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恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。

音楽好きの大学の先輩に連れて行ってもらって好きになった渋谷宇田川町のBar Bossa。

いつも心地良い音楽がレコードでかかっている、お酒のセレクトも雰囲気も素敵なお店だなあと思っていて。で、こないだデザインの目利きの安西洋之さんと渋谷で会った時に「ちょっとワインでも」ということでBar Bossaに一緒に行った。

そしたら安西さんが「ここのマスターって、WEBマガジンで人気のコラムニストだよ!」と教えてくれた。帰り際、レジの横に置いてあったマスターの林さんの本を買って帰りの特急あずさで読み始めたら、そのまま夢中で読み終わってしまった。

その本のタイトルは、『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる。』

バーカウンターにやってくる妙齢の男女の恋愛エピソードのオムニバスだ。主人公はバーのマスター。そこにワケありの男女がやってきて、マスターおすすめのお酒のグラスを傾けながら、恋の話をし始める。報われない恋もあれば、既婚女性がはるか年下の男の子に片思いする恋もある。各エピソードの前後には、ジャズやボサボノヴァの名曲の歌詞が引用され、十人十色の恋のエピソードと重ね合わされる。

「へえ〜。やっぱりバーテンダーやってるとこんなに他人の色恋の話を聞くもんなんだねえ」

と思って読み進めると、やがてこの本が「恋愛小説」であること、虚構の物語であることに気づく。

それはなぜか。
話ができすぎているからだ。死んだお母さんから譲り受けた口紅をつけてデートに行ったら、どんな素敵な男の子もその子に夢中になる。新人女優の同級生を勇気を出してデートに誘ったら成功して、家に芸能事務所のスタッフが土下座して誤りにくる。バラバラだったエピソードが、ワインのラベルの絵を通してつながったりする。

いくらなんでも、できすぎている。

そしてもうひとつ。

カウンターの座る登場人物たちの声音。彼女/彼たちの声音は「対話の声」ではない。「マスター聞いてよ」と始まったとしても、その声は返事を求めることなく、グラスの中の泡のように消えていく。問わず語りよりもさらに儚い、まるで夢の中で響くような声音だ。

この儚さは、虚構の儚さで片付けていいものなのだろうか?

僕はこの小説の登場人物のように、一人でバーカウンターでお酒を飲むのが好きだ(残念ながら気の利いた恋バナはできないけど)。
で、カウンター座って何をしているかというとだな。グラスを傾けながら物思いに耽る。日常のコミュニケーション過多を切断して、黙って静かにお酒を飲む。

この瞬間がたまらなく幸せだったりする。
なぜ幸せなのかというとだな。日々のリアリティから離れた自分の姿を好き勝手に想像できたりするからなんだよね。一ヶ月どこか外国行ってバカンスするのでもいいし、自分の趣味にひたすら没頭する生き方を想像してもいい。

あるいは。
かつて好きだった誰か、まだ見ぬ誰か、手の届かない誰かとの身を焦がすような恋を想像したっていい。

バーカウンターに座っている間だけ、人は自分の望む人生を夢見ることができる。
薄暗い照明のなかで「語られるはずだったストーリー」に耳を傾けることができる。

この本の最後に、著者であるバーテンダーが「これは小説だ」と種明かしをするのだけど、僕はこのできすぎたエピソードたちが著者のアタマの中だけで生まれたフィクションであるとは思えない。

もしかしたら、彼女/彼たちは実際にBar Bossaにやってきたのかもしれない。
でもね。たぶん

「マスター、私の恋の話を聞いてくれますか?」

とは言わなかったんじゃないか。バーカウンターでお酒を飲みながら、夢見るような目で沈黙しながら、ありえたかもしれない幻の恋の映画を見ていた。そしてバーテンダーも一緒にその映画を見ていたのかもしれない。

この本に描かれたエピソードは「実際に語られた話」ではなく「語られるはずだった沈黙」から生まれたのではないだろうか。

素敵なバーには素敵なストーリーがある。
そしてそのストーリーは、沈黙の声によって語られる。

バーテンダーのかける古いレコードは「ありえたかもしれない恋」のサイレント映画のサウンドトラックだ。この本で語られる恋のエピソードは、Bar Bossaのカウンターで過ごす一晩だけカラフルに輝き、バーを出た瞬間に色あせて消えてしまう。

甘い感情は長続きしない。ひとときの夢を再生しておしまいのレコードや映画のように。日常の瑣事のなかですぐに見失ってしまう甘い気持ち、ひとときの夢を取り戻しに僕たちはバーカウンターに座るのかもしれない。

木桶の伝統が未来の多様性を生む。小豆島の醤油文化

鳥取の発酵ツーリズム:
醤油(香川県小豆島)| 小豆島の木桶仕込み

木桶だらけ!の醤油の島


小豆島の醤油文化の顔のひとつ、マルキン醤油の果てしなく続く木桶の景色。圧巻…!

香川県高松沖、瀬戸内海に位置する小豆島は、島の主産業の筆頭が醤油醸造という「醤の郷(ひしおのさと)」として知られている。「知られている」というと、行政やメディアが無理やり話題づくりして「そういうのもないことはない」ぐらいのレベルかと思ってしまうが、実際に行ってみると、予想の斜め上を行く「醤の郷」っぷりで衝撃を受ける。

一つの島のなかに、なんと22もの醤油蔵がある。瀬戸内海では淡路島に次ぐ大きな島とはいえ、驚異的な密集っぷりだ。明治の最盛期にはなんと400以上の醤油蔵があったらしく、醤油とともに歩んできた島なんだね。

なぜこんなにも醤油醸造が盛んになったかというとだな。
中世から小豆島は製塩業が盛んだった。ところが江戸時代に塩田技術が確立すると他の土地でも次々とライバルが現れてレッドオーシャンに。そこで大豆や麦などを本土から運んで塩とまぜて醤油に加工し、付加価値の高いビジネスモデルをつくりあげた。

接する土地が多いので、原料を運び込むのも容易、そして高い値段で買ってくれる都市部(岡山や姫路、神戸など)にも近いという地の利を活かした作戦勝ちだ。江戸時代から明治にかけて関西一円に醤油を卸していたのだろう。
ちなみに山の上に登って島を一望してみると、入江が港になっている。水害の影響を受けにくい地形も加工食品貿易のモデルに向いていたんだね。

さて。
醤油とはそもそも何だろうか?
大豆と麦に麹菌(コウジカビ)をつけて麹とし、それを塩水に漬けて発酵させてもろみとし、それを搾って使う液体調味料。個体調味料の味噌、液体調味料の醤油が日本の発酵調味料の2トップだ(発酵の原理もかなり似ている)。

味噌と比べると、塩分が若干高く甘味が弱く旨味が強い。刺し身から煮物まで、和食になら何でも使える汎用性があり出汁やみりんや酢など、他の調味料との相性も良い。

九州では糖類などを加えた甘い醤油、東海では小麦主体でつくる白醤油などいくつかのバリエーションがあるが、全国各地で多く使われるのが、大豆と小麦を混ぜた醤油麹を黒褐色になるまで熟成させてつくる『濃口(こいくち)醤油』だ。

小豆島でつくられる醤油の多くもこの濃口醤油。そして小豆島の醤油醸造で特徴的なのが醤油を杉でできた『木桶』で仕込む文化だ。メンテナンスに手間がかかり、コンディションによって味が変わりやすい木桶は現代では金属や強化プラスチック製のタンクに取って代わられつつある。のだけど、小豆島は島をあげて木桶仕込みの伝統を継承しようとしているんだね。


ヤマロク醤油の木桶の表面。100年以上使い込まれて表面も菌でビッシリ!

衰退しつつある木桶の文化に新たな流れをもたらしている代表格がヤマロク醤油。何トンもの酒や醤油を仕込める大型の木桶を作れるメーカーが絶滅しつつある中で、醤油蔵自らが木桶をつくるために技術を学び、その試みに共感する県内外の醸造蔵がヤマロク醤油に桶づくりの研修に行くという「木桶づくりのトレーニングセンター」になりつつある。

普通の人よりもだいぶ木桶を見慣れた僕ですら、小豆島の木桶の数と使い込まれた貫禄には圧倒される。間違いなく日本で最も大量の木桶が集まっている集積地がこの小豆島だ。

前述のヤマロク醤油では、醤油を木桶に仕込んで製品として出荷するまでに三年という長い熟成期間を経る。木桶に棲み着いた野生の微生物を使い、じっくりと発酵させた醤油は香りが特徴的だ。奥深いのにフルーティ、官能的なフレーバーが生まれるんだね。

そしてもちろん蔵ごと、桶ごとにコンディションが違うので生まれる風味も個性が生まれる。手間がかかる、コントロールしにくい部分が多いという要素を、デメリットではなく多様性を生み出すメリットと捉える。

醤油文化の未来、ローカル発酵文化の未来が、ここ小豆島から生まれている。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:蒸煮した大豆、炒った小麦を混ぜてコウジカビをつけ醤油麹にする
B:醤油麹と塩水を混ぜて桶に仕込み、半年〜3年発酵・熟成させる
C:熟成したもろみを搾り、熱加工(火入れ)して発酵作用を止め出荷する

☆菌の元気な暑い時期に発酵を促し、菌の動きが鈍る寒い時期に味を落ち着かせる、という季節のサイクルを利用して味を整えていく
☆醤油麹は味噌や酒の麹と違って旨味を強く引き出したもの。素人が見ると同じ麹とは思えない。
☆木桶や蔵の室内は基本的に洗わない。微生物の生態系が変わってしまうリスクを避ける。

▶食べかた
・刺し身醤油として
・煮物、焼き物の味付けに

▶食べられている地域
全国津々浦々
(沖縄周辺の諸島部では伝統的には醤油は使われなかった)

▶微生物の種類
醤油醸造に特化した麹菌、耐塩性の乳酸菌、酵母など

旅のメモ


高松や岡山、姫路や神戸など都市部に接する地の利を活かして加工食品産業が発展した

小豆島を取材した一番の理由は、発酵友達で醤油ソムリエのケリーちゃんこと黒島慶子さんの存在。醤油蔵がひしめくエリアで生まれ育ち、親も醤油蔵に勤務。幼い頃から醤油とともに育ってきたケリーちゃんが醤油文化の素晴らしさを伝える生業を選んだのはごく自然なことだった。彼女の精力的な活動によって、手間をかけてつくる自家醸造の醤油の魅力が若い世代にも改めて認知されている。情熱もセンスも知識もある、醤油界の伝道師なんだね。

そんなケリーちゃんと小豆島の醤油蔵を訪ねると、どこに行っても「慶子ちゃん、元気か?」と声をかけられ、世間話が始まる。ケリーちゃんにとって小豆島の醸造家たちみんなが親戚のようなもの。こういう「土地そのものと結びついた存在」が文化の守護神になるんだね。

醤油とともに歩んできた小豆島の歴史。その歴史は抽象的に受け継がれるのではなく、生身の人間にパスされる。伝統は資料のなかにではなく、人の身体のなかに宿るのだな。

ケリーちゃん、小豆島は最高だったよ!また遊びに行きます〜。


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逃避としての読書。

何かを得るために、ではなく何かから逃げるために本を読む。

僕の本やブログ読んでくれたり、トークイベント遊び来てくれた人から「なんでそんなに色んなジャンルの本読んでるんですか?」と言われることがたまにあります(しかし知り合いの博覧強記の傑物たちに比べたら僕は小僧っ子レベルなので結構恥ずかしい)。

ただ確かに小さい頃から手当たり次第にやたらめったら色んな本を読んできたのは事実。でもそれは「知識をゲットしたい!」というアクティブな好奇心とはちょっと違っていたように思います。

逃げるために本を読む

思うに。
多感な時期にする読書は「何かを得るため」だけではなく、実は「何かから逃げるため」という側面も大きい。僕は身体弱くて協調性ゼロの性格だったので現実から逃げるために本を読みまくった。本を読んでるあいだは熱がツラい!とか友達いない!という現実から逃避することができるからね。

つまりだな。僕が「これだけの本を読んできた」というのは「これだけの現実から逃避してきた」ということに等しい。たくさん勉強して賢い人間になるぞ!という気持ちは一ミリもなくて、本を読んでいる間だけは自分の将来とかいう面倒くさそうなことを考える必要がなかったので没頭していたに過ぎない。

そう。読書は逃避。本を読んでいる時だけは空想のアルカディア(理想郷)で憩うことができるんだよ。

逃げるは恥だが役に立つ

しかし。社会人になってからの読書は、残念ながら「何かを得るための読書」になってしまいがちなんだよね。仕事に必要だから、とか教養が必要だから、という理由でする読書にはロマンがない。

最強に没頭できる読書は功利から離れた「非現実の孤島」で一人きりでするもの。でもいまや社会に出て現実と悪戦苦闘するおじさんになった僕にはその島に渡る船がない。涙

とはいえ。「どれだけ色んな世界に逃避したか」という経験は、意外にも社会に出てから役に立つ。社会の不条理に直面した時、例えば上司や顧客からパワハラ受けた時に、話を聞いたフリして「半分あっちの世界」に行くことができる。愚直に壁にぶつかって粉々になるより、逃げてしまったほうがいいこともある。

人の言葉や起こった出来事を真面目に受け取りすぎると生きづらい。
どんなエラい人が言った説得力ある言葉も、身に降りかかった苦境も「話はんぶん」で受け取るのがいい。

本で色んな物語、色んな思考のパターン、色んな領域の知識を得ることで世界を相対化するスキルをゲットすることできる。心の持ちようは簡単に変えられないので本を読んで「言葉とストーリーのサンプル数」を増やせば、不条理な現実からスススっと華麗な逃避をキメることができる。

この世界で成功した経験、勝ち取った経験だけじゃなく、別の世界に逃げおおせた経験もまた役に立つ。読書は逃避。そして逃避はロマン。人生にはロマンが必要だ…!

