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発酵する文学。神楽坂かもめブックスにて『日本発酵紀行』展開催中!

スゴい…スゴいよ…僕の本って「文学」だったんだ…!

8/13から9/1まで、神楽坂かもめブックスのギャラリーにて、僕の新著『日本発酵紀行』の展覧会が開催されています。


本屋さんの奥のギャラリースペース ondo にて展示中

今回の展覧会は、僕の出版ツアーの特別企画。
書店員の前田さんがキュレーションしてくれた超スペシャルな展示なのです。


写真左が前田さん。右が山梨にもよく遊び来てくれてるシホ嬢

プロダクトメインの発酵ツーリズム展とは違い、あくまで本の内容にフォーカスしたキュレーションで、書籍に登場する写真と言葉がピックアップされています。以下、前田さんの寄せてくれた文章。


今年5月に発売されました小倉ヒラクさんの新刊『日本発酵紀行』は、
日本全国47都道府県の発酵食品の現場を巡ったそのドキュメントであります。

しかしながら、その冒頭「はじめに」を読み終えた段階で、
私の口からふと漏れた言葉は「これはもう小説みたいだな…」というものでした。

・「人間の時間」とは違う時間軸
・人間の理ではない感性で生きている人たち
・「人間以外の時間」の手がかりを知りたい

前述の冒頭部分で畳み掛けるようにでてくる、こういったフレーズ。
さらに読み進めていくと、1日24時間、1秒ずつ、まっすぐに進んで行く「人間の時間」とは別の
「伸びたり縮んだりする時間」が発酵文化には流れていることがわかります。

「伸びたり縮んだりする時間」って何でしょうか?
私が連想したのは、子どものころ、外で思いっきり遊んでいると
ふいにあたりが暗くなっているあの感じです。

「時給」や「効率」など、均質に、人間を無視して進んでいく時間に、途方にくれつつある私たち。
「3時間あそんだから6時になったんだ」ではなく、「暗くなったから家に帰る時間だ」という、
あの感覚を取り戻すことが必要だと思うことがあります。

発酵食品は美味しく健康によいものですが、ただそれだけではなく、
その時間の流れ方が、人ひとりひとりに生きる時間を思い出すきっかけを与えるのかもしれません。
いや、きっとそうです。

楽しくもハードな、発酵という「異界」を旅してきた小倉ヒラクさん。
ご自身による写真、そして降りてきた言葉たちに注目していただくことで、
その「異界」を存分に味わっていただければと存じます。


ナイスな額縁に飾られた写真たち。めちゃ作品っぽい…!

実はこの展示、僕は完璧にノータッチ。D&D出版チームと前田さんのやりとりを眺めながら「どんな展示ができるのかしら?」とドキドキしていたら、とんでもなく素敵な展示になっていて泣きそうになりました。

本の中からの文章の引用がまた良いのです。
手前みそですが、グッとくる言葉が写真に添えられて、トリップ感高まる…!

発酵という異世界を巡る8ヶ月間の旅。どうぞあなたも体験してみてください。

神楽坂かもめブックスのギャラリースペース ondo にて、9/1まで開催しています。
みんな来てね。

『ごど』のつくりかた。青森県十和田の納豆×麹×乳酸発酵食レシピ

渋谷ヒカリエの発酵ツーリズム展で話題となった、青森県十和田地方のハードコア発酵食品、ごど。展覧会期中にこのごどをつくるワークショップを開催したのですが、終了後も「ワタシもごどをつくってみたい!」という声が相次いでいるので、レシピをブログにまとめておきます。

ごどのつくりかた


こんな感じのお母さんたちが受け継いできた、十和田のローカル発酵食。

材料:
納豆:180g(伝統的には手づくり納豆だけど市販のものでも可)
麹:40g
塩:5〜8g(全体量の2〜3%)


つくりかた:
A:麹を手のひらで擦り合せ、ほぐす
B:納豆に麹と塩、大豆の煮汁(なければお湯20〜30ml)を加え、よく混ぜる
C:B を容器(タッパーなど)に入れ、冷蔵庫に一週間ほど寝かせる

☆納豆に酸味とコクが出てきたら完成。一週間だと浅漬けごど、二週間ほど経つと酸味が強くなりドロっとした質感の深漬けごどになる。

☆煮汁の量でテクスチャーが変わる。煮汁が少ないとホクホクとしたおかず寄りに。煮汁が多いとドロッとした調味料寄りになる。

☆大豆を蒸煮する前に、生豆を炒って香ばしさを加える、米麹のかわりに麦麹を使うレシピも存在する。

食べかた:
・ご飯にかけて食べる
・ドレッシングのように使う(この場合お湯を多め、深漬けスタイルで)
・炒めものに使う(深漬けスタイルで)

納豆と麹と塩さえあれば簡単につくれます。
味の目安としては、納豆に麹の甘味が加わり、さらにややえげつない酸味と香りが加味された頃に「ごどタイム」がやってきます。そのまま浅漬けで食べるなりさらに数日乳酸発酵を進めてえげつない味を楽しむなり、お好みで。

『ごど』をめぐる旅のストーリー

『日本発酵紀行』の特典フリーペーパーに収録した『ごど』の旅のストーリーもブログに掲載しておきます。「ごどって何?」という人はご一読あれ。

「僕のいる十和田に、大豆を使った不思議な発酵食品があるそうなんです。納豆のような醤油のような…。地元のお母さんが細々手づくりしているみたいなんですけど、一緒に行ってみませんか?」

青森に住む博学でスマートな友人、安藤さんに青森の面白い食文化がないか聞いてみたら、実に魅力的なお誘いがあった。二つ返事で「行きます!」と十和田に飛んだら、そこには衝撃的なまでにハードコアな発酵文化があったんだよ。

失敗納豆から生まれる超絶旨味 

青森県南部の八戸から車で一時間弱、東北らしい平坦な平野となだらかな山々を抜けていくと十和田につく。洒落者、安藤さんのルノーの黄色い旧式カングーに乗ってローカルお母さんたちの仕込み現場に向かった。

いったい「ごど」とは何なのか?
ざっくり言うと、納豆に麹を混ぜ、さらに乳酸発酵させた納豆×麹×乳酸発酵の「ラーメンのトッピング全部盛り」みたいなスゴい発酵食品なんだね。見た目はドロッとした白い麹が混じった納豆、という風情。発酵が浅いうちはご飯にかけたりおかずとして食べ、発酵が進んでドロドロに溶けたものは醤(ひしお)のように調味料として使ったりもする。

「元々は、手づくりでちょっと失敗しちゃった納豆をなんとか美味しく食べようとできたものみたい。麹とあわせると甘くて美味しくなるでしょう」

とお母さんの一人が言う。

十和田はじめ青森県南部地方は、今でこそ稲作が盛んだが、かつて近代的な治水が施されるまでは、湿地が多く冷涼な気候で稲のほかに豆を主食として多く食べる文化があったそうだ。その流れで家庭では当たり前のように納豆が手づくりされていた。

でね。納豆手づくりしたことある人だったらわかるんだけど、納豆って発酵させるのに40℃以上の温度が必要で、昔は囲炉裏や炬燵の熱を利用していたんだけど熱が弱いと発酵が進まなくてべしゃっとしたイマイチな納豆もどきができてしまう。

「ごど」は、どうもそういう納豆もどきをなんとかして食べてやろう!という発想から出てきたものらしい。

それでは「ごど」の作り方を説明しよう。まず大豆を柔らかく煮て、そこに納豆菌の種(つまり納豆。ヨーグルトをつくる時に既製のヨーグルトを種として入れるのと同じ原理)を入れて 1〜2日保温し納豆にする。

そしてできた納豆に麹と塩(5%以下の少量)、人によっては飯米を混ぜてさらに数日発酵させる。すると麹の旨味とともに、乳酸発酵による酸味が加わり、ネバネバ、旨い、甘い、酸っぱいという複雑極まりない風味が生まれる。
旨味が強いうちはおかずとして扱い、酸味が強くなってくると調味料として扱う。

お母さんのスタイルウォーズ

「ごど」は発酵を体系的に学んだ者からするとびっくり仰天のレシピだ。

酒屋や味噌屋が仕込みの時期に納豆を食べるのを禁止するように、麹と納豆は相性が悪いとされている。コウジカビよりも繁殖力の高い納豆菌は、麹の発酵を台無しにしてしまう。
ところが「ごど」では、納豆に確信犯的に麹を混ぜ、そこにさらに乳酸発酵を呼び込むという、発酵学でいうところの「コンタミネーション(雑菌汚染)」を意図的にやってしまっている。十和田のお母さんたちによるハードコア・パンクなのであるよ。

しかもめちゃくちゃ美味いんだコレが。納豆のかぐわしい風味と麹の甘味とコク、トドメに乳酸菌の酸味が加わり、口のなかに和食特有の発酵旨味の嵐が吹き荒れる衝撃の味わいなんだよ。

しかも。「ごど」にはスタイルがある。僕が取材した二人のお母さんはそれぞれ異なった美学を持っていた。
一人は発酵初期の麹の甘味を押し出した「フレッシュごど」が美味しいと言い、もう一人は発酵が進んで酸味が濃厚になった「エイジングごど」が美味しいと言う。

つくるお母さんによって正解が違う、ヒップホップで言うところの「スタイルウォーズ」があるんだね。

十和田のお母さんたちによって受け継がれてきた超ローカル発酵食「ごど」には、不思議な現代性がある。原料は大豆、米(麹)、塩なので日本全国どこでも容易に調達できる。難しい技術や高価な設備もいらない。そして和食の発酵文化のいいとこ取り的なリッチな旨味がある。その衝撃の美味しさに僕は思わず、 「お母さん、このレシピ僕にも教えて!」 と前のめりになってしまった。

そしてこの原稿を書いているさなかに僕は自分の手で「ごど」の再現に成功した。この最強すぎるレシピは、未来の発酵ラバーたちに受け継がれるべきマスターピースなのだ。

『ごど』との出会いを導いてくれた安藤さん、『ごど』を受け継ぐ十和田大好き♥矢部聖子さん、どうもありがとうございました。『ごど』が全国の発酵ラバーたちに広まっていくといいですね。

『日本発酵紀行』1万部突破!出版ツアーで全国行脚しているよ

展覧会が終わったら、次は出版ツアーだ!

47都道府県の発酵文化を訪ねた僕の新著『日本発酵紀行』、おかげさまでたくさんの人に読んでもらっています。

今月下旬にはなんと!3刷11,000部達成しました。取次の配本を通さず、大手ネット通販の取扱を見送り…と「売る気あるの!?」というやり方ですが、ちゃんと届くべき人に届いているのです。ていうか、届くべき人に届けるためにこういう作戦を取っているのさ。

前作『発酵文化人類学』を届けるにあたってのテーマは「流通のDIY」でしたが、今回はもうちょっと踏み込んで「良い関係性で届ける」ということを考えています。具体的に言えばだな

・欲しいお店に必要な冊数がちゃんと届く
・お店が儲かって持続性が担保される
・そのために委託でなく買切に力を入れる
 ※お店の利益が1.5倍くらいになる

→欲しい人に本が届き、売るお店に利益が出る

という良い関係性をつくりたかったんですね。
で。本を複数冊直接注文してくれたお店がちゃんと売れるようにするために、ネット通販を見送ったり取次配本で色んなところに自動的に本を流通させない意味が出てくる。

今回は売れた「数」にこだわるよりも「関係性」にこだわってみたいなと思った所存です。
(それでもこれだけ売れているのはスゴいことです驚)

☆☆『日本発酵紀行』を買えるお店一覧はこちらから(随時更新)☆☆

出版ツアーやってるよ!

でね。何十冊も本を買いきってくれたお店でちゃんと本が売れるように、ただいま全国をツアー中。今回は行商もぼちぼちにしとこうかな…と思ったんだけど、結局けっこうな数の場所を回ることに。全国のみんなとお会いできることを楽しみにしています。

【『日本発酵紀行』出版ツアースケジュール一覧】

●愛知開催
8月3日(土)16:00-19:00 TT″a Little Knowledge Store(トド アリトルナレッジストア)
刊行記念イベント in 名古屋
→満席になりました

●沖縄開催
8月5日(月)19:30-22:00 カフェユニゾン
ハッコーの日スペシャルイベント
→詳細はこちらのリンクから

●宮崎開催
8月7日(水)14:00- 蔦屋 延岡エンクロス店
刊行記念トーク&手作り塩こうじワークショップ
→詳細はこちらのリンクから

●福岡開催
8月9日(金)10:30-12:30 バンビの木箱
発酵トーク&発酵講義
→満席になりました

●神奈川開催
8月10日(土)13:00-15:00 湘南蔦屋書店
刊行記念トーク&手作り塩こうじワークショップ
→詳細はこちらのリンクから

●東京開催
8月10日(土)18:00-21:00 みたかのば
刊行記念トーク -発酵から再発見したその土地の記憶-
→詳細はこちらのリンクから

●群馬開催
8月13日(火)夜 REBEL BOOKS(群馬)

●高知開催
8月15日(木)13:00-14:30 高知 蔦屋書店
刊行記念 対談・サイン会
小倉ヒラク×近藤英和(自然食コタン)
→詳細はこちらのリンクから

●山梨開催
8月17日(土)11:00~/14:30~ D&DEPARTMENT YAMANASHI
やまなし発酵紀行 -甲州ワインと甲州味噌から学ぶ、山梨の発酵文化-
→詳細はこちらのリンクから

●新潟開催
8月18日(日) 14:00〜飽きるまで ツバメコーヒー
「日本発酵紀行」刊行記念トーク
→詳細はこちらのリンクから

●広島開催
8月20日(火)15:00-16:30 エディオン蔦屋家電
塩こうじづくりのワークショップ(お子様も参加可能!)
→詳細はこちらのリンクから

8月20日(火)19:00-20:30 エディオン蔦屋家電
「日本発酵紀行」刊行記念トーク
→詳細はこちらのリンクから

●愛知開催
8月24日(土)13:00-15:00 一期家一笑
塩こうじづくりのワークショップ
→店頭のみで受付中、残席わずか

8月24日(土)夕方 ON READING

●東京開催
8月27日(火)14:00~15:30  Re:gendo
『日本発酵紀行』刊行記念トークin Re:gendo 梅花酵母のおつまみ付き!!
→詳細はこちらのリンクから

●京都開催
8月30日(金)夜 世界文庫(京都)

●島根開催
8月31日(土)18:00〜21:00 糧(音鳴文庫)
『日本発酵紀行』刊行記念トーク
→詳細はこちらのリンクから

●終了した出版イベント
5月12日(日)18:00- 青山ブックセンター(東京) 
5月16日(木)19:30- 中目黒蔦屋書店(東京)
5月20日(月)19:30- BOOK LAB TOKYO(東京)
5月23日(木)19:00- 田原町 Readin’ Writin’ BOOKSTORE(東京)
5月25日(土)15:00- 土田酒造 SAKE FUN MEETING(群馬)
5月29日(水)19:00- スロウな本屋(岡山)
6月5日(水)19:00- 梅田 蔦屋書店(大阪)
6月6日(木)19:30- 銀座 蔦屋書店(東京)
6月10日(水)19:30- 本屋ルヌガンガ(香川)
6月11日(木)11:00- まるざ発芽玄米研究所(香川)
7月18日(木)18:30- LVDB BOOKS(大阪)
7月19日(金)19:00- 恵文社一乗寺店(京都)
7月20日(土)13:00- 金春湯(東京)
7月24日(水)15:00-17:30 吉祥寺 閒
7月24日(水)20:00- リトルトーキョー

いやあ、今回も頑張るなあ、自分。
版元のD&DEPARTMENTの田邉さん、高木さんどうもありがとう!

【追記】最後に予告。15,000部まで達成したら、青山ブックセンター店長の山下さんと一緒に展覧会に登場した写真やオフショットを網羅した写真集を出版します(約束)!皆さま、どうぞご支援お願いします…!

来場者5万人!発酵ツーリズム展を振り返る12のトピックス

会期三ヶ月におよんだ渋谷ヒカリエの展覧会 Fermentation Tourism Nippon 〜発酵から再発見する日本の旅〜 (通称『発酵ツーリズム展』)が終わりました。

最終日の夜に開催した公開打ち上げイベントで報告したトピックスをブログで掲載します。展覧会のまとめレポートとしてご笑覧ください。

発酵ツーリズム展を振り返る12のトピックス!

4月末から7月末まで、三ヶ月弱の期間で入場者数は約5万人(おそらく48,000〜49,000人ほど)。ニッチなテーマでこの人数は快挙と言っていいのではないでしょうか?

オープニングイベントの記念写真。思えばここからムーブメントが広がっていった…!

各界の第一線で活躍している知人もたくさん遊びにきてくれました。写真はおみそはんことDJみそしるとMCごはんさん。ロバート・キャンベルさんや女優の加藤紀子さん(←ハードコアな発酵好き)はじめ、J-WAVEでお世話になったレイチェル・チャンさん(←ハードコアな日本酒好き)は角打ちイベントにもゲストで登場してくれました。

料理家やクリエイター、まちづくりなどに関わるたくさんの人に来場&爆買いしてもらいました。ありがとう〜!

