「上手くいく」の分解のしかた
こんばんは、ヒラクです。今朝あげた記事、さらに続けて考えています。
3つの条件を一つ一つ満たしていくことが「上手くいく」を生み出すのに重要なのですが、それには順番が大事であることに気づきました。
・社会性→実現可能性→創造性
の順番に検証していくことがおそらく一番上手くいく方法です。
まず最初は、社会性。これが全ての源泉です。
これがないということは、「社会にとって必然性がない」ということを意味します。だから「応援したくない」ことになり、それでも上手くいきたければ「広告費をたくさんかける」必要がありますし、そもそも地営業的な条件とは言い難い。
だからまずここから考えます。
注意が必要なのは、一見良さそうだけれど実はウソや無理があったり、一時の流行だったりするかもしれません。きちんと考えて、必然性のある要素を見つけ出していきます。
次に、実現可能性を考えます。
せっかく良いものであっても、運用するための体力や条件をクリアーしないと意味がありません。どころか、良かれと思ってやったのにクレームの山が返ってきたり、人間関係を損ねる可能性するありそうです。きちんと体制図が描けるか、法律や技術の制約が厳しすぎないか、(NOSIGNERの太刀川さんにおそわったのですが)協同組合などの、主体がハッキリしない主体に委ねすぎていないか…プロジェクトの「下半身」が鍛えられているか、上手くいくためのメンツが揃っているか確認します。
最後に、ようやく創造性です。つまり「上半身」ですね。アイデアやデザイン、具体的な表現の質を考えます。
よくやってしまうのは、この順番を逆さにしちゃうことなんですね。何でもアイデアベースで考えすぎるのも実は危うい。もし仮にアイデアベースだっとしても、必ず他の2つのファクターを見る。
ケーススタディをしてみましょう。
依頼主が「これは良いものだから、知ってもらえれば必ず広まるはずだ」という場合。
これは図式に乗っ取っていうと、「社会性は満たしているから、創造性があれば上手くいくはずだ」というケースと言えます。この時に考えなければいけないのが、「本当に社会性があるのか」ということと、「実現可能性はあるか」という2点。これをクリアーしている場合は、後は創造性の問題、表現する人の役割ということでバトンタッチできます。
けれども、僕の経験則でいうと8割がた有り得なくて、だいたい社会性から考え直すか、実現可能制を検証していくプロセスになります。
「ものを作って世に出るまでに、デザイナーが関われるのは1割」とよく言いますが、それはつまりこういうことです。しかし裏を返せば、「受け取る人に見えるのはその1割」なので、プロジェクトがコケると最終走者に責任が回ってくることが多々あります。
なので、次世代のデザイナーには、1割に責任を持ちつつ残り9割に目を配る、という仕事が回ってくることになります。(あるいは、バトンを渡す側に1割の意味を知ってもらうことも)
経済が右肩下がりになっている、若者が減っていくということは、「何をやっても上手くいかない」うえに、「既成概念を崩して新しいことに挑戦する」という二重のリスクを追うことになります。
要は、昔みたいになんとなくじゃ上手くいかないんですね。なので、今までわりとあいまいにされていた、「9:1のあいだ」をシビアに見ていく必要があるんだなと思うわけでした。