新著『僕たちは伝統とどう生きるか』を書くなかで、アリストテレスの「哲学者」としての側面に深く触れた(これまでは生物学の大先輩として見ていた)。
私見ではあるが、アリストテレスが最も大事にしていたのはプラトン的な「真理」ではなく「善」であった。真理は一つだが、善は人によって無数にある。真理はベストで、善はベターの積み重ね。積み重ねていつかベスト(最高善)にたどり着ければ幸いだが、しかしアリストテレスにおいて最も尊いことは、ベストにまでたどり着く「プロセス」そのものなのである。
数ある哲学の定義を、アリストテレス的な「善く生きるためのプロセスの積み重ね」とするならば、僕が興した発酵デパートメントの事業はまさに哲学そのものだ。
発酵を通して、より善く生きるための実践を重ねていく。
先人たちの実践の系譜を「歴史」として解釈し、過去を否定しない。先人の否定もよっぽど極悪非道でなければ肯定し、自分のこれまでも否定しない。まず肯定から始める。プロセスを信じる。
「これがホンモノ」というベストを置かず、その時代、その場所でのベターを吟味していく。
吟味のプロセスのなかで、思考は停止せずアップデートされ続ける。
発酵は「善く生きる」を実践するテーマであり、その具体的な舞台として発酵デパートメントがある。探求と実践の往復。これがアリストテレスから教わった、僕なりの「哲学」なのだ。
発酵デパートメントは哲学ドリブンの事業。
「あのお店、哲学強めだよね…」とぜひ揶揄されたい。
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