ビールを飲むと速攻わかる!酵母の発酵原理

僕のワークショップで定番の小咄をブログにノートしておきます。
「発酵は人間と微生物の取り引きである」というお話。

微生物にとってのゴミが、人間にとっての宝物になる

この図は、酵母による発酵(パンやお酒)の化学式。
麦や果実のなかにある糖分(グルコース) を、発酵菌の酵母が食べて元気(ATP)を得ます。

元気を得るまでの過程で、いい匂いがするアルコール(エタノール)と炭酸ガス(二酸化炭素)を分解する。これが酵母発酵の基本です。

でね。
普通の微生物学の教科書だとここまでしか書いてないんだけど、問題は「つまり酵母は何をしたいのか?」というモチベーションなんですね。
酵母がやりたいことはただ1つ。「元気をゲットして、子孫繁栄したい」ということ。
ATPから発生するエネルギーを使って、どんどん子どもを産んでいきます(その数、マックスで24時間あたり一億倍以上!)。

何かを食べて、元気を出す。これが地球上のあまねく生物の基本。
僕たちも朝にナイスなご飯を食べて、一日を過ごす元気をゲットするわけです。

そして、ご飯食べたらトイレ行ったり、汗かいたりオナラしたりするでしょ。
これは何をしているかというと「摂取した物質を元気に変える過程で、いらなくなったものを捨てる」ということ。

では酵母発酵における「トイレ」は何かというと、真ん中の「エタノール(アルコール)」と「二酸化炭素(炭酸ガス)」です。

ビールで速攻わかる!発酵の基本原理

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酵母発酵の原理は、ビールを例に取ると速攻で理解できます。

ビールって、飲んだ時にシュワッとして爽やかじゃないですか。
この「シュワッ」は酵母のつくりだす二酸化炭素(ビールメーカーが炭酸を入れているわけじゃないのよ)。で、ビール飲むといい匂いして酔っぱらうでしょ。これがエタノール。

つまりね。
ビールってのは「酵母のオナラとおしっこを飲んで人間が酔っ払って喜んでる」ってことです。

地球上における生物の物質循環では、「誰かが捨てたゴミが、誰かにとっての宝物になる」という不思議な「鍵と鍵穴」があり、微生物と人間の世界のあいだのドアが開いた先にあるのが「発酵」なんですね。

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