デザイン業界からの独立。日経デザインでNOSIGNER太刀川さんとの対談が掲載されました。
今月はソトコト特集に引き続き、日経デザインに掲載してもらいました。
特集テーマは『デザイナー 独立への道標』。
数年来の友人であり、同世代で最高にリスペクトしているデザイナーNOSIGNER太刀川さんとお互いの独立当時の苦労を語りました(手前みそですがめちゃ面白い内容になっています)。
特集にはgood design companyの水野さんやエイトブランディングの西澤さん、nendoの佐藤さんなどデザイン業界のスターがたくさん登場しています。
基本定期購読誌なので、デザイン業界以外の人はなかなか手に取りにくいかもしれませんが、知り合いの事務所や図書館などで見てみてください(気に入ったら購読どうぞ)。
以上告知終わり。
で、掲載誌を読んで思ったことをちょっとメモ。
20代半ば、新人デザイナーとしてがんばって仕事していた頃だったらこういう「業界紙」に掲載されることが大きな励みになる、というかキャリアとしての目標の1つだったと思う。
しかし普通のデザイナーとしての標準ルートを激しく踏み外し、そのうえ微生物研究の道に入るという変則的なキャリアにある今の自分にとって、こういう雑誌に自分がいるのは「ある種の事故」であって、なんというか「近代文明に発見された離島のガラパゴス珍獣」を見るような心持ちがする。
通常、ある業界内における「キャリアパス」というのは、「神輿に乗って華麗に踊る人になる」ということだ。最初は野次馬の一人として「いつかオレもあんなふうにデカイ神輿の上でカッコよく舞いたいなあ」と憧れを抱くところから始まり、神輿のはじっこをちょっとだけ担ぐところから始まって、長老から「そろそろお前も上に乗る頃だな」とフックアップされる。
しかしだ。
僕の場合、生来の性格と運命のいたずらにより「そもそも神輿を自分で手づくりする」という道を辿ることになった。いまやソーシャルデザインと呼ばれる領域の黎明期に関わったり、ブログやラジオとか「メディアに載るのではなく、メディア自体をつくる」ということもそう。今はデザインとバイオテクノロジーの融合というさらに奇矯な神輿をつくっている。
アサダくんの『コミュニティ難民』のごとく、「デザイン業界」という大陸から離れて、いかだで島と島のあいだを漂流している。
あんまり賢いやりかたではないかもしれないけど、僕にとってはこのやりかたが最高に楽しい。どれだけブサイクでちっちゃくても、自分でつくった神輿が一番イケてる(←僕にとってはだけど)。
デザイナーは課題解決のための表現物をつくる仕事だが、僕の場合「まさかそのテがあったか」というデザイナーとしての仕事の型自体をつくるというメタな遊びに熱中しているのだと思われる。
つまり、僕にとっての「デザイナー独立」は「デザイン業界からの独立」も意味していたのであるよ。ほんと、デザインって奥深い。太刀川さん、楽しい機会をほんとにありがとー。日経デザイン編集部の皆さまもお世話になりました。
2014年に『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞を受賞した時の一枚。
発酵兄妹の3人で「歌って踊るプレゼンテーション」をしてからガラパゴス化が促進されました。汗
【追記】ちなみに珍獣ではあることは事実だが、イコール「マイナー」ではない。これからヒラクはガラパゴス的にメジャー化する予定。がおー!