実家のトラウマを払拭するナスの味噌汁

実家のトラウマを払拭するナスの味噌汁

【味噌】麦味噌

【出汁】いりこ

【具材】ナス・ジャガイモ・わかめ

思えば、僕のおかんの味噌汁はマズかった。

どうやったら味噌汁をマズく作れるのが謎だったのだけれど、恐らく味噌と具のバランス感覚に何か問題があったのであろう。

とりわけ僕のトラウマになっているのは「ナスの味噌汁」。ナスの入れ過ぎで、汁が全面的に紫色になっているホラーなビジュアルをよく覚えている。

そんな負の記憶を払拭するためには、ウマいものをこさえるに限る。

ということで、母の九州の実家でスタンダードの麦味噌とナスで味噌汁を作った。

別にあえて言う必要もないけど、ナスは汁の色が変わらない程度の適量を入れるのがポイント。麦味噌は、瀬戸内のこうじ少なめで甘味ほどほどな麦味噌を使うと、ナスの味と味噌が調和してしっかり旨味を感じることができる。

ちなみに僕は、麦味噌は他のお味噌よりもやや量を多めに入れて、具も食べ応えのあるものをあわせるのが好み(麦味噌の旨味をディープに感じたいので)。

おかんよ、「料理が下手」とか公言してしまってすまない。

でも、ヒラクは無事すくすくと元気に育ち、美味しい味噌汁をつくれるようになりました。

ありがとう。

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小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。