プレミアムビールブランド『アウグスビール』の看板商品、ピルスナービールのボトルラベルをデザインしました。
酵母を濾過しない香り高い味わいと、ピルスナービールのキレが絶妙にブレンドされたその味にビックリしたのを覚えています。そんな超本格派のプレミアムビールなのですが、デザインはかなり挑戦をしてみました。その理由が知りたい方は、どうぞ最後まで読んでね。
アートディレクション・デザイン:小倉 ヒラク
CL:: アウグスビール株式会社
プロジェクト期間:2014.04〜2014.06
「パッケージこそ最高の広告である」という発想でできたビックリデザイン。
デザインにあたって考えたこと
▶大手のビールのデザインを解体する
量販店で売っているビールのデザインは、ロゴや商品名を大きく配したシンプルなものが多い。そういうのに慣れてくると、「ロゴがドン!商品名がドン!」というデザインを「ビールっぽい」と思う先入観が形成される。まず僕は、その先入観をカッコに入れるところから始めようと思いました。
で、そもそも何で大手のデザインがそうなるかというと、「CMや中吊り広告等とセットで宣伝されること」が前提になっているからではないかと仮説を立てました。広告で色んなタレントを起用したりすることで認知度を高めるので、パッケージ自体は「そのブランドのアイコン」になるものが目立っていれば「あ、CMのあのビールだ」ということになります。
そう考えていくと、大手のビールのデザインは「既に広く認知されていて、しかも広告費がたくさんある」という「持てる者」が取る戦略である、ということになります。
▶小さなメーカーは、ゲリラ戦で!
さて。そして我らがアウグスビールですが、いわゆる大手メーカーではありません。CMや中吊り広告ができる潤沢な予算があるわけでもない。ではどうするか。答えはシンプル。「パッケージを広告化してしまえばいい」という発想です。
この瓶ビールの販路は、ECサイトか飲食店での提供のみ。つまり、量販店で他のビールと並ぶことはありません。となると、「別にロゴは目立たなくていい」ということになります。
ということで、ロゴのデザインは特に何もいじらず、小さくしてしまう。その変わりに、ブランドのキャッチコピー、あまりにもインパクトの強い「魂の叫び」を全面に押し出す。
旨いビールを知らない人生は罪だと思います
「日本人の過半数を敵に回すつもりか!」とツッコミが入りそうですが、そもそもビール好きしか目にしない商品なので、それでいいのです。これにより「パッケージの広告化」が完了。広告にかける予算がない場合、広告でないものを広告化するというゲリラ戦法が有効です。
▶SNSを念頭に置いた仕掛け
人は酔うと「お酒を飲んでいる写真」をタイムラインに投稿したくなる生き物です。
そして、このアウグスビールのデザインは「タイムラインに投稿したくなるデザイン」を狙いました。これを撮ってタイムラインにあげると「私は今、最高のビールを飲んでいる!」ということがダイレクトに主張可能。酩酊してテキストが打てなくてもOK です。
パッケージを「ブランドのメッセージを伝える中吊り広告」にし、SNSや飲食店のカウンター上で拡散してほしい。そんな意図でこういうデザインにしたのでした。
アウグスビールの坂本さん、楽しいお仕事どうもありがとうございました。
キャッチコピーに偽りなしの本当に美味しいビールなので、多くの人に味わってもらいたいと思っています。
IPAやヴァイツェンも、ぜひ!