神さまと人をつなぐ山の寿司。柿の葉寿司

鳥取の発酵ツーリズム:
柿の葉寿司(鳥取県智頭町)| 國政勝子さん

お盆の精進落しに食べる華やかな郷土寿司


日本昔話に出てくるような牧歌的な景色。智頭は古くからの林業地だ

日本各地の発酵文化には、それがあまりにもローカルに流通しているゆえ醸造メーカーすらなく、地元のお母さんたちが手づくりで継承しているものも少なくない。今回紹介する鳥取県智頭町の『柿の葉寿司』もその一例だ。

鳥取県南部にある智頭町は、人口6000人強の山間の町。川沿いの集落の小高い丘の上に住む料理名人、國政勝子さんが智頭の柿の葉寿司の伝統を守っている。


桶のなかにギッシリとお寿司を詰めていく

関西でメジャーの柿の葉寿司は、ちまきのように柿の葉でご飯を包んでつくる押し寿司スタイルなのだが、智頭町のスタイルは柿の葉に握り飯を乗せ、さらにそのうえに具を乗せる江戸前寿司スタイル。葉の緑、飯の白、具のピンクが目に鮮やかで可愛らしい。

初夏から秋口までにちぎった柿の葉に、酢で〆た白米と鱒(ます)で握った寿司を載せ、その上に山椒の実や穂など季節の香草をアクセントにする。それを桶に仕込んで何段も重ね、1〜5日間ほど発酵させる。柿の葉と酢によって腐敗を防ぎ、お盆の暑い時期の防腐対策としたのだろう。

写真の通り一度に何十個と仕込むので、柿の葉寿司は親族や村の共同体で集まって食べるパーティ食なのだ。

「いつからこのお寿司があるのかは知りません。私は祖母から教わって、その祖母もまた彼女の祖母から習ったの。そうやってずっとおばあちゃんの味が続いてきたのよ。私も気づいたら50年以上柿の葉寿司を作り続けているみたい」

と勝子おばあちゃん。超絶シャイで可愛いぜ…!

今でこそ一年を通してお祝いの場で食べられる柿の葉寿司だが、元はお盆の終わりをつげる『精進落し』として食べらていた。
(ちなみに現代の精進落しは死者の火葬が済んだ夜に食べる食事のことを指すけれど、元は神事や巡礼、重大な災害などが落ち着いた後に「おつかれ!」という気持ちを込めて食べる食事のことだった)

山深く、肉食を禁じられた土地で、貴重な魚肉と白米をいっぺんに食べられる柿の葉寿司はお盆という夏の一大事を終えた共同体の労をねぎらう「ありがたい山のお寿司」だったのだろう。年に一度のことだから、見た目も美しく、味も酸味と甘味が効いている。智頭のおばあちゃんの優しさが泣けるほど伝わってくる郷土寿司の真髄だコレ!

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:柿の葉の上に、酢で〆た白米と鱒で握った寿司を載せる
B:寿司の上に山椒の実や穂など季節の香草を乗せアクセントとする
C:それを桶に仕込んで何段も重ね、1〜5日間ほど発酵させる。

☆発酵しないうちに食べると甘酸っぱいフレッシュな味、発酵が進むと酸味とコクが効いた旨味の強い味に。どちらを選ぶかは人の好みだそう。
☆鱒ではなく紅鮭を使う場合もあるが、味が淡白すぎて鱒のほうが上等とされるらしい。

▶食べかた
・家族や村の寄り合いでみんなでガシガシ食べる

▶食べられている地域
握り飯スタイル:智頭町はじめ鳥取・石川
押し寿司スタイル:和歌山・奈良

▶微生物の種類
主に柿の葉に棲み着いている野生乳酸菌

旅のメモ


柿の葉を集める様子。勝子おばあちゃんは家の近所のものをたくさん集めて料理に使う

郷土寿司はスピリチュアリティと深い関係を持っているらしい。
勝子おばあちゃんによると、智頭には2つの郷土寿司の文化がある。

一つはお盆の精進落しに食べる柿の葉寿司。
もう一つは、正月に歳神さまにお供えするサバのなれずし。

前者はご先祖様が帰った後の「おつかれ!」で、後者は新年を迎える「ようこそ!」だ。

勝子おばあちゃんの話を聞いている時に、僕の母方の実家の佐賀の漁村の文化を思い出した。漁師だったおじいちゃんは、お盆が始まると漁に出なくなる。この時期に海に行くと「ご先祖様に連れて行かれてしまう」ということなのだそう。

お盆の最後の日に海に紙や木でつくったミニチュアの船にお供え物を入れて流し、その儀式が終わったら漁に出て、魚が食べられるようになる。海や川など、水と深くつながった土地において、お盆の終わりに魚を食べることは彼岸と此岸の境界線を引く特別な食事であることがわかる。

かつての地域文化において、お寿司は神様と人の間をつなぐ重要な食べ物だったのだ。


もはや時空を超えた存在といえる勝子おばあちゃん。尊い…!

ちなみに今回の旅は、野生菌でパンとビールを醸すタルマーリーの女将、渡邉麻里子さんにコーディネートしてもらいました。古くからの発酵と新世代の発酵が同居する町、智頭は景色も人もサイコー!また遊び行きますね。


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旨味の首都の味覚を支える、縁の下の力持ち。たまり

三重の発酵ツーリズム:
たまり(三重県鈴鹿市)| 東海醸造

豆味噌の桶から滲み出る濃厚液体調味料


味噌から染み出してくるたまり。美味しそう…!

たまりは豆味噌(大豆に麹をつけて仕込んだ味噌のいちバリエーション)の桶から滲み出てくる液体分を取り出した液体調味料。スーパー等で流通しているたまり醤油とは別物で、こちらは窒素分(旨味成分)が普通の濃口醤油よりも濃厚になるように仕込まれた醤油のこと。東海地方以外でたまり(notたまり醤油)が流通しているところはほぼ皆無。

濃いめの醤油として仕込まれるたまり醤油よりもさらに旨味濃厚で野性的なフレーバーのする、この地域ならではのパンチある調味料だ。

このたまり、単体で使われることは稀で、出汁や他の調味料とセットの「隠し味」として使われる。流通も単体パッケージではなく、他の調味料と混合することを前提に飲食店や加工食品メーカーに卸される。

つまりだな。
たまりは『東海の旨味を支える縁の下の力持ち』。この土地に工夫上手の料理人の文化が根付いている証なんだ。

三重県鈴鹿で約300年に渡って豆味噌とたまりの製造を続けている東海醸造では、江戸時代の面影を残しまくっためちゃ味わいのある醸造法を継承している。
木桶に仕込んだ味噌を豆味噌にする途中、2年の熟成期間を超えた桶からたまりを放出する。

すげーーーいっぱい出るゥ!!!!
と見るだけでもアドレナリンが放出される瞬間だぜ。

こうやって取り出したたまりは、そのまま瓶詰めして出荷されることはほとんどなく、工場内で醤油やみりん等と混合して飲食店や他メーカーに納品される。直接販売される場合は、使い手が直接好みの調味料と混合する補助調味料として使うことが多い。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:豆味噌を仕込み、熟成させる
B:熟成の後半(二年以上)、木桶からたまりを放出する
C:ろ過・火入れ(発酵を止める作業)などをして完成

豆味噌の仕込み方については、愛知県の八丁味噌を参照。
・味噌汁の味は、その土地のプライド。八丁味噌

▶食べかた
・出汁や他の醤油、みりん等と混合して補助調味料にする
・刺し身などの醤油とする

写真は穴子のだし巻き卵。
卵の部分は白醤油(東海独特の小麦を主体とした醤油)、穴子の部分にたまりを使った「旨味の首都東海」ならではの旨味レイヤー複雑過ぎな一品でした。

▶食べられている地域
東海地方一帯

▶微生物の種類
コウジカビ(Oryzae系ではなくSojae系)、蔵に棲み着く野生の耐塩性乳酸菌、酵母類

旅のメモ

東海醸造の豆味噌は、同じ原料を使いながらお隣愛知県の八丁味噌とは個性も製法も違う。写真は、東海醸造の木桶の表面を覆い尽くすカビ・酵母類のコロニー(ちょっとナウシカっぽくてロマンチック)。東海醸造では八丁味噌と違って石をピラミッド状につみあげるのではなく、まばらに重しをするスタイルで熟成を進める。空気に触れる面積多すぎて雑菌が混入しやすいのでは?と思ってしまうが、表面に菌のコロニーでバリアをつくることで味や香りを悪くする汚染を防いでいる。

こっちが八丁味噌の石積み。表面に空気が触れないように隙間なく石を詰む。

こっちが東海醸造の豆味噌。石と石の隙間に菌のコロニーがびっしり。

この石積みの方法論で何が変わるかというと、香りが変わるんだね。
八丁味噌はコクのあるディープな香りだが、東海醸造の豆味噌はよりイースティ(酵母っぽい)、もっというとフルーティな香りになる。桶の表面の酸素の量の違いが微生物の働きを変えているのだろう。こんな感じで、豆味噌のなかでも、蔵や地域ごとに多様性があるんだね。めちゃ面白い。

ちなみに東海醸造からすぐ近くの海岸沿いを歩くと、伊勢湾を挟んで愛知の知多半島を臨むことができる。今よりもずっと海運が盛んだった江戸時代以前には、この鈴鹿の地と愛知の三河地方は同じような文化を共有した東海の発酵中心地として醸造業が栄えていったんだろうね。

この取材では、東海醸造の本地猛さんにすっかりお世話になりました。
伊勢をルーツとしながら、三河や紀州、近江や奈良ともつながっているミックスカルチャー三重。次回はさらにディープに掘ってみたいと思います。


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文化の古層への冥界巡り。大風邪引きながら関西の発酵を訪ねました。

こんにちは。小倉ヒラクです。
9月終わり、関西に旅に出た直後から大風邪を引いてほとんど外界と音信不通になっていました(山梨に帰ってきた今現在もまだ発熱と咳がひどくて家で静養中)。
何度も熱や胃痛や喘息症状でぶっ倒れながら、

鳥取県智頭町:柿の葉寿司
香川県小豆島:醤油
和歌山県湯浅:金山寺味噌
京都市大原:しば漬け

と西のローカル発酵の現場をまわってきました。その合間にイベントに出演したり、仕事の打ち合わせしたりもあって。普通だったらベッドから起き上がれない状態で長距離移動&業務フル回転。

ここ数年で最もハードな旅(体調的に)となりました。
これから47都道府県ぶん延々と続く発酵の旅ですが、序盤にこれだけツラい体験したので、あとは「何でもバッチこーい!」と笑顔で乗り切れる自信がある…!

