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抽象性のサーカス。

さいきん仲良くなった友人にALL YOURSというアパレルブランドをやっている木村くんというナイスガイがいる。彼は思考力も行動力も過剰な「止むに止まれぬ理由でなんでもやりすぎてしまう系譜」に生きる男なんだね。

・木村くんゲスト回のラジオ『発酵兄妹のCOZY TALK』はこちらから。

世間には木村くんのように自分の言うこととやること一切に着地と答えを探さずにはいれない苦行に励むレア人間が一定の割合で存在している。

世間で流通している友人関係や仕事でのコミュニケーションって「ふわっとしている」ものが大半。

「◯◯さんって良い人だよね」

という世間話から、

「直近の事業課題は△△で〜」

というビジネストークまで、よく考えてみれば「良さって何?」「直近っていつからのこと?」という掘り下げなしになんとなく「そうだよね〜」という空気感で処理されている。

ところがたまに「そうだよね〜」と空気に流されるのが苦手なヤツがいて、そいつは「何それどういうこと?」としつこく問わずにいられない。しかもその突っ込みは他人だけでなく絶えず自分自身にも向けられる。結果そいつが言うことやることから「ふわっと感」が排除されることになる。

この強度が日常にドロップされると過剰感になる。

言葉や行動に強度を求めずにはいられない気質の人は、ふんわりした日常のコミュニケーションの場で自分の過剰さが浮き上がってしまう。それに耐えきれず自分の過剰さを相対化するために過剰な人種とつるみだすと、過剰な人間で構成される過剰なコミュニティが形成され、よりハードコアに世間から浮き上がっていく。

ご存知だろうか?
世の中には「ニッチな趣味でつながるサークル」が数多あるのだけれど(鉄道とか蘭とか)。それと同じ熱狂度で「抑えきれない過剰さでつながるサークル」が存在している。

このサークルが集うお茶会や飲み会は常人には理解できない強度で定義された概念がバンバン飛び交う抽象性のサーカスになるんだよ。

現実世界から抽出された概念を華麗にジャグリングし、社会を構造的に分析することで走り出す「仮説という名の馬」を乗りこなし、つながるはずのない事象を形而上学的次元で接合させるアクロバティックを「ブラボー!」と愛でるのが「抽象性のサーカス」。このサーカスは過剰界の住人以外には見ることができない。

 

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