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編集は、面白いを「つくる」仕事。

週末に大学生向けイベント『Q学のススメ』で家入一真さんと対談で話したことのメモ。
学生のみんなからの質問のなかで、

「私はローカルメディアの編集を仕事にしていきたいんですが、どうやったら面白い人とつながれますか?」

というものがありました。ここには編集とは、面白いとは何か?という問いを立てるのに良いサンプルなのでちょっと掘り下げてみよう。

そもそも。「面白い」は誰がつくるのか?という問題。「面白い」は「水が冷たい」とか「海が青い」とか物理的にプロパティが決まっているわけではなく、人の判断によってバーチャルにつくられているわけです。つまり「面白い」は人によってつくられる。

では「面白い」をつくる人は誰かというと、それがまさに編集者なんだね。
才能を持った個人や、ユニークな場所やものごとの魅力を発見し、可視化し、みんなに紹介する。編集者は面白いを「つくる」仕事。

だからさ。編集を志す人が「どうやって面白い人とつながれますか?」と口にするのはパン屋さんになりたい人が「どこから美味しいパン仕入れてきたらいいですか?」というのに近い。
すでにメディアがつくった面白さを仕入れる発想をしているうちは良い編集者にはなれない。まずはパン種育てるところから始めねば。

僕の知人でいうと、ジモコロ編集長の柿次郎さんやのんびり編集長の藤本さん、スペクテイターの青野さんたちはほれぼれするほどの「面白さの目利き」なんですね。

「面白い人とつながるためには自分が面白い人であらねば」という話もあるけど、良い編集者を見ていると必ずしも面白く振る舞える芸人のような人である必要はない。「面白くあること」よりも「面白さを深く理解していること」が大事だったりする。もっと言えば人や場所やものごとの面白さを見出して誰かに紹介できる言語化能力やコーディネート力が「編集者的タレント」なんだね。

面白さを見出し、可視化し、つくりだす。面白さのパン焼くためには、まずは種を育てるところから。

・世の中には二通りの人間がいる。「一流」を見つける者と待ち続ける者だ

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