日本の超ディープルーツの再発見


醤伝来の地、和歌山県湯浅で江戸時代から続く金山寺味噌の工場

今回の旅は、前回の出版ツアーのようにその土地の文化の拠点になっているようなイケてる場所に行くのではなく、アクセスも不便で地元の人すら知らないような地域へ行って、何百年も静かに受け継がれてきた郷土食の担い手にえっちらおっちら会いにいっています。

多くのケースは、70過ぎのおばあやおじい達。
仕込みの現場に一緒にいて、その土地のこと、家族のこと、醸造方法のことなどを聞き出していくわけです。ポイントは単純な聞き書きではなく「仕込みの現場に一緒にいること」。現場で工程を見ていくと、聞き書きでは説明するのをうっかり飛ばしてしまいがちな重要ポイントを見逃さずにすむ。話を聞くことよりも、僕も醸造家の立場になって現場を共有するのが大事なんですね。

ということで、連日小さな蔵や畑に入っていくわけなんですが。
そこで目の当たりにする景色がディープにファンタスティックすぎて

「あれ…?ここって現代日本だっけ?」

と感覚が狂いまくる瞬間ばかり。現代日本の無意識下に何百年も伏流してきた超ディープルーツにやられて、さらに発熱が…涙

体調不良のピークは和歌山湯浅。肌寒い夜、咳で倒れそうになりながら熊野古道を歩いていると自分が幽霊になったような錯覚に陥りました。

文化の古層への冥界巡り


小豆島。見渡す限りの木桶の海。マジで感覚がおかしくなる…!

どうやら今回の旅はただのフィールドワークじゃないらしい。
これは日本の文化の古層への冥界巡り。ふだん僕たちが意識しない百年、千年という時間スパンで流れている「文化の無意識」を僕は辿っているようだ。

つまり僕のこの謎の発熱は冥界巡りをスタートするためのイニシエーション…!
この先に、何かとんでもない世界が待っている…!!

いったいこの先どんな「文化の古層」の景色が待っているのでしょうか。
これから定期的にレポートしていくので、どうぞお楽しみに。

しばらく現世から離れます


人間をやめて微生物になり、さらに現世から冥界に降りるというディープトリップ…!

そんでもって。友人の皆様へ業務連絡。
今回の旅で僕は人間界というか現世から離脱することになるので、しばらく社交の場にもカジュアルな飲み会にも顔出せないと思われます(精神的にも体力的にも)。

僕は友だちという時間が大好きなので、とても心苦しいのですがおそらくこんなにディープな体験は一生に何度もできないと思うので、徹底的に彼岸の世界へ行ってきたいと思います。

来年の春以降に現世に戻ってきますので、桃の花の咲く頃に会いましょう。
それでは最後に和歌山で出会った醸造家夫婦のポートレートをご覧ください。


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【47発酵ツーリズム】味噌汁の味は、その土地のプライド。八丁味噌

愛知の発酵ツーリズム:
八丁味噌(愛知県岡崎市八帖地区)| まるや&カクキュー

大陸とつながる味噌の原風景


発酵途中の八丁味噌。めちゃ濃厚な匂いがする…!

八丁味噌は東海地方で食べられている豆味噌のいちバリエーション。愛知県岡崎市の八帖地区で400年以上に渡ってつくられてきたユニークなローカル味噌だ。

日本全国で食べられている米味噌では、蒸した大豆に別の場所でつくった米麹を混ぜて仕込む(なお、麹の原料を麦に変えると九州〜瀬戸内で食べられる麦味噌になる)。しかし八丁味噌は蒸した大豆にそのままカビつけして豆麹にし、そこに塩水を加えてペーストにして味噌に醸していく。つまり日本の味噌のスタンダードになっている「別工程で麹をつくって大豆と合わせる」というプロセスがない。大豆が成り行きで味噌になるという特異なスタイルなのだね。

この「成り行きで大豆が麹になり、そこに塩を加えて味噌にする」というスタイルは実は大陸系の味噌の系譜。韓国のテンジャンなどと共通する部分が多い。
中国や韓国を始めとする東アジアの発酵カビは、酸などを出して外敵から身を守る力が強く、野外環境でも麹のようなスターターをつくることができる。ところが日本のコウジカビは雑菌の汚染を受けやすいため、麹室(こうじむろ)という隔離した空間で麹をつくるようになった。その結果生まれたのが、原料の豆と麹を分離する日本式の味噌だ。

しかし八丁味噌はなぜか成り行きで発酵する、大陸から渡ってきたであろう味噌のルーツを残している。甘い米や麦の麹を入れないので、超濃厚な旨味が凝縮されたディープなコクが出て、はじめてリアル八丁味噌でつくった味噌汁を飲んだ時に

「おお、南インドのスープカレーみたいだ…!」

と叫んだのを覚えている。つまり他の味噌とは一線どころか八線くらい画した独自すぎる風味なのだね。

そんな独自すぎる八丁味噌は、岡崎をはじめ愛知・東海一帯でこよなく愛されている。単に「美味しい」を超えて、土地の人のアイデンティティを形成するソウルフード。

そう。味噌汁の味は、その土地のプライドなのだ。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:煮た大豆を潰して玉にし、そこにコウジカビを生やして豆麹とする
B:豆麹を塩水を混ぜてペーストにして木桶に仕込み、上から石を詰んで酸素を抜く
C:最低2年以上熟成させて完成とする

ポイントはBの「石積み」とCの「二年以上の熟成」。
【B】ピラミッドのように石の重しをすることで、桶のなかから酸素を抜き、イヤな匂いを発生させる菌の働きを抑える(専門的に言うと嫌気発酵を促す)。それでも残る、桶表面のはじっこの空気に触れる部分はある程度除去して出荷するそう。
【C】二年以上じゅうぶんに熟成させると、出荷してからも味が変質しにくい。つまり発酵がほぼ完成しているので、保存食としての機能性が高くなる。冷蔵庫がない時代から続く味噌ならではの知恵だ。

▶食べかた
・味噌汁にする
・うどんを始め、煮込み料理の調味料とする
・野菜や豆腐などに塗って田楽にする

僕のフェーバリットは、二日酔いの翌日にしじみやアサリなど貝類とあわせて味噌汁をつくって一息に飲み干すスタイル。体内のアルコールが一気に抜けていく!(錯覚だけど)

▶食べられている地域
東海地方一帯

☆他の味噌などと合わせて食べやすくした赤だしスタイルは関西でも好まれている
☆九州の甘い麦味噌で育った人と八丁味噌文化圏の人が結婚すると、味噌汁の味をめぐって家庭内紛争が起こることもある。汗

▶微生物の種類
コウジカビ(Oryzae系ではなくSojae系)、蔵に棲み着く野生の耐塩性乳酸菌、酵母類

旅のメモ

八丁味噌の名前の由来は、徳川家康の出生地である岡崎城下の八帖地区で400年にわたって製造してきた歴史から。徳川の武家好みの濃厚な味を代々守ってきたのが、まるやとカクキューの2つの蔵だ。この二社は旧東海道を挟んで隣り合っている。上の写真でいえば、東海道の右側がカクキュー、左側がまるや。道の幅は約4メートル程だが、この4mで微生物の生態系がガラッと変わる。共通した原料、製法で醸すのにまるやとカクキューの味噌の味は明確に個性が違う。

この微生物の個性の違いによって、二社は長い間マーケットの奪い合いをすることなく共存することができた。まるやの名物社長の浅井さんいわく、

「2つの蔵はライバルですが、同時に一緒に伝統を守ってきた者同士として尊敬しあっています」

とのこと。スピッツとミスチルみたいでカッコいい…!

大豆だけでつくる豆味噌というカテゴリー自体が東海に限定されているのに、さらにこの岡崎という地域の制限を受けながら独自性を磨き続けた老舗の2蔵は、日本の文化において発酵文化が果たす役割の大事さを理屈無用で教えてくれる。

長い長い時間の流れが、桶の上に積まれた石のように組み上げられて、その土地の味覚、そして精神性を醸し出している。つまり、尊い…!尊すぎる…!!

ちなみに今回の取材には、めちゃ好奇心いっぱいの岡崎ガールズチームと、岡崎に引っ越した山梨生まれの飯田圭くんはじめ地元の人たちにお世話になりました。また岡崎で会いましょう。


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・【スポンサー募集】発酵から日本を再発見する旅、いよいよスタート!

 

【47発酵ツーリズム】川の味を醸す。鮎のなれずし

岐阜の発酵ツーリズム:
鮎のなれずし(長良川流域)| 川原町泉屋

長良川流域の川の味を醸す

岐阜の南半分、岐阜市を中心とする長良川周辺の食のアイデンティは鮎。
鮎は岐阜の河川文化のシンボルであり、その鮎をなれずしにして保存食とした。

泉屋さんがつくる鮎のなれずしは子持ち鮎のなれずし。子持ちということは、「内蔵を取らないまま漬ける」ということだ。隣の滋賀県で広く食べられるフナのなれずしでは、硬い鱗と腐敗を招く内蔵を取って漬けるのだが、泉善七では鮎を魚まるごと内蔵ごと漬け込み、塩漬けで約半年、米を入れて4〜5ヶ月ほど発酵させて完成。

出来上がったなれずしには内蔵由来の臭みが全く無く、フナのなれずしよりも酸味が少なく澄んだ旨味が特徴。これは鮎は昆虫などの小動物を食べず、川の岩苔などを食べるベジタリアンの魚であることが大きな理由だ。苔の質は川によって違い、上質の鮎は森の奥から湧く清水で取れるという。

つまり鮎は「川の味」そのもの。そして鮎のなれずしは「川を味を醸したもの」だ。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:新鮮な鮎を生のまま高塩度の塩漬けにし、耐塩性乳酸菌により発酵。
B:塩漬けになった鮎の塩を洗い、今度は飯米の漬け床で漬ける。

この時に塩分が下がるので、多様な乳酸菌や酵母による二次発酵が起こり、チーズのほうな熟成香や旨味が生まれる。発酵の酵素作用によりドロドロに溶けた米も酒肴や調味料として珍重される。

▶食べかた
・スライスしたものを酒の肴にする
・酵素で溶けたお米を調味料やパテとして使う

▶食べられている地域
岐阜市を中心に長良川流域

▶微生物の種類
初期:耐塩性乳酸菌 後期:様々な乳酸菌や酵母類の複合発酵

旅のメモ

長良川を筆頭に、岐阜市周辺のアイデンティティは川(北部の飛騨地方は山)。
岐阜は鵜を使って鮎を捕る「鵜飼い」をシンボルに、川沿いに情緒あるお屋敷や長屋が連なる「川の街」。そのアイデンティティを発酵に当てはめた時に真っ先に思い浮かんだのが鮎のなれずしだった。

なれずしと言えば滋賀のフナのなれずしが、文化としては広範囲に普及しているのだけれども、鮎のなれずしも泉善七の努力によって確かな個性を確立した。特筆すべきは、メスの鮎を内蔵ごと漬け込むイノベーションだ。それまではオスの鮎をフナのように内蔵を除去して漬け込んでいたものを、内蔵まるごと漬けることによってエレガントな旨味を獲得した。

泉屋の五代目当主、泉善七さんいわく「川によって味が全然違う。ワインのように鮎のなれずしは川のテロワールなんだ」。め…名言!

鮎のエサとなる岩苔は、緑色よりも赤色が美味しいと言う。光学的に考えてみると、赤色の光合成をするということは、太陽光が豊富に降り注ぐ川よりも、森の奥にある源流に近い川ということになるのかもしれない。

ちなみに岐阜市に行った理由は、僕がデザイナーとして独立した直後からお世話になっているNPOオルガンの蒲さん。かつて岐阜で花開いた旦那文化を継承する粋なアニキ。蔵の取材の後は、泉さんと蒲さんの三人で飲みに行って、山梨の甲州ワインとブルゴーニュの白ワインを飲み比べました。旦那文化サイコー!!


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・【スポンサー募集】発酵から日本を再発見する旅、いよいよスタート!

47都道府県の発酵を巡る旅が始まりました。

ついに旅が始まりました。
来年ヒカリエのd47 MUSEUMの展覧会のために、全国各地の発酵文化を訪ねるツアーです。

・47都道府県からそれぞれ発酵プロダクトを一つずつ選ぶ
・同じものが被らないこと(全て違う発酵食品)
・その土地のルーツに忠実な伝統的発酵食品を扱う

という謎のルールを自分に課し、北へ南へと微生物を求めて行脚する無茶な企画が始まってしまった〜!!!!

・渋谷ヒカリエd47 MUSEUMで『47都道府県の発酵』やります!

第一弾は東海へ


三重県鈴鹿にある東海醸造の木桶に棲み着く微生物たち

第一弾の旅は、岐阜〜愛知〜三重の東海三県。
岐阜からは鮎の熟れ寿司、愛知からは八丁味噌、東海からはたまりを取り上げます。

「さぞや濃い旅になるだろう…!」と覚悟して旅をスタートしたら、案の定行く先々でインパクトありすぎの景色や人間ドラマ、そして微生物のミラクルの連打で早速HPがゼロになった…!

各県それぞれ情報量が多いので、巡った現場のレポートをこのブログでお届けします。
どうぞお楽しみに!

