“Fermentation Tourism Nippon”展ができるまで。時系列でフラッシュバック!

▶︎ 読みもの, 発酵ツーリズム&日本発酵紀行,

4/26から始まる渋谷ヒカリエd47 MUSEUMの展示会”Fermentation Tourism Nippon”。
ものすごくたくさんの人が期待&応援してくれていて、本当に嬉しいかぎりです。

で。
書籍出版!クラウドファンディング!イベント!商品販売!と情報が行き交って「どどど、どういうこと?」と思っている人も多いと思うので、今のこの状況を時系列で整理したいと思います。

こんな感じでプロジェクトが進んでいっているよ!

▶プロジェクトのスタート:2018年1月頃


ヒカリエでの最初の作戦会議の一コマ

前から僕のワークショップに参加してくれていたD&DEPARTMENTの展示会担当、黒江美穂さんとの出会いが全てのきっかけ。たまたまヒカリエに寄って世間話していた時に、当時テレビ局との仕事でたまたま整理していた47都道府県の発酵食品リストの話に。そしたら黒江さんと

「あ、うちで展覧会できるかも…」

という話になり、気がついたらD&D社内の企画会議でも決済がおり、47都道府県のローカル発酵を紹介する展示会という今回の企画の元型が生まれました。

▶企画のエクストリーム化:2018年春頃


プロジェクトスタート時のバナー。僕自身ほんとに47都道府県行くとは思ってなかった…

こうして始まった展覧会企画。当初はふだんD&Dがやっているような、全国から出展者を募り、スポンサー料や商品、情報を集める形式で開催するつもりが、リストにあった発酵食品を作っているところの多くが家族経営、あるいは個人の手づくり。なので普段の形式は到底ムリ。

「もしかしたらコレ、僕が全国まわってモノと情報を集めてくるしかないのでは…?」

ということに気づいたあたりから、企画がエクストリーム化
手間と時間と予算が膨れ上がり、通常の枠組みでは開催できない。つまりお金を集めなければいけない。お金を集めるためには、意義があり、面白く、しかも常人がやらないような突き抜けた企画でないといけない…!

今振り返ってみると、ここで引き返してもよかった。企画をおじゃんにして然るべきだったのだが、僕と黒江さんにはなぜか「やめる」という選択肢がなかった

47都道府県の発酵文化を体系化し、日本文化とは一体何かを問いかける。
謎に壮大なチャレンジがスタートしてしまったんだよ汗

▶プロジェクトチーム結成:2018年春〜秋にかけて


様々な組織や立場のメンバーが集まる愉快なチーム

生半可では絶対にお金も集まらないし、興味も持ってもらえない。
そのためには、何が必要か?まずはイケてるチームが必要だ!

今回キーになる役割は2つ。お金をつくる事業プロデューサーと、圧倒的クオリティをつくるクリエイティブディレクターだ!と考えたついたところで、友人のgreenzのプロデューサーおのっちを下北に呼び出して口説き、尊敬する先輩、Re:Sの藤本智士さんを関西にたずねていって口説いた。半ば無理やりYESと言わせてしまったのだが、この二人がチームに加わって暮れた時点で、プロジェクトの運命の70%くらいは決まった…!とガッツポーズ決めたよ。

・FermentationTourism Nippon 〜発酵から再発見する日本の旅〜 | 藤本智士

そして。greenzおのっちの「まずは企業スポンサーを呼びかけよう!」というアイデアから企画書をつくり、事業体制をつくり、営業資料を揃え、僕のブログで呼びかけたところ、すぐに手を上げてくれた、北海道北見のバイオメーカー、環境ダイゼンの窪之内さんと愛知県豊橋の種麹メーカー、ビオックの村井さん。この二社が「スポンサーやります!」と名乗り出てくれたおかげで、プロジェクトをスタートできる資金の目処がつき、いよいよ本格的に事業がスタート。この二社には本当に、本当に感謝しています。ありがとう…!

