お茶しようぜ〜

朝イチからまたまた下北沢へ。今週はよくお店にいるWEEK。お昼に空間のマイクロバイオーム(微生物叢)解析事業を立ち上げた微生物学界の新鋭、伊藤くんがお茶しにくる。今一緒にやっている解析プロジェクトの途中経過を見ながら、あれこれおしゃべり。伊藤くんは大変優秀な研究者なのだが、立ち上げた微生物解析の会社運営自体は試行錯誤の連続。僕も研究と事業両方やっているので、共感すること多々。

研究をビジネスにするには、社会的なニーズを見つけないといけない。このニーズは論文書くときのテーマ立てとはちょっと違っていて、必ずしも新規性や特異性が必要ではなく、日常的なちょっとした気づきに眠っていたりする。事業を経営する研究者は、研究を深めるのとは別にこのニーズ探しもやらないといけない。「どうしたらいいですかね?」という伊藤くんに「気が合う人とたまにお茶するといいよ」とオススメしておいた。特に目的やアウトカムを決めずに、ただお茶して思いついたこと、最近気になっていることを話すだけの機会を、なるべく色んな領域の専門知識を持った友人知人と持つことがニーズ探しの肝(僕の場合は、だけど)。

ポイントは「ネットワーキング」ではなく「お茶しようぜ〜」であること。研究者はだいたいみんなオタクだったり社交下手だったりするので、人と出会うことが目的のネットワーキングはする必要はない(ていうか少ない社交キャパを圧迫するので不要)。あくまでリラックスしておしゃべりするのが大事なんだよ。

美味しいお茶とお菓子と一緒に「そういえばさ〜」なんて雑談するところから良いプロダクトが生まれたりするの、ほんとに。「僕そういう風に人誘うのニガテなんですけど」という伊藤くん。じゃあ僕とたまにお茶しようよ〜。

夕方から発酵サブスクの動画配信。今回は1/6回目のお味噌づくり。味噌づくりワークショップ、思えばもう15年くらいやってるんだけど不思議に飽きないのはなぜだ…。大豆潰して麹まぜて容器に詰めるだけなんだけど、何回やっても気持ちが晴れやかになる。これは一種のリラクゼーションなのでは…?

ちなみに発酵サブスクの第二期、なんと受講者100人ですって!驚

100人で味噌づくり、良い時代になったものじゃのう

 

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小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。