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発酵でつながるローカルのコミュニティ

『発酵文化人類学』の出版記念企画として、雑誌ソトコトの連載バックナンバーを無料公開!  なぜそんなことをするかというと、書籍版は過去の連載記事を全部無視した「完全書きおろしREMIX」だからなのだ!

▶発酵でつながるローカルのコミュニティ ソトコト17年11月掲載

「この土地ならではの発酵文化の話を市に来てほしい」と日本各地からお誘いを受けます。現地の醸造蔵を見学したりローカル発酵食を食べて、その後に地域のコミュニティのみんなと対話する。そんな仕事をやっていると、発酵を通して地域にある様々なコミュニティがつながっていくことに気づきます。

発酵に紐づく様々なキーワード

一口に「発酵」と言っても、そこには様々なキーワードが紐付いてきます。郷土食、健康、農業、歴史、ローカルビジネス、DIY、子どもの食育、おばあの知恵、etc… 人によって発酵に期待することは様々。となると「発酵について話すよ!」と呼びかけると、そこには色んな人種が集まるんですね。醸造家はもちろん、農家や漁師、エステやセラピーをやっているキラキラ女子に工芸作家や郷土史家、食育サークルのママさんや行政職員、若い起業家やアンテナ張ってる大学生、給食センターのおばちゃんまで、多様性ありまくりでカオス!な場ができあがります。何度もこういう場面に遭遇しているうちに「実は地域コミュニティでこんなにも多様な人が集まって対話する機会って珍しいんじゃないの?」という気づきがあったわけなんだな。

異なるコミュニティに横串を刺す

札幌でトークイベントをした時のこと。これぐらい大きな街になると、そこにはジャンルごとに地域コミュニティがあります。カルチャー好きコミュニティと農業コミュニティは普段ほとんど接点がないんだけど、両コミュニティとも僕の発酵イベントに興味を持ってくれる層だったりする。こういう場ができると、イベント後の懇親会が盛り上がるんだね。「ずっと前から名前は知ってました!」「なかなか会う機会がなかった!」と、異なるコミュニティが出会うきっかけになる。

発酵は「良い関係性の発見」であると僕は定義しています。この原理は、微生物の世界にとどまらない。今まで接点のなかった異なる存在が結びつき、ケミストリーが生み出される。微生物の世界で麹菌や酵母、乳酸菌が出会うと美味しいお味噌やお酒ができ、人間の世界ではHIP HOPなお兄ちゃんと地元の農家のお母さん、アツい志を持った市役所員が出会うと素敵なコミュニティやプロジェクトが生まれていくわけなんですね。

異なる領域にいても、地域のために何かをしたい!という気持ちは一緒。そこからジャンルを超えたプロジェクトが始まることもしばしば。

いつの間にか発酵は「バラバラになった関係性」をつなぎあわせる接着剤のような役割を社会のなかで期待されるようになってきたのかもしれません。実際に酒蔵や醤油蔵の醸造家が地域コミュニティのまとめ役を担っていることも。

今回、この連載をまとめた本を全国のみんなに届けて回るなかで「発酵を起点に始まる地域のコミュニティ」そして「文化の多様性」の可能性に気づきました。

あ、あと懇親会が盛り上がってくるといつのまにか僕、隅っこでひとりポツンと取り残されがちなことにも気づいたよ。地元コミュニティが盛り上がるのは嬉しいけど、ちょっと切ないぜ


このソトコト連載のバックナンバーを全て破壊しイチからREMIXしなおした書籍『発酵文化人類学』の書籍版、絶賛発売中!

↓こちらからまえがきが読めるよ
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