こちらも驚き。連日たくさんのメディアで展覧会の様子を紹介してもらいました。仕掛け人は、今回PRを担当してもらった友人の大木聡子ちゃん。

彼女の辣腕によってかつてなく企画がバズっていきました。大木さんが攻めのPR(プレスリリース配信)、D&DEPARTMENT広報担当の清水さんが守りのPR(実際の取材対応)と、攻めと守りの役割がバッチリ噛み合っていたのも印象的でした。

今回一番目だったのはテレビ取材。NHK民法BS、さらに海外の番組までものすごくたくさんの映像露出がありました。

ワールドビジネスサテライトに取材されるNukaBotとドミニク・チェンさん。

今回はお披露目系の企画も盛りだくさん。魅力的なプロダクトやサービスたちがこの企画から巣立っていきました。嬉しいなあ。

展覧会の公式書籍であり、僕の新著でもある旅行記『日本発酵紀行』が売れに売れまくり、発売二ヶ月目にして10,000部を突破しました。すすす、スゴい…!


浅草 Readin’ Writin’ BOOKSTOREの落合さんと。全国の志あるお店に応援してもらっているよ…!

なお今回も前作『発酵文化人類学』と同じくDIY流通にチャレンジ。僕のブログでの事前予約や本屋さんとの直取引、さらに今回は食料品店やセレクトショップ、銭湯(!)に至るまで全国各地の素敵なお店に(委託ではない)直接注文をしてもらい、もはや本というより味噌とか醤油のような売り方で全国に広がっていきました。

・新著『日本発酵紀行』なんと校了前に初版部数上乗せ!実質発売前重版…?

(あ、あと今度あらためてお知らせするけど、15,000部達成したら写真集が出るのです…)

やりすぎ。明らかにやりすぎてる…!もはや純粋な狂気…!
2日に一回を上回るペースで開催される関連イベントも発酵ツーリズム展の名物。

会期中最も多くの参加者(200名超!)を記録した『発酵ニュージェネレーション角打ち』。遠野醸造やWAKAZEの酒とともに新世代醸造家のトークが繰り広げられました。人はいりすぎでスタッフ全員死んだ…!

角打ち、ワークショップ、トークイベントなど多彩な企画が連発。連日全国からスター醸造家たちが集結。写真右から福島・仁井田本家の女将、滋賀・七本鎗のトミー、熱燗DJつけたろうと僕。みんな最高だったよ〜涙

「一体誰が買うんだこれ?」と事務局一同首をかしげるしかなかったハードコアすぎる品揃えのミュージアムショップ。フタを開けてみれば飛ぶように売れていく謎の発酵ブツたち。

イベント終盤の冷蔵庫。発注しても発注しても速攻で空っぽになる驚異の売れ行き。とある週末は一日で70万円の売上(展覧会関連商品のみのカウント)を記録したそうです汗

なお売れ筋商品は、

・富山の黒作り
・新潟のかんずり
・佐賀の松浦漬け
・福島の三五八漬け
・高知の碁石茶
・青ヶ島のあおちゅう

などなど。このへんはまあ売れるだろう…と僕は自信あったのですが、驚きだったのは展覧会スポンサーでもある愛知のもやし屋、ビオックの種麹。

どう考えても正気とは思えないこの品揃え、それぞれ三回ずつくらい追加注文してます。豆麹とか醤油麹とか誰が買うの?って思うんだけど買う人いっぱいいるんです。

関西の誇るクリエイター集団Re:Sの藤本智士さんを棟梁に、石川のデザイナー財部くんやD&Dチームが力をあわせて生み出したポップかつ緻密なデザインが大好評。

ともすると伝統やサイエンスに寄りすぎてカタくなりがちな「発酵」の裾野を拡げることができたのは、間違いなくデザインと編集の力。クリエイティブチームの舞台裏はこちらの記事からどうぞ↓

・『ヒラク、この日いないってよ』イベントレポート | note

「現在進行系で生きてるものを展示したい」というキュレーター(←僕)のわがままにより、展示物の発酵が日々進行していくというハードな状況に。


展示物の発酵臭を嗅げる仕掛け。新島のくさやで悶絶する人多数。笑

時間が経つとともにビニール袋がパンパンになったり、酵素でドロドロに溶けたり。「これはさすがに腐敗に傾いているのでは…」となったものをこまめに取り替えてメンテナンスしていました。展示担当の竹川さん、おつかれさま。ほんとに。

発酵臭が満ちた会場内に消臭スプレーを振りまくの図。
なおこのプロダクト、発酵によってつくられたバイオ消臭剤、きえーる。展覧会のスポンサーブランドです。ショップでめちゃ売れまくった…!

ただ展示して終わりではない!今回の展覧会ではd47食堂のシェフ、中山さんを巻き込んで知られざるローカル発酵レシピを発掘。展覧会コラボ定食をつくったり、幻のレシピの再現をしたり。食体験のアーカイブに精を出しました。

展覧会終盤に開催した『ごど作りワークショップ』。青森県十和田の謎のハードコア納豆をつくるという誰得感しかないワークショップに30名以上の参加者が詰めかけました。これを機に十和田発酵食品協会なる組織が誕生してしまった…汗

ゲストの『十和田大好き矢部聖子(←フルネーム)』さん、どうもありがとうございました。
シェフの中山さんもグッジョブ!

展示の90%以上を本格的な英語バイリンガル仕様にしたことで、来場者の2割が海外からというスゴい事態に。翻訳チームリーダーの柳澤まどかさんによる七人体制(翻訳者+チェッカー+校正)によるハイレベルな英語キャプションは海外のお客さんに大好評。

なお反響は英語圏にとどまらず、アジアやヨーロッパのメディアにも波及。写真はタイのWEBメディアのレポート記事。この記事を読んでわざわざ渋谷に旅しにきたタイの女の子と会場で遭遇しました。ありがとね、ほんとに。

・発酵ツーリズム展は「尊い」!haccola編集部がふたたびお邪魔しました | haccola

ちなみに会期中盤の6月には、僕は展覧会の運営をチームに任せてヨーロッパ五カ国の講演ツアーに出ました。発酵ツーリズム展の話にみんな興味津々。来年以降海外でもスピンアウト企画がスタートしそう。

(あ、あとこちらも後日正式発表しますが『日本発酵紀行』のフランス語版が出そうです…)

今回の展覧会をやっていちばん嬉しかったことの一つ。
全国から集った発酵ラバーによる愉快なコミュニティが生まれました。

そもそもこの展覧会、行政や財団から助成金ではなく、志のある個人や組織からの応援によって成り立っています。スポンサー企業にくわえ、600万円近く調達したクラファン企画で支援してくれた人たちがスタッフとして展覧会の運営に関わってくれました。

わざわざ高知からスタッフの仕事しにきてくれたみりん娘、この企画に参加するために仕事やめて状況してきたリサちゃん、展覧会きっかけで仕事やめて広島に行くことになったユイちゃんなどなど、人生が変わってしまった人もちらほら

イベントに何度も足を運んでくれたみんな、角打ちで毎週のように飲み倒したみんな。
僕がつくりたかったのは、どれだけ微生物のマニアックな話をしてもドン引きされない場だったんだよ。楽しんでくれてありがとう!

「旅」をテーマにしたこの展覧会。終盤にはなんとリアルなツーリズム企画がスピンアウトしてしまった…!驚

関連イベント一発目を飾った山梨の発酵チームを訪ねる『発酵ツーリズムやまなし』はおかげさまで大盛況!味噌とワインの現場を訪ね、醸造家たちの話をディープに聞き、ブドウ畑の下で甲州ワインとお寿司のマリアージュに酔いしれました←天国。

今年の秋以降、全国各地へのツーリズム企画がスタートします。また僕のブログやSNSでお知らせするのでどうぞお楽しみに!

えーそして最後に予告です。
発酵ツーリズム、事業化します!

また詳細決まったら正式発表しますが、物販やミュージアム機能がついたお店ができます。で、そこを母体にツーリズム企画や巡回展(すでにいくつも問い合わせが汗)をオーガナイズします。

つまりこの展覧会の事務局がそのまま会社になるイメージです。
花火打ち上げて終わり!ではなく、継続的に発酵ラバーたちが集える場所をつくるよ。

全国の発酵に関わる皆さまにもらったこのご縁、引き続きすくすくと育てていく所存です。

展示やイベントに参加してくれた醸造家やお父さんお母さん
スポンサーを引き受けてくれたカルピスさん、環境ダイゼンさん、ビオックさん
クラウドファンディングや出版プロジェクトで支援してくれたみんな
D&DEPARTMENTはじめ展覧会スタッフのみんな
会場に遊びにきてくれたみんな

本当にどうもありがとうございます。
発酵ツーリズム、展覧会は終わったけど本当の船出はこれからだよ!

【追記】イベント打ち上げ時の事務局長クロエさんとプロデューサーのおのっち(親子ではない)。二人ともこれからも引き続きどうぞよろしく!

ヨーロッパツアー無事終了!400人に日本の発酵文化を伝えてきたよ

6月中旬から末まで二週間、ヨーロッパ講演ツアーにいってきました。

チェコ・プラハ

ハンガリー・ブダペスト

フランス・パリ

スペイン・サンセバスチャン&マドリッド

のルートで講演&WSを計8回・400名超の人に参加してもらってどこも大好評だったようです(特にブダペストとパリの講演会は観客約100名ぐらい。すげー!)。

これ、割と成果出したと言えるんでないかしら?

今回は人類学的&科学的に発酵を紐解く講演会と、歌って踊るワークショップのセットが多く「ディープ&キュート」の二本立てとなりました。


パリではマルチカルチャーな参加者と一緒に親子で麹ダンス踊りました。みんなキュート…!

各国で本当にたくさんの反響と感想をもらい、さらには僕の本の翻訳版出版や発酵ツーリズムの巡回展のオファー、来年以降の長期滞在のオファーももらって本当に夢のよう。嬉しいぜ。


☆☆記事はこちら☆☆

ちなみにハンガリーでForbes Hungaryの取材受けたんですけど、謎にオーバースペックすぎる凄腕カメラマンが来てくれて、人生初の「クリエイターポーズ」でポートレート撮影してもらいました。記事もめっちゃ持ち上げてくれていてちょっと恥ずかしい…

そしてパリでは十数年来の旧友たちと再会。

そしたらしばらく錆びつきまくっていたフランス語が突如復活し、パリでのワークショップは通訳なしでもわりと頑張れました嬉。と同時に的確な表現のフランス語に訳してくれるプロ通訳者の技術に感動…!来年は僕だけでレクチャーできるといいなあ。


パリ・ベルヴィルの街角で。お絵描き大好きのノワゼットちゃんと音楽家のマキさん。

もしかしたら来年は夏から秋にかけて長く滞在して仕事するかもしれません。それまでに翻訳が終わって本が出版できるといいんだけど…。

スペインではシェフ相手にワークショップとレクチャーを開催。たまたまサンセバスチャンにバカンスに来ていた編集者のイマイくん夫妻と合流。パートナーのゆきこさんはなぜか助手としてワークショップに駆り出されることに…。バカンス中ごめんね。


ハンガリー・ブダペストチーム。国際交流基金の多田さん、通訳のイングリッドさん、会場の準備してくれたマキスティーブンソンさん、スタッフの皆さまどうもありがとうございます!


フランス・パリチーム。プログラム全体のコーディネートしてくれたマキさん、杉浦館長、通訳のお二人とワークショップ仕切ってくれたマスネリさんどうもありがとう!


スペインチーム。コーディネーターの松嶋さん、バスクとマドリードの食科学大学の皆さま、ゆきこ助手、お世話様でした。

そしてなぜかパリで新著の出版イベントをやっていたカリ〜番長の水野さん。来年は一緒にフランスでイベントやりましょうね。

それではヨーロッパの皆さま、来年もお世話になりまーす。

 

発酵ツーリズム展、会期延長 & 公式カタログリリース!

みんなー大変だ大変だ!
渋谷ヒカリエの発酵ツーリズム展、会期を二週間延長するよ!

日本全国の発酵が集結する祝祭は、まだ終わらない…!

盛り上がりすぎて延長戦決定!

こないだのヨーロッパツアー中に事務局長のクロエさんから、


クロエ事務局長「ヒラクさん!展覧会めちゃくちゃ好評なのであと二週間延長するのどうです?」

とメッセージが。マジですか?
広報チームによると、

☆2ヶ月で来場者数30,0oo人超え(週末は人が多すぎて正確にカウントできてない)
☆2ヶ月でミュージアムショップ(5坪)の売り上げ約1200万円
☆毎週金曜の角打ちブレイクしすぎて人が入り切らない(マックス200名超え
☆メディア掲載約300件(テレビ・ラジオ・週刊誌・海外メディア多数含む)

などの異様な盛り上がりを見せているようです。


確かに毎週末の午後とか、会場満員電車みたいになっている…!


道東チームが結集した北の珍味を味わいまくる角打ちの様子。


発酵妖怪NukaBotのお披露目でワールドビジネスサテライトの取材を受けるドミニク・チェンさん。今回は本当にテレビ露出が多い…!


各界の著名人も多数来場。写真はおみそはんことDJみそしるとMCごはん。ロバート・キャンベルさんや女優の加藤紀子さん、クリス智子さんなどなど素敵なお客さんが来てくれました。


もちろん全国の醸造家&発酵のスペシャリストたちも大集合。右から福島県郡山、仁井田本家の女将、滋賀県木之本の七本槍トミー、日本酒会の新星、熱燗DJつけたろう。

酒蔵、味噌蔵、醤油蔵、お酢屋さんにみりん屋さんに漬物屋さん、麹屋さんにもやし屋、バイオメーカーまでありとあらゆる発酵に関わるメーカーが集う大発酵EXPOと化しています。

キュレーターの僕ですらまったく予想できなかったこのとんでもない盛り上がりっぷり…。こうなったら徹底的に最後まで走り抜くしかない!ということで、

Fermentation Tourism Nippon〜発酵から再発見する日本の旅〜展は、
2019年7月22日(月曜)まで延長戦決定!

☆☆展覧会情報はこちら☆☆

展覧会公式カタログ満を持してリリース!

さらにビッグニュース。
展覧会の内容を網羅した公式カタログをリリース開始!

展示台の内容をまとめた上に、展示の様々なトピックスが編集されて一冊にまとめられています。もちろん英語併記のバイリンガル仕様…!

さてこのカタログ。通常価格700円なのですが、
僕の新著『日本発酵紀行』を会場で買ってくれた方は無料でプレゼント。

さらに!以前会場で既に本を買ってくれた人もレジに自己申告してくれたらカタログを進呈。また会場戻ってきてねー!待ってる!!!

スペシャルイベントも開催!

そしてまだまだ続くイベント。お時間ある方はぜひ!遊びに来てね。


★7月3日19:00- 発酵スクール「簡単!発酵料理入門ワークショップ 夜の部」【受付中】
山口祐加(料理家、ライター)/小倉ヒラク

★7月6日9:30- 発酵スクール「青森の家庭発酵食品「ごど」作りワークショップ」【受付中】
矢部聖子(十和田大好き野菜研究家)/小倉ヒラク

★7月6日15:00-  翻訳チームが語る発酵ツーリズム翻訳の裏側と発酵の世界発信【受付中】
やなぎさわ まどか(編集者/翻訳通訳ディレクター) /ジャスティン・ポッツ : Justin Potts

★7月6日17:30- クロージングスペシャルトーク「発酵のこれから」【受付中】
渡邉格(タルマーリー)/小倉ヒラク

★7月7日 日帰りバスツアー 発酵ツーリズム山梨県 -甲州ワイン&甲州みそ編- 【受付中】
展覧会から生まれたリアルバスツアー!

★7月12日 発酵ツーリズム金曜角打ち 内容未定。誰かお酒出したい人いますか?日本酒以外でももちOK!

★7/21午後 展示している謎の発酵食品(ex:ごど・せん・守口漬けなど)を食べる開封の儀

★7/22夕方 発酵ツーリズムチーム勢揃いで振り返る「発酵ツーリズムというムーブメント」
事務局長クロエさん/クリエイティブディレクター藤本さん/事業プロデューサーおのっちはじめ、広報チームや出版チームも参加してみんなでワイワイ喋って美味しいもの食べるよ!


 

それではまだまだ終わらない発酵の祝祭、7/22までどうぞよろしくお願いします!

 

「カルピス」のひみつを紐解く!発酵ツーリズム展 × 乳酸発酵

後半戦に入った渋谷ヒカリエ発酵ツーリズム展。
全国のローカル発酵文化を探し出し、発酵という視点から日本の多様性を体系化していく。

見に行ってくれた人ならおわかりのとおり、けっこう壮大な企画です。
でね。企画した本人が言うのもなんですけど、かなり公共性の高いプロジェクトなので、行政のサポートとかもらっても良さそうなんですが、100%インデペンデント、民間事業として自分たちで資金を集めて開催したんです。

それが可能になったのは、クラウドファンディングで支援してくれた個人のみんな。
そして、展覧会スポンサーになってくれた志ある企業の皆さまです。
アヴァンギャルドすぎる内容にもかかわらず、意義を感じてくれた素晴らしい企業にこの展示は支えられています(しかも費用対効果の見返りをほとんど求めずに涙)。

本当にありがとうございます。もう感謝しかない…!
ということで。僕のブログの場を借りて、この展覧会のメインスポンサーになってくれた3社、アサヒ飲料さん(「カルピス」の製造販売)、環境ダイゼン(きえーる)さん、糀屋三左衛門(ビオック)さんについて、恩返しも兼ねてエントリーを書いていきたいと思います。

全3回のシリーズ、まずは「カルピス」から!