旅に備えて装備をアップデートしたよ


出発前夜、池尻のALL YOURSへ行ってギアをゲットしてきました

聞き書きしたり、撮影したり、移動しながら仕事したり…とふだんの旅よりもタスクが多いので、旅のギアもアップデート。

・軽量かつ荷物の仕分けがしやすくてまあまあ大容量のバックパック→Coleman walker
・最低限撥水効果があって洗濯してもすぐ乾くシンプルな服→ALL YOURS
・携帯しやすくてハイクオリティ画質の撮影機材→SONY α7 + 35mm 単焦点レンズ

ちなみにふだん自販機で飲み物買わないので、Re:S藤本センパイが最近プロデュースしたタイガー魔法瓶の&ボトル水筒も持っていくことにしました。リュックの横にささってる赤いのがそれです。そこそこサイズあるのにすげー軽い!

荷物をざっと挙げてみると、

・macbook pro 13インチ
・ipad pro + ペンシル(作画用)
・スマホ&財布
・ミラーレス一眼+レンズ
・充電用バッテリー&各種アダプター
・折り畳み傘
・水筒
・手帳(北欧暮らしの道具店のが丁度いい)
・本3冊くらい
・着替え&洗面用具とか
・消臭剤(きえーる)←臭い強い現場に行くので

これ全部入れてなんと!8kg弱しかなかったんだぜ(リュック本体込)。
かかか、革命〜!!!超軽量移動オフィス〜!!!

ということで。
これから月の半分くらいは全国を巡業しています。タイミングが合えばアナタの土地でお会いしましょう。

 


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親戚のおじさんバイブス。

今年の夏は友人の快挙が続きました。
山梨の発酵ラボの敷地で小屋作りをしている作家の川内有緒さんがノンフィクション界の芥川賞と呼ばれる開高健賞の大賞受賞、そしてアパレル新世代を牽引するALL YOURSが毎日ファッション大賞にノミネートされるというスゴいニュースを聞いて、僕のなかに湧き上がるバイブレーションがありました。

それを親戚のおじさんバイブスと名付けたい…!

応援団組んで甲子園に応援行くおじさん

いつの時代も多くの人が行動を起こすきっかけを求めています。自分を突き動かすような情熱や使命がなくても、何かアクションを起こしたい。

その時に強力なトリガーになるのが「親戚のおじさんバイブス」。
甥っ子が甲子園に出るのを知って「アイツは昔からがんばり屋だったんだ!」と盛り上がって親族集めてみんなで球場に行っちゃうおじさんはね、甥っ子のための応援じゃなくて「神輿を担ぐ楽しさ」を満喫してるんだよね。

僕はどちらかというと自分の好きなことを追いかけて行動しちゃうタイプなんですが、今回川内さんとALL YOURSの快挙を知って、僕の秘められた「親戚のおじさんバイブス」が爆発して「めでたい!これは応援せねば」とめちゃソワソワしてしまった。

・ALL YOURSへチーム山梨より応援メッセージ!

そうなんだよ。誰かお神輿かついで応援するのってば最高のエンタメなんだよ!
別に自分が何かしたわけじゃないのに、友人や家族が成し遂げたことが自分ごとのように嬉しい。応援というかたちで関わるだけでドーパミンがドバドバ出る。これがご機嫌な親戚のおじさんの秘密だったのか…!

名もなき者の挑戦はエンタメである

で、自分の身を振り返ってみるとだな。
去年出版した拙著『発酵文化人類学』がニッチかつ広告ゼロで3万部売れたのはほぼ口コミの力と言っていい。本の内容が面白かったかどうかは神のみぞ知るとして、色んな人が僕の「親戚のおじさん」になってくれたんだよね。

・一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。

著者の僕が「なにもそんなに応援してくれなくても…」と恐縮してしまうほど本を知人にプッシュしたり自身のSNSやブログで取り上げてくれる人がビックリするくらいいました。

親戚のおじさんバイブスを理解した今ならわかるよ。
無名の馬の骨の神輿を担ぐのは楽しいよね。みんな、ほんとにありがとう…!

自分で主体的にアクションを起こすことだけが「行動」ではなくて、縁のある誰かの応援団になるのも立派な行動。自分が神輿に乗る楽しみもあれば、誰かの神輿を担ぐ楽しみもある。

ほら、夏に甥っ子の応援に甲子園行った親戚のおじさんは、秋には自分がのど自慢に出場して地元の大声援を浴びるかもしれないよ…!

【追記】11月に発売される川内有緒さんの『空をゆく巨人』の応援団になって親戚のおじさんバイブスを存分に発揮する予定でいます。読むの今から楽しみ〜!

【10/13】甲府五味醤油でナカムラケンタ『生きるように働く』出版トークイベントやるよ!

こんにちは、ヒラクです。
猛暑の夏が終わり、読書の秋がやってくる!

ということで、いつもめっちゃお世話になっている日本仕事百貨ナカムラケンタさんの新著『生きるように働く』出版記念イベントを、チーム山梨で企画しました。

実はこの本の編集は、ミシマガジンの僕の連載を担当してくれているミシマ社のホシノさん。彼女から「5年ごしの出版なんです〜!」、ケンタさんから「なかなか書けない…!執筆のために新島に籠もってみても釣りとかしちゃってなかなか進まない…!」という裏話を聞いていたので(笑)、出版のお知らせを聞いた時はなかなか感慨深かったデス。

当日は、本の内容をベースにケンタさんにあれこれ話を聞きたいと思います。
ホストはチーム山梨の接待担当、発酵兄妹(五味兄妹&ヒラク)。司会進行は僕が努めます。さてどんな楽しい話になるのかしら?

イベント詳細はこんなかんじ!

ナカムラケンタ『生きるように働く』出版トークイベント

ゲスト:ナカムラケンタ(日本仕事百貨)
聞き手:小倉ヒラク

日時:2018年10/13(土)18:30スタート(18:00開場)
場所:五味醤油 tane
→会場へのアクセスはこちらから
→新宿駅からのバスも便利です ※中央三丁目で下車徒歩2分
参加費:1,500円(1ドリンク付)
定員:30名

【予約方法】
info(あっと)yamagomiso.com まで

▶生きるように働くイベント参加希望

の件名で、

・お名前
・参加人数
・電話番号

を記載してメールを送ってください。

ちなみに当日のお昼は、同会場で『発酵デザイナーのこうじづくり講座』もやってます。両方参加すれば甲府を遊び倒せるよ!

・発酵デザイナーのこうじづくり講座 in 甲府五味醤油

それでは甲府で待ってまーす。ケンタさんどうぞよろしく〜。

【ヒカリエ47発酵】発酵から日本を再発見する旅、いよいよスタート!

いよいよ47都道府県の発酵を巡る旅に出発!
来年4月にヒカリエ8階d47 MUSEUMで開催する大型展示会の進捗をお知らせします。

▶これまでのあらすじ
全国各地に根付く個性的な発酵文化を47都道府県+離島部で網羅する無謀すぎる企画を思いついた小倉ヒラク。D&Departmentのミュージアムにアイデアを話したらあれよあれよという間に実現の運びに。壮大な計画ゆえに予算もハンパない…!ということでスポンサーを募集してみたところ、ななな、なんとさっそく手を挙げてくれる素敵な企業があらわれた…!?

詳しい経緯については下記エントリーから。


・【求むスポンサー】渋谷ヒカリエd47 MUSEUMで『47都道府県の発酵』やります!

全国の発酵&ソーシャル界隈がザワついた謎企画、「さすがに無謀すぎるかしら?」と思いきや、着々と前進しているよ…!!

それではチーム47発酵の現在地はここだ!

展示会タイトルが決まりました

プロジェクトの成否を決める超重要な展示タイトルが決まりました。その名もずばり…

Fermentation
Tourism NIPPON
〜発酵から再発見する日本の旅〜

です。最終的なネーミングはこのプロジェクトのクリエイティブディレクター、Re:Sの藤本さん。今回の展示の意気込みのコメントをもらったのでどうぞ。


クリエイティブディレクター 藤本智士さん

本展における僕の仕事は編集発行ではなく編集発酵。って、ただのダジャレが言いたいわけではない。 編集というのはただ本や雑誌をつくることじゃなく、展覧会づくりも商品づくりもすべて編集であって、そういう意味で編集者なのだと言い張る僕は、小倉ヒラクに出会って、その意味するところが「=発酵」なのだと自覚した。

すでにある素材を編み集めることの意義は、そうすることで腐敗ではなく発酵へともっていくことにある。ゆえに今回も、各地の発酵文化をただ並べるのではなく、その環境を整え、手をかけることで美味しく発酵させることが味噌なのだ。その一つのカタチが「ツーリズム」じゃないかと考えている。 マクロとミクロを往復する多様な発酵ツーリズムを味わった後に、手前味噌で溢れる脱均質化な世の中、つまり均質より菌質な世の中が立ちあがってくればよいなあと思う。
訂正する。やっぱり、ただダジャレが言いたかった。

めちゃ良いこと言ってるのに、最終的にダジャレかーい!!
単にローカル発酵食品のカタログでは終わらせない。発酵を通して日本の土地の多様性を浮き彫りにしていく、トリップ型展覧会にしたいのだぜ!

スポンサーが二社確定しました

では次へ。なんと!スポンサーが二社確定しました!!めちゃふんわりしている状態で真っ先に手を挙げてくれた有難すぎる素敵企業は、

・環境ダイゼン:バイオ消臭剤メーカー(北海道北見)
・ビオック:種麹メーカー(愛知県豊橋)

の二社!もはや感謝しかねえ…!!
ということで、早速コメントもらいました。

▶環境ダイゼンからのコメント


環境ダイゼン専務 窪之内誠さん

『発酵をわかりやすく伝えるために日本、そして世界を駆け回る小倉ヒラクさんがd47で発酵の展示会をやる!?という情報に、ヒラクさんもビックリの「謎の発酵液体」を製造している弊社が手を挙げない訳にいきません!!
弊社は北海道オホーツクにある北見市で「複雑系微生物の発酵液体」を消臭液や土壌改良剤にアレンジして製造販売している会社です。
広く皆さんに発酵の奥深さを知っていただけるよう、ヒラクさんを全力でサポートさせていただきます!!』

わーい、応援ありがとうございます!

環境ダイゼンさんのつくっている微生物消臭剤『きえーる』は日本の複雑系発酵のポテンシャルが詰まった驚異のプロダクト。様々な発酵食品がひしめき合う会場の出入り口に『きえーる』を置いて来場者の皆さまに臭いリセット体験をしてもらう予定です( ー`дー´)キリッ

なおきえーるについては仲良しのWEBメディア、ジモコロの記事をどうぞ。


・牛のオシッコが地球を救う!? 北海道で出会ったミラクル液体「きえーる」| ジモコロ

こちらの記事もあわせてどうぞ。
ひとも菌も、居住まいを大切に | 70 seeds

▶ビオックさんからのコメント


ビオック代表 村井裕一郎 さん

近年「麹」に注目が集まり、麹ブームともいわれています。当社[株式会社糀屋三左衛門、株式会社ビオック]は、室町時代の創業以来、約600年に渡り、麹のもとになる種麹を作り続け、現在では味噌、醤油、清酒、焼酎、酢、味醂など、おおよそ「麹」を使用する、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地醸造メーカー様3000社に麹菌をそれぞれの製品に合わせてデザインした種麹という商品として提供しています。

この「麹」の多様性を、麹が紡いできた歴史や文化という側面、麹が発酵で果たす役割や機能性などの側面、ヒラクさんのプロデュースにのって、いろいろな角度からご紹介する機会になれば幸いです。まずはご興味のあるアプローチから麹に触れてみて下さい

ビオックさんは名前こそバイオメーカーっぽいものの、実は400年以上の歴史を持つ「もやし屋(種麹の培養メーカー)」の名門。つまり日本の発酵文化の屋台骨を支える超重要な存在です(ちなみにもやし屋は全国に実質6社しかありません)。
そんな麹の歴史を引き継ぐ代表の村井さんは僕と同年代。度々イベントでもご一緒して、深い科学的見識とユーモアを併せ持ったナイスガイです。

今回の展示会では、日本のローカル発酵を支える『麹』のセクションを大々的に設け、味噌や醤油、酒には留まらない麹の応用例の数々を皆さまにお見せします。

くどいけどもう一回言うね。
日本の発酵文化の屋台骨は、麹なんだよ…!

▶パートナー企業に、ALL YOURSも登場!