・コンテンツメーカーはプロデューサーにはなれない。だから僕は、「つくる or die!」まで振り切る。 | greenz.jp

▶47都道府県を巡る旅がスタート:2018年夏の終わり〜


特別協力のALL YOURSの服を調達していざ旅へ出発!の瞬間


今回の展覧会のテーマは旅!タイトルは”Fermentation Tourism Nippon”で行こう!」

藤本さんの提案で企画の方向性が決定。発酵の視点で日本を再発見する旅の一部始終が展覧会になる。そして旅の途中経過がコンテンツになってそれが広報になる…という道筋が見えたのが2018年の夏。そして発酵食品の仕込みが本格的になる秋の手前に、旅をスタートすることに。

47都道府県の発酵文化を訪ねる旅。ただでさえ大変そうなのに、さらに自分を追い込むルーツを3つ設定してしまった。

特にハードコアなのが①で、これはつまり全国どこにでもあるメジャーな日本酒や醤油、味噌に逃げることができない。つまりその土地ならではの個性派ローカル発酵文化を見つけ出さなければいけない、ということ。

しかもたまたまあるメーカーが作っていた、ではダメで最低三代くらいは歴史が継承されていないといけない。しかも現地に実際入って、それが作られている現場と土地の景色を見てこなければいけないという妥協を許さぬ設定に七転八倒しながら各地の発酵文化を訪ねていきました。

途中で何度も心が折れて挫けそうになったり、病気や過労で倒れたりしながら全国を周りました(しかも大半はたどり着くだけでも大変な辺境とか離島)。

宿がなくて野宿したり、タクシーすら拒否される寒村に向かって延々3時間くらい歩き続けたり、山道をかきわけて、漁師の船をヒッチハイクして、飛騨の雪山で遭難しかけて…と虚弱体質の僕にはなかなかにしんどい思いをしながら、素晴らしい景色の数々に出会うことができました(でも今でもたまに夢でうなされる)。

▶クラウドファンディングで600万円集める:2018年秋〜2019年始

次に挑戦したのが、クラウドファンディング。しかも目標調達額500万円

・47都道府県の知られざる発酵食品が大集合!発酵から日本を再発見する展覧会を開催! | CAMPFIRE


「いやほら、今回俺たち大きいことやるから!って気合い見せたいじゃない?」

というおのっちの広げた大風呂敷に賭けて、CAMPFIREでのクラファン企画がスタート。当初スロースタートで周りから「さすがに500万円はムリでは…」と心配されたものの、おのっちも事務局スタッフも(あと僕自身も)「絶対いける!」と謎の自信。

ラスト一週間で400万近くの支援をもらい、見事サクセス。というか目標額を超える約600万円が集まり、つまり予算をかけて展覧会をつくりこめる目処が立ってきた!と事務局一同気合が入る。

なお、このクラファン企画の盛り上がりで展覧会自体の注目度も大幅アップ。2019年始から取材のオファーがどんどん来るようになりました。まだ開催してないのに。汗

▶100人でキックオフイベント!:2018年末


ヒカリエで行われたイベントの様子。異様な盛り上がり…!

資金の目処がつき、デザイナーの財部裕貴さん、広報の大木聡子さん、事務局のQちゃんこと河野 奈保子さんたちが加わり、ついに展覧会の全容が見えてきた…というタイミングでキックオフイベントをやることに。

「何やるのかよくわからない展覧会の準備イベントにいったい誰が来るのか?」

とドキドキしながら当日を迎えたら、なんと100人の超満員
僕の旅のレポートをお話して、みんなで発酵珍味を食べて盛り上がりました。

ていうか本音を言うとだな。この日のみんなの顔を見て

「きっとこの企画は面白いことになる…!」

という実感が湧いてきたんだな。みんなありがとう…!

▶書籍化プロジェクトがスタート!:2019年1月〜4月

無事キックオフイベントとクラウドファンディングが成功し、旅の大詰めを迎えた頃に、


俺、ヒラクの旅行記が読みたいな〜!

という藤本さんの鶴の一声により、最も体力消耗の激しい時期に本を一冊書き下ろすことに(当初はカタログ制作のつもりだった)。それが1月、お正月が終わってしばらくしてからのこと。編集のRe:S番頭の竹内厚さん、ブックデザイナーに堀口努さんが参加。書籍の制作が本格スタートしました。

そこから2月〜3月の二ヶ月間はこれまでの人生の中でもトップクラスの地獄でした。毎日旅を続けながら、夜なべして原稿を書き続け、そして合間に展覧会の取材を受けたり寄稿したりという余裕あ1ミリもない日々。大変すぎて記憶があんまりない…!

