これは日本という島国のなかで生まれた市井の人々のクリエイティビティ。

海、山、街、島。
47都道府県の知られざる発酵文化を訪ねた旅が写真集になります。

来場者数5万人を記録した渋谷ヒカリエ発酵ツーリズム展。そこで紹介された個性豊か(ときどきハードコア)な発酵文化の現場の貴重の記録がこれでもか!と収録された重厚な内容です。

東京の名物書店、出版プロジェクト(Aoyama Book Cultivation)の出版プロジェクト第一弾であり、僕の初の写真集となるスペシャルな一冊、渋谷の青山ブックセンター本店で限定販売です。どうぞ店頭に手に取ってください。

一体なんだコレは?な表紙。詳細は写真集で。

そもそもどんな本になるの?

▶発酵にまつわる風景、人、自然、微生物の記録
見上げるように巨大な木桶のピラミッド状の石積み、極彩色に醸されるギャラクシーなフグの卵巣、土や微生物と向かい合う醸造家の営み…。数百年継承されてきた日本独自の発酵文化にまつわる様々なシーンを切り取った写真を86点収録。日本酒や醤油などおなじみの発酵食品から、宮崎県日南海岸のむかでのり、青森県十和田のごど、長崎県対馬のせんなど、未知すぎる驚愕のローカル発酵食品まで、日本の文化の多様性とその土地に生きる人々の営みが垣間見れる写真集に仕上がりました。

▶新たなカタチの出版に挑戦!
青山ブックセンター(本屋さん)と藤原印刷(印刷会社)と僕(著者)のトライアングルでの本づくりに挑戦。最も読者に近い本屋さんが版元に、最も印刷に精通した印刷会社が造本するという、超ミニマムな異色のチームで作り上げました。

読者に最高クオリティの写真がダイレクトに届く方法を考え抜いてたどり着いたチャレンジングな出版形態になっています。

▶2000部限定。青山ブックセンターのみでの販売
販売形態も前作『発酵文化人類学』『日本発酵紀行』からさらに踏み込んだものに。発行部数は2000部限定。売り場は青山ブックセンター限定。普通の本についてあるはずの値段も流通用のISBNコードもついてない、純粋にプロダクトとしての本をみんなに届けるよ…!

▶書き下ろしの文章や旅行記未収録の写真多数
2019年に出版された旅行記『日本発酵紀行』に収録されていない写真多数(なにせ86点も写真がある)。展覧会でも使いきれなかった写真に、書き下ろしのエピソードも加え、ページをめくるだけで日本全国を発酵旅している気分になれる濃すぎる内容になっています。

▶旅の臨場感を伝える写真をこれでもか!
今回の最大の目玉はコレかも。僕が各地で撮影してきた仕込みの現場やその土地ならではの景色の写真が多数収録されています。こればっかりは言葉では説明できないので、どんな雰囲気なのか本を手にとって見てみてください

▶令和とは到底思えない時代超越のクオリティ!
写真集とは何か?を考え抜いたら「写真が集まったもの」という答えにたどり着きました。余計な意匠を剥ぎ取り、とにかくこの驚くべき発酵の世界を見てほしい!という意図のもとに紙を選び、レイアウトし、印刷を吟味していったら到底令和の時代につくったとは思えない(端的に言うと何十年も前につくられたような)時代錯誤、ポジティブに言えば時代超越のクオリティになってしまった…。刷り上がりを見た関係者一同もビックリ!

ページをめくるたびに息を呑むような神秘的なシーンが続出。発酵現場の生々しい臨場感をお楽しみください。チーム一同、自信を持って世に送り出すよ…!

青山ブックセンターのみで限定販売!

この本をゲットするには、青山ブックセンターに買いに行く(あるいは青山ブックセンターの出張販売)のみ。

価格:3,600円+税。
本文112ページ、判型23×23cm

皆様のご来店を青山ブックセンター山下店長が心待ちにしております。
何でも通販で買える便利な時代こそ、偶然の出会いを楽しみに本屋さんに行こうぜ…!¥

 

↓↓今までの出版プロジェクトの様子はこちら!↓↓
・【発酵文化人類学】一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。
・【日本発酵紀行】注文殺到で倉庫空っぽ。志ある本屋さんで先行発売ぶんをゲットだ!

