硬直した朝廷の分裂と共感経済の台頭。豪族2.0の周辺地図

twitterでつぶやいたものをブログにまとめておきます。

こないだ編集者の鳥井くんが雑誌TURNSの取材でうちに来た時のおはなし。
「豪族2.0」のキーワード初出の僕のブログを読み返してみると「地方には豪族が出現し、都市部では領地を持たない海賊が台頭する」と書いてある。鳥井くんたちのようなメディアの存在は、海賊。みんな豪族を目指すわけじゃない。

・『豪族2.0』〜中央を離れ、理想のクニをつくる実力者が生まれる

現代を南北朝時代に見立ててみる

昨今のWEBメディア隆盛の流れは、明治期の模倣だと書いた
それと同じように、現代の時代の変動を南北朝時代に見立ててみるのが最近の僕の楽しみ。

鎌倉幕府が崩壊していくなかで、権力の分散化と地方化が起こっていく。そのなかで、後に天下統一を争う地方豪族が生まれる。
そしてこの時代が面白いのが、朝廷も南北に分裂するところなのさ。後醍醐天皇が都の南郊外に独立政権を打ちたて、半世紀に渡って「2つの正統権力」が並び立つことになる。

…と考えると。
大阪都構想は、まさに後醍醐天皇による南朝独立のシミュレーションなのであるよ。これにより朝廷=正当な国家権力は求心力を失い、膨大な人とモノと財が日本各地を移動し続けることになる。これが、地方豪族と海賊(山賊)の力を蓄え、安土桃山の下地となる。

豪族2.0の周辺には、海賊や神社仏閣がある

大阪都構想は個人的にはあまり有効な政策とは思えないが、「朝廷を混乱させ弱体化させる」という目的においては非常に機能的なのかもしれない。分裂した朝廷=国家権力を取り囲む地方豪族=実業家、そしてその間をネットワークしながら情報経済をつくる海賊=メディアという図式が実現しそうな気がする。

しかし実はこれで終わりではない。もう一つ重要なファクターがある。それは「神社仏閣」の進化系であるよ。これはコミュニティ形成と思想、そして外来文化の翻訳を司る。この神社仏閣の進化系は、なんとNPOなどの中間支援組織。筆頭は恐らくgreenzになるであろうと予測。

もっかい整理。


①レガシー化して分裂した朝廷=国家権力
②地方自治をハッキングした豪族2.0=実業家
③中央と地方をネットワーキングする海賊=メディア
④中立でありコミュニティ&思想を司る神社仏閣=NPO 


 

強制と共感のせめぎあいが起こる

それでは旧来の大企業はどうなるのか?という問題があるが、これは朝廷に併合され国家の機関の一部になる=財閥復活
つまり軍需産業やエネルギープラントなどのインフラ建設などが主な事業になる(消費者に向けてマーケティングしなくていいし)。

共感によって人民の理解を得る」という力を決定的に失った国家機関が、それでも経済規模を維持しようと思ったら当然軍事独裁の道を取る。理解を得られないので、強制をするしかないからだ。
同じく「共感によって売れるブランディング」ができなくなった大企業は国政による独裁の道を同じくする(消費者の都合を無視してモノを売れるから)それは結果的に権力の弱体化を招き、地方豪族に包囲される。

この時に朝廷が最も犯してはいけない失敗は「権力の分割」だ。権力の一元化を維持しない限りは内紛による自壊を避けることができない。しかしして、大阪都構想はこの「権力の分割」であり、政権与党はなんとかこれを阻止しなければいけない。しかし人民の過半はこれを望むであろうよ。それは「大阪都構想が実現したらいいことある」ではなく「分裂した都が国家権力を破綻させること」を直感で感じているから。

…とここまで考えてみて気づくのは、「強制による経済」と「共感による経済」のせめぎあいがすでに起き始めている、ということだ。民意に全く基づかないエネルギー政策や土木工事、あるいは税制改正により、国策はスターリン時代のソ連のような「軍事社会独裁制」の様相を強めていく(容易に信じられないかもしれないが、日本の統治システムは社会主義的な方向性に向かっていくのであるよ)。一方、東京を離れた地方からはクリエイティブで共感に基づいたプロダクトや自治の方法論が生まれていく。

これは「硬直化した朝廷を取り囲む豪族たち」という図式なのであるよ。
「地方創生」というワーディングは、この図式を成立させないための予防策だ。朝廷からお金をばらまくことで、独立経済を立ち上げることを防ぐ。いずれお金だけじゃなくて人材の天下りが行われ、地方自治の官僚化が企まれるだろうが、豪族がその天下り役人を懐柔した瞬間において、真の自治ハッキングが起こるよ、というのはまた別のおはなし。

 

【追記1】海賊の進化の展望は、おそらくヒラクの友人の俊英たちがいずれ語ってくれるような気がしております。僕もそのうち気が向いたら書く。

【追記2】神社仏閣の意義とgreenzの比叡山化については1/14のGreen Drinks Tokyoでお話しするかも(しないかもしれないが)。

【追記3】この内容はあくまで「見立て遊び」なので真面目に受け取らないでね。

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