炎上を防ぐには、素直であれ。
デザインやSE、編集の仕事をしている人は、よくプロジェクトの炎上に巻き込まれる。
締め切り間近の土壇場になって制作内容が大幅変更されたり、クライアントのボスの鶴の一声でコンセプトがひっくり返ったりする。すると現場のクリエイターやエンジニアはデートの予定や自宅のベッドでの睡眠を放棄して、血の涙を浮かべながら夜通しの制作作業に励むことになる。
僕自身もかつてフツーのデザイナーだった時代は、人並みにこの炎上に巻き込まれ、不眠とストレスによる胃の痛みを経験してきた。
知り合いから「いまやっているプロジェクトが炎上しているんだけど…」という相談が寄せられることもあるが、炎上って基本的には「予防」しかできなくて、起こってしまったら「周りの建物を壊して延焼を回避する」ぐらいしかできない。つまり事後にできることは基本的は限りなくゼロに近い。
しかし。どんな世界にもプロフェッショナルがいるのであるよ。
大学からの友人に、村上烈くんというWEBプロデューサーがいる。彼は「他人が起こした炎上を鎮火する」という、WEB界の消防士的なスペシャリティを持っている。なぜ彼がそのような異能を身につけたかというと「クライアントに対して一切おべっかを使わない」というKY能力による。
彼は打合せでプロジェクトの状態を聞くと「その予算は無理ですよね」「その納期は間に合いませんね」「やることとやらないことの範囲が曖昧ですよね」と、受注者および発注者の「薄々気づいてはいたが…」を容赦なく言語化する。最初は場が凍るが、あまりにも小気味いいので最後は「だよね〜!」とほっこりするほどの手練手管だ。
プロジェクトが深刻な暗礁に乗り上げた時は「とりあえず徹夜して頑張ろう」とか場当たりな対処法は最終手段にしたほうがいい。
それよりも、まずは現状認識の解像度を上げることがかなりマシな次善策だ。現状認識した結果がシビアすぎたらプロジェクトを破棄するという「損切り」も視野に入れて決断と行動する。炎上に巻き込まれて不眠不休状態になると、マトモな判断ができなくなるのでその前にとにかく「今、何が起きているのか?リスクは何なのか?」について30分くらいでいいので掘り下げて検証する時間を取る必要がある。
基本的にクリエイティブの仕事は計画通りにいかないことが多い。受注側も発注側もこだわりを全面に出してくるし、データで定量化できない「美的センスによる判断」も介在してくる。
だからこそ。
クライアントとクリエイターは受注・発注の関係性ではなくて、ちゃんと相談できるパートナーの関係で契約しないと、お互いの立場を守るための保身で場当たりの対処繰り返して炎上の火が燃え広がり、あたり一面焼け野原になるよ。
大事なのは、プロフェッショナルの挟持を持つのと同時に、素直になることだ。わからないことはわからないと、無理なことは無理だとちゃんと言葉にすることだ。
僕も色々プロジェクトを燃やしてきましたが、烈くんのようなプロフェッショナルな友だちや良心あるクライアントに助けられてきた。計画性とちゃんとした契約書類も大事だけど、信頼はもっと大事!
…と書くと今までの自分の不義理の山が重くのしかかってくる…。今年は不義理したくねえな。消え去れ炎上!
ちなみに烈くんはこんなヤツ↓
@o_hiraku うそつかない≒おべっか使わない、ではあるな。おべっか程度でしか信頼を構築できないならやめちまえ!と思う。
— 村上烈 (@retsumurakami) 2017年1月21日