ALL YOURS代表 木村昌史さん

小倉ヒラクくんは社会を外側から見ている人っていうか、時代の「オルタナティヴ」を発見するヒッピーだ。だって「発酵デザイナー」なんて職業聞いたことないだろ?イカれてるよね。
オルタナティヴって「二者択一、代替」って意味があるんだけど、僕がこの単語に感じる意味は「第三の案」。そう、彼はこの時代における「第三の案」を提示しているように思えてならないんだ。

 60年代のヒッピーたちは宗教や宇宙的な思想に新しい調和を見出したように、小倉ヒラクは微生物の世界に小宇宙を見つけ、調和を探している。それも新しい価値観ではなく古くから伝わる発酵の文化から。この展示は47都道府県の発酵文化を展示するものらしいけど、そこから彼が新しい調和する世界を導き出すんじゃないのかな?この展示から「hello, world!」つって次の時代が生まれてくるような気がするんだな。

最高のコメントさんきゅー!

プロジェクトをサポートしてくれるパートナーに、アパレル業界の風雲児ALL YOURSが加わりました。秋以降からスタートするクラウドファンディングやコミュニティづくりのサポートをしてくれます(できれば服でもコラボしたい)。きむ兄よろしくね〜!

発酵ツーリズムのスケジュールが決まりました

展示の準備を兼ねて、キュレーターである僕小倉ヒラクが全国の醸造現場を訪ねる発酵ツーリズムに出ます。その模様は小倉ヒラクのWEBとD&Departementの特設サイトを連動して随時コンテンツ記事化。つまり、展示会と同様、僕の旅自体もまたメインコンテンツになるんだね。

で、旅のスケジュールもだいたい決定。このスケジュールに合わせて各地の皆さまにお会いできたら嬉しいぜ。

▶発酵ツーリズム予定

【9月】
高知県:醤油
徳島県:阿波番茶
東京都:甘酒
千葉:なめろう
愛知:八丁味噌

三重:たまり醤油
岐阜:アユのなれ寿司
鳥取:柿の葉寿司
京都:しば漬け
奈良:奈良漬け
和歌山:金山寺味噌

【10月〜11月】
神奈川:ビール
山梨:ワイン
静岡:かつお節
岡山:ママカリ寿司
広島:米酢
島根:寒シマメ漬
山口:寒漬
滋賀:フナのなれ寿司
愛媛:かぶら漬け
神戸:清酒

【11月後半〜12月】
大分、熊本、宮崎、鹿児島、佐賀、長崎、福岡、沖縄&離島部

【12月後半〜2月】
秋田、山形、福島、青森、宮城、石川、富山、福井、新潟、岩手、山形

※旅の成り行きで予定変動有り

スポンサー二次募集をします!

ということで。スポンサー5枠のうち、二社がめでたく埋まりました。
まだ相談中の案件もあるのですが、全部は埋まらなさそうなので、

法人・自治体スポンサーの第二次募集をしたいと思います。

・各地の志ある食品メーカー
・発酵で地域のPRをしたい地方自治体
・旅行や移住促進、地方の求人などを扱う企業/団体
・直接関係ないんだけどピンとくる人

用意したのは、以下の2コース!

☆☆発酵サイコー!コース:85(ハッコー)万円☆☆
・僕のWEBサイトでの取材記事の掲載
・展覧会公式ウェブサイトの掲載
・トークイベントへの出演
・公式書籍 広告ページへの掲載
・会場内、告知物への掲載

☆☆圧倒的名誉コース:250万円☆☆
・発酵サイコー!コースのメニュー
・イベントネーミング含め圧倒的名誉な特別メニューを一緒に考案
・チーム一同命が続く限り圧倒的に感謝し続けます

詳しいスポンサー募集用資料はこちらから:PDFへリンク

スポンサー募集に関して、事業プロデューサーの小野裕之さんからコメント。


営業プロデューサー 小野裕之さん

『今引っ越し中だから後でコメントするから待っててね〜!』

わかった!待ってる!

今回募集するのは3枠(発酵サイコー!コースが2枠、圧倒的名誉コースが1枠)。
応募多数の場合は企画コンセプトと相談のうえお返事させてください。申し込みは以下のフォームからどうぞ。

【一次募集〆切】2018 10/17(水・大安) 23:59まで!

お名前

所属

メールアドレス

好きなご当地発酵食品

期待していること応援メッセージどうぞ

※事務局の窓口に直接メールが届きます
※個人情報は他の用途には使いません

今後のプロジェクトのスケジュール

これで仕込みの時期が終わり、いよいよプロジェクトが本格スタート!
今後のスケジュールはこんな感じで進んでいきます。

▶今後のスケジュール
8月末:イベント名決定、スポンサー第二次募集スタート
9月頭:ヒラクの発酵ツーリズムがスタート
9月中旬:旅のブログ連載スタート
10月18日:第二次募集終了・オフィシャルサイトオープン
10月末:スペシャルお祭り企画スタート予定
年末年始:個人向けクラウドファンディングスタート
年始:プレイベント開催
2月中盤:発酵ツーリズム終了
2月後半:展示準備頑張る!
3月〜4月:めっちゃ展示準備頑張る!

となっています。

微生物のはたらきを可視化するALIFE 2018ワークショップ

先月7月23と26日にお台場の科学未来館で開催されたALIFE(人工生命学会)の国際学会の関連プログラムで、子供向けワークショップを企画。あわせて微生物のはたらきを可視化するコンピューターキットを東大池上高志研究室と共同で開発しました。

プロデュース:ALIFE Lab. 小倉ヒラク
クリエイティブディレクション、仕様設計:小倉ヒラク&東大池上研究室
設計:丸山 典宏升森 敦士

プロジェクト期間:2018.4〜2018.7

プロジェクトにあたって考えたこと

子どもたちと一緒に見えない生命の秘密に迫る!

▶微生物学とコンピューターサイエンスの融合にチャレンジ!
ふだん発酵という比較的古典的な生物工学の領域で活動しているのですが、今回は複雑系科学の最先端であるALIFE学会と一緒に企画ということで、微生物学の領域とコンピューターサイエンスを接続するような仕掛けを考えました。

▶微生物の働きをデータで可視化するキットの開発

そこでALIFEの日本におけるリーダーである東大の池上高志さんの研究室とコラボしてスペシャルキットを開発することに。微生物学の古典的技術である、シャーレ(微生物を自然環境から分離して培養する器)にデジタルセンサーを詰め込めるだけ詰め込んで、微生物が増殖・代謝していく様子をセンシングして、その経過をコンピューターにデータとして出力。微生物の働きがデジタルデータとして可視化できる仕組みをデザインしました。搭載したセンサーとしては、

・温度・湿度・気圧センサー
・各種ガス感知センサー(ブタンやメタン、硫化水素やエタノール等いっぱい)
・カメラセンサー
・臭い検知センサー
・二酸化炭素センサー

など。直径10cm弱の円形基盤のなかに可能なかぎりのセンサーを搭載して検知できそうなデータをできるかぎり取りまくることを目指しました。

池上高志さんの提唱する「Massive Data Flow」にならって、下手に仮説立てる前に取れそうなデータを全部取るラーメン全部盛りスタイルで開発したZE!

▶見えない生命のはたらきを実践的にイメージする
実際のワークショップではこのキットを使って子どもたちと微生物のはたらきをイメージできるような実践的なプログラムを実施しました。

屋外環境から微生物がたくさん棲んでいそうなものを採集。鳥の羽や葉っぱ、タバコの吸い殻(!)など、想像力を膨らませながら微生物を捕獲します。

こんな感じでシャーレに採集してきた素材をセットし、計測開始。

三日間かけて微生物を培養していきます。写真はタバコの吸い殻をシャーレで培養したもの。ものすごくたくさんのカビや酵母類で腐海状態に。

微生物が育つ3日間の経過を計測したデータを、今回のために開発したデータビジュアライズアプリを使ってみんなでシェア。写真中央の池上研丸山さんが子どもたちにレクチャー。画面中央のグラフが代謝データ、右側の画像が微生物の発生パターン。数値と画像イメージを時系列に並べて微生物がどんなふうに増殖し、増殖する時にどんな物質を出しているのかを可視化します。みんなで微生物になったつもりデータの読み解きをするのがめちゃ楽しい!

シャーレ以外にも、ヨーグルトや麹など実際の発酵食品の仕込みを通して、微生物のはたらきが身近な暮らしに関係あることも五感を使って学んでいきました。子どもたちみんな大はしゃぎで嬉しかったぜ。

やってみてわかったことと今後のこと

子どもたちが考えた微生物計測システムのイラスト

▶複雑系のエコシステムがイメージできる!?
実験や計測を繰り返すうちに、データを通して「異なる微生物たちがエコシステムをつくりだしていくプロセス」がイメージできるようになってくるのが一番の驚きでした。酵母や乳酸菌などの単体の微生物の計測だけでも面白いのですが、一番面白いのが野生環境にいる多種多様な微生物の生態を計測する時。

異なる菌が増殖していくと、まるでシムシティのように棲み分けがなされ、それぞれの棲み分けの境界線で面白い化学反応が起こったりするのがデータのパターンで見える。そうすると「意識を持たないはずの微生物に社会性がある」ということがイメージできるんですね。プロジェクトを始める時に僕が漠然とやりたかったことはこれなのか!という驚きがありました。

▶さらにアップデートしてみんなが使える教材&ワークショッププログラムに!
子どもたちにもALIFEのメンバーにも好評だったので、今回のプロトタイプを発展させて、みんなが手軽に使えるキット&ワークショッププログラムとしてアップデートしたいと思います。まだまだ技術的な不備があったり、アプリの開発が追いついていないので今年いっぱい実験と再設計を繰り返してパッケージ化していくぜ。

で、次のフェーズとしては、計測データをたくさん蓄積して、微生物の発生パターン=エコシステムの発生パターンを可視化していくことができればいいなと思っています。

プロジェクトの今後の詳細についてはまた僕のブログでお知らせしますのでお楽しみに!

Photo: Tatsuya Yokota, PLTSc for kids

僕は立ち向かう人ではなく、逃げてきた人だったのだ。

今年の春先くらいから、よくわからない憂鬱とプレッシャーを感じていた。
去年出した『発酵文化人類学』の評判がびっくりするぐらい独り歩きして、美術館や科学館の企画で分不相応なオファーがあって「さらに前を目指して頑張るぞ!」という情熱がたぎっている!

…ような気がしたんだけどさ。

今年の前半戦の大仕事が色々終わって、細々とした仕事を後回しにしてとりあえず数日間山梨の我が家で休むことにしたお盆休み。掃除や料理や庭仕事しながらひたすらゴロゴロする軟体動物と化していたら、ここ二年くらいの疲れがどっとやってきて、その重たい疲れがはがれてくるころに今度は自分がけっこう無理してきたことに気づいてしまった。

なにを「スゴいヤツ」になろうと頑張っているんだ、自分よ。
僕は立ち向かう人ではなく、逃げてきた人だったはず、なんだけど。

ここしばらく、たまたま運が重なって仕事で人から期待されてうっかり自分のことを「やればできる人」のように思い違えていたことに思い当たったんだよ。

僕が今こういう生き方をしているのは、自分に強い意思があったわけではなく、とにかくイヤなことから逃げてきたらたまたまデザインの仕事に行き着いて、その後微生物の道に入って発酵デザイナーになっていたにすぎない。

高校生の頃にバックパッカーになったのは、高校で友だちができなかったから。フランス行って美術の勉強したのもビジネスマンになる自分がイメージできなかったからだし、デザイナーで起業したのも自分がサラリーマンに向いてないと思ったからだし、デザイナーの道での挫折が微生物への道に入るきっかけだし、東京で忙しく仕事するのイヤだから山梨の山の中に引っ越した。

全部消極的!逃げて逃げて逃げまくったらここにいたんだよ!

競争に勝ち抜いたり、自分に打ち克ったり、上へ上へと急ぐ人生がイヤだったので山の中に引っ越して道楽みたいな生き方を選んだんだけど、結局人の期待や評価に一喜一憂しながらめちゃ頑張ってしまっている。

別に自分に向上心がないとは思わない。せっかく一生懸命仕事するんだったら何かしらインパクト出したいとは思う。思うんだけど、基本は「イヤなことから逃げてきた」という最初のモチベーションを忘れるとヤバい。頑張るのが苦手な人間が努力すべきことは、頑張らなければいけない環境に自分の身を置かないようにすることのはずだ。

なんだけど最近の僕は誰に言われてもいないのに頑張るモードに入っていた。
これはマズい。絶対に死ぬ!プレッシャーでぺしゃんこになって死ぬ〜!!

