写真はNEUT MAGAZINEの銭湯対談の一コマ。

2019年を迎えました。

大掃除に夢中で年末恒例だったブログエントリーの振り返りを書く時間がなかった…!
ので、新年最初のエントリーにまとめることとします。2018年は例年にもまして寄稿やインタビュー記事も多かったので外部メディアのものもあわせて振り返るぜ。

2018年に書いた読み物系エントリー

今年は旅しすぎ&研究開発とかアニメ制作に時間を割いていたので読み物系エントリーの数は少なめ、といいつつまとめてみるとわりと書いてました。

・2018年は、前に進む自分を信じる年だ。
→これも毎年恒例。年始のエントリー。みんな自分を信じられたかい?

・感性の記憶。
→女子から「わかる〜!」と共感コメントが多数寄せられました。男女問わずこういうのってあるよね?

・ユニークであること、しなやかであること。生物のサバイバル条件について。
→2018年は生物学の基本を学び直した年でした。僕の専門の発酵も大きく括ると生物学のいちカテゴリーなので。

・マイクロバイオームとは何か。身体のなかの生物多様性
→毎年行っているハンガリーの学会でのホットトピックスについて概略まとめ。身体のなかの微生物世界は摩訶不思議すぎる…!

・独学者の不気味の谷。
→去年はかつてなく「素人でも本職の研究者でもない自分の立ち位置の謎さ」に悩んだ年でした。谷を抜けられるかどうかは、自分の研鑽にかかっているぜ。

・「いつもやる気」はありえない。価値の創造と運用のマネージメント。
→メディアアーティストの市原えつこさんからの相談のアンサーをブログにまとめました。まあ、いつもやる気100%の人生は疲れるよね。

・ラブという薬。功利的にならないことの功利性
→友人の精神科医、星野概念さんとその患者であるいとうせいこうさんの対談本がとても面白かったのでその書評。

・「そういう話もある」と「確かにそうなっている」のあいだ。
→インタビューで科学的な話すると記事確認の時の労力が大変すぎる問題について。これ書いて以降WEB媒体のインタビュー依頼は何かご縁がない限り断ることに。だって大変なんだもん。

・「まだやってたのかおじさん」になりたい。
→おじさんシリーズです。

・抽象性のサーカス。
→2018年の衝撃的な出会い、ALL YOURSの木村くんの紹介と、過剰すぎるヤツが集まったコミュニティについて。

・ハスラー・ギーク・ヒップスター。
→自分の職能の見限りと分業の大事さについて。このエントリーは秋のTWDW(働きかたの祭典)のイベント『プロデュースおじさん』に発展しました(いや、別にしてないな)。

・過去の自分は今の自分の地層を成している。おべんとう展がはじまったよ!
→発酵の専門家になったらなぜか美術展に出展することになった不思議さについて。絵描きを目指していた20歳の自分に読んでほしい。

・デザインとデザイノイド
→リチャード・ドーキンスの大好きな概念を自分なりに解釈しなおしてみた。

・僕は立ち向かう人ではなく、逃げてきた人だったのだ。
→夏に心が疲労骨折した時のエントリー。自分のルーツ忘れると心が死ぬ…!

・親戚のおじさんバイブス。
→他人の応援はエンターテイメントである!というお話。

・逃避としての読書。
現実に適応できないヤツのユートピアが読書である、というわかる人にはわかる読書観。地味に色んな人から感想コメントもらいました。

2018年にあったニュース

大きなプロジェクトがたくさんあった1年だったので、告知やレポート系のエントリーが充実していました。いやあ、よく働いたなあ…

・HAPPY&COZY!1万人が醸された『こうふはっこうマルシェ』レポート。

・『発酵文化人類学』一周年記念!3万部重版&フランス語版&続編ができるよ!

・35歳は、垣根を越えてチャレンジする年だ!

・おべんとうの国を旅しよう!アニメ『おべんとうDAYS』ができるまで

・微生物のはたらきを可視化するALIFE 2018ワークショップ

・【ヒカリエ47発酵】発酵から日本を再発見する旅、いよいよスタート!

2018年のメディア掲載ピックアップ!

