これは記憶の方舟。そして未来に進むための船だ。

とても嬉しいお知らせです。
『発酵文化人類学』からまる二年。皆さまに新しい本をお届けできることになりました。知られざる発酵文化を訪ねて47都道府県を旅した旅行記です。

新著もまたスモール流通でスタートするので、僕の活動を見ていてくれる皆さまに予約予約をお願いしたいと思います。どうぞよろしく!

そもそもどんな本になるの?

▶発酵から再発見する日本の旅
今回のテーマは旅。専門書の体裁だった前作とは違う、時系列で読み進めていく読み物になります。北は北海道東の標津から、南は沖縄まで全国の様々な土地を訪ねて出会った不思議な文化や景色、その土地で生きる人々の暮らしを記録がこの『日本発酵紀行』です。

編集を手がけてくれたRe:Sチームの藤本智士さんが今作の素敵なコピーを書いてくれました。


微生物の気配にシンクロすれば、道が見えてきた。
酒、醤油、味噌はもちろん 知られざる発酵食品の現場まで。
47都道府県の 山、海、島、街を巡って、 日本の歴史と未来を見出した
前代未聞の発酵文化論。



▶日本とは、日本人とは何か?

外界から隔絶された離島で生き延び、杉と竹を組み合わせて巨大な産業をつくりあげ、宗教で肉食を禁じられながら、目に見えない自然の力を活かして多様な文化を編んできた日本列島に住む人々の姿。そこから浮かび上がってくるのは、日本とは、日本人とは何か?という根源的な問いです。僕は旅の期間中ずっとこの重たい問いに押しつぶされそうになりながら、自分なりの答えを出そうともがいてきました。

▶海・山・島・街の暮らしの歴史
発酵文化は、その土地に生きる人の記憶そのもの。船に乗ってアジアを股にかける海洋民族がいたと思えば、そこでしかとれない作物を工夫しながら食べつないできた山の民、微生物の力を使って付加価値を生み出し莫大な富をなした街の商人たち、絶海の孤島で人知れず驚きの食文化を編み出した離島の民族など、この本を読むと日本に生きた様々な民族の暮らしがイメージできる驚きのエピソードがいっぱい!

▶日本各地の知られざるローカル発酵食品が次々登場!
『日本発酵紀行』には、酒や醤油にとどまらないユニークなローカル発酵食品が多数登場!宮崎県の日南海岸沿いに生える海藻を使ったムカデノリ、アイヌと和人が出会って生まれたサケの山漬け、火山島の野生菌で醸す謎の焼酎、あおちゅうなど前代未聞のレシピを多数解説しています。

▶旅の臨場感を伝える写真を多数収録!
今回の最大の目玉はコレかも。僕が各地で撮影してきた仕込みの現場やその土地ならではの景色の写真が多数収録されています。こればっかりは言葉では説明できないので、どんな雰囲気なのか見てください。

食文化、生物学、経済史、人類学など様々なアプローチから日本の発酵文化の起源を探っていきます。野宿したり寒空のなか何時間も山道を登ってたどり着いた貴重な記録がこれでもか!と収録された読み応えのある一冊になりました。

皆さまにお願い:事前予約をお願いします!

ということで。
読み応えたっぷりの出来になった『日本発酵紀行』。ぜひ事前予約してくれると嬉しいです。もちろん事前予約してくれた人だけの特典もあるよ。

▶書籍には収録できなかったアナザーストーリー
訪れた47都道府県全部の話を収録すると本のボリュームが現実離れしてしまうので、泣く泣くカットしたローカル発酵のアナザーストーリーをフリーペーパー形式で同封します!青森の『ごど』と沖縄の『豆腐よう』を収録する予定です。ぜひ本編とあわせて読んで下さい。

▶イラスト付きサイン
通常のサインに加えて、僕のアニメに登場するキャラクターや僕の似顔絵のイラストを入れて本をお届けします。前作では800冊の事前予約があってまる二日間サインをし続けて軽く腱鞘炎になったのですが、今回はまる三日間くらいサインし続ける気合でのぞむぜ…!

今回の本もまた取次の配本を通さずに、直接個人や本屋さんから注文をもらうDIY流通スタイルでお届けします。最初のスタートダッシュを切るためにも、ぜひ事前予約してもらえると嬉しい。

もいっかい繰り返します。
下のフォームから書籍『文化人類学』の事前予約をしてくれたらめちゃ嬉しいです。
事前予約してくれた人には、本が一般の書店に並ぶ5/24よりも二週間はやく特典つきで本を郵送します!


