【ヨーロッパ街歩き】eat drink sleep think. トットネスの森の中で深呼吸。
ヨーロッパ旅日記、場所をイギリス西部の小さな町、トットネスへ移ります。
イタリア、ボローニャ編はこちら。
・ボローニャを高速早回しで歩いてみました。
・ボローニャをデザイナー視点で歩いてみる
夜の森を抜けると、別世界が…!
ボローニャ→ロンドン。パディントン駅から一路西に向かいます。
夕方にトットネスin(ちなみに看板の文字はGil Sans。正しくイギリスっぽいぞ)。「ほんとにここで合ってるのかしら?」と不安になるほど田舎な駅前。
僕が予約したホテルがあるのは、中心街とは反対側の森のなか。駅のおじさんにホテルまでの道のりを聞いたら「おやおや、歩いたらけっこう長いぞー」との答えが。
タクシーもいないし、バスの路線もよくわからないので、とりあえず歩いてみることに。
しばらく道を歩くと、小さなお店がいっぱい集まった不思議な広場に。今度は店員のおばちゃんにホテルまでの道を聞くと「あら?歩いていくの?暗いわよー」とのこと。
ここまで来てタクシー呼ぶも悔しいので、教えてもらったとおりに歩いて行くことに。
雨の中、真っ暗な道を歩いていきます。街灯もなく、ほとんど獣道(その理由は次回で説明します)。
もはや暗すぎて、キツネに化かされたのでは…と不安になりつつひたすら丘を登ること15分。
あれッ…? 突如城のような建物が見えてきたぞ…?
もしやここが…?
「ようこそDartington Hallへ。えっ、歩いてきたの?」
気さくなナイスガイ、ジェイくんがレセプションで迎えてくれました。僕が予約したのは、なんと元は大学だった敷地をまるごとリノベーションした”Dartington Hall”の中のホテル。
とりあえずお腹が減ったので、敷地内のレストランに行ってみると…
えっ…?何ここ?めちゃセンスいいぞ…!?
地元の野菜と魚介の料理を注文。めちゃ美味い。
10年前に滞在したロンドンで味わった「イギリスのご飯が全然美味しくない」という先入観が激しく覆る衝撃。正直なところ、ボローニャのご飯よりも好みです(軽いし)。
そしてワインも地元産。まさかイギリスのワインがこんなに美味しいとは…!
(ヨーロッパの人が僕の住む勝沼に来て国産ワインにびっくりするのはきっとこんな感じ)
予想のはるか斜め上の素敵さ
朝。改めて外に出てみると、Dartington Hallはこんな感じでした。
レセプションのジェイくんいわく、20世紀はじめにElmhirst一家が創設し、様々な文化人が関わることで複合的な文化施設になっていったそうです。
大きな庭を囲んで、映画館やレストラン、ホテルやギャラリーなどがあります。
建物に趣があるのはもちろん、庭のデザインが本当に素晴らしい。ていうか何だここ、別次元なまでに素敵だぞ?
朝ごはん。イングリッシュブレックファストが重くて食べられないので、地元ベーカリーの焼きたてパンとヨーグルト、これまた地元の農家のジャムのシンプルメニューに。
ちなみにハーブティもめちゃ美味しい。
greenzのナオさんに薦められるまま事前知識ゼロで来てみたら、予想を遥かに上回る素敵っぷりに衝撃を受ける(たまたまDartington Hallを選んだ自分、偉い!)。
森のなかで深く”Think”。
えー、私事ですが最近僕、疲れておりまして。
何に疲れていたかというと「過剰なアウトプット」で、本業じゃないはずのトークイベントや原稿の嵐に自分の少ない引き出しが空っぽになっているような感じがしていたのでした。
・僕がオワコン化する理由。報酬は今でも未来でもなく、過去に支払われる。
・表現のリソースを枯渇させないためには、ノイズを発生させる必要がある。
ホテルの前に停めてあった車に”eat drink sleep think”と書いてあります。ああ、これいい言葉だなあ。
何かを感じてからアウトプットにするまでの時間が高速すぎると”think”がどんどん薄まっていきます。この薄い”think”は自分を疲弊させる。だからこういう森の中でゆっくり”think”すると、なんとこれは癒やしの一種ではないか。で、ゆっくり食べて飲んで、ゆっくり寝る。
— 小倉ヒラク (@o_hiraku) 2015, 11月 16
Dartington Hallは、深呼吸するように深く”think”する場所で、静かな森の夜のなかで考え事をしながらゆっくり寝たら、乾ききっていたスポンジに水が染みこんでいくような心持ちがしました。
あーそうそう、僕こういう旅がしたかったのだよなあ。
なぜ薄い”think”が自分を疲弊させるかというと、もしかしたら存在していたであろう「あのように考える自分」「このように考える自分」をばっさり切った言葉が生まれてしまうから。さらに困ったことに「クリアカットな言葉」はわかりやすくて受けがいいので「自分は深く考えている」と錯覚する。
— 小倉ヒラク (@o_hiraku) 2015, 11月 16
矛盾した「ああ考える自分」「こう考える自分」の存在が言葉の端々に見えるような”think”が上等なんだけど、その「上等な感じ」はマーガレット・ハウエルの白シャツみたいなクオリティで、なんというか、着る人を選ぶというか「え、なんでこんなシャツが3万円もするの?」にも受け取られる。
— 小倉ヒラク (@o_hiraku) 2015, 11月 16
早朝。草原の向こうに見える朝焼けがキレイだったぜ。
それでは次回トットネスを歩いてみまーす。