今年も色んなメディアに取材してもらったり、寄稿の依頼をもらいました。
去年からの流れで今年も紙媒体や新聞、テレビやラジオなどいわゆるマスメディアに掲載される方向性に。

雑誌・紙媒体など


デザイナー時代から愛読している憧れの花椿の特集に登場しました。めちゃ光栄…!


・『発酵文化人類学』が雑誌ダ・ヴィンチ「ひとめ惚れ大賞」を受賞しました。


・ミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』発酵×経済号に全力で寄稿しました。


年始のdancyuの日本酒特集で、神楽坂の蒼穹で日本酒のペアリングについて寄稿しました。今年は日本酒関係の仕事けっこう多かったなあ…


これはDiscover Japanの京都特集。比叡山の星野リゾートで発酵ガストロノミーを食べる記事で登場しています。今年はDiscover Japanの皆様とご一緒する機会がたくさん。こないだ出た『風土を醸す酒』でも麹のコーナーで広島の酒類総合研究所の岩下先生と一緒に登場しています。


去年に引き続きBRUTUSにも。春の特集『おいしい魚が食べたくて。』ではくさややシュールストレミングスやホンオフェなどハードコア発酵魚を食べまくるページで登場。編集チーム一同くさやを焼く僕を遠巻きに冷たい目で見ていたよ…!ちなみに年末の『危険な読書』にもちょっとだけ登場。年末に山梨に来てくれた独立研究者の森田真生くんのインタビューの隣で発酵ブックガイドしてます。


自炊の参考に愛読していた料理通信の発酵特集でも大きく取り上げてもらいました。座談会やった青山のAn Diの料理は絶品。はよディナーしにいかねば…!編集部のみなさま、一緒に行きません?


中国の女性誌『健康 与 美容』にて中国メディアデビューしたようです。
「旅行家 兼 発酵設計士」が僕だそうですよ…!ちなみに来年『発酵文化人類学』の中国語版が出ます!


年末には女性誌のミセスにも寄稿しました。発酵目線で旅してみませんか?という魅惑の提案してみたよ。


週刊文春で高野秀行さんの驚愕本『辺境メシ』の出版記念対談をしたのも光栄の限り。
WEBでも読めますよ:なんでも食べちゃう2人が語る「ほんとうにスゴい辺境メシ」


あと地味に嬉しかったのが日本海新聞の『読書絵てがみ感想文コンクール』の課題図書に僕のはじめての本(&アニメ)『てまえみそのうた』が選ばれた記事。実は僕が過去に出した三冊の絵本は子供たちの夏休みの自由研究や感想文の推薦図書として役に立っているようなんです。『発酵文化人類学』から僕の活動を知った人は知らないかもしれませんが、僕の活動の出発点は親子向けの食育なんですね。

(最後に大きな声じゃ言えないんですが育児雑誌の老舗『母の友』で短期連載が始まってまってるんですよ…めちゃ恥ずかしい〜!)

文学・アート系が多かった2017年と比べると、2018年は自分の専門である発酵・食のことについての記事がメインでした。やっぱこっちが本分!な安心感があるぜ。

  ▶WEBマガジン


・紆余曲折な経歴を繋げる。発酵デザイナー小倉ヒラクの生きる知恵
『おべんとう展』の仕事でカルチャーマガジンのCINRAに取り上げてもらいました。『発酵文化人類学』でのブリコラージュ理論がさらに発展したデザイノイド的方法論をお話しました。僕のこれまでの経歴が総決算されたような素敵な記事に編集してもらいました。


・「人生の意味は考えなくていい」。現代のヒッピーが語る無計画な生き方のススメ|ALL YOURS木村のよりみち見聞録×小倉ヒラク
→2018年いちばんお気に入り記事はこのNEUT MAGAZINEでのALL YOURS木村くんとの対談。対談場所が銭湯、しかも今までメディア上では話してない「発酵デザイナーになる前の馬の骨時代」をしました。いやあ、あの時代はほんとにめちゃくちゃで楽しかったなあ…


・「現代人って実は暇?」山梨県で微生物と暮らす発酵デザイナー・小倉ヒラクさん
朝日新聞のWEBメディア&Wでのインタビュー。山の中で暮らすようになってからの価値観の変化について話しています。山梨に引っ越してから年々深まる「人間しかいない世界で生きるのはヒマ」という確信…!


