編集者&デザイナーが陳腐化しないための、3つの登山道
最近民ちゃんが『ほぼ日の塾』に行っているらしい。
編集者として数年仕事してきたタイミングで「もっと学びたい」と思っているそうな。
なるほど。そいつはいいね。
巷にいるフリーの編集者やデザイナーを見回してみると、7〜8割は「アベレージラインを天井としてそのまま横ばい」というキャリアを送ることになる。
世間に恥ずかしくないクオリティを納品し、クライアントとちゃんと意思疎通できて、待ち合わせや〆切に遅れない(←当たり前だけど)。
数年間、一生懸命仕事をするとこのアベレージラインにたどり着く。そして最低限独立して喰っていけるだけのギャラをゲットすることができる。これはたいへん努力がいることであり、リスペクトすべきことだ。
アベレージで立ち止まってていいのか問題。
で。
「そこから先」がたいへん難しいのであるよ。
「アベレージで横ばい」はだんだん自分のスキルや表現の価値が陳腐化していくということだ。陳腐化していくと受注単価が下がるので、そのぶん仕事数を増やす必要があるので、努力目標が「短時間で効率的に仕事をこなす」ということになり、付加価値をつくりだす投資=インプット時間を持つことができずに、詰む。
・インプットを極めることで、生産性が上がりまくるという仮説。
ということで、アベレージラインにたどり着いた者には「次なる登山道」が待っていることになる(いやー、クリエイターはたいへんだ)。
誰でも思いつく「短時間にいっぱいこなす」というのは「7合目まで速攻で登れる車道をつくりましょう」ということであり、「7合目まで登るという価値」を高速でコモディティ化していく行為に他ならない。つまり、詰むしかない。
3つの登山道。アナタはどこに登る?
「こいつスペシャルだな」と周りから評価されるためには、3つの道がある。
A【必殺仕事人】への道→「こいつに任せとけば間違いない」
B【ニッチ専門家】への道→「このジャンルだとこいつしかいない」
C【タレント】への道→「こいつを呼べば超盛り上がる」
順に解説していくぜ。
Aは「めちゃ仕事が的確で、ミスがなく、いっしょに仕事すると超勉強になる」という「仕事できるにも程がある」というタイプで、どの業界でも一定数こういうエキスパートがいることで仕事が回っていたりする。天性の能力というよか「プロセスのなかで徹底的に考える」ということを習慣化することでたどり着く(ような気がする)。友人を見てみると、編集者の川村庸子ちゃんがこのタイプに当たる(違ったらごめん)。
Bは「オタクが行き過ぎてしまった状態」であり、ある特定の特殊な領域においての知識やスキルが他の追随を許さないレベルになってしまったタイプだ。その領域の仕事以外はできないという、クリエイターが持つ「色々挑戦したい欲」を捨て去るかわりに、ニッチなロングライフが約束される。言うまでもないが、ヒラクが着実に歩んでいるのはこの道であるよ。
Cは「才能発揮しまくり野郎」であり、そもそもの発想力や表現力がぜんぜん人と違う次元にあるというレアケースがこのタイプ。悔しいことにこういうヤツも世の中には存在する。僕の近しい友人でいえばnosignerの太刀川さんや放浪芸人のアサダワタルくんがこのカテゴリー(違ったらごめん。たぶん違わないけど)。
このなかで、ほとんどの人はAかBしか選べない。
「編集/デザインが好きだ」という人はAになり、「自分の好きなものを編集/デザインで伝えたい」という人がBになる。
さて民ちゃんはいったいどの山に登るのであろうか。