どうも、ヒラクです。顕微鏡覗きながら失礼します。
年始から山梨の山の上で研究に励んできましたが、どうやら本当に家が発酵デザインラボと化してきました。
・僕は山に篭って菌になります。発酵デザイナーより大事なお知らせ
菌を分離してみました。
「農大でやっているようなことを、家でもやりたいんですけど」
と、こうじづくりを教えてくれた穂坂先生に無茶なお願いをしてみたらば、
「まずは分離培養から始めるべし」
と、初歩の手ほどきを伝授されました。
※菌の分離培養=自然環境のなかから菌を取り出し、人為環境のなかで育てること
手始めに、完全培地(色んな菌をウェルカムできるエサ)を入れたシャーレをつくり、我が家の菌にどんなヤツがいるのか実験してみることに。
庭には色んな色のカビ類がモコモコとはびこり、居間ではカビ・酵母・その他雑菌がせめぎあい、台所からは酵母と思わしきコロニーがメイン。つまり、庭は野性的な環境で、台所はいっぱい育てている自家製酵母の影響か発酵菌が優勢、居間はその中間という感じでしょうか。
台所で育てている自家製酵母。野生のヤツを呼び込んでいます。
隣接した場所でも、環境が違うと出てくる菌がぜんぜん違うことが判明。なるほどー。
ということで、次はもうちょい発酵醸造に近い環境でやってみようということで、
山梨の某味噌蔵の仕込み樽から菌を培養をしてみました。
おおッ…!我が家と全然違うじゃんよ!
拡大してみるとこんな感じ。最初白かったカビが、途中から緑に色づいていきます。
これってつまり…
親愛なるコウジカビ(アスペルギルス・オリゼ)ではないかー!!!!!(←興奮)
※ちなみに倍率80倍弱ぐらいで撮影
フィーリングだけで決めつけてはいけないので、図鑑を片手にさらに詳しく見ていきます。倍率300〜400倍くらいでぼやーっとした風景を眺めていると、左端に胞子が見えます。
さらに拡大。これは典型的なコウジカビのカタチやぞー!
およそ1000倍に拡大してみました。ニョロニョロしているのはコウジカビの胞子が伸びたもの。左下に、タマゴ型の細菌が見えます。乳酸菌か、それとも雑菌の類か?
コウジカビに比べたら地味ですけど、酵母もいました。
酵母はどれもカタチが似ているので、見ただけでは判定できませんが、味噌を発酵させるときの酵母である確率が高いと思われます。
「醸造メーカーはやっぱり発酵菌がいっぱいいるじゃろ」と思っていたら、やっぱりその通りのようです。シャーレのなかで確認できるのは、コウジカビと酵母のコロニーがメイン。この2つは味噌の発酵のメインとなるものなので、つまり空間が発酵している、と言えます。
(まあ厳密に菌を判定していないのであくまで僕の仮説ですけど)
今のところ混沌とした我が家の環境も、ここぐらいまでいけるといいなあ…
これからどんどん発展させていきます
ということで、今のところ高校生の理科の実験レベルですが、今年から来年にかけて激しくパワーアップさせていきます。
写真は、イギリスのベンチャーラボBentp labが開発中のDNA解析ツール。
Kickstarterに申し込んでみたので、今年の秋くらいには我が家に届きます。これが届くくらいまでに、基本の分離培養をマスターして、さらに先端の解析方法を身につけるのだ!
最近は、ヨーロッパやアメリカのDIYバイオ研究者たちともコンタクトを取り始め、発酵デザイナーのやろうとしていたことが突飛でもなんでもなく、世界中に仲間がいることがわかってきました(日本でも、仲良しのロフトワークがバイオの研究を始めている)。
「…つまりヒラク君は何がしたいのかね?」
うん。自分の手で本格的な発酵デザインラボをつくろうと思っているのだよ。
発酵技術の研究開発はもちろん、微生物の解析や、人間の体質をDNAからリサーチできる、最高にインディペンデントでかつ敷居が低い研究所。もちろんデザイン機能も備えるナイスなアトリエにもする。
最初の一歩は小さいけれど「やる!」と宣言したらきっと実現すると信じているのだぜ。
ちなみに我が家の敷地内に、100坪くらい土地が余ってるので、来年くらいからラボの建物自体からDIYでつくろうと思っていまーす。
【追記1】ちなみに今回の実験の様子は、BS朝日の『緑のコトノハ』で、4/25から5日間に渡って放送されるそうな。どんな番組になるのかしら?ドキドキ。
【追記2】「発酵デザインラボをつくる!」と名言したのは、3/5のCOZY TALK@かぐれ表参道。お酢屋の戸塚さんが「実現させたいことは口に出したほうがいいよ」と背中を押してくれたのでした。ありがとー。