部数は限定2000部。なんだけど事前予約で1/3がなくなってしまった…!

https://twitter.com/FJWR_printing/status/1235010847048486912

 

最後に、ヒラクより今回の本について

今回写真集の出版について ①本ができる経緯 ②本の内容 の2つの観点から。まずは経緯について。

▶本ができる経緯
きっかけは2019年1月のことでした。お正月に大阪でスタンダードブックストアの中川おじさんと会った時に「本屋は普通にやってたら本当に儲からん。儲からん商売やったら若い人がやらなくなる。なんとかその状況を変えたい」という話を聞きました。一般的な仕組み(委託再販制)で本を一冊売った時の粗利はなんと20%ちょっと。1000円の本売っても儲けは200円ちょい。そこから家賃や人件費はじめ各種経費を払い、万引なんかもあって…と考えると小売業としてはあまりにもハードゲームすぎる。

僕の本は、全国の顔の見える本屋さん、顔の見える書店員さんの応援によって全国各地の本当に多くの人に届けてもらっています。山梨に引っ越して驚いたのが、センスの良い同年代かもっと下の若者たちが熱心に紙の本を読んでいること。地方の拠点となる街には必ず丁寧にセレクトされた本屋さんがあり、その本棚を眺めるのは、お気に入りのレコードや服を探しにいくのと同じような行為。本屋さんは地域の文化のハブであり、その基盤のうえに僕の本が成り立っている。

もっと本屋さんの苦境に役立てる方法はないものだろうか…?
大阪の帰りに東京に立ち寄って青山ブックセンターの山下さんと立ち話をしている時に、そのことについて話してみました。

で、結論。
本屋さんが本をつくれば良いのではないか?そして自分の店の棚でダイレクトに売ればいいのではないか…?自分で価格を決めて、儲けをとる。ちゃんと考えれば通常の二倍以上の粗利率になる。問題は自分自身で売り切るリスクを取れるかどうか…?

「やります。本、つくります」

と妙に据わった目で即答する山下さん。そこから数日で会社の稟議が通り、僕から山下さんに前から懇意にしていた長野県松本の藤原印刷を紹介し、

「ナイスな本、つくってください!」

とささやかながらアイデア出しで役立てたことを喜んでいたら、
まさか第一弾が自分の本になるとは。

4月に渋谷BOOK LAB TOKYOでやった山下さんとのトークイベント上でポロッと話が出て、そのままゴロゴロ転がって本をつくることになってしまった。で本当は第三弾くらいになる予定だったんだけど、第一弾第二弾のスケジュールが遅れて僕の本が最初に繰り上がってしまったんですね。

そして時は流れ、2019年の秋。山下さんと僕と藤原印刷で集まっていよいよ出版の作戦会議をすることに。サイズはどうする?ページ数は?紙の種類は?と具体的な話を詰める著者と印刷会社をよそに、見積書を手に低い声で笑う山下さん。

「いやこれ、ちゃんと売ったら儲かるじゃないですか。本つくるってスゴいですね」

そうなんだよ。僕も前著2冊で理解したんだけど、出版はある程度の冊数売り切ればそれなりに儲かるビジネスになる(版元にとっては)。さらに増刷がかかると、イニシャルコストかけずに商品を再生産できるのでさらに割の良いビジネスになる。世に出版社がいっぱいあるのは、かつて本が売れた時代には出版が「儲かるビジネス」だったから(もちろん文化的な志もあるけど)。

出版業界特有の特殊な商習慣には深入りしないことにして(僕もいまだによくわからん)。
話を戻すと、本屋さんは利益率が低すぎていくら本を売っても儲からない→その構造を変えるには自分で本をつくって自分のお客さんに直で売る!→でも売りきれなかった時のリスク大きいよね→自分本を売るプロなんで、そこはリスク取ってやります!という覚悟はなかなかに人を鼓舞するものがあると思います。

空気読まずにラディカルになり、かつ覚悟を責任を背負って実践する。
閉塞状況をブレークスルーするには、こういう行動が必要なのではないかしら?