日本の近代発酵カルチャーの先駆け、「カルピス」!

「えっ、そもそもなんで発酵の展覧会のスポンサーに『カルピス』が?」

「カルピス」って発酵食品なんですよ。
しかもみんなが思っているより歴史長い(今年で100年目)。実は明治以降の日本の近代発酵カルチャーの先駆けとして、「カルピス」は大きな意義を持つプロダクトなんだね。

いきなり壮大な話になって申し訳ないのだが。「カルピス」を語るためには、日本における近代の黎明期から語らねばならない。

微生物界の巨人の一人にメチニコフという超奇人がいます。彼は免疫システムの存在に気づいた先駆的な生物学者なのですが、晩年はヨーグルトにめちゃくちゃハマっていました。

当時ブルガリアのローカル発酵食だったヨーグルトを「これを食べれば乳酸菌が腸内を腐敗させる菌が繁殖しないようにさせる。つまり不老長寿食である!」と大絶賛し、世界各地に「第一次乳酸菌ブーム」を巻き起こしました。

このブームの余波は日本にも及び、1912年には大隈重信(←僕の母校早稲田大学の創設者)の強力プッシュのもとメチニコフの論考を『不老長寿論』というタイトルで翻訳。

「日本人の健康を乳酸菌で健康にするぞ!」

と気合を入れたのか、1914年には大隈重信は首相に返り咲き、日本における乳酸菌ブームを推進していきます。
この20世紀初頭のこのムーブメントに前後して誕生したのが東欧由来のヨーグルトのみならず、アジアでも家畜の乳を使った独自の乳酸発酵カルチャーを持つモンゴルの遊牧民族の食文化にインスピレーションを得て生まれた「カルピス」だったりするんですね。

みんな、知ってた?「カルピス」って歴史ある発酵食品なんですよー!!

工場見学行って、どんな発酵してるか調べてきました


岡山にある製造工場に行ってきたよ!

ということで。スポンサーになってもらった権限(?)を活かし、ずっと前から行ってみたかった「カルピス」の製造現場の見学に行ってきました。で実は「カルピス」はヒラク家の常備品。朝に炭酸水で割って飲んだり、夜にお酒で割って飲んだりするのがお気に入りなのさ!

▶「カルピス」の発酵の原理
それでは「カルピス」の発酵原理を解説していこう(案内してくた斎藤さん、ありがとうございます!)。

まず生乳(スーパーで売っている牛乳のような加熱殺菌をしていないもの)をタンクに入れ、脂肪分を取り除く。なんで脂肪分を取り除くか聞いてみると、

「脂肪分を取り除かないとうまく発酵しなかったり、発酵が安定しなかったり。製品にする時に油分が浮いてきてしまうこともある」

からだそう。「カルピス」はキレイな液状で仕上げたいので脂肪分を取り除くわけだ。

次にタンクで一回目の発酵をさせていく。乳に乳酸菌をつけて増殖させ、酸っぱくしていく。この一次発酵乳、つまり「カルピス」の初期段階、もちろん市販してないので飲んでみたいじゃないですか。

めっっっっっちゃ酸っぱい!

pH値を確認してみたところ、乳酸発酵ではMAXに近い強酸性(これ以上強いと酢酸発酵レベル)。

でね。今回現場に行っていてわかったんだけど、同じ発酵乳製品であるヨーグルトの大きな違いは、一次発酵の時の乳酸菌の種類。「カルピス」の乳酸菌は一般的なヨーグルト乳酸菌とは違う、より強い酸を出すヤツだったんだ。この酸度の違いが「カルピス」独自の風味をつくりだしていくんだね(詳しくは後述)。


タンクのなかで発酵する「カルピス」。日本酒の酒母みたいだぜ…!

そして二回目の発酵に移る。乳酸発酵して酸っぱくなった乳に砂糖を加え、今度は酵母が主役となって発酵が進んでいく。砂糖は酵母のエサ。酵母の種類はパンやお酒をつくるわりとメジャーなヤツだ。酵母が増殖していくと、あのよく知っているフレーバー、甘酸っぱくてちょっとかぐわしいあのニオイが生まれていく。

そしてだな。
乳酸発酵した後にじゅうぶん酵母が発酵し、適度に糖分が残った乳。これすなわち「カルピス」なのだね。発酵が終わった後に細々と調整はするのだが、酵母発酵が終わった時点でほぼ「カルピス」は完成している。


充填されていく「カルピス」。プロダクトとして美しい…!

製法と成り立ちから予想はしていたが、「カルピス」は通常の清涼飲料水と異なる、ガチ発酵食品だった。メインとなる原料は生乳と砂糖のみ。そしてその複雑な風味は乳酸菌と酵母による共生発酵によって生まれる。シンプルな原料から発酵によって複雑な風味が生まれるという点において、味噌のような仕組みとも言える。


発酵タンクを見つめるヒラク。至福の瞬間…!

今回現場を見てみて非常に印象的だったのが、一次発酵の乳酸菌の強い酸度を活かして、二次発酵の酵母へのバトンリレーを行っていたことだった。もう今は工場で厳密に環境コントロールできるのだが、「カルピス」が生まれた100年前はもっと雑菌が混入しやすかったので、「カルピス」の乳酸菌の強い酸は雑菌をブロックして酵母を守るために有効だったのだろう。イメージとしては、日本酒の生酛づくりのプロセスにちょっと似ているとも言える。

…と突っ込んだこと書いてしまったのだが、担当者の皆さま、内容大丈夫かしら?


店舗に卸すダンボール。デザインかわいい…!七夕仕様の特別デザインだそうな。

ちなみに上記の製法が一番基本の希釈用の「カルピス」。割って飲むやつだね。「カルピス」を炭酸水で割った「カルピスソーダ」。純水ですっきり味に仕上げた「カルピスウォーター」、他にも果実風味を足したラインナップなど、様々なものが出回っているが、大元はこのシンプルに発酵した濃縮液だ。

発酵ツーリズムで乳酸菌イベント開催!

モンゴルの遊牧民伝統の発酵乳文化がインスピレーションとなって生まれた「カルピス」。その歴史は日本の近代以降の発酵の歴史、そして今日に至る乳酸菌ムーブメントの歴史とも言える。

こんな興味深い話、イベントやらないわけにはいかない!
ということで、渋谷ヒカリエの発酵ツーリズムの関連企画として乳酸菌フォーカスのイベントやります。午前中の子供向けワークショップと、午後のトークセッションの二本立て。

後半のトークセッションでは、「カルピス」チームに「特別なプレゼン資料持ってこないでください!僕が根掘り葉掘り質問するので」と言い渡しているので、発酵ツーリズム仕様のディープな話が聞けること間違いなし。乳酸菌トレンドの最先端を知りたい方はぜひ遊びに来てね。イベントはこちら。

「カルピス」の皆さま、志しかないスポンサーありがとうございます!
会場でも「カルピス」売ってまーす。

『日本発酵紀行』絶好の売り時にamazon取扱を見送る件について。

浅草、田原町のReadin’ Writin’のイベントの一コマ。良い本屋さんでした。

僕の新著『日本発酵紀行』についてお知らせです。

1. 重版ぶんが到着したので、展覧会場や各地の本屋さんの在庫が復活しています
2. 全国出版イベントツアーがスタートしました

・注文殺到で倉庫空っぽ。志ある本屋さんで先行発売ぶんをゲットだ!

そして。
3.出版イベントが終わる8月いっぱいまで、amazonでの本の取扱をしないことにしました。
※正確に言うと大手ネット通販サイト、amazon、楽天ブックス、ホンヤクラブの3つ

理由は以下のとおり。

・重版したものの注文が予想以上に多くて在庫がどんどん減る(←めちゃありがたい)!
・その在庫は直接注文してくれる本屋さんに回したい!
・今回の本では街場の本屋さんを応援したい!

ということで、5月末から始まった全国の出版ツアーが終わる8月末までいったんamazon&大手ネット通販サービスの取扱をちょっと待ってもらうことにしました。

「えっ、それって機会損失なんじゃないの…?」

そうなの。発売開始直後だし絶好の売り時なんですよ。
なんだけど、今回の『日本発酵紀行』は本が届くまでの関係性を大事にしている本なので、事前注文してくれた志ある個人&本屋さん、本の母体である渋谷ヒカリエの展覧会などリアルな場所や信頼関係がベースになってできています。この絶好の売り時こそ、その関係性を大事にしようかなと思った次第です。

僕もしょっちゅうネット通販使っているので、別にネガティブに思っているわけではなく。
今回の本に関しては、ちょっと不便だけど、素敵な街場の本屋さんや、展覧会、イベントに行ってひと手間かけて本を買うのもたまには悪くないのでは?と思うので、しばし不便な売り方をさせてください。

展覧会&出版イベントツアーが終わったら、なるべく色んな人に手に入りやすい環境にしていく予定です。僕の趣味にちょっとだけお付き合いください。

☆☆☆『日本発酵紀行』取扱店一覧はこちら!☆☆☆

☆☆☆出版イベント一覧はこちら!(ページ最下部)☆☆☆

【追記1】本屋さんや取扱店のECサイトでは『日本発酵紀行』を通販でゲットすることができます。どうしても遠隔で買いたい!という人は大手書店あるいはお気に入りの本屋さんからどうぞ。

【追記2】『発酵文化人類学』はじめ僕の過去の著作はamazonでも買えます。

【追記3 重要!】ということで『日本発酵紀行』は店頭で売るしかなくなったので、取り扱ってくれているお店の皆さま、いい感じで売ってください。頼んだ…!

【日本発酵紀行】注文殺到で倉庫空っぽ。志ある本屋さんで先行発売ぶんをゲットだ!

青山ブックセンターの特設売り場。発酵神棚…!

こんにちは、小倉ヒラクです。僕の新著『日本発酵紀行』についてお知らせです。

えーとですね。
全国の一般発売を5/24とお知らせしておりましたが、その日にはなかなか本がゲットできないかもしれません。

なぜかというと!本屋さん向けの事前注文問い合わせが信じられないほど多く、

初版部数5,000部がはやくも底をついちゃったんだよ…。
(ちなみに展覧会場に置いてあるぶん&出版倉庫にあるぶんもあと数日でゼロに汗)

【店舗売り用特典付き】小倉ヒラクの新著『日本発酵紀行』の注文をお願いします!

5/24に近所の行きつけの本屋さんに行ってももしかしたら僕の本は置いてないかもしれない。「えっ、amazonで予約注文すればいいじゃん?」って思うじゃないですか。残念ながら我ら発酵ツーリズムチーム、個人と本屋さんを優先するあまりamazonには申し訳ないほどの少量しか在庫を送っていない。つまりせっかく予約注文したのに発売日に発送されずしばらく待たされる可能性が限りなく高い。

しかし、希望はある…!
事前注文してくれた本屋さん&お店に直送した在庫がある。

https://twitter.com/LVDBBOOKS/status/1127106351744704512

つまりそのお店にいけば『日本発酵紀行』をゲットすることができる。裏を返せば該当の店頭で買う以外は、6月半ばまで待たなければいけない可能性が限りなく高い。

僕が言いたいことはシンプルだ。
下記の志あるお店で本をゲットしてほしい。

しかも。下記お店でゲットすると、ステッカーやフリーペーパーの特典がつく。場合によっては僕のイラスト入りサインも入っていたりする。

僕は、素敵なお店の店頭で本を買う行為を愛している。本は単なる情報ではなく、お店を通して場をつくり街の景色をつくるものだ。

「素敵なお店に本を買いに行こう」

ちょっとだけ僕のワガママに付き合ってくれたら嬉しいぜよ…!

『日本発酵紀行』先行販売店リスト

東京周辺:
青山ブックセンター
かもめブックス
Readin’Writin’ BOOKSTORE
ALL YOURS
本屋B&B
湘南 蔦屋書店
中目黒 蔦屋書店
銀座 蔦屋書店
BOOK LAB TOKYO
H.A.Bookstore(リトルトーキョー)
RECOBOOK
吉祥寺 閒
金春湯
ことばのにわ
今野書店
もくもく堂鍼灸院
Nuts UP

大阪:
LVDB BOOKS
blackbird books
梅田蔦屋書店
本のお店スタントン
テマヒマ

愛知:ON READING / 一期家一笑
京都:恵文社一乗寺店 / ホホホ座
兵庫:1003
岐阜:山本屋
秋田:旬菜みそ茶屋くらを
福島:Go Go Round This World!Books&Cafe
茨城:マルヒ
新潟:ツバメコーヒー
栃木:上澤梅太郎商店

山梨:春光堂書店  /五味醤油
長野:問tou

沖縄:カフェユニゾン
群馬:REBEL BOOKS
香川:本屋ルヌガンガ
岡山:スロウな本屋 / HAHU 本と手しごと。
福岡:水瓶酵母室

宮崎:蔦屋書店延岡エンクロス店
鹿児島:Souvenior Shop Shiroyama 逸品

北海道:相沢食料百貨店

D&DEPARTMENT各店(北海道、埼玉、東京、山梨、静岡、京都、富山、鹿児島、沖縄)

【追記1】これだけ僕と版元に直接注文してもらうお店が多いと「発売日とは何か?」というギモンが浮かぶ汗。あと本屋さんはもちろん、セレクトショップや八百屋さん、料理教室や銭湯まで色んなところで取り扱ってもらえて嬉しい。ちなみにサインしてある本は買い切り注文なので、売れると普通の出版流通の1.5倍の利益が本屋さんにもたらされます。街の本屋さん、応援してこ!

【追記2】丸善ジュンク系列はじめいくつかのお店では5/24から本をゲットできるそうです。僕のニッチな本をいつも丁寧に売ってくれてありがとうございます…!

36歳は再スタートの年だ!発酵デザイナー5年間の活動まとめ

石川・あら与の蔵を訪ねた写真 by 財部裕之くん

36歳になりました。
この一年は去年のテーマ「垣根を越えてチャレンジする」を体現する年でした。

・35歳は、垣根を越えてチャレンジする年だ!

・挑戦して凹んで限界への旅に励んだ2018年の振り返り。

十代の時に目指していた美術家の夢を東京都美術館『おべんとう展』の新作アニメ出展で果たしたり、国際学会ALIFE 2018をきっかけに、ドミニク・チェンさんやソン・ヨンアさんとともにIT技術×発酵の技術開発をしたり、本格的に海外での活動がスタートしたり、ジャンルも国境も越えて発酵デザイナーの仕事を発展させていきました。

そして夏過ぎからは47都道府県の発酵文化を訪ねる大ツアーがスタート。何度も倒れ、精神崩壊しながらゴールに辿り着き、その旅の模様が渋谷ヒカリエd47 MUSEUMでの展覧会と新著『日本発酵紀行』に結実しました。

でね。
無我夢中でがんばっているうちに、気づいたら「発酵デザイナー」と名乗って活動開始してからまる五年が経っていました。もともと10年くらい前から発酵に関わる活動はしていたんですが、発酵と微生物に領域を絞ってからはジェットコースターのような日々だったぜ…

ということで5年間をフラッシュバック!

【2014〜2015】『手前みそのうた』グッドデザイン賞受賞

単なる「発酵好きなデザイナー」だった僕に転機が訪れたのは2014年の春。五味醤油とともにつくったアニメ『てまえみそのうた』が絵本になり、その取材に来てくれた新聞記者の明珍さんに「発酵デザイナー」という肩書をプレゼントしてもらいました。

そして夏、創業したデザイン会社を離れてデザイナーの道をドロップアウト、微生物の世界に全てを賭けることを決意。東京農業大学醸造科の研究生になり、発酵学を体系的に学び始めます。

・農大の研究生になります。やっほー!!

そして秋、『てまえみそのうた』がグッドデザイン賞2014を受賞。授賞式で、五味醤油の兄妹とともに着ぐるみで踊るという前代未聞のプレゼンを敢行し、「歌って踊る発酵三兄妹」が誕生。デザイン業界関係者が苦笑いする事態に。

・「てまえみそのうた」グッドデザイン賞2014受賞しました!

