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地域におけるゲストハウス経営の罠。向かい合うな、前を見ろ。

ちょっと前にツイートしたことをブログでまとめておきました。
ゲストハウス経営について。

ゲストハウスは仕組みビジネス

最近、僕のホームの山梨をはじめ、いろんな地域でゲストハウスができている。そのこと自体はとても良いことなんだけど、宿ってソーシャルビジネスというよか、ゴリゴリの「仕組みビジネス」なんだよね。個人事業主的にやるぶんには趣味のようにできるけど、しっかり継続させるには事業のセンスが必要。

都市圏じゃないと家賃が安いので、なんとなく惰性で続けられそうな気がするけど、実際稼働してみると色々経費がかかるし、オーナーに実入りが少ないのが現実。ベッドの稼働率を少しでも上げるのが急務になるのだが、そのためには地域の観光施策におせっかいせねば…!となってリソースが分散する。

このあたりの「見極めとフォーカス」は、大変高度な経営スキルなのだが、「地域を盛り上げたい」「楽しいことしたい」という宿主にはけっこうなハードルになる。ここが分水嶺となって、2〜3年以内にゲストハウス淘汰が始まるのでしょうな。

地域でビジネスを成功させる秘訣は、志(こころざし)やデザインセンスもあるかもしれないが、やっぱり至極スタンダードな「経営スキル」なのだと思う。やることに優先順位付けて、とにかく利益出す、的な地味なヤツ。

地域観光の盛り上げに乗り出すのは成功か?

個人的には「ゲストハウスが地域観光を盛り上げる」みたいなシナリオは良く思わない。そんなことをする前に、宿主はとにかく顧客ルートを開拓せねばならぬわけであって、まずは自身の宿のビジネスモデルを究極までリファインしないと生き延びていけない。

自分のビジネスモデルを確立したうえで、まちづくり的なものを任意でやるかやらないかの話であって、自分の食い扶持が怪しいうちに合意形成に時間のかかるまちづくりや観光施策に関わると、宿主が疲弊してしまう。
なので、ゲストハウスのオーナーは徹頭徹尾エゴイスティックなのがいいと思うです。

その地域がどうこうというよりは、自分の宿だけを目的に来てくれる人を増やす、というような気概が大事だよね。30人31脚競争は、観光においてはまったくアテにならない。まずは自分が最高速でゴールテープを切れって話だ。

「横並びでがんばろう!」という美学は使い方を間違えると「横並びで詰む」という無理ゲーに転化する。あなた自身が、あなたのやり方で、あなたの思うようにとことんまでやり切るという事が一番大事だと僕は言いたい。地域の問題は、個人こそが変えられる。自由に、楽しく、ワガママにやってほしい。

横を見るな、前を見据えて、地平線の向こう側を目指して欲しい。
地域の人と「向かい合う」のではなく、「隣り合って」未来を見て欲しい。少なくとも僕はそう思って、色んな地域の若旦那と仕事をしてきました。

地味な努力の積み上げで、宿の格が上がる

えーと、シミュレーションしてみよう。ゲストハウスのベッド数をだいたい20とする。宿泊費が3,000円として、満室で60,000円。シティホテルの平均稼働率70%を掛けてみると、42,000円/日。月にだいたい120万円くらいが売上の目安になる。

ここから家賃や光熱費、クリーニング費用や備品、手伝ってくれるスタッフの人件費などを引くと半分くらいになる。あとは全部オーナーの取り分になるかというとそうでもなくて、改装費の投資分を回収したり、新たな投資に向けてお金をプールしたりしなければいけない。

となると、70%稼働でようやくギリギリビシネスっぽくなる。しかし、観光名所でない場所で70%稼働はけっこう難しい(特に平日)。その稼働率を上げるために、地域の観光のパイを増やそう!という発想がいちばんの罠。

宿のアメニティを充実させたり、掃除を徹底的にやったりして宿としての格を上げていったほうが急がば回れで効果があるのだけど、この「地味な努力」の意味を奥まで理解してやり切るにはさっき言った「高度な事業スキル」が必要だったりする。
ここらへんが難しいのだろうね。

…とかつてゲストハウスをやっていた時代を思い出しての無責任なツイートでした。僕個人としては全国津々浦々にフレンドリーなゲストハウスができるのは超大歓迎です。宿主のみんな、頑張ってね。

【追記】ちなみにこの文を書くときに、僕の頭の中にあったのは山中湖の宿「ホトリニテ」。今や超人気になったが、当初から宿主のナオくんの「最高かつ唯一無二の宿をつくる」という姿勢には全くブレがなかった。ビジネスのミッションって単純な方が良くて、色んなものを抱えながら走るとしんどくなるのだよね。

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