高みを目指して「立ち向かう人になる」というのは、謎にヒロイックな快感がある。
しかしそこに発生するプレッシャーに耐えられる人と耐えられない人がいる(例えば僕とか)。自分のルーツが「逃げてきた人である」ということを忘れないようにしないと、僕にはロクな未来が待っていないであろうよ。

別に誰に相手されなくても、微生物の世話したり山歩いたり本読んだりしてれば、それが僕にとっての満足な人生なのだから。

のんびりしたヤツにも、時には外に出て頑張らなければいけない時期がある。それが今であることは百歩譲って認めよう。でもそれはあくまで非常事態であり、速やかに事態を収拾してまたのんびりライフに戻らなければいけいないのだよ。

僕は全力で立ち向かわない人生を送りたい!

【追記】僕がいかに立ち向かわない人間であるかは下記のエントリーで確認されたし。

デザインとデザイノイド

『ミーム(遺伝因子)』という概念を提唱したことで知られる生物学者のリチャード・ドーキンス。僕はドーキンスが大好きで、なかでも『デザインとデザイノイド』というあんまり知られていない概念に強く惹きつけられている(デザイナーだからね)。

環境と時間がデザインを自律化させる

この概念は、生物がどのように進化して機能や形態を獲得していくかを紐解く時に使われる。

例えばだな。
カメラのレンズと昆虫の眼は、機能としてはよく似ている。けれども設計プロセスが違う。
カメラのレンズを、人間(デザイナー)が明確な意図をもとに設計した「デザイン」だとすると、昆虫の眼は、事前の目的なしにまるでデザイン自身が自律化して機能が生まれていく「デザイノイド」だ。

ドーキンスの考えでは、生物は進化する時に「外界を見たい」とか「空を飛びたい」という目的を持つことなしに、環境による淘汰を繰り返すうちに結果的に目がいい生き物とか空を飛べる生き物が誕生してしまうことになる。

デザイナーとしてトンボをリバースエンジニアリングしてみると、空を飛び複眼を持つそのデザインは全て必然的に思える。全てのパーツがトンボを完成させるために無駄なく機能しているように見える。が、トンボ自身にインタビューしてみたらば、

「そうっすかね?ぶっちゃけ特に意識はしてなくて。たまたまっすね。」

という答えが返ってくることだろうよ。

機能の水平移動が進化をもたらす

「空を飛びたい」と思って翼が生まれたのではなく、環境に対する淘汰と適応のフィードバックが長い時間をかけて「飛行」という機能を作り出した。

ドーキンスのデザイノイド概念にそって、もうちょい具体的に考えてみよう。

今地球上の動物で空を飛ぶことができる代表種としては、昆虫の他に鳥類がいる。
この種が地球にあらわれ、発展していった二億年くらい前は、今より地表の酸素濃度が低かったらしい。なので、鳥類は低酸素状態をサバイブするために、他の哺乳類よりも呼吸の効率を良くしなければいけなかった。

僕たち人間の肺は、空気を吸うたびに膨らんで、吐くたびにへこむという灯油を入れる時のポンプのような構造になっている。対して鳥の肺は空気を循環させる人間にはない高性能ポンプである気のうが接続されいて、肺をへこませることなくずっと膨らみっぱなしにすることができる。

この「ずっと膨らみっぱなしの肺」は、つまりバルーンだ。
鳥は身体のなかにバルーンが入った、体積に対する比重が軽い生き物なんだね。
(ついでに骨の密度も低い)

酸素の低い環境のなかで生き延びるための最適化は、鳥自身も予期していない副産物をもたらした。それは「身体が浮きやすい」ということだ。

鳥の初期の翼は、飛ぶためではなく木々の間を滑空するための前肢だったと推測される。
しかし、モモンガのような普通の哺乳類に比べて鳥類は滑空時間が長い(比重が軽いから)。

「あれ、なんか全然地面に降りないんだけど?」

というサプライズが起こり、それが発展していって「持続的に滑空できる=飛行」という機能が生まれたのではないか?という説はけっこう説得力がある。

ここでの進化のポイントは、機能の水平移動だ。
鳥に飛行を能にさせた要因は、翼ではなく肺なんだね。呼吸のための発達が、なぜか飛行という全然違う位相の機能を生み出してしまった。

呼吸→飛行という、普通だったら考えられない機能の水平移動が起きた。
生物の世界には、こういう予期しない水平移動がたくさんある。
最初に明確なグランドデザインと目的設定がないからこそ起きる偶然が画期的なイノベーションを生み出してきたんだね。

これが生物界における自律的デザインプロセス、デザイノイドの面白さだ。

発酵はデザイノイドだ!

僕の専門である発酵文化もまたデザイノイド的進化を遂げてきた。

例えば。和食の代表格としておなじみの江戸前寿司。
この寿司の起源をずっと辿っていくと、東海や北陸などのローカル発酵食である熟れ寿司になる。この熟れ寿司は、腐りやすい魚を保存するために、塩と乳酸菌による酸の力によって雑菌の繁殖を防いでいる。だから味は極端にしょっぱくて、酸っぱい。しかもつくるのに一年以上かかる。

昔の人は極端な味で手間のかかる寿司をいかに簡略化するかを考えた。
その結果、塩がなくても酸があればある程度の防腐機能をもたせることに気づき、さらに時間をかけて乳酸発酵させなくても、最初から調味料としての酢を添加してしまえばいいことに気づいた。

このイノベーションによってあっという間につくれるインスタント寿司=江戸前寿司が誕生したのだが、手間の簡略化は結果的に「ネタの新鮮さと豊富さ」「素材を活かした調理法」というそれまでの熟れ寿司にはなかった価値が生まれた。

ポイントは鳥類の進化と一緒で、最初からネタの新鮮さを目指したのではなく、いかに手抜きするか試行錯誤するうちに当初予想していなかった味覚が生まれてしまったということ。
そしてその味覚が多くの人を魅了したので、結局先祖の熟れ寿司よりもポピュラーな食べ物になってしまったんだね。

生物の進化にも人間の文化の進化にもこのようなデザイノイド的現象が満ち溢れている。
グランドデザインに基づいてエンジニアリングを進めるのではなく、各プロセスにおいてのベストを探って「考えながらつくる(というか自ずとできていく)」というデザインこそがイノベーションを起こすことができるのかもしれない。

 

過去の自分は今の自分の地層を成している。おべんとう展がはじまったよ!

上野の東京都美術館で今日から開催の企画展『おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』のオープニングレセプションに出席してきました。

巨大インスタレーションや写真、映像、イラストなど様々なアート作品に加えて、古今東西の貴重な民俗資料や親子で遊べる仕掛けがいっぱいの楽しい展覧会。僕は展覧会全体のイントロダクションとなる新作アニメと、そのアニメにちなんだ手描きの絵を展示しています。

・おべんとうの国を旅しよう!アニメ『おべんとうDAYS』ができるまで

お弁当ハンターの阿部了さんの味わい深い写真、オランダの Marije Vogelzangさんのファニーかつ社会性の高い体験型インスタレーション、 北澤 潤 (Jun Kitazawa)さんによるカラフルな縁日が美術館に登場する謎の異空間、小山田徹さんとその子どもたちによるお弁当コミュニケーションを可視化した作品や、森内康博さんによる日本の学校における隠された多様性をあぶり出していく映像作品、平野太呂さんと大塩あゆ美さんによる読者とのやりとりでつくるお弁当レシピ、さらに様々な博物館とコラボして集めたお弁当にまつわる民俗資料が混在するハイブリッドすぎる美術展(とはもはや言えないかもしれないが)になっています。

☆7/29にはダンスワークショップ付きのツアーもあります☆

で、ここから個人的な話なんですけど。
高校時代に僕は美大受験をしていまして(結局学費の問題で行けなかったんだけど)。20歳くらいまでは「絵描きになりたい」と思っていたんですね。

その後、色んな縁が重なって、僕はデザイナーになり、会社の経営者になり、そして微生物の研究の道に入って発酵の専門家になりました。

だから都美術館から出品のオファーが来た時に不思議な気分になったんです。過去の頃の自分が望んでいたであろうチャンスが、3回転半ぐらいグルグル回って今の自分に届いた。

今タイムスリップして20歳の頃の自分に、

「キミは絵描きにならずに微生物の道に入ることによって結果的に美術館からオファーがくることになっている」

と告げたら、

「何ワケわからないこと言ってんだよおじさん、あっちいけ」

となることだろうよ。汗

人生のなかで、前に進むために何かを捨てたり諦めたりすることがあります。なんですけど、新しい道を進んでいくなかで「かつて手放したもの」に予想もできないかたちで再会することがある。

何かを手放したとしてもそれは永遠のさよなら、ではなくて。過去の自分は、今の自分の「見えないけれど確かに自分をかたちづくっているもの」として僕の地層の一部を成している。

人生は本当に奥が深いんだ、20歳の頃の僕よ…!

ALL YOURSへチーム山梨より応援メッセージ!

頑張れ、ALL YOURS!

僕も仲良しで、山梨にもファンの多いアパレルブランド、ALL YOURSがなんと!毎日ファッション大賞にノミネートしました。
※日本で最も権威のあるファッションアワードの一つ。初代受賞はCOMME des GARCONS…!

コミュニティベースで人気を広げてきたALL YOURS、大賞もコミュニティベースで狙うというスゴいアイデアを敢行。1,000人に受賞の応援メッセージをクラウドファンディングで募っているようです。

・「第36回 毎日ファッション大賞」のために1000人の共犯者を作りたい!| CAMPFIRE

仲良しの木村くんの晴れの舞台、僕も何か力になりたい…!
ということで、チーム山梨でこのブログを借りて応援メッセージを送りたいと思います。

チーム山梨も共犯者になるよ!

ということで。
ALL YOURSのみんな、僕たちも共犯者に加えておいてください。

【共犯者 from チーム山梨】
佐野 潤一
赤羽裕子
斎藤和真
丹澤亜希斗(AKITO COFEEE)
高野雅子(AKITO COFEEE)
発酵兄(五味仁)
発酵妹(五味洋子)
発酵弟(小倉ヒラク)
石川幸之助(SUNDAY)
吉田陽介(NAP)
赤松智志(Hostel Saruya

他にもALL YOURSファンの山梨ピープルいたら、クラウドファンディングで名乗り出よう!

ALL YOURSは僕たちの世代の「まっとうなファッション」

ALL YOURSの服は、いっけんシンプルなんだけど服がユーザーのところに届くまでのプロセスにこそイノベーションがある。
トレンドと見栄と業界のしきたりで窒息していたアパレル業界に穴を開け、風通しをよくしようとしている「まっとうなファッション」を目指すブランドだ。

山梨チーム一同、ALL YOURSの大賞受賞とさらなるブレイクスルーを応援しているよー!
ALL YOURSが気になる人は、木村くんをゲストに迎えた僕たちのラジオ番組を聞いてね。


・発酵兄妹のCOZY TALK「オールユアーズのはなし」 | YBSラジオ

 

見えない生命と対話するキッズワークショップ、ALIFE2018で開催!

えー、またもや大きな告知です。
来る7/23&7/26、科学未来館で開催されるALIFE(人工生命)の国際学会のプログラムとして、子供向けワークショップを開催することになりました。

ふだんから味噌や麹の仕込みワークショップをやっていますが、今回はいつもとは違うよ!

【そもそもALIFE2018とは】
人工知能のさらにその先にある「そもそも生命のシステムとは何か?」を領域を超えた研究者たちが集まって考える国際学会。東大の人工生命研究のトップランナー、池上高志さん主催のAlife Lab.主催の複雑系科学の最前線に触れられるカンファレンスです。
公式サイトはこちらから。

今回のプログラムの目玉はこれだ!

・微生物の働きを可視化する電子キットをお披露目!
東大池上高志研究室とコラボして、微生物の働きがデータになって可視化される電子工作キットをお披露目します。コンピューティング×発酵という前代未聞の電子デバイスで遊ぼう!

・身近な発酵の面白さから、微生物の世界の謎まで実感できる!
今回のテーマは「見えない生命と対話する」。単なる仕込みのワークショップを超えて、微生物の世界の仕組みや生物の織りなすミクロな生態系の面白さがわかってしまう愉快なプログラムを準備しています。

・コンピューティング×発酵。温故知新のクロスオーバー体験
今回はせっかくALIFEの研究者たちとコラボするので、僕からの生物学のレクチャーにあわせるかたちで、どのように生物の代謝をデータやアルゴリズムに変えていくのかの体験型レクチャーも予定しています。異なるジャンルの知をクロスオーバーに学べるよ!

