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京都は貴族の味、名古屋は武士の味、東京は商人の味。

出版ツアーで全国行脚をしまくった結果、だんだん日本列島における「味覚の地域性」を言語化できるようになってきました。
東北、北陸、甲信越、首都圏、東海、関西、中国山陰、九州、沖縄とそれぞれ「味の美意識」に多様性があり、僕の専門の発酵文化から見るとそれがよくわかる。

で。ちょっとわかりやすいモデル分けをしてみるとだな。
京都・名古屋・東京の三都は明確に味覚の基準値が違う。その違いは「誰がつくった味覚なのか」で説明できそうです。

京都は「貴族」が、名古屋は「武士」が、東京は「商人」が味覚の基準をつくった。
貴族の味は澄んでいて、武士の味は濃厚で、商人の味は軽くて粋。暮らしの違いが味に反映されるわけです。

さいきん通っている名古屋をはじめとする東海圏(愛知、岐阜、三重、静岡)は知られざる「濃厚旨味大国」。たまり醤油や八丁味噌、みりんなど旨味調味料のバリエーションがやたらいっぱいあり、ローカルの個性的な蔵が元気にものづくりをしています。
さらに日本酒も侮れない!(特に最近僕が気になるのは愛知県知多の澤田酒造)。関東でも関西でもない不思議な美意識と歴史が息づいているんですね。

なんなら東海エリアを「旨味の首都」と呼びたい…!
これからちょっと時間をかけて東海エリアを深掘りしたいと思います。

【追記】東海エリアと並んで気になっているのが沖縄本島をはじめとする南洋琉球エリア。泡盛や豆腐よう以外にも不思議な発酵食品がたくさんあります。こっちも深掘りしてえ…!

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