オボ・ラクト・ベジタリアニズム

朝から各種連載の原稿書き。毎日めちゃ忙しいのだが、そのなかでも四本も連載を持っている(そのうえ新著を書き下ろしたりこの日記書いたりしている)。2010年にブログを書き始めて、さらに『発酵文化人類学』を出版してからは文章を書くことは仕事というより「歯を磨く」「お散歩する」と同じような習慣になってしまった。午前中からお昼までで三本の原稿をやっつける。午後からは新著の調べ物。夕方に短い打ち合わせ×2。最近どんどん増えているテレビ撮影の相談など。

夜は用事ないので家族で夕ご飯を食べる。生き物を愛する萌さんは最近肉や魚を食べることに抵抗が出てきたらしい。ということで、最近我が家の食卓は菜食中心。肉や魚を食べないとなると、色んな食材を工夫して食べるようになるので味覚のトレーニングとしても悪くないと思う。ちなみに卵と牛乳はOK。肉魚は食べないが卵乳製品はOKな菜食主義をオボ・ラクト・ベジタリアニズムと言うらしい。

僕も20代の半ばに半年ほどかなり極端なベジタリアン生活を送っていたことがある。肉、魚、牛乳、卵に加えて精白されたものもダメ、つまり主食は玄米や全粒粉の小麦粉や雑穀、さらに砂糖も使えないという厳しめな制限のなかで暮らしていたのだが、外食にはほとんどいけず、清涼飲料水もお菓子も全然ダメ!という食生活をしばらく送った結果、異様に味覚が鋭敏になり人参をかじっただけで甘くて卒倒しそうになる…という状態になった。半年やって体重が50kgを大幅に切り(僕の身長173cm)、肌が土気色にカサカサし始めたのでそこでおしまいとした。なにごともストイックすぎるのは良くない!という貴重な教訓を得た。それ以降も具合が悪くなったら適宜肉や過剰な炭水化物、砂糖などをとらないようにして体調を調整したりしている。が、生き物好きでも微生物畑の父は肉も魚もありがたくいただくよ…!(ちなみに微生物を摂取しない食生活はハードなヴィーガンよりも断然難しい)

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小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。