一緒に開発している東大池上研の俊英(左二人)と、ALIFE2018のオーガナイザーの一人、岡瑞起さん。

ちなみにこのプログラム。国際学会での開催ということもあり日英バイリンガル。
海外の親子と日本の親子両方で楽しく学びます。

各回15組づつの募集でぼちぼち枠が埋まっているので、気になる方はお早めに!
子どもはもちろん、親も楽しめるワークショップです。

プログラム詳細と申込み

ALIFE for Kids | キッズ向けワークショップ

人工生命国際学会「ALIFE 2018」の関連イベントとして7月23日、26日にキッズ向けワークショップ「ALIFE for Kids | Future Biology for Kids」を開催します。
1日目は微生物を扱う方法を実践的に学びます。2日目にはキットを使って微生物とのコミュニケーションやミクロな生態系の知覚を試みます。子供たちの好奇心を育み、楽しく学べる体験型ワークショップとなっておりますので、ぜひ、両日共にご参加されることをおすすめします!

▼開催概要
【目的】
A:目に見えない生き物と対話する
B:微生物の見つけ方や育て方を学ぶ
C:ミクロの生態系の働きを可視化して理解する

【対象年齢】6〜17才(Day.1 は5才以下のお子様もお楽しみいただけます)
【定員】15組/回
【参加費】一日のみ:7,000円/組 2日通し:12,000円/組

▼プログラム

Day1: 見つける、つくる
7/23 10:00 – 12:30
・会場近くの微生物を捕まえて観察してみよう
・発酵食品の仕込みを通して微生物のことを学ぼう

Day2: 見えない生命を可視化する
7/26 10:00 – 12:30
・オリジナル電子工作キットを使って微生物の働きを可視化します
・どのようにセンサーが微生物の働きを読みとるのか、実践的に解説します

【参加方法】
下記チケット販売サイトよりご購入ください。
http://alifeforkids.peatix.com

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ALIFE 2018は、「Beyond AI」というテーマのもと、2018年7月23日~27 日に日本科学未来館にて開催されます。7月7日までRegular Ticket を販売中。
http://2018.alife.org/registration/
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『発酵文化人類学』が雑誌ダ・ヴィンチ「ひとめ惚れ大賞」を受賞しました。

大ニュースだ〜!!

去年出版した『発酵文化人類学』が、本の情報誌ダ・ヴィンチ最新刊「ひとめ惚れ大賞」のコーナーでななな、なんと!栄えある大賞を取りました

審査員を務めるコルクの佐渡島庸平さんが推薦してくれたのがご縁となって、出版から一年以上経った本が受賞という快挙!佐渡島さん、ありがとうございます。

著者インタビューでは、本を書くプロセスや届け方をメインにお話をしました(内容の話をすると文字数がおさまらない…!)。
従来の流通のやりかたにこだわらず、読者と一緒になってつくってきた動きを評価してもらって本当に嬉しいです。

ちなみに僕の仕事が何かのアワードを受賞するの、2014年のグッドデザイン賞以来。賞を取ることが目的とは思わないけれど、やっぱり嬉しいものですね。

いまだ勢い衰えない『発酵文化人類学』、まだ読んでない方はこの機会にぜひどうぞ。ダヴィンチ編集チームの皆さま、お世話になりました!

おべんとうの国を旅しよう!アニメ『おべんとうDAYS』ができるまで

おべんとうの国を旅しよう!
2018年7/21から始まる、上野東京都美術館『おべんとう展』の出展作品としてつくった新作アニメ『おべんとうDAYS』を公開しました。

作詞作曲:松本素生(GOING UNDER GROUND)
振り付け:flep funce!
映像制作:小倉ヒラク
企画: 東京都美術館『BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』

プロジェクトのあらまし

「東京都美術館です。ヒラクさん、お弁当をテーマにした展覧会にアニメ作品を出展しませんか?」

「えっ?美術館?お弁当?アニメ?出展???」

2017年の秋に届いた情報量の多すぎるオファー。都美術館って、印象派の展覧会やってる老舗のミュージアムだよね。なのにお弁当?そして展覧会に出展する人って美術家とかなんじゃないの?僕、発酵界の人なんだけど…

とドキドキしながら東京都美術館に出向いたところ、めちゃ知的でフレンドリーな学芸員チームの皆様が出迎えてくれました。

コミュニケーションデザインとしてのお弁当をテーマに展覧会を企画しています。お弁当から始まるコミュニケーションのかたち、自然との向き合い方、文化のつながりを現代美術作品や民俗学の資料をミックスして表現したいなと思っていて…」

という説明を聞ききはじめてすぐに、「あ、これ絶対ヒットする企画や!」と確信。何より「コミュニケーションデザインとして食文化」というテーマは僕の『発酵文化人類学』のメイントピックス。僕、美術館と仕事したことないけど、このテーマならきっとできる気がする…!

「わかりました。では展覧会の予告にもなるような素敵なテーマソングつくりましょう!もちろん、ダンス付きで!( ー`дー´)キリッ」

とその場で「歌って踊るお弁当」という謎すぎるコンセプトが誕生。
『てまえみそのうた』『こうじのうた』に続く、歌って踊る食アニメの新作をつくることになったのだな。

音楽はGOING UNDER GROUNDの松本さん!


オフィシャルWEBサイトより。写真真ん中が今回音楽を手がけてくれた松本素生さん。

僕のつくるアニメ作品は、70%くらい音楽で決まります。つまり、どのミュージシャンにお願いするかがプロジェクトの成功の鍵を握っている…!

としばらく悩みまくった結果、GOING UNDER GROUNDの松本さんのところへお願いしにいくことに。理由は以下の3つ。

① デビュー20年から一貫して変わらず素敵な曲をつくりまくり!
② めちゃポジティブで気持ちが温かくなる声とメロディ
③ 前に僕がイベントで呼ばれたカフェで夜バーをやっていた(BAR天竺)

GOING UNDER GROUNDの最新曲。ずっと変わらず良い…!ていうか今のほうが良くない…?

音楽や芸能業界に何のコネもない発酵デザイナーが松本さんのバーに押しかけて「曲つくってください!」とダメもとで頼んでみたところ、

「オレ、料理するの好きなんですよ。子どもと一緒によく上野に展覧会見に行くし。やりますよ!」

とまさかの快諾。う…嬉しすぎる…!

プロジェクト初期のイメージボード。ここから松本さんと二人で曲のイメージを膨らませていきました。

そして2017年が終わり、お正月を過ぎた頃にBAR天竺に松本さんを訪ねていきました。

「ヒラクさん!曲できましたよ!!」

とカウンターからギターを取り出して歌い出す松本さん。

「うんまい♪うんまい♪うんまいお弁当♬」

と一発で口ずさんでしまうポップすぎるメロディー。最高すぎる!
さらにスタジオ収録の合間につくってくれたデモ版も聴かせてくれて、あれ、なんだろうこのアレンジ?リズムもベースも口で演奏するdoo-wop(ドゥーワップ)スタイル…?

「お弁当の曲でしょ。だから口で演奏しようと思って!」

ててて、天才すぎる…!メジャーミュージシャン、スゴすぎ〜!!
ほんとに松本さんにお願いしてよかった……。

親子で踊るおべんとうダンス

最高の音楽ができる!ならば最高のダンスをつくるしかない!

ということでダンスの振り付けをお願いしたのは『てまえみそのうた』『こうじのうた』の愉快なダンスでおなじみのflep funce!の二人。

「親子で踊れてお弁当がつくりたくなって、かつワークショップも盛り上がるような…」

といつものごとく無理難題の依頼をしたのですが、全然動じない二人。

「せっかくだから子どもが自分でお弁当つくりたくなって、それを大人が見守るようなダンスがいいね〜」


手前が子ども。後ろが大人。大人が子どもを応援するダンスです。

そしてできあがった親子で踊れるおべんとうダンス。なんと!展覧会の会期中にダンスワークショップやるので遊びに来てね〜。

flep funce!今回もグッジョブ!

ストーリーと見どころ

最高の音楽とダンスとともに完成した『おべんとうDAYS』。
歌って踊れるPV仕様(3分21秒)なんですが、実はストーリーがあります。本編だけだと短すぎてよくわからないので、ブログで補足しておきます(まあストーリー関係なく楽しめるようになっているんですが、せっかくおはなし考えたからみんなに伝えたい…!)。

「えっ、マッドサイエンティストと山の神さまの間に生まれた猫型女子?」

と突っ込みが聞こえてきそうですが、なんでこんな設定が生まれたのか僕にも謎です。汗
主人公ね子ちゃんとお目付け役のロボット、おべんとウサギが弁当箱型乗り物に乗って、色んな時代の色んな文化を旅します。そこで最高のお弁当食材を集めて山の向こうで仕事(職業:神さま)しているパパに届けにいくぞ!というのが基本のストーリー。

戦国時代や江戸時代の工夫満載のビックリお弁当や、インドやアフリカ、ヨーロッパのお弁当も登場。武将や木こり、海女や江戸の町人などなど、様々なキャラクターが出てきます。さらにおべんとう展に出展するお弁当ハンターの写真家、阿部了さんやオランダのアーティスト、マライエ・フォーゲルサングさんも登場(あと一瞬だけ『てまえみそのうた』のキャラも出てくるよ)。


世界各国のお弁当が登場。ちなみに現物は展覧会で見られるよ!

お弁当が出てくる有名な絵巻物や写真集のサンプリングも多数。さすがにマニアックかしら…と思ったら学芸員チームに見破られた!

季節の食材を使ったお弁当も登場。これは江戸時代の春の行楽弁当。お花見や相撲見物のときに食べられていたそうです。美味しそう…!

今回をきっかけに知ってハマった江戸のビックリしかけ弁当箱。碁盤や瓢箪、お城や魚など奇想天外なお弁当箱を取り上げました(←現物見たすぎて京都のお辨當箱博物館まで行った)。

あとアニメ制作のことについてもちょっとだけ。
これまで僕がつくったアニメの2倍くらい動きと作画の質が緻密になっています。最後のサビのパートでは六人が同時に踊るので、そのパートだけで作画量数百枚。汗

作画にあたって一番試行錯誤したのはカラーパレット(色のバリエーション)。最終的にたどり着いたのは、日本の伝統色の見本帳。そこから食べ物の色だけを抜き出してカラーパレットをつくっていきました。紫=ナス、オレンジ=人参、青=浅葱、ピンク=桜などなど。

食べ物の色で食べ物描くとめちゃくちゃ美味しそうに見えることにビックリ。日本の色彩感覚スゴい…!

みんなでつくろうおべんとう!

考えたことと、これからの展開


ね子ちゃんとおべんとウサギの最初のスケッチ。

今回のプロジェクトで考えたことと今後について。

▶アニメをつくる時に考えたこと
今回のアニメの裏テーマは「お弁当からみる多様性」。
最高のアニメをつくるべくディスカッションを重ねた学芸員チームの多くは女性。精力的に働きながら子育てしている人も多い。その人たちと一緒につくるのだから、

お母さんのお弁当、最高!みたいなのは絶対つくらないぞ…!!

ということを決めました。忙しい時に100%ていねいにお弁当つくるなんて無理だし。あとは僕の友だちにはお父さんのほうがお弁当つくっている家庭も多い(ちなみにヒラク家は母が料理苦手の仕事大好き人間で、それが主人公一家のキャラ設定に影響しています)。

かならずしもていねいじゃなくてもいい。
誰が誰につくってもいい。
完璧じゃなくてもいい。
どんなかたちでも「やろう!という気持ちがある」ということをリスペクトする。

これがストーリーをつくる時の僕のポリシー(そして僕の発酵デザイナーとしての活動のポリシーでもある)。あともうひとつ。

お弁当は日本の誇るべき伝統!みたいな安易な日本称賛もイヤ〜!!

確かに日本はお弁当文化がかなりユニークに発達した国ではある。でも、他の国にも美味しくて楽しいお弁当文化があるんですね。

例えばインドのデリバリー弁当のダッバーワーラー。デザインめちゃ可愛いエチオピアのインジェラボックス(インジェラはエチオピア独自の発酵クレープ)。そしてもちろんヨーロッパにも。僕がフランスに住んでいた時は、よくランチボックスにパンやお惣菜を入れて友達と公園でピクニックランチしたり。

つまりお弁当の楽しみは万国共通!
その家の、その文化それぞれの最高のお弁当がある。絶対的な正解がないのが食文化の醍醐味なんだよね。

お弁当のつくりだす文化の多様性。そしてつながるコミュニケーション。
このスタンスは、映像以外にも松本さんのつくってくれた歌詞にも反映されています。

心と心つなぐお弁当。できたら満点だ!