2月後半から3月前半にかけての僕のツイートを見返すと何言ってるのかさっぱりわかりません。アタマがショートしてたんだ、きっと。

▶翻訳プロジェクトがスタート!:2019年2月〜

そしてさらなるチャレンジ。僕の海外の友人たちがこのプロジェクトに興味を持ってくれているらしく、展覧会を日英バイリンガルにすることに。さらに英訳付きの展覧会カタログ制作も決意。柳澤円さんを中心の翻訳チームが結成され、英語化のためのクラファン企画第二弾がスタート。4/25まで絶賛支援募集中なのでどうぞよろしくおねがいします。

・Japan Fermented Food Catalog 日本の発酵を世界へ! | CAMPFIRE

▶書籍の事前予約スタート、まさかの校了前重版!:2019年4月

4月。いよいよ展覧会まであと一ヶ月!というタイミングで書き下ろし書籍『日本発酵紀行』の事前予約をスタート。

前作『発酵文化人類学』の時もやった企画なのですが、今回は個人に加えて本屋さん向けの買い切り注文も呼びかけてみました。

そ!し!た!ら!!
とんでもない奇跡が!ブログフォームのアラームが鳴りっぱなしの予約祭りがスタート。4/18の時点で、個人注文が1200冊超、本屋さん注文が900冊、つまり2000冊以上の本の注文が決まってしまった(ほぼ全部買い切りなので返品もなし。スゴい…!)

しかも予想もしていなかった事態が。

流通的にいうと、もはや書籍というよりはモノとして売れている僕の新著。事務局一同ビックリするような数の注文がきて、なんと…

本が校了する前に実質増刷が決まってしまった…!
ひょえーーー!!!

▶展覧会まであと一週間!イベント告知スタート:2019年4月半ば〜


オリジナル提灯を手にご機嫌の事務局長、黒江さん

で、今ココ。展覧会開催に向けてのラストスパート。
展示ボードをつくったり、展示する民俗資料を全国から集めたり、食堂で幻のレシピを再現したり。

今回はなんと!単に蒐集するだけではなく、自らの手での再現までやっています。

そんな激レアな発酵食品は、もちろん展示するだけでなく実際に食べることができます。
左から、「麹づくし定食」「旨味づくし定食」「珍味づくし定食」。
展示期間の前半、中盤、後半とメニューが切り替わっていきます。特にすさまじいのは展覧会終盤に登場する「珍味づくし定食」。何それ?という食材のオンパレード。

期間中には僕セレクトのお酒も登場します。どうぞお楽しみに!

さらに!ミュージアム併設の『発酵デパートメント』をオープンします!やっほー!
2/3くらいの展示品が実際に買えるのと、僕とD&D事務局がセレクトしたナイスな発酵プロダクトがゲットできます。食品にとどまらず、微生物消臭剤とか、微生物自体(種麹)とか買えるよ!「これ誰得?」と思われようが面白そうなものを集めまくるぞ!というスタンスのこちらも期間限定のポップアップショップです。

全宇宙の発酵クラスタよ…爆買いするしかない…!

まだある…!
展覧会期中、イベントを多数開催します→イベント第一弾リストはこちら。

全国からめちゃくちゃ愉快な発酵仲間たちが大集合!そして目玉は10週連続角打ち。会場を角打ち会場にして飲み会やります(予約不要)。毎週発酵のスペシャリストをゲストに、週替りのお酒メニューで盛り上がります。

まずは、4/26のオープニングイベントと、5/3の『甲州ワイン角打ち』にカモン!

ということで。
開催前にしてビッグウェーブがきている”Fermentation Tourism Nippon”をどうぞよろしくお願いします。黒江さんはじめ、広報の清水さん、シェフの中山さん、出版の田邊さん高木さんたちD&Dの皆さま。これからが祭りの本番だ…!

たくさんの土地の、たくさんの記憶を載せて、いざ船出!

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