発酵デパートメントが海外から認知されるようになり、東海三県を舞台にした発酵ツーリズムが12万人の参加者を記録したこともあるのか、知合いの会社、知らない会社双方から定期的に「コンサル/顧問やってくれませんか?」というオファーがくる。
大変ありがたいことだが、正直ちょっと難しいな…と思って色良い返事をしていない。
なぜなら!僕!!ちっちゃな事業一つ七転八倒しながら経営している程度の微弱ビジネス力!!!
よそ様の経営の課題を解決できるような知見は正直ない。身の程わきまえずやって、お互い気まずくなりたくない。それが本音。
しかし最近、小倉ヒラクという脆弱な「個人」ではなく、発酵デパートメントという「場」を主語にしたら、メーカーはじめ自治体などのみなさまにメリットのあるBtoBのサービスをつくれるのではないか、と思い始めてきた。
イメージは酒母室。
発酵デパートメントは国内、国外問わず熱烈な発酵ファンが多くやってくる。
そんな発酵ファンのみなさまの声を聴きながら(ふだん僕たちが売り場づくりでやっていること)、時代のニーズに合った、そして地域の農業やコミュニティを活性化させていくようなプロダクトやサービスを醸していく。そしてそこでモコモコ発酵した酛(もと)が、発酵デパートメントという小さなお店から多店舗展開している大きなスーパーや百貨店という大きな容器に移されてより発展的に育っていく。
ちょっと前から発酵デパートメントは大手の高級スーパーや百貨店のMDの参考にされていることを知った。最初は「えっ?」と心がざわついたが、醸造メーカーの立場に立ってみると、これは良いことなのだ。僕たちはいわば「インディーライブハウス」。アーティスト=醸造メーカーはここで人気になったら、メジャーへの道が開ける。事実発酵デパートメントでデビューして、全国規模の取扱になった商品がいくつもある。
発酵界の登竜門。
2020年にオープンしてからの数年間で、僕たちはそういう存在になった。
だとしたら、僕たちはもうその状況を受け入れて、より大きな販路に橋渡しする役割として何ができるかを考えたほうがいい。
でなんとなく考えているサービスに戻るとだな。
発酵デパートメントという場を使って、作り手の「こうだったらいいな」と受け手の「こういうのあったらいいな」をかき混ぜて、美味しく発酵させて、双方がハッピーになるような場を設ける。
コンサルでも、顧問でも、制作受託でもない関係のつくりかた。酒母を育てるように、答えを出すのでも代わりに作るのでもない、一緒に酛を育てる関係。
たぶん今の僕たちなら、できる。
オファーに対して「コンサルとか顧問じゃなくて、こういうのありますよ」と言える。
自分たちらしく、無理に己を大きく見せることをせず、異なる立場の人たちがそれぞれ嬉しくなる、酒母がモコモコ発酵する場をつくる。
自然に、楽しく、役にたつ。これが僕のモットーじゃ。
Published by