グッドデザイン賞受賞と同時期に雑誌ソトコトの『発酵をめぐる冒険』の特集巻頭で発酵デザイナーが大きく取り上げられ、その謎の活動が一部世間に知られることとなりました。

・ソトコト 2014年12月号 特集インタビュー&かるた

さらに年末には五味醤油と全国の醸造家たちとの新作アニメ『こうじのうた』制作のためのクラウドファンディングがスタート。2014年のクラファン黎明期に130万円の資金を集めて見事サクセス。豪華ミュージシャンチームを迎えて前作『てまえみそのうた』より格段にレベルアップしたアニメが公開されました。

【2015〜2016】山梨へ引っ越し研究&執筆活動開始

2015年は、30年間慣れ親しんだ東京から、微生物を育てるのに適した山梨県甲州市の山の中へ引っ越し、五味醤油の兄妹と合流して本格的に発酵のスペシャリストとしての活動が始まりました。

・改めまして、山梨の山の上の我が家はこんなとこ

この頃からデザイナー時代から続けていたブログをきっかけに、メディア取材や寄稿が増えていきます。雑誌ソトコトで連載『発酵文化人類学』がスタート、greenz.jpのインタビュー記事wiredの寄稿文がスマッシュヒットし、自分のブログのアクセスが急増、メディア業界の人から「なんだあの微生物野郎は?」と怪しまれることに。

春には二冊目の絵本『こうじのうた』が出版され、後にロングラン企画になる「発酵デザイナーのこうじづくり講座」がひっそりと始まりました。

秋からは地元の放送局YBSにてラジオ番組『発酵兄妹のCOZY TALK』がスタート。五味兄妹と三人で素人感まるだしのラジオパーソナリティを務めることに(ちなみに現在4年目。もうすぐ200回)。このラジオ番組のおかげで、山梨の人にもそれなりに迎え入れられた感じがあります。

・地域とコミュニティを巻き込むラジオの力。

2016年の年始には、カルチャー雑誌Spectatorの特集「発酵のひみつ」を編集部と一緒につくり、発酵業界の垣根を越え、カルチャー界隈からも大きな話題を呼びました。編集部青野さん赤田さんの仕事から気付かされることが多かった、個人的にとっても思い入れのある企画でした。このSpectatorの特集から書籍『発酵文化人類学』の構想が発酵していきます。

・SPECTATOR最新号『発酵のひみつ』は僕の本だ!(と言いたい)

【2016〜2017】ひたすら麹の世界を掘り下げまくる

まだ活動が始まったばかりなのにやたらメディア露出してしまったことに危惧を覚え、人前に出ることを自粛。研究活動に精を出した時期でした。

アニメ『こうじのうた』がきっかけになって始まった、素人でも簡単に麹がつくれる少人数ワークショップを多い時は月に10回以上開催。あわせて全国の醸造蔵をまわり、麹づくりメソッドを学んでひたすら麹の世界を掘り下げていきました。結局二年で1,000人を超える受講者に麹づくりメソッドを教え、手前みそに続く「手前こうじ」のカルチャーの下地をつくったという自負があるよ!だってめちゃくちゃ地道にやったもの!

・1000人達成!発酵デザイナーのこうじづくり講座

なお2016年の夏に学会デビューしました。しかもいきなり海外、ハンガリーのブダペスト。世界中の名だたる微生物学者たちに麹のレクチャーをするという大舞台。研究のあいまに必至で語学を勉強したのも良い思い出です。

・こうじづくり講座@ブダペスト、大成功!ワークショップの様子はこんな感じ

あとこの時期は自分の時間があったのでブログを頻繁に更新し、今でもずっと読まれているエントリーが連発され、ブロガー界隈からもたくさんコンタクトがありましたが「僕、微生物の人だから」と冷たい対応してしまいました。ごめんね(>_<)

秋から年末にかけて大きなプロジェクトが2つ。
1つは様々な発酵メソッドをまとめた小学生向けの自由研究本『発酵菌ですぐできるおいしい自由研究』が出版されました。この本をつくるために一時期家中に実験器具と発酵ブツが溢れかえったな…。
そしてもう1つ。greenz.jpの連続講座『発酵デザイン入門』を開催。実践的な仕込みから微生物学の基礎、顕微鏡の使いかたやDNAの分子模型を組み立てるなど、多角的に微生物の世界を学ぶ激DOPEな少人数講座でした。

・暮らしに関わる微生物&バイオテクノロジーの初歩を楽しく学ぼう

それまでずっと自分のことを飽きっぽい性格だと思っていたのですが、この活動によって自分の「内なる粘着スピリット」に気づきました。同時に数人〜10人の小さな会をやり続けることでコミュニティの大事さを深く実感した一年でした。地味だけど、それ以降の活動の指針となる大事な一年でした。

ずっと派手な活動をしていると消耗していくだけなので、時にはじっくり腰を据えて自分の専門性を高めて、引き出しを増やす&深める大事さを学んだよ。

【2017〜2018】発酵文化人類学がブレイク!

初の一般向け書籍『発酵文化人類学』に全精力を傾けた一年でした。雑誌の連載内容を全て破棄し、かつて誰も試みなかったようなユニークな本を目指してひたすらフィールドワークと研究に没頭。考えなしに出張しまくり、文献を買い込んでしまったため100万円以上の赤字を出し、重版しないともとが取れないという窮地に。

そこで「いかにして無名の著者によるニッチな本がベストセラーになるのか?」と出版業界の仕組みを研究。盟友、かもめブックスの柳下おじさんの入れ知恵をもとに、著者自身によるDIY流通開拓にチャレンジすることに。

・一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。

出版前から発酵コミュニティとやりとりしながらできあがった『発酵文化人類学』は、わかりやすい入門書にしたいという出版社の意向に反し、発酵を起点に人類学、生物学、経済学、デザイン、アート、宗教、ITやバイオテクノロジーの未来までごった煮になった400ページの大著に。「どこの棚に置いたらいいのかわからん、そんなヘンな本が売れるんかい?」という不安をよそに、口コミでどんどん広がり三万部を超すスマッシュヒットに。

あわせて2017年の春から秋にかけて全国出版ツアーを敢行。北海道から沖縄まで55ヶ所を巡り、100人超えの会場がいくつもあらわれる謎の盛り上がりを記録。
その盛り上がりとシンクロするように、大手文芸誌や新聞、テレビやラジオなどマスメディアに書評やインタビューが掲載されまくり、いわゆる食としての発酵という枠を超え『カルチャーとしての発酵』という概念が確立(たぶん)。

・発酵デザイナー、美術手帖の表紙を飾る!

【2018〜2019】活動の集大成、発酵ツーリズム展開催

そして5年目の現在地。
冒頭で書いたとおり、美術館デビューしたり技術開発したりを経て、これまでの活動の集大成となるヒカリエでの展覧会“Fermentation Tourism Nippon”プロジェクトをスタート。

2018年の夏から8ヶ月かけて全国の知られざる発酵文化を蒐集し、各土地の文化と歴史、気候風土を体系化していくという壮大な企画に全力投球することになりました。47都道府県全部まわるだけでも大変なのに、山の中の集落や辺境の海辺、どうやってたどり着いていいのかわからない離島などを七転八倒しながら訪ね歩き、にわかには信じられないような光景を目にしました。

そこで出会った人々の暮らし、自然、隠された歴史があまりにも凄まじすぎて、この21世紀になってもまだ「忘れられた日本人」がいたことに衝撃を受けました(で熱が出て倒れた)。

2018年の年末年始には展覧会の資金を集めるクラウドファンディング企画が祭りとなり、なんと600万円近い支援を集めました。みんなありがとう…

そして旅の終わりが見えた1月の終わり、展覧会のクリエイティブディレクターのRe:S藤本智士さんからの、

「オレはヒラクの旅行記読みたいわ〜」

の無茶振りすぎる鶴の一声で書き下ろし新著の出版が決定。旅の連続で朦朧としながら執筆し続け、精神完全崩壊の一歩手前まで追い詰められながら『発酵文化人類学』のさらにその先の世界を掘り下げていきました。

・『日本発酵紀行』まえがき先行公開!

共催のD&DEPARTEMENTやRe:Sチームのみんなとボロボロになりながら準備を終え、いよいよスタートした展覧会。オープニングイベントもプレスツアーも超満員、ふだんのd47 MUSEUMでは考えられないほどの入場者数と商品の売れ行きを記録し、素晴らしいスタートダッシュを切りました。

・発酵ツーリズム展、絶好調でスタート!

さらに!文字通り魂を削って書いた『日本発酵紀行』も発売前からとんでもない盛り上がりを見せ、初版3000部→予約殺到で校了前に5000部に変更→さらに予約殺到で発売前重版出来という信じられない展開に。現時点でD&Dにある在庫が底をつき、6月前半まで新規注文停止という緊急事態だよ。ビックリ!

・『日本発酵紀行』発売前重版出来&事前注文ぶん発送スタート!

一年以上かけて準備してきた大プロジェクト、これ以上ないスタートダッシュを切って嬉しすぎる。これもひとえに応援してくれるみんなのおかげです。多謝!

この5年間を振り返ってみると、微生物と醸造家たちに導かれて先へ先へと進んだ本当に楽しく充実した日々でした。ありがてぇ…。

36歳は、再スタートの年だ!

5年間、色んなことがありました。東京でデザイナーやってた時代が遥か大昔のようです。

でね。
今回の展覧会と新著のプロジェクトで、5年前の自分が「ここまで辿り着きたい」と思っていた場所に来たような感があります。それなりに頑張った証ということで、嬉しくもありますが同時に先に進む先が見えない危うい状況でもあります。

そこで。今年のテーマは「再スタート」にすることにしました。
もう一回基礎体力をつけて、次なる山の頂に登る準備をしなければ。で具体的に何をするかというとだな。

・博士になるまでの勉強をはじめる
・海外での本格的活動の足がかりをつくる
・新しいことをやらず、これまでの仕事を発展させる

展覧会が終わったら、もう一回初心に戻って「学ぶ人」になりたいと思います。まだ基礎をやっただけの生物学を、博士号取るまでちゃんとやる(たぶん数年かかる)。海外でも専門家として活動できるだけの基礎体力をつける(語学とか中途半端だし)。

つまり「さらに上を目指して勉強しなおすよ」ってことなんだけど、そのためには仕事の仕方を工夫する必要があります。なので、新しいプロジェクトに時間を割くのではなく、これまでやってきた仕事を仕組み化して、事業として回るようにしなければ。

ということで、今年やることはこんな感じ。

▶ラボを本格稼働。 NukaBotをお披露目します

去年からコツコツ建設していた発酵ラボがようやく稼働できるようになりました。そしてただいま絶賛開発中の情報学者ドミニク・チェンさんとデータサイエンティストのソン・ヨンアさんとの共同プロジェクト『NukaBot』がお披露目になります。これを足がかりに本格的な研究プロジェクトがいくつかスタート。研究機関とガチでリサーチします。抜けるぞ…不気味の谷を…!

▶6月に『発酵文化人類学』のヨーロッパ講演ツアーやります

6月の半ばから、イタリア〜チェコ〜ハンガリー〜フランス〜スペインの五カ国をまわる自分史上最大のヨーロッパツアーがスタートします。現在翻訳プロジェクト進行中の『発酵文化人類学』の講演&ワークショップツアーで、色んな財団から資金提供してもらってのガチの国際交流プロジェクトです(これまでは私企業や個人との関係での仕事でした)。

▶法人化します

いよいよプロジェクトの規模が大きくなって個人の手に負えなくなってきたので法人化します。これまでの仕事をパッケージ化したいというオファーがけっこうあるので、法人としてこれまでの実績を事業化できたらいいなと思っています。
とはいえ企業理念を掲げて派手に起業するぞ!という感じではなく、あくまでこれまでの延長線として、みんな気づかないうちにしれっと法人化している予定です。「あれ?請求書の宛先変わってるな」ぐらいな感じでよろしくどうぞ。

あと。学生として所属できる研究室を探しています。発酵というよりも生物学を学び直したいので、なじみの研究者の皆様にご相談させてもらうこともあるかと思うので邪険にしないでね。

それでは36歳も引き続き朗らかかつ愉快に頑張るぞ…!

【追記】五年間を振り返ってみると、僕の活動は本当に周りの応援で成り立っていたなと痛感します。プロジェクトを支援してくれたみんな、悩んだ時にたくさんのアドバイスをくれたプロデュースおじさんたち、醸造界のみんな、そしてずっと隣で支えてくれた五味兄妹と民ちゃん。本当にどうもありがとう。

『日本発酵紀行』発売前重版出来&事前注文ぶん発送スタート!

事前注文ぶんを受け取った最初の一人は、ナチュラルハーモニーのおふくろ男子!

新著『日本発酵紀行』、いよいよ皆様のもとに届き始めました。
発売される前からとんでもない祭りが起きています。

事前注文ぶんを発送しました

今週、D&DEPARTMENTの九品仏本店倉庫で1500冊近くサインを書き終え、事前注文してくれた個人&お店のもとへと配送されていきました。

そして!
本を送ってみたらば、初版5,000部がすっからかんになった…!


出版担当田邊さん「ヒラクさん!注文がいっぱいで展覧会場の本ももうすぐなくなります。急いで重版しますねー!」

ということで。校了前の初版部数上乗せの次は、一般発売2週間前に重版出来という異常事態が発生しています。これもみんなの応援のおかげ。ありがてぇ…!

SNSで感想シェア&本屋さんに買いに行ってね!

ということでみなさまにお願い2つ。

▶本の感想シェアしてほしい!
『日本発酵紀行』を読んで面白かったら、ぜひ!SNSやブログ、あるいは友人やご家族に「面白かった!」と感想をシェアしてほしいデス。

早速素敵な感想が届きはじめています。不特定多数の人に向けはちょっと…という人は僕に直接でももちろん。

本屋さんで先行発売スタート!
そして。一般発売5/24に先駆けて、太っ腹注文してくれた本屋さんでフェアがスタートしています。5月末の増刷のタイミングまで本の在庫すっからかんなので、一刻でもはやく欲しい!という人は下記本屋さん&お店にダッシュだ!

東京周辺:
青山ブックセンター
かもめブックス
Readin’Writin’ BOOKSTORE
湘南 蔦屋書店
中目黒 蔦屋書店
銀座 蔦屋書店
BOOK LAB TOKYO
H.A.Bookstore(リトルトーキョー)
RECOBOOK
吉祥寺 閒

愛知:ON READING / 一期家一笑
大阪:LVDB BOOKS / blackbird books
京都:恵文社一乗寺店
山梨:春光堂書店  /五味醤油
沖縄:カフェユニゾン
群馬:REBEL BOOKS
香川:本屋ルヌガンガ
岡山:スロウな本屋
宮崎:蔦屋書店延岡エンクロス店
長野:問tou
北海道:相沢食料百貨店

それでは、魂込めて書いた新著『日本発酵紀行』をどうぞよろしくおねがいします。
なにとぞ…なにとぞ…!

発酵ツーリズム展と新著のイベント告知が僕の限界を超えた件について

これは困った…!告知がもう僕の手に負えない!
D&DEPARTMENTの皆さま、力を貸しておくれ…

GW直前に開幕した渋谷ヒカリエ”Fermentation Tourism Nippon”展。
いよいよ今週末11日から関連トークイベントシリーズが開幕します。全国各地から愉快なゲストが登場して発酵文化について話しまくる&食べまくるイベントを展覧会場で開催するのです、が!

こ、告知が追いつかない〜!!

展覧会自体のメディア掲載や、展覧会とあわせて発刊される僕の新著『日本発酵紀行』の出版関連のニュースなど、告知することが多すぎてもう僕のキャパを超えた…!!

ていうかね。
8ヶ月にも及ぶ47都道府県ツアーと新著の書き下ろしで完全に精神がやられ、そこからの展覧会スタートの異様はハイテンションの落差がスゴすぎて、僕は完全に躁鬱状態になっていた(と一昨日くらいに気づいた)。

躁状態になると自分のキャパシティを超えても「どんどんいくぞー!」というふうになるんだけど、いやしかしこの情報量は物理的に一人の人間には手に負えない。
この無理ゲーにテンション任せで挑むと僕の人格は確実に破綻するであろう…涙

そこで自分で全て抱え込まずに、手放すことにしました。
事務局のD&DEPARTMENTの皆さま、発酵ツーリズムのスタッフ&コミュニティの皆さま、僕がポンコツであるという前提のもとに広報を手伝ってください。

せっかく全国から色んな人達が来てくれるのだから、お客さんと一緒に盛り上がりたい!
と切に願っているので僕もやれるだけ広報がんばりますが、たぶん手が回らない。

力を貸しておくれー!

展覧会トークイベントシリーズはこちら!

まず直近に開催されるのはこの3つ!

▶5月11日(土) 18:00-19:30
発酵ツーリズムトーク「愛知県 三河みりん」編 ★受付はこちらから
出演:三角祐亮(角谷文治郎商店)/小倉ヒラク

東海旨味調味料の代名詞、みりんを試飲しながら徹底的に堪能します。

▶5月12日(日)15:00-16:30 
発酵ツーリズムトーク「岐阜県 鮎文化」編 ★受付はこちらから
出演:蒲勇介(ORGAN 理事長)/泉善七(川原町泉屋 5代目 代表取締役)/小倉ヒラク

岐阜、そして全国の鮎文化を牽引する泉善七さんと僕の岐阜の兄貴分、蒲勇介さんが超ヤバい鮎のなれずしと日本酒を持ってやってきます。

▶5月18日(土)15:00-16:30  
発酵スクール 「種麹屋に学ぶバイオテクノロジー」★受付はこちらから
出演:村井 裕一郎(ビオック 代表取締役社長) /小倉ヒラク

今回のメインスポンサー、種麹屋のビオック村井さんと麹文化、そしてバイオテクノロジーについて語り尽くします。今回のトークイベントシリーズ屈指のディープ回になる予定。

そして毎週金曜夜は展覧会場横で角打ちもやっています!

★★イベント一覧はこちらから★★

出版イベントツアーはこちら!

そして!ヒカリエ展覧会場の外では新著『日本発酵紀行』の出版トークイベントも開催されるんだよ。去年からずっと僻地を旅して人前に出てこなかったのに、今度は一転してイベントいっぱい。極端すぎる…!

