工作室の夏休み 【京都】 その1

仕事の用事で大阪にいた時のこと。

明日はオフ。「そうだ、京都行こう!」ということで着の身着のままで向かった京都。

去年に引き続いて、お盆の京都。

今年はいくぶん暑さは控えめで、しっとりとした滞在となりました。

京都に行くと、国内旅行なのに気分はバックパッカーになる。

というのも、京都は味のあるゲストハウスの宝庫。

去年泊まったゲストハウストンボから紹介してもらった、こばこというゲストハウスに今回は泊まってみることに。



この雰囲気(笑)ユルい。

「こばこ」は京都の古い木造住宅、いわゆる「町家」をまんま生かしたゲストハウス。

知り合いの家に居候している気分になります。

十代からバックパッカー旅行をしていたせいか、僕はこの「ドミトリー文化」みたいのが大好き。



素樹 文生 上海の西 デリーの東



テリー・タルノフ /山川健一訳 アジアに堕ちた男

どれぐらい好きかというと、海外滞在の後に東京に帰ってきた後、あの賑やかな暮らしが忘れられず、「つつじヶ丘ハウス」という、ゲストハウス/シェアハウスを始めてしまったほど。

(ちなみにその家の写真はコレ。ユルいです笑)





そんな生活をしていたせいもあって、旅に出ると味気ないホテルよりも、

世界中の馬の骨が集まるゲストハウスが楽しい。

京都の宿にも旅の楽しみかたを知っている個性的なバックパッカーが集まっていて、何だか遠い国へ旅しているような気分になれる。



夕方になると、お寺めぐりや散歩から帰ってきた宿泊客が集まってその日の体験を語り合う。

そのうち、近所の人が「差し入れやけど」といって、お惣菜を持ってくる。

「何か飲もうか?」

「ほな酒屋行ってくるわー」

「あ、じゃあ私も行っていい?」

そんな感じで、自然に宴会が始まってしまう。

お酒が進むと、学校で給食を作っているお兄ちゃんが

「オレ、料理上手いぜ」とキッチンで鍋をふる。

「どこから来たの?」

「何してるの?」

「どうして京都よ?」

「東京から」

「福岡から」

「スペインから」

「ベルギーから」

「大学院生」

「ITエンジニア」

「フリーターだよ笑」

「バンドやってる」

「えーっと、雰囲気いいしなあ」

「日本文学研究してるから」

「何となく、京都…」

なんて、とりとめない会話から始まって、夜が更けると人生談義やディープな恋愛話で盛り上がっていたり、ゲストハウスは、放課後のざわめきを思い起こさせてくれる。

仕事や人間関係のしがらみから一時解放されて、何の縛りのない、自由なおしゃべり。

普段の生活だと、意外になかったりするんだよね?

そして、旅になるとやたらタフになるヒラク、

宴会がお開きになった後は、ゲストハウスのオーナー、ユキさんにガイドしてもらって、

夜の京都の繁華街に繰り出すのでした。

…次回に続く!

Published by

小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。