☆☆締め切りました!☆☆

☆何冊注文しても送料無料!価格は1,800円+税。
※本はポスト投函のメール便で送ります。その際に振り込み先(銀行振込)の手紙を同封します。お手数ですが振込手数料はご負担ください。
※メールは僕と版元のディアンドデパートメント株式会社に届きます。個人情報は本の発送以外には使いません。


 

発酵デザイナーの新著『日本発酵紀行』は5月初旬に発送予定でーす。

↓↓今回も起こすぞミラクル!↓↓
【発酵文化人類学】一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。

※最初の3日で100冊注文きたら、まえがきをこのブログで公開したいと思います。
※4月中旬頃から本屋さん向けの予約の呼びかけをする予定です。ただいま命を削ってスペシャル特典を用意しているよ…!

展覧会もどうぞよろしく!

今回の本は、渋谷ヒカリエ8階のd47 MUSEUMで4月末から始まる展示会の公式書籍でもあります。展示とあわせて読むとさらにディープに日本のローカル発酵文化を知ることができます。書籍『日本発酵紀行』の世界をどうぞ実際に体感してみてください。
※クラウドファンディング時の公式書籍のリターンはこの本のことです。

☆☆イベント詳細はこちら☆☆

▶今回タッグを組むのは、D&DEPARTMENT!
出版元は、展覧会をご一緒するD&DEPARTMENT。腕利きプロデューサーの田邉直子さん、編集に藤本智士&竹内厚のRe:Sチーム、デザインに堀口勉さんを迎え、最高のチームで大ヒット飛ばすぞ!エイエイオー!!

最後に、ヒラクより今回の本について

実はこの本、当初は出版するはずじゃなかったんです。ヒカリエ展覧会の公式書籍として全国の発酵食品のカタログをつくる予定でした。

ところが!展覧会用の旅をはじめてしばらくして、進捗報告も兼ねて事務局にレポートと写真を送ったら「これはカタログじゃもったいない!」という話に。展覧会のデザインと編集のディレクターを担当してくれたRe:Sの藤本さんの、


「オレ、ヒラクの旅行記読みたいんだけどな〜」

の鶴の一声で、急遽本を一冊書き下ろすことに。この時点ですでに年明け。そこから2月から3月にかけて旅をしながらリアルタイムで旅行記を書いていくというライブすぎる執筆がスタートしました。

僕の10年間の活動の集大成である前作『発酵文化人類学』の後に、いったい何かまだ書くべきことがあるのだろうか?と不安だったのですが、いざ書きはじめてみると、堰を切ったように言葉が溢れ出てきました。しかも出てきたのは前作とはまた違ったもの。

発酵ってこんなに楽しい!というPOPな内容が前作だったとすれば、今回は暗くてディープな話がいくつも出てきます。書いた本人ですら「僕のなかにこんなにドロドロした黒いものがあるんだ…!」と驚きでした。

きっと、今回の旅では「明るい未来」ではなく「消えゆく過去」をたくさん見てきたからなのだと思います。半分見捨てられたような場所で、それでも淡々とその土地の暮らしを続ける人々に出会うことで、自分のなかの無意識のうちに閉ざしていた扉が開いたような感覚がありました。

そういう意味で、この本は「忘れられた日本人」を訪ねる旅であり、同時に「忘れていた自分」を探しにいく旅です。その道のりは時に寂しく、心細いものでした。今校了を間近のタイミングでもこの本が何なのか、うまく言葉にできない自分がいます。

でも。この「言葉にできないくらい深く遠い場所」に行くことこそが、僕のずっと求めてきた旅なのかもしれません。僕が旅で出会ったものの価値が何だったのか。その判断は読者の皆さまに委ねたいと思います。最後に、本文をちょっとだけ引用したいと思います。


旅して旅して旅した末の究極の風景は、雄大な自然でも壮麗な神殿でもなく、自分の心象風景なのかもしれない。膨大な景色を通過した後の心象風景は底の見えないほど深く、無数の記憶の泡が渦巻いている。言葉の通じぬアジアの街の雑踏にはじめて足を踏み入れたときの興奮。ヨーロッパの美術館の地下で古代世界の収蔵品を飽きずに眺めた不思議さ。旅で感じた心の動きはやがて子供の頃に皮膚で感じた記憶を呼び覚ます。川辺に照りつけるジリジリとした日差し、家でひとり熱にうなされたときに窓から見える雲のかたち。小さな頃に泳いだ海の冷たいきらめき。そしてそのきらめきの向こうから、もう会えなくなった祖父や友人が僕に呼びかける声がきこえる。

さあ、もう行かなくちゃ。