ブダペストで興奮しすぎて悶絶ッ…!
なぜハンガリーにやってきたのかというと、International Probiotics Conference 2016 というイベントに参加するためにやってきのさ。
会場の雰囲気はこんな感じ
・ブダペストでも、こうじづくり!発酵デザイナーの海外出張 @IPC2016
会場についてみたら、予想以上に大きくてホットなシンポジウムでした。
僕の出番は、各国のメインスピーカー達が集まるプレイベントでのワークショップ。
ワークショップのリポートはまた別のエントリーでするとして。 スピーカーのみんなで集まったミーティングが最高に面白すぎて鼻血が出たぜ。
ヨーロッパ、アジア、南米から集まったスーパーな研究者が集まって、Probiotics(腸内環境及び免疫機能を改善する健康機能性食品)の未来についてディスカッションしたわけですが、予定の二時間を超えても盛り上がりすぎて終わらない。
フランスからも何人か参加者がいて、久々にフランス語でおしゃべり。僕のワークショップにも参加してくれたプロピアニバクテリウムの専門家、Gwenaelさん。愉快なおじさんでした。
微生物と免疫機能についてのプレゼンテーション。一人20分程度の短いプレゼンテーションが畳み込まれるモンティ・パイソン方式。飽きるヒマが全然ない。
Probioticsという大きなトレンド
ところでこのブログを読んでいる発酵好きの皆さまも”Probiotics”という概念をちゃんと知っている人は少ないかと思います(かくいう僕もそうなんですけど)。
ざっくり言えば「有用微生物を利用した健康機能性食品」のことで、メインストリームは乳酸菌の力を使って腸内環境を改善するサプリメントや加工食品。体内の微生物環境をしっかり整備することで、疾病予防や体質改善をしようということで、要は僕がいつもプレゼンしているようなことですね。
・免弱男子(めんよわだんし)よ、朝の発酵三種の神器を喰らえッ…!
この概念が注目されてきたのは、抗生物質の使いすぎ(=抗菌・殺菌至上主義)に対する反動もあるらしく、なんというか非常に西洋的なコンテクストだなあと思ったぜ。
さて。
Probiotics業界の最前線はどうなっているかというと、最新のDNA解析を使って世界中の伝統食品の機能を分解し、工業的に生産可能なサプリメントや加工食品の開発が期待されている。
ある種の乳酸菌が、途上国の下痢や子どもの夜泣き(!)に対する効能があるということが証明されたら、その乳酸菌を使ったヨーグルトドリンクやサプリメントをつくるわけね。
これは詰まるところ発酵食品なわけだが、背後には「予防医療」という兆単位の巨大なマーケットが控えているわけだ。その可能性に気づいたヨーロッパは、急ピッチでEU基準を整備し、応用開発を国家をあげて推進しまくっている。つまり微生物に「健康になりますぜ、ついでに儲かりますぜ」とそそのかされているのであるよ。
オマケ:ブダペスト散歩
ブダペストの街並みはメルヘンで可愛い。僕が宿をとったのは、ユダヤ人街。
この建物は、なんとなく南スペインの風情がある。
フレンドリーなアパートホテル。キッチンもあるので自炊もできる。
ファーマーズマーケットへ。
ブダペストには、廃墟をうまく利用した商業施設や飲食店がいっぱいある。ここもそのひとつで、装飾や植栽をうまく使って、廃墟感をポジティブ変換している。
キノコ天国、ハンガリー。巨大なトリュフがありえないほど安く買える。
ポルチーニ。
いろいろキノコ。
ちなみに乳製品天国でもある。ヤギのヨーグルトを朝食がわりに。
砂糖も加えてない、そのまんまのドロッとした濃厚なヨーグルトで、後味にヤギのお乳特有の香りが来る。発酵好きには最上すぎる味。毎日飲みたい。
白カビ(たぶんムコール系)にビッシリ包まれてモザイク状態になった白カビ。
すげー臭い。地酒のワイルドな赤ワインとあわせるとたいへん味のあるマリアージュになる。
フルーツもおいしい。キイチゴは、子どもの頃に野っ原で摘んで食べた味。
関心したのは漬物文化の豊かさ。単純なピクルスやマリネの他に、パン酵母やヨーグルト、チーズに漬け込んだものもある。
ドナウ川沿いを、ラブリーなトラムが走る。
みんなリラックス。散歩が楽しい街です。
オーガナイザーのPeterさんと、ブダペスト在住の世界中にコネクション持ちすぎなフィクサー、マイさんとローカルビールで乾杯。
世界中で色んなプロジェクトを手掛ける Peterさんに「なぜグローバル大企業がスポンサーに名を連ねるような国際会議をブダペストで開催しているんですか?」と聞いたら「いやー、僕の地元だからねー」との答え。おお、けっこうユルいな。
散歩も楽しいし、菌もいっぱいだし、ご飯もおいしいし。
ブダペスト、しみじみといいところだぜ。