また、涼しい風が吹いたので

▶︎ 読みもの,

ブログを更新しなくなった2020-2021年は、下北にお店がオープン、雑誌や新聞にいくつか連載を持っていたので、お店のwebサイトの記事や仕事としての文章書きに忙殺されていた。

もともと趣味でこのブログやツイッターに好き勝手文章を書いていた無名のヤツが、立派に物書きの仕事をするようになったということなので、良いことなのかもしれない。しかし、仕事で書くということは常にそこに目的と想定読者が設定されているということでもある。この枠の中でもがき続けること2年弱、自分の中のある部分が腐り始めているのを感じる。

去年末はほんとにボロボロで、「今年は負けだ!」と叫んで年を越したら、大熱を出して寝込んでしまった。数日間ひとりで布団のなかで震え続け、ある日朝起きてゴミ出しして家の前の山を眺めていたら、淀んでいたアタマに涼しい風が吹いた。一年半ぶりの心地よさだった。そうか、僕が欲しかったのは一陣の風だったのか。

ただただ自分のために、目的なく書く習慣を復活させないと、ただでさえおちょこの裏程度の僕の表現の泉が枯渇しそうな直感がある。ということで思いついた時に、日記形式で備忘録を書き留めておくことにする。物好きにもこの個人的な備忘録を目にした人は、何か面白い一節があればニヤリと一瞬笑ったあとに、何もなかった顔していつもの暮らしに戻って欲しい。

© 2023 All Rights Reserved