・「人も菌も温度の波に適応して進化してきた」発酵から考える、身体の合理性
静岡のパッシブ住宅システムメーカー、OMソーラーの特設サイトで温度と生物の関係性について話しました。ディレクター平藤さん、編集チーム横石さん&だんごくんという超知り合いチームと和気あいあいと取材しました。ちなみに話終わったあとにみんなで草刈りしたよ。


・SOUQ ZINE INTERVIEW 小倉ヒラク
大阪のgraf服部さんに「大阪で遊ぼうよ!」と誘ってもらって、発酵デザイナーと縁の深い梅田の『みつか坊主』で大阪チームでワイワイ話したことが阪急百貨店のECサイトのインタビュー記事に。ほとんど飲み会だったんですけど、めちゃ濃い内容の記事になってる!全4回あるよ。

・第1回 発酵デザイナーと呼ばれて。
第2回 47の残していくべき文化
第3回 ニッポンの発酵、世界の発酵
第4回 カルチャーとしての発酵

▶テレビ・ラジオなど

今年はマスメディアにもよく出ました。春にはJ-WAVE日曜レイチェルさんのラジオ番組、秋にはJFNの篠原ともえさんのラジオ番組、年末にはJ-WAVE日曜V6の岡田准一さんのラジオ番組の収録がありました(この番組の公開は年明け)。


・リンクから放送聞けます:日本カワイイ計画。 with みんなの経済新聞

とりわけ反響が大きかったのが、12月のNHKの生放送『ごごナマ』。NHKの敏腕ディレクター中山さんによってめちゃ濃い内容の番組になりました。放送前からメールやメッセンジャーでの連絡が止まらず、甲子園出た高校球児ってこんな感じなの〜!?とビックリ。

取材に来てくれたメディアの皆さま、どうもありがとうございました〜!

2018年のイベント色々

だ…だんだん疲れてきた。2018年も色々あったぜ(しかもここに載せてない記事とか媒体もいっぱいある。全部アーカイブできなくてすまない)

2018年は『発酵文化人類学』の出版ツアーやってた2017年ほどでないにしろ、まあまあ色んなイベントがありました。以下ざっくり時系列で、


2月の岩手県、西和賀の発酵ツーリズム。納豆を雪に埋めてワイワイしました。冬の発酵の醍醐味は西和賀にあり…!

・小倉ヒラクさんと発酵のミラクルをめぐる旅へ | colocal


3月は過酷すぎて参加者が次々とお漏らししてしまった道東誘致大作戦で魂抜けた…!
(幸運なことに漏らしはしなかった)

同じく3月はホーム山梨で『こうふはっこうマルシェ』。全国から発酵仲間が集いました。


4月には京都の恵文社でミシマ社企画のイベントで藤本さんと三島さんと。このイベントがきっかけでみんなで秋田の発酵ツーリズムへ。その模様が雑誌『ちゃぶ台』の特集に。


5月には愛知の澤田酒造の170周年記念イベントでの講演会。盛り上がった…!


6月は毎年恒例ハンガリーの国際プロバイオティクス学会。三年目、ついにちゃんとした研究者として扱ってもらえるようになりました。嬉
写真はオーガナイザーのペーターさん(右)とブダペストでアイス食べるの図。


7月は長野県諏訪の銘酒、真澄に講演会に呼んでもらいました。蔵見学のあと杜氏とのトークセッションは最高に楽しかった…!


夏は上野都美術展『おべんとう展』でダンスワークショップ。盟友flep funce!と親子でダンスワークショップを何セットやったんだっけ…?踊りすぎでちょっと筋肉痛に。


夏のもうひとつの大仕事。お台場未来科学館でのALIFEのキッズワークショップ。学会もめちゃくちゃ楽しかった〜!!!


