の時間」とは違う時間軸

・人間の理ではない感性で生きている人たち

・「人間以外の時間」の手がかりを知りたい

前述の冒頭部分で畳み掛けるようにでてくる、こういったフレーズ。

さらに読み進めていくと、1日24時間、1秒ずつ、まっすぐに進んで行く「人間の時間」とは別の

「伸びたり縮んだりする時間」が発酵文化には流れていることがわかります。

「伸びたり縮んだりする時間」って何でしょうか?

私が連想したのは、子どものころ、外で思いっきり遊んでいると

ふいにあたりが暗くなっているあの感じです。

「時給」や「効率」など、均質に、人間を無視して進んでいく時間に、途方にくれつつある私たち。

「3時間あそんだから6時になったんだ」ではなく、「暗くなったから家に帰る時間だ」という、

あの感覚を取り戻すことが必要だと思うことがあります。

発酵食品は美味しく健康によいものですが、ただそれだけではなく、

その時間の流れ方が、人ひとりひとりに生きる時間を思い出すきっかけを与えるのかもしれません。

いや、きっとそうです。

楽しくもハードな、発酵という「異界」を旅してきた小倉ヒラクさん。

ご自身による写真、そして降りてきた言葉たちに注目していただくことで、

その「異界」を存分に味わっていただければと存じます。



ナイスな額縁に飾られた写真たち。めちゃ作品っぽい…!

実はこの展示、僕は完璧にノータッチ。D&D出版チームと前田さんのやりとりを眺めながら「どんな展示ができるのかしら?」とドキドキしていたら、とんでもなく素敵な展示になっていて泣きそうになりました。

本の中からの文章の引用がまた良いのです。

手前みそですが、グッとくる言葉が写真に添えられて、トリップ感高まる…!

発酵という異世界を巡る8ヶ月間の旅。どうぞあなたも体験してみてください。

神楽坂かもめブックスのギャラリースペース ondo にて、9/1まで開催しています。

みんな来てね。

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小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。