『発酵文化人類学』の出版記念企画として、雑誌ソトコトの連載バックナンバーを無料公開!  なぜそんなことをするかというと、書籍版は過去の連載記事を全部無視した「完全書きおろしREMIX」だからなのだ!

▶日本のキムチは実は発酵していない?キムチのダブルスタンダード。ソトコト16年10月掲載

僕、免弱男子(めんよわだんし=免疫力弱め男子の略)なんです。
食習慣や生活習慣が崩れると、幼少からの体質であるアトピーや喘息が発動し、布団から起き上がれなくなってしまう。そんな免弱男子の強い味方が、何を隠そうキムチ。免疫を活性化させ、辛味の刺激で低体温をポカポカ温めてくれるサイコーな発酵食材なのだよ。

韓国の誇る高機能発酵漬物!

そもそもキムチとは何ぞや?小魚の塩辛に唐辛子や塩水、にんにくなどをブ

レンドした調味液に、白菜や大根などを入れ、冷涼な土地で数日〜数週間発酵・熟成させたいわゆる「漬物の一種」です。関与する発酵菌は、すげーたくさんの種類の乳酸菌。他にも酵母や、無酸素環境に住む古代の細菌も多数住んでいるらしく、1gあたりなんと5〜10億匹の発酵菌が棲息しています。

そんな「菌の共和国」とでも言いたくなるキムチ。味の特徴としては、乳酸菌のつくり出す酸味と唐辛子の辛味、野菜のまろやかさや魚介の旨味、さらに酵母がつくり出すガスによるシュワっとした口当たりが複雑に絡み合いまくる独特すぎるテイスト。僕にとってはサイコーな味なのですが、人によっては「強烈すぎて食べられない」ということもあるそうな。

 日本のキムチは発酵していない?

日本人がキムチを常食するようになったのは、1970年代後半以降。しかし当初から「辛すぎる」「ニオイが強すぎる」

という声があり、国産のキムチは辛味の香りも穏やかなテイストになっていきました。

でね。これってどういうことかというと「発酵させない」ということなのさ。キムチ風の調味液に白菜を浸した浅漬けが、日本のスーパーに並んでいるキムチの過半なのです。知ってました?
さて、本来発酵食品のはずのキムチが日本では発酵していないということを聞いてビックリした本場韓国、「ウチのはちゃんと発酵してますぜ」ということがわかる基準を作ったのです。

発酵キムチの見分け方

発酵キムチを見分ける方法を主に2つ。1つはローマ字の名称。日本ではキムチを”Kimuchi”と表記することが多いですが、韓国では必ず”Kimchi”です。パッケージにこの表記があれば、それはつまり韓国基準の発酵食品。もう1つが「唐辛子のゆるキャラ」です。これは「韓国直輸入の本格キムチ」を表すマークです。

ざっくり言うと「本場韓国の味!」を強調していれば発酵しているキムチ、「安心の国産!」を強調していれば発酵していないキムチ風浅漬と思ってもらっていいかなと。

ちなみに発酵デザイナーともなると食べるだけで発酵の可否がわかります。ぬか漬けとヨーグルトを足してややこじらせたような独特な香りと、菌のつくり出すシュワっとした酸味、これを感じれば発酵しているということ。

対して和風キムチはどうかというと、酸味控えめで旨味と甘味が強く、日本人の味覚に沿うものにアレンジされとるなという印象。ドイツ伝来のビールにお米やとうもろこしのでんぷんを添加してしまう日本人。「旨甘」の味覚から離れられないんだよねえ。

免弱男子の僕は、ふだん発酵キムチを好んで食べていますが、和風キムチもそれはそれで、「たらこスパゲッティ的な味わい」があると思ったりして…。

【追記】スーパーの棚に並んでいるキムチは、7:3の割合で発酵していないものが多い。発酵キムチは時間が経つにつれて熟成が進んで風味が変わるので量販店の流通に適していないのかもしれません。発酵食品ってそういうもんなんだけど。


 

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