世の中、正解が出ることばかりじゃない。

それは、半分正解。

だけど、半分間違え。

日々仕事して、色んな問題に取り組む。よーく考えて、正解が出せる事もある。

でも、考えても考えても正解が出せない事がある。

原因は何か。

自分の能力が足りないからなのか。

それもある。

でも、多分全部が全部そうじゃないと考えるようになった。

なぜなら、正解だとわかるには結果が必要で、結果が出るまでに途方もない時間がかかることがあるからだ。

例えば、恋愛、結婚、職業の選択、生き方…。

色んな実用書を読んでいると、共通に方程式が見えてくる。

能力×努力×効率=結果、この方程式が解ければ正解。

ところがここに一つ、乱数みたいなヤツが絡んでくる。

それが時間だ。

「=」のあいだに時間が入って、結果が不確かになってくる。

一週間のあいだは正解だと思っていたのに、一年で考えるとどうも正解とも思えない事がある。

お金も肩書きも頑張ればなんとかなることもあるだろうけど、人間は時間というものを何ともしようがない。

貧乏人から王様まで一日24時間、長くて百年ちょっと、それが終わったら世界から退場する。

その後も世界は続いていく。

僕たちは、全ての問題の結果を見届けるだけの時間を持ってはいない。

だから、最近正解を出すことに躍起になるのをあきらめた。自分の持っている時間で正解が出せる問題は、たいしたことない。

正解は求めない。片付かない問題をしっかり抱えて、いつか人生を退場しようと思う。

現代の人間は、正解病にかかっている。

だけど忘れちゃいけない。理屈や効率で、時間を屈服させることはできない。

今、あなたと一緒にいるということ。

それが正解がどうかは疑わない。ただそれが嬉しいという気持ちだけを信じてみる。

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小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。