▶5月12日(日)18:00- 青山ブックセンター
『日本発酵紀行』出版ツアーキックオフ ★受付はこちらから

出演:小倉ヒラク

いつもお世話になっている青山ブックセンターから出版ツアースタート!
今回の展覧会、そして書籍を巡る旅のとんでもないエピソードをみんなにとことん語ります。

5月16日(木)18:00- 中目黒蔦屋書店
発酵する旅 川内有緒×小倉ヒラク対談トーク ★受付はこちらから
出演:川内有緒(ノンフィクション作家)小倉ヒラク

小屋仲間のアリオさんとの対談。旅とローカルの楽しさについてあれこれ話します。アリオさんの著作『空をゆく巨人』について僕も色々聴きたいことある!

5月20日(月)19:00- BOOK LAB TOKYO
小倉ヒラク × 山下優『日本発酵紀行』出版イベント ★受付はこちらから
出演:山下優(青山ブックセンター店長)小倉ヒラク

ABC店長の山下さんと「本の届け方と流通」のテーマで身も蓋のない話をあれこれします。コルクラボとBOOK LAB TOKYOのコラボ企画。メディアや出版業に興味のある人ぜひどうぞ。

5月23日(木)18:00- 田原町 Readin’ Writin’ BOOKSTORE
小倉ヒラク「日本発酵紀行」刊行記念トークイベント ★受付はこちらから
出演:小倉ヒラク(あとできればゲストを呼びたい)

東京東側エリアに登場した注目書店でのイベント。まだ詳細決めてないんだけど、この日はふだんと違う趣向でやろうかなと思っています。

そして6月からは地方でのイベントも始まっていきます(詳細はまたイベントページ立ち上げます)。発酵ツーリズム展に興味のある方はぜひぜひ!遊びにきてください。

 

えーとね。
これだけ近い期間にイベント重なってるとさ、集客も限界あるじゃん。
だから人数少なめのアットホームな回も必ず出てくる。でもね、そういう時ほど僕は本気で話すよ。なぜなら小さい集まりの時ほど後々長く続く良い出会いがあったりするからなんだ。

どうぞご都合あうときにヒカリエ会場 or 本屋さんに遊びにきてください。
待ってるよー!

 

発酵ツーリズム展、絶好調でスタート!

渋谷ヒカリエ”Fermentation Tourism Nippon”展、4/26からついに開幕しました。オープニングイベント後も設営の細かい部分を調整したり、追加物品を手配したりしていてドタバタしていたのですが、ようやく一段落して山梨の我が家に帰ってきました。

めちゃくちゃお客さん入ってます

「全然お客さん来てくれなかったらどうしよう…」とドキドキしていたのですが、フタを開けてみれば会場は連日大盛況。

海外の人にも大好評。

めちゃくちゃ売れてます

併設の期間限定ショップ『発酵デパートメント』もとんでもない売り上げ…!マニアックすぎる発酵食品が飛ぶように売れ、欠品続々。ちなみに最もハードコアな商品であるビオックの種麹(コウジカビの胞子)もどんどん売れていくという謎…!

https://twitter.com/yucca88/status/1123077626766118913

https://twitter.com/Kukkaru_Amami/status/1121791945292914688

めちゃくちゃ褒められてます

そして!SNSや会場のアンケートでも「面白かった!」という感想多数。うれしいーーー!!!

https://twitter.com/__727171/status/1122860974015303685

https://twitter.com/kenttto/status/1122773366719438848

めちゃくちゃリピート必至です

https://twitter.com/unlog_PR/status/1122488658546679810

なお、藍染すくもの水打ち顔ハメパネルと、小豆島の木桶の記念写真がものすごく人気です。

めちゃくちゃイベントやります

ということで。素晴らしいスタートダッシュを切った”Fermentation Tourism Nippon”。ここから怒涛のイベントが始まっていきます。

☆☆イベント一覧はこちらから☆☆

イベント第一弾は、5/3夜19:00から『甲州ワイン角打ち』★予約不要!
山梨からおなじみ五味兄妹と、『発酵文化人類学』に登場した、マルサン葡萄酒の若尾くん、ソレイユワインの鈴木さんも登場!県外に出ないスペシャル甲州ワインを堪能しましょう。

5月11日(土) 18:00-19:30  発酵ツーリズムトーク「愛知県 三河みりん」編【★受付中】

5月12日(日)15:00-16:30  発酵ツーリズムトーク「岐阜県 鮎文化」編【★受付中】

5月18日(土)15:00-16:30  発酵スクール 「種麹屋に学ぶバイオテクノロジー」【★受付中】

と続いていきます。みんな遊びに来てね。
展覧会面白かったらぜひお友達に紹介したり、SNSなどでつぶやいてね。
ハッシュタグは、#発酵ツーリズム

【追記】ただいま一生懸命クラファンや書籍の発送準備をしています。GW明けにお届けしますのでしばしお待ちを…!

 

記憶の方舟。展覧会オープニングイベントのスピーチ原稿

4/26から始まった渋谷ヒカリエの展覧会”Fermentation Tourism Nippon”。オープニングイベントで人生初のスピーチ原稿を用意しての挨拶をしました。「かしこまりすぎてみんな寝ちゃうんじゃないかな?」と心配だったのですが、思いのほか好評で原稿を公開してほしいという要望があったのでブログに掲載しておきます。興味ある方はご一読どうぞ。

記憶の方舟

海、山、街、島。
日本の各地には、多種多様な発酵文化が受け継がれています。

穀物にカビをつけ、杉と竹でつくった巨大な桶で穀物を酒や調味料に醸し、それを船に載せて日本列島の隅々、朝鮮半島や中国にまで運んでいく。
山に囲まれた集落、断崖絶壁の孤島、都から落ち延びてきた一族が逃げ込んだ辺境。外から何も持ってこられない環境で、限られた資源を加工して生き延びていく。

僕が日本各地で出会ったのは、日本に住む人々が生きてきた数百年、千年の面影でした。

夏の野菜を麹や塩と混ぜ、寒い時期の食料に加工する。
短いシーズンに膨大に取れる魚を漬けて、来年の魚の群れの到来を待ち焦がれる。
風や潮の流れを読み、雨や雪を恐れながら、気まぐれな自然のふるまいから恵みを得ようと蓄積した知恵の重み。

蒸し暑い夏と、凍てつくような冬の厳しさ。頻繁に訪れる地震や台風、洪水などの災害、疫病。日本の多くの土地は、人間が生きやすい環境とは言えない。この日本列島に生きる人々は、限られた食材を腐らせないように、試行錯誤を繰り返していきました。

そのなかで出会ったのが、目に見えない自然。微生物の力です。
田んぼの中に棲み着いていたコウジカビ、作物に付着している乳酸菌や酵母などの存在に気づき、最初は自然の成り行きにまかせていた現象を、再現性のあるレシピにしていった。

これが発酵です。この発酵の技術を1000年以上に渡って積み上げた先に、今の僕たちが享受している、そしてこの展覧会の場に集まっている日本ならでは発酵文化ができあがっていきました。

厳しい自然環境、災害に加え、大和朝廷の成立以降、仏教の戒律で肉食が禁止されたことで、日本の発酵文化はさらなる不思議な発展を遂げていくことになります。一年を通して食材を確保でき、消化の負担をかけず栄養を摂取できる家畜の肉や乳を食べることができない。栄養摂取のショートカットを禁止された日本人は、かたい植物の繊維質を微生物の力で栄養に分解し、魚食の食中毒のリスクを発酵で取り除いてきました。

この栄養摂取の「迂回プロセス」が、結果的にこれほどまでに多種多様な発酵食品のバリエーションをかたちづくっていきました。

不思議な話ですが、いつ、どこでも望むものが手に入る自由のなかでは工夫の知恵は生まれません。理不尽な制限のなかでこそ、日本に生きる人々の創造性が育まれてきたのです。

この展覧会は単なる物産カタログではなく、この島国のなかで生まれた市井の人々のクリエイティビティを集めたもの。

自然と向き合い、目に見えない生物と対話し、手と身体を使って生み出されたクリエイティビティ。その象徴がこの場に来てくれている醸造家のみなさんです。

僕は旅のあいだ、会場に写真が展示されている勝子おかあさんの手のことをよく思い出していました。鳥取の山の集落で50年以上柿の葉寿司を握ってきた勝子おかあさんの手。寡黙な勝子おばあちゃんの口のかわりに、その丸っこい手のかたちは言葉とは違うかたちの記憶を雄弁に語ってくれました。

勝子おかあさんの握る柿の葉寿司は、食べる物語でした。

智頭の柿の葉寿司は、お盆の終わりを告げる精進落しです。
ご先祖様が海から帰ってくるお盆のあいだ、海に出ることはできない。そしてご先祖様が帰った後に、ねぎらいの気持ちを込めて海の幸を食べる。おすしにはそんなご先祖様とのつながり、共同体のつながりを確認する信仰が宿されているのです。

この会場に集った47の発酵文化は、その土地に生きた人々の思いを運ぶ、記憶の方舟です。

発酵文化を紐解くということは、日本に生きる人々の歴史を辿るということ。
生き延びる知恵を、見えない自然・微生物に学び、コミュニティをつくり、文化をつくる。厳しい制限のなかで紡がれてきた驚くべき多様性と創造性。

生き延びるための知恵として生まれた発酵文化は、なんでも簡単に手に入る便利な時代には不要なものとして忘れ去られてく運命なのでしょうか?

僕はそうは思いません。

そこに展示されている木桶を見てください。滅びるはずだったはずの木桶づくりの技術が、小豆島の小さな醤油屋さんによって継承され、さらに日本全国の醸造家が小豆島に木桶づくりを学びにいく。木桶の文化が日本中の醸造家たちをつなぐコミュニティをつくっているのです。

発酵文化には、日本各地の文化を新しく見出すための大事なヒントとして、地域のコミュニティや産業をつくるための拠りどころとしてのたくさんの可能性があるはずだと僕は信じています。

発酵を通して、この日本という国の過去と現在と未来をみんなに伝え、問いかけること。

これが僕が今回の展覧会でやりたかったこと、もっと言えば、全国で出会った人々から託されたバトンだと思っています。

きっかけはこの展覧会の事務局長D&DEPARTEMENTの黒江美穂さんとの出会いでした。
最初は二人から。そしてそこからだんだんチームメンバーが増えていき、さらに一年半が経ち、この会場に集ってくれた皆さまはじめ1000人をはるかに超える人達に応援してもらって、こんなにも素晴らしい場をお祝いできるところまでたどり着くことができました。

僕たち一人ひとりの中に流れている、見えない物語。
自分の生まれた土地に眠っている、暮らしの記憶。

どうぞ、微生物の視点から見た「もう一つの日本のかたち」に立ち会ってください。

発酵は、記憶の方舟。そして未来に漕ぎ出すための船。
Fermentation Tourism Nippon。皆さまと一緒の船出を本当に誇らしく思います。

これで僕のスピーチは終わりです。どうもありがとうございました。

“Fermentation Tourism Nippon”展ができるまで。時系列でフラッシュバック!

4/26から始まる渋谷ヒカリエd47 MUSEUMの展示会”Fermentation Tourism Nippon”。
ものすごくたくさんの人が期待&応援してくれていて、本当に嬉しいかぎりです。

で。
書籍出版!クラウドファンディング!イベント!商品販売!と情報が行き交って「どどど、どういうこと?」と思っている人も多いと思うので、今のこの状況を時系列で整理したいと思います。

こんな感じでプロジェクトが進んでいっているよ!

▶プロジェクトのスタート:2018年1月頃


ヒカリエでの最初の作戦会議の一コマ

前から僕のワークショップに参加してくれていたD&DEPARTMENTの展示会担当、黒江美穂さんとの出会いが全てのきっかけ。たまたまヒカリエに寄って世間話していた時に、当時テレビ局との仕事でたまたま整理していた47都道府県の発酵食品リストの話に。そしたら黒江さんと

「あ、うちで展覧会できるかも…」

という話になり、気がついたらD&D社内の企画会議でも決済がおり、47都道府県のローカル発酵を紹介する展示会という今回の企画の元型が生まれました。

▶企画のエクストリーム化:2018年春頃


プロジェクトスタート時のバナー。僕自身ほんとに47都道府県行くとは思ってなかった…

こうして始まった展覧会企画。当初はふだんD&Dがやっているような、全国から出展者を募り、スポンサー料や商品、情報を集める形式で開催するつもりが、リストにあった発酵食品を作っているところの多くが家族経営、あるいは個人の手づくり。なので普段の形式は到底ムリ。

「もしかしたらコレ、僕が全国まわってモノと情報を集めてくるしかないのでは…?」

ということに気づいたあたりから、企画がエクストリーム化
手間と時間と予算が膨れ上がり、通常の枠組みでは開催できない。つまりお金を集めなければいけない。お金を集めるためには、意義があり、面白く、しかも常人がやらないような突き抜けた企画でないといけない…!

今振り返ってみると、ここで引き返してもよかった。企画をおじゃんにして然るべきだったのだが、僕と黒江さんにはなぜか「やめる」という選択肢がなかった

47都道府県の発酵文化を体系化し、日本文化とは一体何かを問いかける。
謎に壮大なチャレンジがスタートしてしまったんだよ汗

▶プロジェクトチーム結成:2018年春〜秋にかけて


様々な組織や立場のメンバーが集まる愉快なチーム

生半可では絶対にお金も集まらないし、興味も持ってもらえない。
そのためには、何が必要か?まずはイケてるチームが必要だ!

今回キーになる役割は2つ。お金をつくる事業プロデューサーと、圧倒的クオリティをつくるクリエイティブディレクターだ!と考えたついたところで、友人のgreenzのプロデューサーおのっちを下北に呼び出して口説き、尊敬する先輩、Re:Sの藤本智士さんを関西にたずねていって口説いた。半ば無理やりYESと言わせてしまったのだが、この二人がチームに加わって暮れた時点で、プロジェクトの運命の70%くらいは決まった…!とガッツポーズ決めたよ。

・FermentationTourism Nippon 〜発酵から再発見する日本の旅〜 | 藤本智士

そして。greenzおのっちの「まずは企業スポンサーを呼びかけよう!」というアイデアから企画書をつくり、事業体制をつくり、営業資料を揃え、僕のブログで呼びかけたところ、すぐに手を上げてくれた、北海道北見のバイオメーカー、環境ダイゼンの窪之内さんと愛知県豊橋の種麹メーカー、ビオックの村井さん。この二社が「スポンサーやります!」と名乗り出てくれたおかげで、プロジェクトをスタートできる資金の目処がつき、いよいよ本格的に事業がスタート。この二社には本当に、本当に感謝しています。ありがとう…!

・コンテンツメーカーはプロデューサーにはなれない。だから僕は、「つくる or die!」まで振り切る。 | greenz.jp

▶47都道府県を巡る旅がスタート:2018年夏の終わり〜


特別協力のALL YOURSの服を調達していざ旅へ出発!の瞬間


今回の展覧会のテーマは旅!タイトルは”Fermentation Tourism Nippon”で行こう!」

藤本さんの提案で企画の方向性が決定。発酵の視点で日本を再発見する旅の一部始終が展覧会になる。そして旅の途中経過がコンテンツになってそれが広報になる…という道筋が見えたのが2018年の夏。そして発酵食品の仕込みが本格的になる秋の手前に、旅をスタートすることに。

47都道府県の発酵文化を訪ねる旅。ただでさえ大変そうなのに、さらに自分を追い込むルーツを3つ設定してしまった。

特にハードコアなのが①で、これはつまり全国どこにでもあるメジャーな日本酒や醤油、味噌に逃げることができない。つまりその土地ならではの個性派ローカル発酵文化を見つけ出さなければいけない、ということ。

しかもたまたまあるメーカーが作っていた、ではダメで最低三代くらいは歴史が継承されていないといけない。しかも現地に実際入って、それが作られている現場と土地の景色を見てこなければいけないという妥協を許さぬ設定に七転八倒しながら各地の発酵文化を訪ねていきました。

途中で何度も心が折れて挫けそうになったり、病気や過労で倒れたりしながら全国を周りました(しかも大半はたどり着くだけでも大変な辺境とか離島)。

宿がなくて野宿したり、タクシーすら拒否される寒村に向かって延々3時間くらい歩き続けたり、山道をかきわけて、漁師の船をヒッチハイクして、飛騨の雪山で遭難しかけて…と虚弱体質の僕にはなかなかにしんどい思いをしながら、素晴らしい景色の数々に出会うことができました(でも今でもたまに夢でうなされる)。

▶クラウドファンディングで600万円集める:2018年秋〜2019年始

次に挑戦したのが、クラウドファンディング。しかも目標調達額500万円

・47都道府県の知られざる発酵食品が大集合!発酵から日本を再発見する展覧会を開催! | CAMPFIRE


「いやほら、今回俺たち大きいことやるから!って気合い見せたいじゃない?」

というおのっちの広げた大風呂敷に賭けて、CAMPFIREでのクラファン企画がスタート。当初スロースタートで周りから「さすがに500万円はムリでは…」と心配されたものの、おのっちも事務局スタッフも(あと僕自身も)「絶対いける!」と謎の自信。

ラスト一週間で400万近くの支援をもらい、見事サクセス。というか目標額を超える約600万円が集まり、つまり予算をかけて展覧会をつくりこめる目処が立ってきた!と事務局一同気合が入る。

なお、このクラファン企画の盛り上がりで展覧会自体の注目度も大幅アップ。2019年始から取材のオファーがどんどん来るようになりました。まだ開催してないのに。汗

▶100人でキックオフイベント!:2018年末


ヒカリエで行われたイベントの様子。異様な盛り上がり…!

