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【5×5×5FES】青木耕平(北欧、暮らしの道具店)の推薦文

推薦者二人目は、ECサイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコム代表、青木耕平さん。「あんなお洒落なサイトをやっているなんて、さぞかし…」と思って会ってみると、予想の遥か斜め上を行く「THE 経営者」な青木さん。
はじめて会った時は、挨拶してから自己紹介無しで経営の話、社会の話、哲学の話…と話題が尽きることなく、気がついたら5時間しゃべりっぱなし。とんでもなく広い引き出しと思考体力を兼ね備えた偉大な先輩です。
青木さんからは、「物事を俯瞰で捉える」「真の合理性を問う」「長期で粘り強く考えぬく」という、事業家としての大事なことをたくさん教わりました。

青木さんを深く知ると、「理を通す」ことと「情を尽くす」ことの二つは矛盾するものではなく、社会の中で理想を全うするために必要な両翼であることがわかります。
未来の時代の「あるべきスタンダード」は、合理的であると同時にアツい理想は、青木さん達のような組織から生まれるのでしょう。

それでは青木さんの推薦文をどうぞ。

▶2014/05/04 知的基礎体力。ものごとを続けるために必要な力。
ヒラク君と僕が最初に出会った時に書いてくれた記事ですね。
僕はヒラク君とは何のつながりもなかったのですが、ブログを知る機会があり、しばらく近所に面白いやついるなーと楽しくブログを読んでいて、読んでるうちに勝手にシンパシーを感じて連絡して会いに行きました。

自己紹介もそこそこにものすごい本質的な議論が始まり、数時間ワーワー喋って楽しい時間でしたね。それから彼は僕の大事な友達になりました。

▶2014/04/22 浮上するためには、じっと潜って待つ。
若く、表現や人との関係性を作るのが上手な人は、反面潜って時を待ったり、力を貯めたりということが苦手だったりすることがあります。僕がヒラク君とよく話すのは55歳とか60歳にピークが来るイメージで今何をするべきかを考えたいよねということ。ぜひこれからもお互い、潜る勇気、じっと待つ勇気を持っていたいですね。

▶2014/03/08 アートディレクターは、経営するひとの心象風景に立ち会う。
彼の指摘通り僕を含めた経営者の周りには定量的なデータを元に考える「科学者」は多くいるのですが、定性的な事象からロジカルな思推によって真理にたどり着こうとする「哲学者」が不足しているのです。彼はそれを「感性」と表現しましたが、僕は実際には「ロジカル」でありつつ、「定性的」アプローチであるということだと考えています。技術の発展とともに測定できるものが増え「定量的」に捉えられる分野が増えたわけですが「定量性」を土台にする科学の弱点は答えが一つに収斂して、みんなが科学的に考えていると同一市場で同一行動を取るプレイヤーが増えてしまうということです。経営者は薄々そのことに気づきつつあるわけですが、何が欠けているかを言語化できていないことが多い。そんな中で現代の「哲学者」の役割である「定性的」な事象から「論理的」に答えを探すという仕事を担う人たちが、もともと仕事上そういう訓練をしてきた「アートディレクター」「コピーライター」「建築家」といった人たちの中から現れたことは自然なんだと思います。ヒラク君はこの「哲学者」としての素養があり、僕が彼と話していて楽しいのは「定性的」な具象から、論理を積み上げていくとそれまで把握しきれなかった抽象的本質に手が届きそうになることです。

▶2015/04/02「面白いヤツ」のニーズが高まると、社員の概念が変わる【前半】
▶2015/04/03「面白いヤツ」のニーズが高まると、社員の概念が変わる【後半】
まさに「松浦弥太郎氏のクックパッド移籍」という定性的な具象から、次世代の企業と人の関わりあい方のコンセプトという抽象的本質に迫る記事だと思います。最近では一番面白かったです。
ヒラク君のブログは彼の人懐っこいキャラクターと、哲学的思考体力というなかなか通常並列しない資質が生み出す稀有なコンテンツだと思います。僕もこれからも楽しみに読みますし、あるタイプの人にはぜひオススメしたいメディアだと思います。


青木耕平(あおきこうへい):2006年9月、実妹と株式会社クラシコムを共同創業。2007年9月に同社新規事業として北欧雑貨専門のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開業。現在に至る。


 

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