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二極化する20歳の世界観。早稲田大学で三年間講演をしてわかったこと。

こないだ母校早稲田に講演に行ってきた時の話。
文学部の宮崎薫教授のキャリア教育の一環として「就活しなくてもヘンな仕事してても楽しく生きているセンパイを見せたい」という謎のオーダーで年に一回の講演を三年間やっています。

保守的すぎる感想にビックリ!

毎回200名くらいの学生たちに発酵デザイナーの仕事を紹介するのですが学生の反応にビックリ。講演終了後に学生にアンケートを取ると、

「大学卒業したら安定した大企業に就職して、20代で結婚して子ども産んで主婦になる人生が当たり前だと思っていましたが、ヒラクさんのような生き方を見てビックリしました」

みたいな子が毎年2〜3割います。ていうか年々割合が増えている印象。どこの昭和だよ!?
あるいは、

「ヒラクさんのような生き方は才能がある人だからできることであって、私もやりたい事があるのですが自分は才能がないのであきらめます」

ろいうコメントも散見されます。
20歳ぐらいで自分に才能あるかどうかなんてわからないから!もしわかったとしたらそれはそれでオマエ才能あるから!

というように、講演後に返ってきたアンケートの半分強が「昭和すぎる保守」あるいは「まだ始まってもいないのに諦めている」という状態で、残り3割弱が「ぼんやりした感想」、残り1割が「逆ギレ」で、最後の一割が「私もやりたいこと頑張ります!」という元気なりアクションです。この比率は三年間ほぼ同じ。講演を終えた後に、

「なあんだ、発酵デザイナーとか言って面白そうなことしてるかと思いきや、ずいぶんアナクロなことやってますねえ。僕たちの時代はもっと先端を行っているんですよ」

的なリアクションもらったらセンパイとして恥ずかしい〜!とビクビクしていたんだけど、現実はその逆。なんでこんなに昭和なの?

二極化する20歳のビジョン

コンサバな世界観で生きている子たちがいる一方、僕の出演するバイオ/ソーシャル系のイベントには、

「高校生です!自宅で細胞培養してまっす!将来はバイオベンチャーやります!」

みたいな超元気な子も来てくれます。
考えて見るに、現代は「あんまり将来に期待してない子」と「自分の手で未来をかえられる実感のある子」の二極化が激しい時代なのかしら。

安定を求めて昭和な人生ルートを選ぶことに疑問を持たず、まだ見ぬ自分の才能を半ば諦めている…という20歳の子たちは感性がないわけでははなくて。実は鋭敏な感性で「現実を直視したらアタマがおかしくなりそうだから過ぎ去ったはずの時代が永遠に続くことにしておこう」と自分に言い聞かせている。
うっかりその鋭敏な感性のセンサーを使って「これから来るべき日本の未来」を覗いてしまうことを恐れているのでしょうか?だからそのセンサーが誤作動しないように、過去のファンタジーで自衛している
そういうふうにでも仮定しないとこの三年間にもらった彼らからのメッセージが理解できません。

いっぽうで「来るべき未来」を普通より広く柔軟に見ることのできる子たちは自分の可能性に可能性を見出すことができる。自分のやりたい事、才能を信じることができれば国境や文化を超えて新しい情報やネットワークを使って自分のフィールドをつくることができる。こうして極端な二極化が起こる。
まあまあ自分のことを信じていて、まあまあちょっと先の現実を考えて、でも基本的にはぼんやりしているというどっちつかずの真ん中の子はどんどんレアになっていく。

と仮定してみると、これはもう今までのサラリーマン文化が崩壊してものすごく流動的な社会がやってくるのでしょうか。

二年間打ちのめされてきたので、三年目は作戦を練りました。
終始一貫して「アナタたちの感性は正しい!」「自分では信じてないけど才能めっちゃ眠っている!」と120%全肯定しながら話を進めていくと最後にちょっとだけみんなの顔が明るくなったよう気がしました。

彼らの言葉にならない顔つきや態度はその次代を映し出すメタメッセージ。
そう。20歳の直感はいつだって正しい。たぶん。

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