資金の目処がつき、デザイナーの財部裕貴さん、広報の大木聡子さん、事務局のQちゃんこと河野 奈保子さんたちが加わり、ついに展覧会の全容が見えてきた…というタイミングでキックオフイベントをやることに。

「何やるのかよくわからない展覧会の準備イベントにいったい誰が来るのか?」

とドキドキしながら当日を迎えたら、なんと100人の超満員
僕の旅のレポートをお話して、みんなで発酵珍味を食べて盛り上がりました。

ていうか本音を言うとだな。この日のみんなの顔を見て

「きっとこの企画は面白いことになる…!」

という実感が湧いてきたんだな。みんなありがとう…!

▶書籍化プロジェクトがスタート!:2019年1月〜4月

無事キックオフイベントとクラウドファンディングが成功し、旅の大詰めを迎えた頃に、


俺、ヒラクの旅行記が読みたいな〜!

という藤本さんの鶴の一声により、最も体力消耗の激しい時期に本を一冊書き下ろすことに(当初はカタログ制作のつもりだった)。それが1月、お正月が終わってしばらくしてからのこと。編集のRe:S番頭の竹内厚さん、ブックデザイナーに堀口努さんが参加。書籍の制作が本格スタートしました。

そこから2月〜3月の二ヶ月間はこれまでの人生の中でもトップクラスの地獄でした。毎日旅を続けながら、夜なべして原稿を書き続け、そして合間に展覧会の取材を受けたり寄稿したりという余裕あ1ミリもない日々。大変すぎて記憶があんまりない…!

2月後半から3月前半にかけての僕のツイートを見返すと何言ってるのかさっぱりわかりません。アタマがショートしてたんだ、きっと。

▶翻訳プロジェクトがスタート!:2019年2月〜

そしてさらなるチャレンジ。僕の海外の友人たちがこのプロジェクトに興味を持ってくれているらしく、展覧会を日英バイリンガルにすることに。さらに英訳付きの展覧会カタログ制作も決意。柳澤円さんを中心の翻訳チームが結成され、英語化のためのクラファン企画第二弾がスタート。4/25まで絶賛支援募集中なのでどうぞよろしくおねがいします。

・Japan Fermented Food Catalog 日本の発酵を世界へ! | CAMPFIRE

▶書籍の事前予約スタート、まさかの校了前重版!:2019年4月

4月。いよいよ展覧会まであと一ヶ月!というタイミングで書き下ろし書籍『日本発酵紀行』の事前予約をスタート。

前作『発酵文化人類学』の時もやった企画なのですが、今回は個人に加えて本屋さん向けの買い切り注文も呼びかけてみました。

そ!し!た!ら!!
とんでもない奇跡が!ブログフォームのアラームが鳴りっぱなしの予約祭りがスタート。4/18の時点で、個人注文が1200冊超、本屋さん注文が900冊、つまり2000冊以上の本の注文が決まってしまった(ほぼ全部買い切りなので返品もなし。スゴい…!)

しかも予想もしていなかった事態が。

流通的にいうと、もはや書籍というよりはモノとして売れている僕の新著。事務局一同ビックリするような数の注文がきて、なんと…

本が校了する前に実質増刷が決まってしまった…!
ひょえーーー!!!

▶展覧会まであと一週間!イベント告知スタート:2019年4月半ば〜


オリジナル提灯を手にご機嫌の事務局長、黒江さん

で、今ココ。展覧会開催に向けてのラストスパート。
展示ボードをつくったり、展示する民俗資料を全国から集めたり、食堂で幻のレシピを再現したり。

今回はなんと!単に蒐集するだけではなく、自らの手での再現までやっています。

そんな激レアな発酵食品は、もちろん展示するだけでなく実際に食べることができます。
左から、「麹づくし定食」「旨味づくし定食」「珍味づくし定食」。
展示期間の前半、中盤、後半とメニューが切り替わっていきます。特にすさまじいのは展覧会終盤に登場する「珍味づくし定食」。何それ?という食材のオンパレード。

期間中には僕セレクトのお酒も登場します。どうぞお楽しみに!

さらに!ミュージアム併設の『発酵デパートメント』をオープンします!やっほー!
2/3くらいの展示品が実際に買えるのと、僕とD&D事務局がセレクトしたナイスな発酵プロダクトがゲットできます。食品にとどまらず、微生物消臭剤とか、微生物自体(種麹)とか買えるよ!「これ誰得?」と思われようが面白そうなものを集めまくるぞ!というスタンスのこちらも期間限定のポップアップショップです。

全宇宙の発酵クラスタよ…爆買いするしかない…!

まだある…!
展覧会期中、イベントを多数開催します→イベント第一弾リストはこちら。

全国からめちゃくちゃ愉快な発酵仲間たちが大集合!そして目玉は10週連続角打ち。会場を角打ち会場にして飲み会やります(予約不要)。毎週発酵のスペシャリストをゲストに、週替りのお酒メニューで盛り上がります。

まずは、4/26のオープニングイベントと、5/3の『甲州ワイン角打ち』にカモン!

ということで。
開催前にしてビッグウェーブがきている”Fermentation Tourism Nippon”をどうぞよろしくお願いします。黒江さんはじめ、広報の清水さん、シェフの中山さん、出版の田邊さん高木さんたちD&Dの皆さま。これからが祭りの本番だ…!

たくさんの土地の、たくさんの記憶を載せて、いざ船出!

【超速報】新著『日本発酵紀行』なんと校了前に初版部数上乗せ!実質発売前重版…?

みんな聞いてください。大ニュースです。
僕の新著『日本発酵紀行』、発売一ヶ月以上前にしてはやくも増刷の事態となりました。

まだamazonの予約すら始まっていないと状態でなぜ…?
というのもだな。このブログで呼びかけた事前予約の申込数がとんでもないことになったからなんだよ。みんな…ほんとに…ありがとう!

個人の事前予約、1000冊突破!

4/1からスタートした事前予約、初日で250冊、3日で500冊、二週間目の締切4/15の時点で800冊強、さらにクラファン予約ぶんの200冊を足すと1,000冊を超えている…!

前作『発酵文化人類学』は二ヶ月やって800冊弱だったのを考えると、とんでもないことです。すすす…すごいよ…!

お店の事前注文、1500冊突破!

さらに。本屋さん向けに事前予約を呼びかけたところ、こちらもとんでもないことに…。

日本全国のナイスな本屋さんから、太っ腹注文が続々…!
ううう、嬉しい〜!さらに大手書店からも新著の噂を聞きつけての太っ腹注文が続々。さらに!この呼びかけは思いもかけない方向に…

どひゃー!本屋さんじゃないとこからもこんなにも注文が…!

ていうか、全体で言うと本屋さんではなく、セレクトショップや飲食、小売店からの注文のほうが多い。なかには教室やコミュニティなど、もはやお店ですらないところからも…。

嬉しすぎる。

校了直前ですが、増刷します。

気がついたらとんでもない冊数の引き取り手が決まっていた新著『日本発酵紀行』。なんて幸せな子なんだ…!


ヒラク「えーと。個人で1000冊、お店で1500冊、残り500冊は展覧会用。ということは…?」


D&Dの出版担当、田邊さん「ヒラクさん。初版3000冊じゃ足りないですね…」


ヒラク「つまり…?」


田邊「発売前、というか校了前なので初版部数変上乗せしましょう。5000冊に!


ヒラク「なんとー!これが世に言う校了前増刷というヤツですね…!」


(ヒラクさん以外からそんな単語聞いたことないけどね…)

ということで。
土壇場でミラクルが起きた!すげーーーー!!!
みんなほんとにありがとう。

新著『日本発酵紀行』、まさかの事前重版出来状態からの船出です。47都道府県の発酵文化を巡る旅。おなじみの醤油や酒から、知られざるローカル発酵文化まで。現代社会に隠された異世界のレイヤーへと皆さまをお連れします。

前作『発酵文化人類学』とは一味、というか五味ぐらい違うディープな旅行記。
・『日本発酵紀行』まえがき先行公開!

どうぞお楽しみに!

おそらく腱鞘炎確定です


前回のサイン風景。800冊で丸二日間かかりました

いやあほんとによかったよかった。
直接の買い切り注文が1500冊以上。ほんとにDIY流通の鏡。自分を褒め称えたい…!


………
…………あれ?1500冊?に?サイン?するって……どういうこと?


田邊「ヒラクさん。D&DEPARTMENTの倉庫、3日間確保したんで!サインよろしくおねがいします!」


(3日で足りるかな…?てかこれ絶対腱鞘炎確定だな)

to be continued…

【補足】なお『日本発酵紀行』のお店向け事前予約、4/24まで受付中です。先行販売やイベント開催できる権利や、ノベルティもついてきます。僕の腱鞘炎を促進させてください。よろしくお願いいたします。ペコリ。

・【店舗売り用特典付き】小倉ヒラクの新著『日本発酵紀行』の注文をお願いします!

 

【店舗売り用特典付き】小倉ヒラクの新著『日本発酵紀行』の注文をお願いします!

全国の本屋さんにお願いです。
小倉ヒラクの新著『日本発酵紀行』を注文してください…!

DIY流通でニッチベストセラーになった前作『発酵文化人類学』から二年。47都道府県の発酵を訪ねた旅行記が5/24に一般発売となります。 本の概要はこちらから。

今回もまた取次の自動配本はしないDIY流通(版元はD&DEPARTEMENT)。
なので、この本が売れるかどうかは本屋の皆さまの力にかかっている…!

・【発酵文化人類学】一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。

ということで。著者自ら本屋さんに呼びかけたいと思います。
僕の本、めちゃ面白いから注文しておくれ〜!

初版は3000部からスタート!

今回の『日本発酵紀行』は、4/26から始まる渋谷ヒカリエの展覧会『Fermentation Tourism Nippon』の公式書籍という立ち位置で制作がスタートしたのですが、

書籍として独立した読み物になっています。

なのでISBNコードを付けて一般流通することになりました。
版元(&展覧会の事務局)のD&DEPARTMENTの出版担当田邊さんとの打ち合わせはこんな感じです。


ヒラク「実は今回、旅で経費使いまくってしまったので、本ちゃんと売らないと大赤字です。ヤバいです…!」


田邊「ふだん展覧会の書籍は2000部くらいなんですけど、今回は強気で3000部で行きましょう」


ヒラク(マジか…経費ぜんぜん回収できねぇ…)

初版は3000部。重版しないと絶対的な赤字です。涙


ヒラク「わかりました。では僕のほうから読者のみんなに事前予約の呼びかけします。」

その結果…

4/11日現在、なんと1,000冊近く個人の事前予約が集まっている…嬉


田邊「スゴいですね!展覧会では頑張れば500冊くらい本が売れるので、これで1500冊は売れる目処がつきました!」


ヒラク「いやあほんとにありがたい。そしたら次は本屋さんにお願いするのどうです?」


田邊「わかりました!それでは特典付きでやりましょう!

本屋さん、事前予約プリーズ!


Shibuya Publishing & Booksellersさんも新著楽しみにしてくれているそう…!ありがとう!

ということで。本屋さん向けに事前予約キャンペーンをやるぞ!
今回のコースはこの2つ!

【A】まとめて注文してくれたら特典付き!コース

本をまとめて注文してくれた本屋さんには、僕の手づくりPOP↑(本屋さんの名前を自筆で入れるよ)と、特製フリーペーパー&ステッカーを特典として送ります。前作『発酵文化人類学』とセットで売ってくれたら嬉しい〜!

【A】まとめて注文コース


条件:新著『日本発酵紀行』と前作『発酵文化人類学』を合計20冊注文してください!
※『発酵文化人類学』の在庫がいっぱいあるよ!という場合は『日本発酵紀行』のみでも。

特典:
特製POP
発酵ステッカー
『日本発酵紀行』に収録できなかった旅のストーリーを掲載したフリーペーパー


【B】買い切りしてくれたら先行発売&イベントやるよ!コース


2017年秋、京都の丸善本店で開催した能楽師安田登さんとのトークイベント

さらにVIP待遇コース。本を買い切り30冊以上注文してくれた本屋さんには、絶対に売り切れるようにトークイベント出張にいきます(地域問わず)。あるいは特別企画で『日本発酵紀行』に収録した写真やヒカリエの展覧会の一部を使った「ミニ発酵展」をやることも可能です。


新著に収録されたフォトジェニックな写真の数々。D&Dといい感じの作品にデザインします。


買い切り本なのでイラスト入りサインもするよ!

【B】買い切りコース


条件:新著『日本発酵紀行』を30冊以上まとめて買い切りしてください!

特典:
本の先行販売権利(5/12までに本をお届けします。一般発売は5/24)
イベント開催権(トークイベント or ミニ展覧会)
僕のイラスト入りサイン
特製POP
発酵ステッカー
『日本発酵紀行』に収録できなかった旅のストーリーを掲載したフリーペーパー


注文は下記フォームからどうぞ。

☆☆日本発酵紀行 本屋さん注文フォーム☆☆
締切:4/24まで!

本屋名&担当者お名前 (必須)

メールアドレス (必須)

申し込みコース (必須)
【A】まとめて注文コース【B】買い切りコース

本の注文/買い切り冊数 (必須)、コメントや要望あればぜひ!

※Aコースは5/24までに、Bコースは5/12までに発送予定です
※イベントの要望はコメント欄にお願いします!

今回も目指すは10000部!


今回も装丁インパクト大…!

去年の夏過ぎから、47都道府県の発酵の現場(離島や僻地多数)をひたすら旅してきました。当然他の仕事はほとんどできず、お金はひたすら出ていくばかり。展覧会を開催するために集めたお金も、僕の予算ぶんは制作費に回してしまった。

つまり、この本が売れないと僕はまっっっったく報われない(経済的には)。
売るしかない…今回も…!少なくとも10,000部は売れないとヤバい。なんなら4/12日現在、僕の口座はほとんどすっからかん。見事に使い切った…!

3,000部スタートで、どこまで伸びるかは全国の志ある本屋さんにかかっています。お願いします…!

と僕の都合を押し付けてもアレなので、内容について言うとだな。
編集してくれた藤本智士さんひきいるRe:SチームやD&Dのスタッフのみんなも「めちゃくちゃおもしろい!」と太鼓判を押してくれています。

事前公開したまえがきにもたくさんのナイスな感想が寄せられています。

・『日本発酵紀行』まえがき先行公開!

たとえば新潟のツバメコーヒー店主の田中くんより。


言語偏重の人間的な世界に人間性が希薄になってきた現代において、言語に置き換えることのできない感覚的な世界にこそ人間性が潜んでいるという見立てはひとつの可能性であると思う。

一方で、主体的に自分で完結してつくることの自立性よりも、主体的に受動性、媒介性を引き受けて(つまり能動的な受動性ね)つくること、というひねりこそ、真に自立性であるという見立てもまた共感するところが少なくない。

そしてこの探求全体が小倉ヒラクにとってのある種の治療にもなっていることに注目する。
前書きだけ読んで紀行文のようでいてなんとなく『苦界浄土』を思わせた。
醸造家はかつての水俣の農民たちよりも言葉を持っているとは思うものの。
なにはともあれ、死の淵に立ちながら帰還して書いた今作をとても楽しみにしています。


みんなの感想を見るに、きっとこの本は面白い…!はず(書き上げたばかりなので客観視できないけど)。

なにとぞ、全国の志ある本屋さんからの注文をお待ちしています。
発酵を通して見える新しい世界、未知の日本のかたち。みんなに届け!

☆☆個人向け事前予約は4/15まで!☆☆

『日本発酵紀行』まえがき先行公開!

こんにちは。小倉ヒラクです。
新著『日本発酵紀行』のまえがきを先行公開します。面白そう!と思った方はぜひ事前予約をお願いします。

・新著『日本発酵紀行』の事前予約をお願いします!

