▶発酵文化人類学, ▷調味料を極める

一軒の味噌屋からミラクルは起こる!


こんばんは、寒いですね!ヒラクです。

さてさて。twitterやfacebookで盛り上がっている(主に++周辺界隈)、「お味噌」ネタ。足掛け3年(もっとかも)に及ぶあれやこれやの活動の芽が、いよいよ育ってきました。

まずは、年始年末から無印良品のセレクトショップ「FOUND MUJI」でヒラクがブランディング(及び家族付き合い)を続けている五味醤油さんの「甲州やまごみそ」の取り扱いが始まりました。明治から続く老舗とはいえ、家族経営の小さなお味噌屋さんです。これはすごい快挙。

全国各地のFOUND MUJIに置いてあります。
見かけたらぜひ買って下さいね(と言って本当にみんな買ってしまうと、速攻で在庫がなくなってしまうのだけど。生産量に限りがあるからね)。

そして、今や「味噌界のプリンス a.k.a みそ王子」となった五味醤油の若旦那五味仁さんやシンガーの森ゆにちゃんたちとつくったアニメ「手前みそのうた」が1月21日、夜9時放映のNHK「きょうの料理」に登場!また後日あれやこれやと制作秘話をお伝えしますが、手前みそと同じく手づくりアニメの大快挙!です。

さらに!3月には、青山の某イケてるセレクトショップで、寺田本家と五味醤油の若旦那と一緒に「秘密発酵会議(仮)」も開催予定。このところ急速に「手前味噌ムーブメント」が起こって来ています。

五味醤油さんとの仕事は、ヒラクにとっては独立してから一番最初の仕事。
駆け出しのデザイナーを温かく励まして、育ててもらった恩人です(クライアントなのに、母屋に累計50回くらい泊めてもらっているし)。3年前から今を振り返ってみると、僕はこの仕事で今の方法論をほぼ全部作ったんじゃないかと思うほど、色んなことを試行錯誤させてもらいました。

五味醤油のお母さんのまーこさんから「デザインやってもらえる?」と声をかけてからまず最初に始めたのが、「そもそも甲州味噌って何ぞや」のリサーチ。

江戸時代以前から伝わる山梨独特のお味噌なのですが、文献も見つからなければ歴史を語れる人とも出会えない。
そもそも当時は「甲州味噌」というカテゴリーが地元の人に認識されていなくて「ただの味噌」だと思われていました。
そこから、地元の郷土史家さんや郷土料理研究家、新聞記者を集めての研究会(という名の飲み会)を何度も開き、少しづつ「甲州味噌」の歴史を地元の人たちと紐解いていきました。

色々調べた結果、麦と米のこうじをブレンドして仕込む甲州味噌が、全国にも類を見ない味噌であることが発覚。
五味の若旦那の母校、東京農大の保坂教授にも手伝ってもらって「甲州味噌」という新たなカテゴリーを確立しました。
若旦那の手前みそワークショップ巡業や甲州発酵物産展、地元の新聞社やテレビ局の協力の甲斐もあって、地元の人たちに「おお、これは普通の味噌ではないんだ」という認識が少しづつ広がっていきました。

さらに、有機農業の盛んな山梨県北社市のスーパー市役所マン浅川祐介さんと出会い、「甲州味噌」を題材に、お米や麦、大豆などの「食物自給」と「地産地消」を子供たちに伝える市の教育プログラム「見つめよう食の原点」と合流。
なんと「お味噌」から始まる食育が始まってしまったのです。

本当にゆっくりですが、「甲州味噌」が山梨に住む人たちの「宝物」になりつつあるのを感じています。

たかが味噌、されど味噌。
甲州味噌は、お米と大麦と大豆という「田んぼでとれる三種の神器」に、東アジア特有の発酵醸造文化がかけあわされた、「日本食の原点」なのです(とか偉そうに書くけど、僕自身もプロジェクトをやりながら事後的に発見しました)。

昔からある「ごく身近なもの」から本質が浮き彫りになり、その価値が育ってゆく〜
僕がデザインという職能を使って追い求めていることは、正にそういうものです。

「はるか昔まで文化を遡及することができる記憶装置」あるいは、「その土地の共同体を、その共同体たらしめている共通基盤」。小さな家族経営のお味噌屋さんが作っているのは、そういうかけがえのないものです。

僕は、黙々と継承されてきた小さな営みから、はるか彼方まで続く歴史と文化を掘り起こしていきたい。そして、それが必ずや未来の僕たちの幸せを保証する、大きな価値をもたらすのだと信じています。

五味兄さん、まーこさん、トモちゃん、洋ちゃん、お父さん、文ちゃん、めでたいですね。
タロくん、大きくなったら頑張って醤油も復活させてね。
ヒラクは五味家の一族繁栄を願っておりますよ。

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