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同時代を生きる。文化はコレクティブに織り合わされる。

出版ツアーの合間に、愛知県蒲郡で開催されている野外フェス『森、道、市場』に参加してきた。

愛知のみやもと糀店や澤田酒造、三河みりんやりんねしゃをはじめ、千葉の寺田本家や滋賀の富田酒造、発酵研究家のなかじさんなど全国の醸造家が乗り合いで出店している『発酵居酒屋』のお手伝い(普通に遊びにいく感じでいたら店が繁盛しすぎで普通にバイトしてました汗)。

合間に会場を散歩していたら、100メートル歩かないうちに全国の知り合い達に遭遇。
去年末に博多で一緒にイベントをやった畠山千春&makumoの糸島チームや、取材に来ていたジモコロチーム、奈良に引っ越した植物研究家の塩津くんや京都の似顔絵描きの笑達くん、鶴岡のプロジェクトでお世話になったつむぎやのマツーラさん、香川の仏生山で本のキュレーションやっている川上さんや諏訪のリビルディングセンターチーム、飛騨の白石くんやものすごい鯖の堀田くん、大阪のgrafチームやfoodscape!の堀田さん、萩のゲストハウスrucoの塩満くん、僕のラジオ番組にもゲストで出てくれた八百屋のミコト屋さん、やまくにのいりこのおじちゃん等など、日本半周したくらいの友人たちと挨拶してだいぶハッピーになったぜ。

「何なの?オレって顔広いぜ自慢?」

いやいやそうじゃなくて。
この森道というイベントは、全国で頑張っている「同じ時代を共有している仲間たち」が集まる場になっているんだね。

イベントの合間に千春ちゃんやリビセンのカナコちゃん、塩津くんのブースに寄って「狩猟とかリノベーションとか植物とか微生物とか、やっているジャンルはバラバラだけど、同じ時代の、同じような世界を見ているような感じがするよね」としみじみ話していました。

この「同時代を生きている感」は、僕にとってかつてなかった感覚だなぁ。
誰かがつくったトレンドに乗っかるつながりではなく、それぞれの地域やジャンルで地道に活動しながら、でも同じような方向を見て、同じような空気感や価値観を共有している。

うまく言えないんだけど、みんなで超デカいパズルのピースを一枚一枚埋めている感じ(通じる人はたぶんこれで通じる)。それぞれのピースのカタチや色が全然違うんだけど、そのピースが集まってくるとグランドピクチャーが見えてくる。

誰もその全体像を事前に把握してはいないんだけど、しかしそれぞれの活動を頑張っていればいずれその全体像が見えてくることだけは確信している。

この感覚がコレクティブな文化のつくりかたなんだろうね。

こないだドミニク・チェンさん企画のテレビ番組に出演した時に、共演の能楽師安田登さんがつぶやいたコメント。それぞれが「個」として自分の世界を突き詰めながら、同時代を生きる「群」として創発的に新しい世界をつくりだそうとしている。

「ホリスティック」という状態は、自分の脳みその中に無理やり全世界を押し込むことではない。その「窮屈な全世界」はアタマにもカラダにも良くない。
そうはなくて、自分の「個」を全うしてニッチに突き抜けまくった個性が糸となり、その糸が織り合わされて世界というホリスティックな織物ができあがる。織物の全体の柄をデザインするのは人ではなく時代だ。これが「同時代を生きる」ということ、「個人が集まって時代のムーブメントをつくる」ということの生態系なのだと思う。

『森、道、市場』はまさに個性という糸が織り合わされるナイスな場でした。また来年もみんなに会いに遊びに行きます。主催者の皆さま、ありがとう!
あと、発酵チームには大変お世話になりました。またすぐ会いましょう。

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