どうぞたくさんの人にこの「記憶のざわめき」が届きますように。

日本発酵紀行 まえがき

 木々が葉を落とし、土や水のなかの生命が息を潜める季節、町外れの蔵からプツ…プツ…と小さな音が聴こえてくる。桶や樽のなかで微生物たちが活動を始めた音だ。川が凍りつくほどの寒さのなか、蔵ではたらく醸造家たちは上着を脱いで狭い室(むろ)に入っていく。

 室のドアを開けると、じっとり湿った蒸気と甘い栗のような香りが押し寄せてくる。室の真ん中には底の浅いプールのような長い箱があり、そこには白く靄(もや)がかかったような米が寝かされている。米についている靄は、カビだ。毒を出さず、人間に有用な成分をつくってくれるニホンコウジカビという不思議な微生物。室に充満する熱と香りは、米を食べて爆発的に増殖していくこのカビから発せられるものだ。

 人間たちは米粒を両腕を使ってかきまぜ、ばらし、曲芸のように米粒を底からすくって噴水のように空中に巻き上げていく。このように撹拌することでカビが呼吸するために必要な酸素を送り込み、火傷させないように適度に放熱させていく。手入れ作業が終わると、醸造家たちはじっとカビの茂った米、麹(こうじ)を見つめる。

「とてもいい。すごく元気に育っている」

「湿度はこのままでいいかな?」

「あと数%だけ乾かそう」

 彼らは手を通して、鼻を通してカビたちと対話をしているのだ。室から出ると、醸造家たちは階段を登って冷たく乾いた踊り場のような場所へ移る。そこには小さなタンクが規則正しく並べられている。タンクでは、ベージュ色のペーストに無数の小さな泡が浮き上がり、プツ…プツ…と音を立てている。

 このペーストは室でコウジカビをつけた麹と米を水と混ぜ合わせたもの。泡を立てているのは酵母。カビが米を食べた時に分解した糖分をエサにして大量のガスを放出する。ガスは麹ペーストに含まれるタンパク質や脂質の薄い膜に包まれて気泡となってふくらみ、爆(は)ぜ、そのバブルの底で酒の材料となるアルコールが生成されていく。

 ここは淡路島の日本酒蔵、都美人。
朝の
時、都会の人たちが眠りこけている(あるいはようやく寝床につく)時間に蔵人たちの仕事が始まる。米を洗い、蒸し、室に運び、カビの手入れをし、タンクに酒の(もと)を仕込み…と、日かけて微生物たちの世話をするのだ。まだ日の昇る前のしんとした空気のなか、人間たちが寡黙に作業をこなしていく。

 誰の声も聴こえないはずなのに、蔵のなかには不思議な賑やかさがある。目に見えない微生物たちが刻一刻とその数を増やし、麹室(こうじむろ)やタンクのなかでさざめいている。蔵人たちは耳を澄まし、じっと彼らの声に耳を傾ける。目に見えない、耳にも聴こえないミクロの対話。

 やがて朝焼けが蔵を照らし、学校へ向かう子どもたちの声が遠くから聴こえてくる。人間の時間が始まった。

               ☆

 僕の祖父は、佐賀の玄界灘の漁師だった。小学生の頃、東京で生まれた虚弱児の僕は、夏休みになると母方の佐賀の実家に預けられ、海で泳いだり、野山を散歩したりして身体を鍛えた。なかでも楽しみだったのは祖父の船に乗って漁に出ることだった。深夜に沖に向かって船を出し、真っ暗な海のうえで網を降ろす。灯台の明かりも見えず、360度ぐるりと闇だ。心配になって祖父にねた。

「おじいちゃん。こんな真っ暗ななかで怖くない?」

「大丈夫。俺には海のうえに道が見える」

 祖父にとって、星や潮のざわめきは自分がいる場所を教えるGPS情報のようなものだったのだろう。高等教育を受けたことのない、人口200人の小さな漁村で育った祖父は、船に乗って朝鮮半島や沖縄、台湾へ行き、現地の言葉を知っていた。僕にはただの水のカタマリにしか見えない海からたくさんのメッセージを受け取、明日の天気や風向きを驚くほど正確に言い当てることができた。都会っ子の僕からするとエスパーにしか見えなかった祖父は、僕が中学生のときに死んだ。縁側で漁網を編みながら居眠りするように息を引き取ったという。

 それから僕は高校に進学し、思春期の男子らしくアートや音楽にハマり、夏休みは都心のギャラリーやライブハウスに行くことに夢中になり、やがて遠い世界に憧れて海外へバックパッカー旅行に出るようになった。佐賀で祖父と過ごした日々は記憶の淵に沈み、僕は20代前半までひたすら未知の情報、新しい情報を追い求めて、気がついたら情報の設計の専門家であるデザイナーになっていた。

 目に見えるもの、文字に書かれたもの、誰かによって見出され、整理され、編集されたもの。そういう「情報」を集め、組み上げてポスターや箱や冊子にする。それは刺激的な仕事で、駆け出しデザイナーだった僕は朝から晩までパソコンの画面や出力されたドラフトの前にかじりついて、人間の社会をコントロールする「情報」の創造主になれることにやりがい、もっといえば優越感を感じていたのかもしれない。他の誰よりも情報を収集し、巧みに操り、世界を動かす。そういう存在になることが優れた人間になることだと思っていた。

 ところが転機が訪れる。

 自分のデザイン事務所を開業し、東京を離れた地方の仕事を始めた頃に、醸造家という不思議な存在に出会ったのだ。酒や味噌や醤油の食品メーカーと言えばそれまでなのだが、彼らの働きぶりを詳細に見てみると、僕がそれまで慣れ親しんできた仕事とはかけ離れたものだった。蔵や工場のなかで日々微生物という目に見えない謎の存在に向かい合って悪戦苦闘している。人間の言葉が通じない生物たちに己を委ねることによって、味わい深い食べ物をつくりだしていく。いや、彼らに言わせれば、つくるのは人間ではなく微生物。人間は微生物たちのはたらく環境をつくるサポート役であるにすぎない。

 人間は魚をつくりだすことができない。生み出すのは水。作物をつくることもできない。つくるのは土だ。漁師や農家、醸造家たちの仕事は直接なにかを生み出すことではなく、生み出すものを観察し、その環境に介在し、生み出す力を人間のほうに引き込む媒介のようなもの。だからこそ彼らの感性の第一は観察すること、感じることに振り分けられる。彼らのアイデンティティは創造主になることではなく、自然の理を受信するアンテナになることだ。

 「創造的であること」を命題としていた当時の僕にとって、人間以外の理(ことわり)と関わり合いながら生きる人々との出会いは未知との遭遇であり、同時にどこか懐かしいものでもあった。

 人間のつくった環境のなかで、朝から晩まで人間とだけコミュニケーションすることで完結する生き方はそもそも近代以降の特殊な生き方なのではないか? 僕の祖父や醸造家たちのように、日本に生きてきた人々は海や森や微生物たちと日常的に関わり、彼らの気配を感じ、人間どうしのそれとは違うコミュニケーション回路を持っていたのではないか?

 独立直後に仕事を依頼してもらった山梨の老舗味噌屋、五味醤油の旦那と飲んでいたときのこと。夜11時を回った頃に突然、

「あ、麹が呼んでる。手入れしにいかなきゃ」

と蔵に帰ってしまったことがあった。年中ニホンコウジカビと一緒にいるので、微生物たちのライフサイクルが身体にシンクロしてしまっている。曜日があ、週末があ、仕事とプライベートのオンとオフがあって…という「人間の時間」とは違う時間軸が身体に刻まれているのだ。僕もその感覚を理解したい! と思って微生物学のイロハを学び、自宅で麹をつくりはじめた。何度も失敗を繰り返し、だんだんコツがわかってきた時期のある夜ふと、

「あ、僕は今呼ばれている…!」

という感じがあった。それはいわゆる第六感的な超能力というよりは、常に自分とは理の違う微生物の存在のことを強く意識し続けた結果生まれてくる、小さな気配への感覚。スポーツ選手や音楽家が感じる、ある領域の解像度が特異的に高まった状態のようなものだろう。

 この感覚があったときに、子供の頃に祖父の言った「海のうえに道が見える」という言葉がおぼろげなから理解できたように思えた。

 情報になる前の、世界の兆しを感じ取るちから。僕がずっと求めていたものとの出会いだった。

                 ☆

 やがて僕は東京でのデザイナーの道に見切りをつけ、様々な土地をまわって発酵文化を訪ねてまわる日々を送るようになった。その旅のなかで、人間の理「ではない」感性で生きている人たちに数多く出会うことになった。何世紀も続く生業を継承し、人生を通してその土地の歴史や文化をごく自然に背負い、風土を呼吸しているような生きかた。

 僕はその生きかたがどのように生まれ、どのように次の世代へと受け継がれていくのか、もっと言えば自分のなかに流れている「人間以外の時間」の手がかりを知りたいと強く願うようになった。

 この旅は、水と土と微生物が織りなす発酵という文化から、日本という土地に生きてきた人々の記憶を掘り起こす試みだ。どこもかしこもコンクリートで固められ、信仰や祭りが消え去り、通りの風景が均質化してしまったように見える世界にも、伸び縮みする時間軸、目や耳では感知できない兆しに気づく感性が生み出した景色と文化が残っている。

 ただしその隠されたレイヤーを見るためには、人間の解像度ではちょっと足りない。もっともっと小さなスケールで生きる微生物たちのセンサーを借りてみよう。そうしたら見えてくるはずだ。あちこちから湧き上がってくる古(いにしえ)の記憶のざわめき、そして新しい生命の明滅が。

 それは僕の祖父が見ることのできた、海上の星の瞬き。暗闇に浮かぶ帰るべきホームを、同時に目指すべき目的地を照らす道標だ。

『日本発酵紀行』事前予約はこちらから

前作『発酵文化人類学』から、さらにディープな世界へと旅する『日本発酵紀行』。気になる方はフォームからぜひ事前予約ください。


※申込み終了しました!

☆何冊注文しても送料無料!価格は1,800円+税。
☆発送は5月初旬を予定しています(一般発売は5/24)
※本はポスト投函のメール便で送ります。その際に振り込み先(銀行振込)の手紙を同封します。お手数ですが振込手数料はご負担ください。
※メールは僕と版元のディアンドデパートメント株式会社に届きます。個人情報は本の発送以外には使いません。


 

▶事前予約スペシャル特典つきます!

▶書籍には収録できなかったアナザーストーリー
訪れた47都道府県全部の話を収録すると本のボリュームが現実離れしてしまうので、泣く泣くカットしたローカル発酵のアナザーストーリーをフリーペーパー形式で同封します!青森の『ごど』と沖縄の『豆腐よう』を収録する予定です。ぜひ本編とあわせて読んで下さい。

▶イラスト付きサイン
通常のサインに加えて、僕のアニメに登場するキャラクターや僕の似顔絵のイラストを入れて本をお届けします。前作では800冊の事前予約があってまる二日間サインをし続けて軽く腱鞘炎になったのですが、今回はまる三日間くらいサインし続ける気合でのぞむぜ…!

今回の本もまた取次の配本を通さずに、直接個人や本屋さんから注文をもらうDIY流通スタイルでお届けします。最初のスタートダッシュを切るためにも、ぜひ事前予約してもらえると嬉しい。

展覧会もどうぞよろしく!

今回の本は、渋谷ヒカリエ8階のd47 MUSEUMで4月末から始まる展示会の公式書籍でもあります。展示とあわせて読むとさらにディープに日本のローカル発酵文化を知ることができます。書籍『日本発酵紀行』の世界をどうぞ実際に体感してみてください。

↓イベント詳細はこちら↓


Fermentation Tourism NIPPON  supported by


新著『日本発酵紀行』の事前予約をお願いします!

これは記憶の方舟。そして未来に進むための船だ。

とても嬉しいお知らせです。
『発酵文化人類学』からまる二年。皆さまに新しい本をお届けできることになりました。知られざる発酵文化を訪ねて47都道府県を旅した旅行記です。

新著もまたスモール流通でスタートするので、僕の活動を見ていてくれる皆さまに予約予約をお願いしたいと思います。どうぞよろしく!

そもそもどんな本になるの?

▶発酵から再発見する日本の旅
今回のテーマは旅。専門書の体裁だった前作とは違う、時系列で読み進めていく読み物になります。北は北海道東の標津から、南は沖縄まで全国の様々な土地を訪ねて出会った不思議な文化や景色、その土地で生きる人々の暮らしを記録がこの『日本発酵紀行』です。

編集を手がけてくれたRe:Sチームの藤本智士さんが今作の素敵なコピーを書いてくれました。


微生物の気配にシンクロすれば、道が見えてきた。
酒、醤油、味噌はもちろん 知られざる発酵食品の現場まで。
47都道府県の 山、海、島、街を巡って、 日本の歴史と未来を見出した
前代未聞の発酵文化論。



▶日本とは、日本人とは何か?

外界から隔絶された離島で生き延び、杉と竹を組み合わせて巨大な産業をつくりあげ、宗教で肉食を禁じられながら、目に見えない自然の力を活かして多様な文化を編んできた日本列島に住む人々の姿。そこから浮かび上がってくるのは、日本とは、日本人とは何か?という根源的な問いです。僕は旅の期間中ずっとこの重たい問いに押しつぶされそうになりながら、自分なりの答えを出そうともがいてきました。

▶海・山・島・街の暮らしの歴史
発酵文化は、その土地に生きる人の記憶そのもの。船に乗ってアジアを股にかける海洋民族がいたと思えば、そこでしかとれない作物を工夫しながら食べつないできた山の民、微生物の力を使って付加価値を生み出し莫大な富をなした街の商人たち、絶海の孤島で人知れず驚きの食文化を編み出した離島の民族など、この本を読むと日本に生きた様々な民族の暮らしがイメージできる驚きのエピソードがいっぱい!

▶日本各地の知られざるローカル発酵食品が次々登場!
『日本発酵紀行』には、酒や醤油にとどまらないユニークなローカル発酵食品が多数登場!宮崎県の日南海岸沿いに生える海藻を使ったムカデノリ、アイヌと和人が出会って生まれたサケの山漬け、火山島の野生菌で醸す謎の焼酎、あおちゅうなど前代未聞のレシピを多数解説しています。

▶旅の臨場感を伝える写真を多数収録!
今回の最大の目玉はコレかも。僕が各地で撮影してきた仕込みの現場やその土地ならではの景色の写真が多数収録されています。こればっかりは言葉では説明できないので、どんな雰囲気なのか見てください。

食文化、生物学、経済史、人類学など様々なアプローチから日本の発酵文化の起源を探っていきます。野宿したり寒空のなか何時間も山道を登ってたどり着いた貴重な記録がこれでもか!と収録された読み応えのある一冊になりました。

皆さまにお願い:事前予約をお願いします!

ということで。
読み応えたっぷりの出来になった『日本発酵紀行』。ぜひ事前予約してくれると嬉しいです。もちろん事前予約してくれた人だけの特典もあるよ。

▶書籍には収録できなかったアナザーストーリー
訪れた47都道府県全部の話を収録すると本のボリュームが現実離れしてしまうので、泣く泣くカットしたローカル発酵のアナザーストーリーをフリーペーパー形式で同封します!青森の『ごど』と沖縄の『豆腐よう』を収録する予定です。ぜひ本編とあわせて読んで下さい。

▶イラスト付きサイン
通常のサインに加えて、僕のアニメに登場するキャラクターや僕の似顔絵のイラストを入れて本をお届けします。前作では800冊の事前予約があってまる二日間サインをし続けて軽く腱鞘炎になったのですが、今回はまる三日間くらいサインし続ける気合でのぞむぜ…!

今回の本もまた取次の配本を通さずに、直接個人や本屋さんから注文をもらうDIY流通スタイルでお届けします。最初のスタートダッシュを切るためにも、ぜひ事前予約してもらえると嬉しい。

もいっかい繰り返します。
下のフォームから書籍『文化人類学』の事前予約をしてくれたらめちゃ嬉しいです。
事前予約してくれた人には、本が一般の書店に並ぶ5/24よりも二週間はやく特典つきで本を郵送します!


☆☆締め切りました!☆☆

☆何冊注文しても送料無料!価格は1,800円+税。
※本はポスト投函のメール便で送ります。その際に振り込み先(銀行振込)の手紙を同封します。お手数ですが振込手数料はご負担ください。
※メールは僕と版元のディアンドデパートメント株式会社に届きます。個人情報は本の発送以外には使いません。


 

発酵デザイナーの新著『日本発酵紀行』は5月初旬に発送予定でーす。

↓↓今回も起こすぞミラクル!↓↓
【発酵文化人類学】一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。

※最初の3日で100冊注文きたら、まえがきをこのブログで公開したいと思います。
※4月中旬頃から本屋さん向けの予約の呼びかけをする予定です。ただいま命を削ってスペシャル特典を用意しているよ…!

展覧会もどうぞよろしく!

今回の本は、渋谷ヒカリエ8階のd47 MUSEUMで4月末から始まる展示会の公式書籍でもあります。展示とあわせて読むとさらにディープに日本のローカル発酵文化を知ることができます。書籍『日本発酵紀行』の世界をどうぞ実際に体感してみてください。
※クラウドファンディング時の公式書籍のリターンはこの本のことです。

☆☆イベント詳細はこちら☆☆

▶今回タッグを組むのは、D&DEPARTMENT!
出版元は、展覧会をご一緒するD&DEPARTMENT。腕利きプロデューサーの田邉直子さん、編集に藤本智士&竹内厚のRe:Sチーム、デザインに堀口勉さんを迎え、最高のチームで大ヒット飛ばすぞ!エイエイオー!!