▶本の内容
次に本の内容について。2019年4月〜7月に渋谷ヒカリエd47 MUSEUMで開催された展覧会『Fermentation Tourism Nippon〜発酵から再発見する日本の旅』で使われた写真たちがベースになっています。展覧会を見てくれた人たちから「写真がとても良い!」という感想が多く寄せられ、展覧会の公式書籍『日本発酵紀行』に収録されたスナップショットも評価してもらいました。

とっても嬉しかったんですが、実はまだ満足しきれていないところもあった。
僕の写真は蔵の中はじめ光の弱い場所で撮っているので、写真がめちゃ暗い。展覧会や書籍では見やすくするため&内容のポップさを損なわないように写真を明るく補正していました。でも僕が撮った(視た)通りのリアルさで暗くてモヤモヤしている生々しいイメージをカタチにせねば…という思いがあったんですね。

そこで一緒に組んだのが藤原印刷。美術印刷はじめ難しい条件でもハイクオリティな印刷を仕上げる職人印刷集団に、僕のワガママを聴いてもらうことになりました。

で。通常写真集をつくる時には著者と印刷会社のあいだにデザイナーを立てるのですが、今回は藤原印刷のスタッフの竹内さんにデザインをしてもらいました。同じく藤原印刷のプリンティングディレクター(印刷技術の棟梁)花岡さんと竹内さんが組んで、とにかく印刷をハイクオリティで出す、写真の質感が誰にでも伝わるように本をつくっていました。最後の印刷立ち会いではお互いにアイデアを出し合ってもはや印刷物とは思えないような謎クオリティの写真が刷り上がっていきました。

ちなみに構成は青山ブックセンターの山下さん(お客さんのことよくわかってる人)と僕の二人でやったので、なんと編集者もいないという超ミニマムな布陣…!と言ってもデザインや編集の要素がないわけではなく、本屋さんが編集を、印刷会社がデザインを担当した、というのが正しいところです。

チーム体制が決まっていざ具体的に仕様を考えるぞ!となった時に、僕のなかで浮かんだのは、創設期のマグナム(アンリ・カルティエ・ブレッソンやロバート・キャパが在籍した写真家集団)。印刷技術もエディトリアルデザインも今ほど発達していなかった時代の、インパクト大の報道写真集の方法論。陰影が強く(そもそもモノクロ主体)、陰影のディティールを出すために紙はツルツルのコート紙。写真を際立たせるためにレイアウトも超シンプル。風合いのある紙で、凝ったレイアウトで、デザイン性の高い造本の現代の写真集とは別物の佇まいがそこにはありました。

「今届けるべき現場がある!」という信念がそのまま表現になっている力強さ。

僕は作家としての写真家ではない。しかし僕の見た、記録した世界には価値がある。未来の人たちにとって届けるべき意義がある…!
ならば、不要な作家性や意匠は取り去って、とにかくこの驚くべき発酵文化の現場を最も生々しいクオリティで可視化する。そしてそんな「写真」を「集」めて写真集にする。これが今回僕たちのやるべきことだ!

あれこれ考え抜いた末にひねりがなさすぎる結論にいたり、そこから逆算していくと作家性が入り込む余地のないチーム編成、制作プロセスが必要だったのでした。今回も今までの本と同様、本をつくるプロセスと内容が一体となってできた本です(←電球とソケットは一体理論)。

本の表紙に値段もISBNコードもなく、なんなら本のカバーも背すらない。現代においては絶滅したかのような、どシンプルな紙質とレイアウト。これ全て写真自体、もっと言えば撮られた世界に注目してほしいから。

▶青山ブックセンターでゲットしてね!
…とこんな感じで著者も極端なら、版元も極端。制作の8合目まで来たあたりで、

「この写真、2000部青山ブックセンターだけで売り切ります!」

という「どこにも卸さない宣言」に、ふだん強気の目標を掲げがちな僕も「どひぇー!!そりゃ無理だろ〜!!」とびっくり仰天。原則青山ブックセンター本店の店頭受取。通販もなし。他の書店では一切買えないという無理ゲーに挑む山下店長。だ、大丈夫ですかね…汗

ラディカルなまでの出版の原点回帰。あらゆる要素のネジが飛んでしまっている写真集『発酵する日本』。どうぞ本屋さんに足を運んで取りに来てください。僕の本はもちろん、他にも素敵な本を手に取ってください。

文化は、その時代を生きる一人ひとりの行動が集まって醸されていくものだよ。

 

【追記】この出版集は渋谷ヒカリエの展示会と、それを応援してくれた皆様があってこそ。発酵ツーリズムコミュニティと旅で出会った全ての人&景色&微生物に感謝!

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