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はたらくとは、自分の手で現実をつくり出すこと。はたらくカタチ研究島でみんなに伝えたことまとめ

先週末、淡路はたらくカタチ研究島のクロージングイベントでお話ししたことを改めてブログにまとめておきます(←言い足りなかったことを加筆しておきました)。

はたらくとは、自分の手で現実をつくり出すこと

最近片付けをしていたら、大学時代の写真が出てきました。
思い返せば、大学時代の頃の僕は世の中の批判ばっかりしていたクソ野郎だったわけで。

社会に出てから10年ちょっと経つわけですが、僕の何が変わったかというと、批判を言わなくなりました。世の中に対して、文句を言わなくなった。

それはなぜか。
社会に出てはたらくことで「自分の手で現実をつくり出すこと」ができるようになってきたからのです。

仕事をすると、ある目的のためにお金やアイデアやモノを運用して、人に何かを伝え、動かしていくわけです。その行為を通して、自分の影響力の及ぶ範囲の現実が変わっていく。

そう考えると、ビジネススキルというのはお金を稼ぐ能力であることに留まらず、現実を変えるための技術であると言えます。
お金を得たかどうかは、現実を変えるという行為の結果であって、自分の及ぼす影響の範囲を判定するための1つのものさしのようなものです。

僕が講座を通して淡路のみんなにずっと言い続けてきたのは「自分の手で現実をつくれ」ということです。どんなに小さな範囲でもよいから、絶対にそこから逃げちゃダメだということ。

デザインやビジネスの知識や技術は、自分の望む世界を自分で築きあげるという、強い意思を持たないと何の意味も無いのです。

例えば。末澤さんは塩、勉ちゃんは馬、そして僕は微生物というテーマで仕事をつくる。仕事自体のテーマは限定的でも、その仕事を進めていくうえでお金とモノと人を動かしていくと、いつの間にか自分の仕事が社会を動かす原動力になっていきます。

自分の好きな仕事をする、というのは趣味ではなくて。
情熱を持って取り組む仕事のプロセスそのものが、なにか普遍的な影響力を社会に対して発揮していくものなのです。

なくなっていく状況だからこそ、つくれるものがある

「そんなこと言ったって、ヒラク君の話は理想論じゃないか」

と言われたら、それはその通りだと思います。
でも、この淡路島のような地域で仕事をするためには、理想が必要なのです。

自分の望む現実を作れなかったら、世界や日本の大きな現実の流れに翻弄されたままで人生を過ごすことになります。

大都会だったら「大きな仕組みに追随することであずかる余沢」によって生きていくことはできるかもしれません。しかし、今までの仕組みが消えていく一方の地域では、それはできない。何も自分を守ってくれるものがないなかで、現実を作っていくしかない。

それは絶望的な状況に思えるかもしれませんが、見方を変えれば「仕組み自体を自分でつくることができる」ということです。
今まで行政や大きな企業が担ってきたインフラを、自分のやりかたでデザインし直せる可能性があるということです。

人口が何人増えたとか、経済成長したとか、観光客が増えたとか、そんな指標は僕たちには関係ありません。僕たちが自分の手で、どれだけの「小さな現実」をつくり出すことができたか、ということが僕たちにとっての地域の豊かさを規定するのだと僕は思うのです。

みんながそれぞれの思うような世界をつくり、それがいっぱい集まって結果的に生まれるものが「地域の多様性」であって、それは「多様性のある社会をつくりましょう」という上からの呼びかけで作られるものではない。

なくなっていくからこそ、新しくつくれるものがあると思っています。小さな個人から始まるからこそ、変えられるものがあると思っています。

これからの淡路のみんなの行く先を、楽しみにしています。春が来たらまた会いましょう。

 

 

【追記1】僕は2015年11月〜12月につながりを活かした商品開発研修で講師を務めました。一方的に何かを教える、というのがキライなので、みんながやろうと思っている事業を持ち寄って、それをひたすらビジネスにできるように知恵を絞るという「熱血合宿」を敢行。爆笑あり涙ありの楽しい二ヶ月間でした。

【追記2】今回やってみて思ったのは、僕あまりにも受講者にコミットしすぎてしまうので、講師に向いてないなということ。ということで、当面デザインや事業に関わる講座はやりません(←才能ないし)。

【追記3】これからも淡路島のみんなと関わりを続けていきたいと思います。スタッフの皆さま、スーパーバイザーの江副さん、服部さん、素晴らしいご縁をどうもありがとうございました。感謝。

【追記4】この話のさらにその先が気になる方は、このgreenzの記事をどうぞ。
キーワードは”豪族2.0″! これからは一旗あげるために地方へ行く。発酵デザイナー・小倉ヒラクさんが考える、今とこれからの日本のカタチ

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