最後に、ヒラクより今回の本について

実はこの本、当初は出版するはずじゃなかったんです。ヒカリエ展覧会の公式書籍として全国の発酵食品のカタログをつくる予定でした。

ところが!展覧会用の旅をはじめてしばらくして、進捗報告も兼ねて事務局にレポートと写真を送ったら「これはカタログじゃもったいない!」という話に。展覧会のデザインと編集のディレクターを担当してくれたRe:Sの藤本さんの、


「オレ、ヒラクの旅行記読みたいんだけどな〜」

の鶴の一声で、急遽本を一冊書き下ろすことに。この時点ですでに年明け。そこから2月から3月にかけて旅をしながらリアルタイムで旅行記を書いていくというライブすぎる執筆がスタートしました。

僕の10年間の活動の集大成である前作『発酵文化人類学』の後に、いったい何かまだ書くべきことがあるのだろうか?と不安だったのですが、いざ書きはじめてみると、堰を切ったように言葉が溢れ出てきました。しかも出てきたのは前作とはまた違ったもの。

発酵ってこんなに楽しい!というPOPな内容が前作だったとすれば、今回は暗くてディープな話がいくつも出てきます。書いた本人ですら「僕のなかにこんなにドロドロした黒いものがあるんだ…!」と驚きでした。

きっと、今回の旅では「明るい未来」ではなく「消えゆく過去」をたくさん見てきたからなのだと思います。半分見捨てられたような場所で、それでも淡々とその土地の暮らしを続ける人々に出会うことで、自分のなかの無意識のうちに閉ざしていた扉が開いたような感覚がありました。

そういう意味で、この本は「忘れられた日本人」を訪ねる旅であり、同時に「忘れていた自分」を探しにいく旅です。その道のりは時に寂しく、心細いものでした。今校了を間近のタイミングでもこの本が何なのか、うまく言葉にできない自分がいます。

でも。この「言葉にできないくらい深く遠い場所」に行くことこそが、僕のずっと求めてきた旅なのかもしれません。僕が旅で出会ったものの価値が何だったのか。その判断は読者の皆さまに委ねたいと思います。最後に、本文をちょっとだけ引用したいと思います。


旅して旅して旅した末の究極の風景は、雄大な自然でも壮麗な神殿でもなく、自分の心象風景なのかもしれない。膨大な景色を通過した後の心象風景は底の見えないほど深く、無数の記憶の泡が渦巻いている。言葉の通じぬアジアの街の雑踏にはじめて足を踏み入れたときの興奮。ヨーロッパの美術館の地下で古代世界の収蔵品を飽きずに眺めた不思議さ。旅で感じた心の動きはやがて子供の頃に皮膚で感じた記憶を呼び覚ます。川辺に照りつけるジリジリとした日差し、家でひとり熱にうなされたときに窓から見える雲のかたち。小さな頃に泳いだ海の冷たいきらめき。そしてそのきらめきの向こうから、もう会えなくなった祖父や友人が僕に呼びかける声がきこえる。

さあ、もう行かなくちゃ。

 

いいトコいっぱいのヒラノくんの彼女を募集します

元アシスタントで今noteのディレクターとして働いているヒラノくんが彼女できない…と悩んでいるそうなので僕のブログで募集することにしました。

https://twitter.com/yriica/status/1102943910689562624

ヒラノくんは歴代の僕のアシスタントのなかでも仕事デキるし、素直だし、同年代でも年上のコミュニティでもすぐに仲良くなるナイスなヤツでした。

で、僕が「ナイスなヤツだよ!」と言っても説得力ないので、ツイッター上で #ヒラノくんのいいトコ を募集してみました。その結果がこちら。

https://twitter.com/8kotty8/status/1103097253227425792

https://twitter.com/rurika109/status/1103233829467123712

https://twitter.com/kyukirrs/status/1103244200282210306

五人くらい他薦があればいいかな…と思ってたら、愛されてるね、ヒラノくん!
そして今の職場、ずいぶん馴染んでるみたいでよかった。仕事楽しんでね〜。

https://twitter.com/yukotyu/status/1103207200074301440

https://twitter.com/hiilagram/status/1103292394412302336

https://twitter.com/kotaro53/status/1103308158028591106

おおお、ヒラノくん本人から独り歩きしている…。
気になる人は、このハッシュタグで色々妄想して下記フォームに申し込んでみよう!

ヒラノくんの彼女受付フォーム

※予想を上回る多数の応募につき、3/7の23:59で締切りました。

☆本人に直接メールが届きます。ヒラノくん一応全員に一言お返事はしてね。後はお任せ!
☆システムの仕様上僕にもメール届くんだけど見てみぬふりします。問題あった時のみ何か対処します。みんな問題起こさないでね!
☆もちろんプライバシー情報は漏らさないよ。

ちなみに僕のブログでは、たまにこんな感じで友人のよろず募集企画をやっています。
過去の募集記事は以下のとおり。

【3/2は甲府に集まれ!】こうふはっこうマルシェ今年もやります!

日本全国から愉快な発酵仲間が山梨県甲府に大集結!の大イベントが帰ってきた!

去年15,000人の来場者で賑わった発酵祭り、今年も開催予定。去年出てくれたメンバーに加え、ニューカマーも登場。

今のところ決まっている感じでいうと、

☆DJみそしるとMCごはんがメインステージでライブ!
☆発酵兄妹のCOZY TALK公開収録もDJみそしるとMCごはん!
☆秋田からのんびりチーム参戦!
☆長野からやってこチームも参戦!
☆栃木からChusチームも参戦!
☆トークイベント用のスペシャル会場設置。しゃべりまくり!
☆熱燗DJつけたろう&澤田酒造の熱燗コラボ!
☆能登の谷川醤油も登場!
☆ミコト屋も屋台出すぞー!
☆今年もカリ〜番長がスペシャル発酵カレーで出店!
☆山梨のヤバいワインが利き酒できすぎる!

…と情報濃すぎる〜!!!。去年登場した、

角谷文治郎商店
KAMO’S KITCHEN
BOOK BUS By VALUEBOOKS
ミツル醤油
戸塚醸造店
寺田本家
みつか坊主
ウシオチョコラトル
青果ミコト屋
はっこうの里こうざき

も出店しています。年に一度の発酵同窓会 in 山梨、どうぞお越しください。発酵兄妹三人で待ってるよ!

こうふはっこうマルシェ 2019
【場所】甲府駅前よっちゃばれ広場
【時間】2019年 3/2 10:00〜16:00

☆☆公式HPはこちら。これから詳細がアップされていきます☆☆

【発酵ツーリズム富山】黒づくり:イカスミで真っ黒なエキゾチック塩辛

富山の発酵ツーリズム:
黒づくり(富山県射水)| 京吉

妖しく黒光りする謎の塩辛

富山の魚介の食文化のレベルの高さは尋常じゃない。街場の回転寿司や居酒屋さんで出てくるものでもめちゃくちゃ美味い。超絶リッチな富山の魚介料理のなかで僕が気になっていたのは、イカの塩辛にイカスミを加えてつくる『黒づくり』だ。こいつで富山のイケてる日本酒を一杯やってみたい…!

と思って山梨から飛騨高山を通って車を飛ばしやってきた富山湾。
江戸時代から黒づくりを製造する京吉さんへやってきた(黒づくりは富山湾一帯の色んなところで食べれるが製造しているメーカーは意外に少ない)。

製造はごくごくシンプルで、イカの塩辛(塩蔵)にイカスミをたっぷり混ぜて数日間発酵させるだけ。しかし発酵中の妖しく黒光りする塩辛のテクスチャーはただごとじゃないオーラを発している。

現場を見た夜に地元の居酒屋さんで黒づくりを食べてみたら、普通の塩辛よりも味にまろみと深みがあり、塩辛さよりも旨味やふくらみが先にくる。つまりめちゃ美味い!こんなにも美味いものが富山ローカルにとどまっているのが不思議でならない。

この黒づくりだけで日本酒をエンドレスに飲める。適度な旨味でアッサリとした富山の酒に黒づくり。この組み合わせは至高のブラック・ヘブン…!

どうやってつくる/食べる?


スルメイカでつくるのがメインだが、富山湾名物ホタルイカでもつくられる

▶How to 仕込み
A:イカの目の部分、硬い皮の部分を外して身を刻み、塩漬けにする
B:半日〜一日ほどしたら塩を洗い、内蔵とイカスミを加えて混ぜる
C:数日〜一週間ほど発酵・熟成させる

☆途中で酒やみりんなどを加えた調味液に漬けることも

▶食べかた
・ご飯のおとも
・酒肴に

▶食べられている地域
富山県

▶微生物の種類
乳酸菌、酵母など

旅のメモ

黒づくりの起源は江戸中期。加賀藩の特産品推進施策の一環として作られるようになったとされる。歴史好きの京吉の旦那さんの語るところによると、当時日本で唯一海外の文化を受け入れていた長崎の魚介加工技術を加賀藩から人を送って研修して、それまで日本ではやられていなかったイカスミを使った塩辛を考案したという。

それってつまり、地中海のイカスミ料理文化なんかとつながっている可能性があるのだろうか?加賀藩の商売上手さとともに海を越えたロマンを感じさせる話ではないかしら?


47都道府県の発酵が一堂に会する大展覧会『Fermentation Tourism NIPPON』、今年春4/26〜7/8に開催予定です。47都道府県のうち、36都道府県まで到達。いよいよラストスパート!


Fermentation Tourism NIPPON  supported by


【発酵ツーリズム広島】酢:西の海運を制した尾道の産業基盤

広島の発酵ツーリズム:
酢(広島県尾道)| 尾道の造酢文化

豆味噌の桶から滲み出る濃厚液体調味料

『時をかける少女』や『君の名は』の舞台として知られる風光明媚な広島の入江の街、尾道は実は西日本屈指のお酢の街だった。今はその面影はほとんど残っていないが、明治後期から大正初期にかけて尾道だけで30,000石以上(一升瓶300万本)の生産量を誇る、愛知県知多半島の半田(ミツカンの本拠地)に次ぐ造酢の要所であったらしい。

尾道駅から続く長いアーケード街をずっと歩いていくと、創業約440年の日本屈指の老舗メーカー尾道造酢がある。ここは尾道の酢の歴史、もっと言えば街の発展の歴史の貴重な生き証人なのだね。

江戸時代までの伝統的なお酢づくりは、日本酒をベースにつくられる。
日本酒に酸素を送り込み、酢酸菌という微生物を増殖させてアルコールを酢に変える。魚などの保存食をつくるために日本全国で重用され、酢の生産の普及とともに和食の代表格である寿司が発展したと言っても過言ではない。

北前船の停泊地であり、海の商人の土地だった尾道では、海路で秋田あたりから安い米を運んできて尾道でお酢に加工して付加価値をつけ、西廻りの航路で日本海側に酢を出荷し、遠くは北海道にまで運んで利益を得てきた。

芸備銀行(現広島銀行)や尾道鉄道の代表を努めた橋本龍一を輩出した豪商・橋本一族が興した尾道の重要な産業のひとつが付加価値の高い造酢であり、お酢をつくりまくることによって尾道は土地に富を蓄積してきた。海の商人町・尾道の商魂はお酢に宿っている。

どうやってつくる/食べる?


酢の発酵に伴ってあらわれる酢酸膜

▶How to 仕込み(伝統的な米酢の場合)
A:日本酒を仕込む(一段仕込みから三段仕込みまで蔵によって仕込みが違う)
B:酒を割り水して、酢酸菌のスターターを入れて40℃前後に温める
C:瓶やタンクなどで2〜3ヶ月で発酵(静置発酵)させそこからさらに数ヶ月熟成させる

☆酒から仕込んで静置発酵させる伝統的な醸造法は現代では希少になっている
☆工業的に精製されたアルコール液を撹拌して酸素を送り込みながら高速発酵させる醸造法が現代の主流

▶食べかた
・酢の物に
・調味料として

▶食べられている地域
全国

▶微生物の種類
酢酸菌

旅のメモ

今回訪れたのは老舗の尾道造酢と、明治時代創業の杉田与次兵衛商店の2軒。
尾道造酢には資料館でしか見たことのないような巨大な瓶や醸造装置が今でも現役で使われており、造酢文化の生きたミュージアムのよう。かつては本格的な米酢もつくっていたが、昭和に入ってからはマヨネーズなどの原料となる洋酢や果実酢の製造がメインとなっている。

一方、杉田与次兵衛商店では伝統的な米酢を製造していて、この2軒をあわせてまわると尾道の酢の文化をうかがい知ることができるよ。

 


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【発酵ツーリズム佐賀】松浦漬け:捕鯨一族の執念が生んだ港の珍味

佐賀の発酵ツーリズム:
松浦漬け(佐賀県唐津市呼子港)| 松浦漬け本舗

プリプリ・こりこりの高級珍味

僕の母方の実家は佐賀県唐津の玄界灘の漁村。虚弱児だった僕は中学生くらいまでよく唐津の実家に預けられて漁師のおじいちゃんに身体を鍛えてもらっていました。

その時たまに食べていた不思議な食べ物があったな…と思い出したのが『松浦漬け』。
これなんと!クジラの上顎の軟骨部分を酒粕漬けにして食べるという空前絶後の発酵珍味なのですよ。

佐賀県唐津の呼子港の一角に明治時代から店を構える松浦漬け本舗がこの珍味の唯一の製造元。クジラの上顎部分の油抜きしてスカスカになった軟骨を糖分や唐辛子などで調味した酒粕の床で発酵・熟成させていきます(詳細は門外不出のためシークレット)。

できあがるのはクラゲのような不思議なテクスチャーの食べ物。
食べてみるとプリプリ・コリコリで酒粕の発酵フレーバーが染み込んで味わい深い。
子供の頃は「何このヘンな味?」としか思ってなかったのですが、日本酒とあわせると地獄のように美味い。

今や唐津を代表する高級珍味として地元民に珍重されているようです。
パッケージもレトロで最高。カッパ型の有田焼の器とあわせてゲットしたいところです。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:クジラの上顎の軟骨を油抜き処理して刻む
B:糖分・香辛料などで調味した酒粕にAを漬け込む
C:数ヶ月以上発酵・熟成させて完成

☆詳しい醸造法は門外不出のため不明

▶食べかた
・酒肴として
・地元の人はご飯のおともにも

▶食べられている地域
佐賀県唐津一帯

▶微生物の種類
酵母、乳酸菌類

旅のメモ

松浦漬を考案した山下一族は唐津港で活躍した捕鯨組合の有力スポンサー。
つまり捕鯨一族の名主。クジラのことを知り尽くしているがゆえに考案された発酵食品であると言える。ちなみに江戸〜明治に獲れていたシロナガスクジラは超巨大で、時には30m級の大物が穫れたこともあったらしい。写真のような巨大クジラでは上顎の部分だけでも数十キロあったらしく、油を取った後の使いみちのない軟骨をなんとかしたい…!という執念から生まれたのが松浦漬けなんだね。

当初のレシピでは、山下家の本家のすぐとなりにあった酒蔵(ここもおそらく山下家)の酒粕で漬け込んでいたそう。ちなみにうちの母はその酒蔵(松浦誉)のことを覚えていた。ていうか、どうやら母方の家系(山下家)もどうやら漁師一族の血筋を引いているそうです。僕のおじいちゃんが漁師だったのも系譜があるわけだ。びっくり。

 


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【発酵ツーリズム岡山】ママカリ:大漁を告げる魚島の幸

岡山の発酵ツーリズム:
ママカリの酢漬け(岡山県日生)| 活魚 天坊

無限にご飯が進む!ママ(飯)カリ(借り)

岡山に行ってぜひ食べたかったのがママカリの酢漬け。
ママカリ(さっぱ)という小さな魚の頭と内臓を抜き、まず塩漬けに。そして翌日に塩を洗って今度は酢漬けにする二段漬けで保存性を高め、旨味をマッシブにする。

このママカリの酢漬け、酸味と甘味と程よい脂身の三位一体が猛烈にクセになり、エンドレスに食べ続けてしまう逸品なんだよ。
夏〜秋にかけての漁期に大量にとれるママカリ。保存食としては酢漬けがポピュラーだが地元にいくとにぎり寿司スタイルのママカリ寿司や刺し身、煮付けなど様々なスタイルで楽しめる。
ママカリは魚の生臭さが少なく、油っぽくも淡泊すぎもしない絶妙の脂身、そしてペロっと食べれるサイズ感もあいまってご飯のおともにピッタリ。
あまりにもご飯が進むので、お隣にママ(飯)カリ(借り)に行ってしまう…!というのがその名前の起源なんだとか。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:ママカリ(さっぱ)の頭と内臓を取って切り身に
B:切り身を塩漬けにし、一日ほど置く
C:Bを洗い、1〜2ヶ月ほど酢漬けにする

☆酢には糖分などを調味したものを使用

▶食べかた
・ご飯のお供
・刺し身的に食べる

酢漬け以外にも様々な食べ方が。写真は煮付け。
はじめて食べたのが刺し身。めちゃプリプリで美味しかった…!

▶食べられている地域
岡山県全域

▶微生物の種類
酢酸菌、乳酸菌など

旅のメモ

日生(ひなせ)は古くから栄えた由緒正しいローカル漁港。
ここの栄養豊かな入江めがけて、春になると魚群(主にサワラ)が押し寄せてくる。この魚群があまりにも大量で、島のように見えることからこの春の大漁期のスタートを『魚島』と呼ぶようになったという。『魚島』は物理的現象にとどまらず、大漁の海の幸をこれでもか!と食卓に並べる大宴会のことも指す。

取材に伺った割烹料理、天坊の座敷でぜひ『魚島大パーティ』をやりたいものだぜ(展覧会が無事スタートしたら)。

見て下さい、天坊の大将のこの最高の顔。発酵好きの腕利き料理人のつくるママカリは最高でしたぞ。

 


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