NOSIGNER 新オフィスに遊びに行ってきた。

NOSIGNER 新オフィスに遊びに行ってきた。

こんにちは、ヒラクです。ようやく喘息が治って来ました。

一昨日は、太刀川さんのとこに遊びに、NOSIGNER新オフィス@横浜へお出かけ。

大学の後輩のキュレーターアリナちゃん企画のイベントで会った、プロダクト(をはじめとしてなんでも)デザイナー、太刀川さん。出会って話をした瞬間から「あ、もしかして双子かも」みたいな感覚を共有してしまった、とっても面白い人(僕のほうが後輩なので恐縮ですけど)なわけです。

で、ちゃんと会って話すのは久しぶりだったわけですが、速攻で超絶盛り上がる。

話題は多岐に渡り過ぎたのでアレですけど、シンクロ率が高かったのは「デザインという付加価値をどう活かしてどう消すか」みたいな話。

前のエントリーで書いた通り、例えば++の手がけているSMALL WOOD TOKYOはある意味突き抜けた「ノーデザイン」なワケですが(機能という意味のデザインはあるけど、付加価値としてのデザインはいさぎよく落としている)、太刀川さんが手がけているaeruなんかのプロダクトは、「機能としてのデザイン」をベースにして「付加価値としてのデザイン」をブレンドしている。

ご当地商品のブランディングなんかで良く話されるのが「デザインで付加価値を?」という話なわけですが、無条件にこの話を鵜呑みにしている時点で、実は日本のマーケットをちゃんと読み取れていないわけです(と断言してしまおう)。

菅付さんの言うとおり世間が「中身化」し、高齢化が進んで市場が右肩下がりにシュリンクしていくモードのなかで、「ゴージャスなもの」「わかりやすくハイセンスなもの」はどこか「浮いて」見える。

感性のアンテナを張っている20?30代の人たちの大半が「ゴージャスな生活なんてほぼ幻だろ」みたいな意識を持つなかで、もとめているものは「しっくりくるもの」なわけです。「高品質」という意味も、メーカー側が定量化した「スペック」ではなくて自分の生活のなかで発揮される「パフォーマンス」へと再定義されている。

そこにさらに「誰が」「どこで」「どんな想いで」つくったプロダクトなのか、というデザインのその後ろ側まで見えるようなものを求める人が多くなっている、ということもある。

そういう価値観自体の変質を横に置いといて「デザインを施して売価を底上げしましょう」みたいな発想って、実はパルコ的な一世代前の認識だったりする(その世代のひと、すいません)。

とはいえ。

これもまた実は個別解でしかなくて、市場を他の場所に移してみると文脈が違ったりする。

というか、人口が増えて生活水準と市場の大きさがどんどん拡大されている国ではおそらく「付加価値のあるもの」が説得力を持つ(みんながモノを買えるようになっていく過程では、みんなが買えないモノを買う行為が欲望の対象になる)。

だから、海外市場へ視点を移したときに「付加価値」というものが必要とされる場合がある。

何がいいたいかと言うとですね、「デザイン」に託される価値って、時代の文脈によって変わってくるってことです。

で、太刀川さんは国内でも海外でも活躍しているから、プロジェクトごとに「デザインにどのような価値をもたせるか」を鋭く分析している。

どれぐらいデザインを見せるのか、どれぐらいデザインを消すのか。そういう「読み」を意識化している意味で、稀有な才能だと思う(アサダくんと一緒で「メタ」な才能ね)。

そんな太刀川さんがこれからやろうとしているのが「日本のデザイン」の再構築だそう。

当然「和っぽいデザインをつくる」とかではなくて、デザインを通して「日本人の所作」というのを見えるようにするという意図(ヒラクの理解だけど)。

とするとですね。

そもそも記憶喪失が進んでいる「日本人の所作」を見えるようにするには、単に「見える化」ではなくて、日本の身体感覚や認知構造をデザインによってアーカイブ・再定義するというとこまでトライするということになる。

それはすごいことですよ(そして太刀川さんならやりきりそう)。

いやしかし、尊敬できる才能の持ち主が友人でいるというのは素晴らしいことです。

NOSIGNERのみんなのこれからの展開、楽しみにしてるぜ。

太刀川さん、ありがとー。また近日!

ブログを借りて御礼まで。



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Published by

小倉 ヒラク

発酵デザイナー。1983年、東京都生まれ。 「見えない発酵菌の働きを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家や研究者たちとプロジェクトを展開。下北沢「発酵デパートメント」オーナー。著書に『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』など多数。