2014年9月、池袋のオープンした商業施設『WACCA』の5Fにあるイベントスペース&キッチンスタジオのコンセプトづくりに関わりました。
「日本各地の良いものを伝えたい」、「ファッション中心ではなく、食と暮らし中心でいきたい」というオーナー側の志を象徴するのが、このキッチンスタジオ『Lupe』です。
同世代の食イベントのプロデューサー、建築家たちとチームを組み、今までの池袋では考えられなかったようなコンセプトの施設ができあがりました。僕は、目に見えるグラフィックデザインではなく「概念や情報を整理して設計するデザイナー」として関わりました(←こういう仕事のニーズもけっこうあるのです)。

プロデュース:鈴木 賢治(47プランニング)
ディレクター:中島 淳平(47プランニング)/吉岡 宣善(フライング・ボイス)
空間設計・アートディレクション:今津 修平(muff)/ 市原 和佳子(イチハラ建築研究室)
コンセプト設計:小倉 ヒラク

プロジェクト期間:2013.11〜2014.09

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施設の機能と、ルーペのアイコンが合体したコンセプト図。「ごちゃごちゃ説明しないで伝えたい欲求」が高まった結果、こういうデザインが生まれます。

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料理教室や、食のワークショップをやるのに丁度良いサイズ。ワークショップ形式だとだいたい40名くらいまで。
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全国の自治体とコラボした「期間限定カフェ」も企画。こんな感じで賑わいます。

デザインにあたって考えたこと

▶ネーミングにコンセプトを込める
Lupe(拡大鏡)というネーミングは「よく知ると好きになる」という発想から。
「伝えたい」、「好きになってもらいたい」という想いは誰もが持つものの、それが実現することは難しい。では、問いを変えて「どうしたら好きになってもらえるのか?」と考える。そこで発想したのが「よく知ると、自然と愛着が湧いて好きになるのでは?」という仮説でした。だって考えてみてくださいよ。例えばどこか旅先へ行った時に、宿のおかみさんから「うちの街はこんな歴史があってね…、あ、このお漬物、郷土料理なんです。食べて食べて」なんて展開になったら「あ、この街好きになったかも」って思うことよくあるじゃないですか。
「好きになる」のスイッチは「意識の解像度を上げること」。日本各地の良いものや暮らしのなかに馴染んできたものへの「意識の解像度を上げる」。そんな場所になったらいいなあという想いを施設のネーミングに込めました。

同年代の第一線で活躍している人たちと一緒に仕事できて良い経験になりました。池袋に新しい風が吹くことに期待!です。