9月からいよいよ47都道府県の発酵ツーリズムがスタート。愛知県岡崎の八丁味噌イベントは会場が異様な興奮に包まれた時間に。ここでの話が、後日GI制度の問題点を問う記事としてBAMPで公開されました。

・「八丁味噌」は誰のもの? 老舗味噌メーカーを翻弄する政策のひずみ


ALIFEからのスピンアウト企画、イギリスの複雑系研究者のAlexandraさんとのフィールドワーク。デザイン&ビジネスのキュレーターの安西さんとのご縁でイタリアミラノチームも合流。渋谷の街を歩いて微生物を捕獲してきました。


10月には国際交流基金アジアセンター企画の『Innovation City Forum』のアジアセッション。アジアの色んな分野の専門家たちと話が尽きなかった…!事務局の皆さま、続きをまたタイとかインドネシアとかでやりません?
(映画監督のトラン・アン・ユンさんに会えたのが嬉しかったぜ)

・国際フォーラム「Innovative City Forum 2018 アジアセンターセッション」開催レポート


同じく10月は馴染みの醸造家の旦那たち(新政の古関さん、寺田本家の優さん、ヤマロク醤油の山本さん、五味醤油の若旦那)と神戸とトークイベント。飛び入りゲストの譽國光の元気くんの話が最高だったな…!


今年は何かとイタリアと縁のある年。ローマの微生物学者Vincenzoさんのお誘いで共同技術開発をスタート。合間に日本酒のテイスティングイベントをやって大盛況でした。うれしー!


『おべんとう展』で一緒だったマライエ・フォーゲルさんから声かけてもらって、オランダ・アイントホーフェンのDutch Design Weekでプレゼンしてきました。今年はスケジュール的に無理だったけど、来年はちゃんと展示するぞー!


11月。今年で三年目となった『プロデュースおじさん』@Tokyo Work Design Week。例によって何もハックできない与太話をクラシコム青木おじさん、greenzおのっちおじさんと繰り広げました(また来年ログミーの書き起こし出るよ)。


2018年最後のイベントは、渋谷ヒカリエでの『47都道府県の発酵ツーリズム出発進行式!』。来年の展覧会に向けて100名で「出発進行〜!」と気合を入れました。


・47都道府県の知られざる発酵食品が大集合!発酵から日本を再発見する展覧会を開催!

ということで、来年は絶対このイベントを成功させるぞ!クラウドファンディングもどうぞよろしくおねがいします。

レギュラー仕事&連載

最後にレギュラー仕事振り返り。


ひたすらマイペースに更新し続けるアマノ食堂の連載、ついに4年目を迎えました(ただいま55回目)。ソトコトの『発酵文化人類学』の連載と並んで全然終わる気配のないご長寿コンテンツになりつつある…!で今年いちばんのお気に入り記事はこれ!

・全国の日本酒ファンに告ぐ! 夏こそ熱燗が最高な理由。| アマノ食堂

今年はミシマ社の連載も。発酵を軸にこれからのサバイバルライフを考える内容なのですが、毎回七転八倒して書いてました。なかでも一番悩み抜いて書いたのがこの回。

・全体性を信じて世界をつくる。発酵が生み出すローカルの可能性 | みんなのミシマガジン

2017年に出版ツアーをやるためにお休みしていた『発酵デザイナーのこうじづくり講座』を復活。場所を東京から甲府の五味醤油に移しました。毎回全国から発酵好きが山梨に来てくれてほんとに嬉しいぜ…!

こちらも四年目を迎えたYBS山梨のラジオ番組『発酵兄妹のCOZY TALK』。2018年も愉快なゲストがたくさん登場してくれました。写真は年内最後の収録。ゲストは左から情報学者のドミニク・チェンさん、独立研究者の森田真生さん、ミシマ社の三島さん。こちらも目指せ長寿番組〜!!

2019年はブログ更新がんばるぞ!

ということで。一年中大忙しだった2018年。
心残りだったのは、家でゆっくり考え事する時間が全然なくてブログあんまり更新できなかったこと(特に後半)。

いつも言ってることですけど、僕にとってブログは「考えの整理整頓」あるいは「思考の素振り」。普段見たり感じたりすることをそのままにしておくとどんどんアタマが散らかっていくので、ブログという引き出しに整理してしまって「はいこれでスッキリ!」という状態にしないと精神衛生がバッドになっていくんだよ…!

なので来年はなるべく寄稿とかインタビューとかイベント出演減らして自分自身に言いたいことを自分自身の場所で言うことにします。

今年も思考の素振りしていくぜ!