▶今後の展開について
このアニメは展覧会に先行して公開されるPRソング。
と同時に展覧会の出展作品でもあります。なので展覧会場で上映されます。でもせっかく美術館の空間に展示するので、よりアニメと他の展示が楽しめる仕掛けを考える予定。

今のところのアイデアですが、アニメのストーリーがより立体的にわかる絵本的なイメージボードをつくろうかなと思っています。

そして。展覧会会期中の7/29にダンスの振り付けを手がけたflep funce!と一緒に親子で楽しむダンスワークショップをやる予定です。詳しくはまた都美術館からお知らせがあると思うのでお楽しみに!

さらに!なんとミュージアムショップでこのアニメのキャラクターのデザイングッズが販売されるようです(これからデザインする)。お土産にピッタリの可愛いグッズをつくるのでこちらもお楽しみに!

展覧会は7/21から!


展覧会のメインビジュアル。デザインは『発酵文化人類学』の装丁を手がけたBAUM。スゴい偶然…!

最後に展覧会の告知でーす。
『BENTO おべんとう展-食べる・集う・つながるデザイン』の開催期間は7/21〜10/8。

前川國男設計のめちゃ雰囲気のある会場に、マライエ・フォーゲルサングさんや北澤潤さんの巨大インスターレション、阿部了さんや小山田徹さんの写真作品、大塩あゆ美&平野太呂さんや森内康博さんの映像作品、さらに色んな博物館とコラボした貴重なお弁当箱コレクションの展示などがギッシリ詰まった見応えのある展覧会になりそうです。

家族で、友人で、もちろん一人でもどうぞ遊びにきてくださいね。僕も何日か会場に滞在する予定です。

☆☆おべんとう展のオフィシャルサイトはこちら☆☆

都美術館の学芸員チームの皆さま、松本素生さん&flep funce!、手伝ってくれたみんな、ほんとにどうもありがとうございました。アニメも展示会も目指せ大ヒット!

【求むスポンサー】渋谷ヒカリエd47 MUSEUMで『47都道府県の発酵』やります!

こんにちは、発酵デザイナーの小倉ヒラクです。
普段から僕のブログ読んでいる人、はじめましての人に呼びかけです。

ヒカリエ8階のギャラリーで大きな展覧会やるから、協力してほしい〜!!

来年2019年の春から僕の企画で『47都道府県の発酵(仮)』という展覧会が始まります。
会場は渋谷ヒカリエd47 MUSEUM。全国から知られざるローカル発酵食を集めて体系化し、日本の郷土食の多様性の秘密を解き明かす…!という壮大な企画に挑戦するので、この場を借りてスポンサーを募りたいと思います。

☆そもそも僕は何者?という人はこちらをご覧ください

プロジェクトのあらまし

ではまずプロジェクトのあらましから。
そもそもなぜこんな壮大な企画をやるのか?

▶日本各地に根付く不思議な発酵食品
僕は発酵と微生物のスペシャリストとして全国各地の発酵文化を訪ねて歩いているのですが、しばしば「ななな…なんだこれは?」とビックリするような不思議な発酵食品に出会います。
それもひとつやふたつではなく、北から南、山間地から離島まで、人口わずか数千人の小さな村にびっくり仰天!な発酵文化が継承されているんですね。

▶酒や味噌だけじゃない!ユニークすぎる発酵文化の宇宙
日本の発酵食品というと、日本酒や味噌、醤油や納豆など日常の食卓になじみのあるものが思い浮かびますが、実は各地にあるローカル発酵食品の多くがスタンダード発酵には当てはまらない多種多様なミクロコスモス。土地の特色を活かした漬物や調味料、分類を超越したガラパコス発酵食品やなぜか古代や海の外のを受け継いでいる不可思議なルーツ発酵食品などなど、「日本の発酵とは◯◯である」という先入観を粉々に吹き飛ばす発酵ミクロコスモスが広がっているんだYO!

▶発酵から日本の郷土食の多様性が読み解ける?
拙著『発酵文化人類学』でもいくつか不思議なローカル発酵文化を取り上げました。そこから見えてくるのは、土地や気候の特性や人の暮らし、そしてダイナミックな歴史の変遷。発酵デザイナーの僕からすると、ローカル発酵食を紐解くことはその土地の気候風土、文化や経済を読み解くのに等しい。

ということはだよ。
全国のローカル発酵文化を紐解けば、日本の驚くべき食文化の多様性が読み解けるということではないかしら?

発酵から日本食の秘密にアプローチできるということではないかしら〜!!

…という気づきが今回の展覧会をやることになった最初のきっかけ。
その気づきからしばらくして、渋谷ヒカリエのD&DEPARTMENTに立ち寄った時に展示担当の黒江さんと世間話しているうちに、

「じゃあd47 MUSEUMで展覧会やりましょう!」

という流れになっていきました。
コンセプトもある。会場もある。協力してくれる人たちもいる。そして何より熱意がある。

これはもう、やるしかない…!
絶対とんでもなく手間と時間かかるけど、絶対に面白くなる自信がある…!!

プロジェクトの概要

それでは次にプロジェクトの概要を説明します。
展示をメインにいくつかのプロジェクトを組み合わせます。

▶渋谷ヒカリエ8階 d47 MUSEUMでの展示
47都道府県+離島からその土地に根ざした発酵食品を集め、展示します。
ただモノを展示するのではなく、製造方法、生まれた背景、系譜も編集&デザインしてプレゼンテーションします。で、僕的にこだわりたいポイントは以下の3つ。

・普段見聞きしない知られざる発酵食品を優先して取り扱う
ex: くさや、すんき、碁石茶、セン、松浦漬け、黒糖焼酎など
・ただのカタログで終わるのではなく、製法や系譜、微生物の扱いなどを分類・体系化
・海外の人にも楽しんでもらえるように英語表記&英語の広報もやる

【展示期間】2019年4月5日(金) ~ 6月10日(日)

▶関連イベントの開催
展示期間中に関連イベントを開催します。展示だけでなく実際に手にとったり味わったり生産背景がリアルにわかる機会をつくってよりディープに発酵の宇宙を感じてほしい…!

・各地域からゲストを招いてのトークイベント/バイリンガルの発酵文化ガイダンス
・各地のリアルローカル発酵ブツが手に取れるマルシェの開催(渋谷ヒカリエ8階)
・リアルローカル発酵食品を味わえる料理の提供(d47食堂)

▶書籍『47都道府県の発酵』の制作
今回の企画を書籍に編集します。カタログとしてはもちろん、日本の発酵の系譜と多様性を読み解ける楽しく奥深い本にする予定。展示開始にあわせて販売します。

…ここまでがヒカリエ8階で定番のパッケージ。
しかし!今回はもうひとつ、この企画ならではのスペシャルプログラムがあるんだよ〜!

日本各地を巡る「発酵ツーリズム」に出ます

今回の企画を完遂するためには、言い出しっぺの僕が展示する発酵食品の製造現場を全てまわらなければいけない。すなわち…

47都道府県の発酵を訪ねる旅=発酵ツーリズム

に出なければいけないということなんだよ。
ということで、僕は今年の夏過ぎから各地の醸造現場を訪ねる旅に出ます。

去年の『発酵文化人類学』の出版ツアーのごとく、通常運転の仕事をストップして日本全国をまわってひたすらアーカイブしまくる旅に挑戦するぞ〜!去年も4ヶ月で55箇所まわったし、多分イケる…やればできる〜!!

・【発酵文化人類学】全国縦断55ヶ所、2000人に本を届けた出版ツアーの成果発表!

旅の期間中、僕のWEBとD&DEPARTMENTのメディアを連動して「47都道府県のローカル発酵レポート」をガンガン公開していきます。そのアーカイブが編集されて展示と本になっていきます。展示本番はもちろん、旅の期間中にも応援してくれる皆様をディープな発酵の宇宙に誘ってしまおうという算段なのだぜ。

【旅する期間】2018年8月〜年内いっぱいを予定

スポンサー大募集!

各地から発酵食品を集めたり、全国旅したり、大規模な編集やデザイン作業も必要!
しかも日本のローカル郷土食をアーカイブできる千載一遇のチャンス、海外の人にも来てほしいから翻訳したり広報したりの手間も必要!つまりけっこうな予算がかかる!

ということで、スポンサーを大募集したいと思います。

第一弾の募集は、企業や行政、財団法人などのスポンサーを募ります。

・各地の志ある食品メーカー
・発酵で地域のPRをしたい地方自治体
・旅行や移住促進、地方の求人などを扱う企業/団体
・直接関係ないんだけどピンとくる人

用意したのは、以下の2コース!

☆☆発酵サイコー!コース:85(ハッコー)万円☆☆
・僕のWEBサイトでの取材記事の掲載
・展覧会公式ウェブサイトの掲載
・トークイベントへの出演
・公式書籍 広告ページへの掲載
・会場内、告知物への掲載

☆☆圧倒的名誉コース:250万円☆☆
・発酵サイコー!コースのメニュー
・イベントネーミング含め圧倒的名誉な特別メニューを一緒に考案
・チーム一同命が続く限り圧倒的に感謝し続けます

詳しいスポンサー募集用資料はこちらから:PDFへリンク

これが基本パッケージ。
それとは別に、僕が旅するのと連動してまちおこしやイベントをやってみたい!という人は別途ご相談ください。

最初に募集するのは5枠(うち圧倒的名誉コースが1枠)。
応募多数の場合は企画コンセプトと相談のうえお返事させてください。申し込みは以下のフォームからどうぞ。

【一次募集〆切】2018 7/20(金)23:59まで!

お名前

所属

メールアドレス

好きなご当地発酵食品

期待していること応援メッセージどうぞ

※事務局の窓口に直接メールが届きます
※個人情報は他の用途には使いません

▶個人スポンサーの募集について
「ワタシのもできることないかしら?」と思っているそこのアナタ!展覧会期間が近くなってきたら個人向けスポンサー募集もやるので、少しだけ待っててください。
必要!みんなの力も必要なんだ〜!!
(実はプロデューサーおのっちから「まずはB to Bから固めよう!」とアドバイスされた)

愉快なチームで頑張るぞ!

今回の企画を手がけるチーム体制について。
手前みそなんですけど、最強の体制になったのでちょっと自慢していいですか?


▶小倉ヒラク:ディレクター
企画&言い出しっぺは僕です。


▶D&DEPARTMENT:開催&事務局
ナガオカケンメイさんをヘッドに、展示担当の黒江さんが企画の開催&事務局を受け持ってくれます。お世話になりまーす。


▶小野裕之:営業&プロデュース
企画営業のプロデュースに大親友のおのっちさん。greenz.jpはじめ幾多の事業で培ったプロデュース力でこの企画を強力バックアップしてくれます(特にお金まわり)。
今回の企画で生まれるコンテンツを価値に変えてくれるプロデューサー、よろしく頼んだー!


▶藤本智士さん&チームRe:S:編集&クリエイティブディレクション
さらにサプライズきたぞーーー!!ローカルメディア界のレジェンド、藤本智士さん(Re:S / のんびり)が今回の企画のクリエイティブディレクターに就任します。これはもう絶対にハイクオリティすぎるものができるに違いない…!

まずはこの布陣で始めて、企画の進行とともにさらに新たな仲間がきっと加わる、はず…。
それでは皆様との良きご縁と支援を願いつつ、次なる愉快な発酵の冒険へ出発〜!

最後にヒラクの所感を聞いてください

最後まで読んでくれてありがとう。最後に今回僕が考えていることをメモしておきます。
ちょっと長いんだけど、読みたい人はお付き合いください。

▶発酵食は土地の記憶のアーカイブ
僕がもう10年近く発酵文化のことに関わっているなかで、どうやら日本においてこの発酵というものはその土地のシンボルであり、物言わぬ(けど食べれる)風土や歴史のアーカイブなんだということがわかってきました。

例えば東北のある小さな村に伝わるお漬物。それを紐解いてみるとその土地独特の気候風土はもちろん、わざわざ手間のかかる仕込みを通した村人たちのコミュニティ作りの知恵、さらには中世〜近世の日本の経済や海運などもわかってしまう。

「えっ、それは大げさじゃない?」

と思うそこのアナタ!いやほんとなんだよ。詳しくは僕の著書『発酵文化人類学』を読んでいただけるとよくわかるのだが、発酵食品は制限された環境のなかで生きていくしかなかった昔の日本人たちのサバイバル術が生み出した独自すぎる技術の宝庫。建築家なら建物を見て、民俗学者なら祭りを見てその土地の記憶を引き出していくのと同様に、発酵デザイナーである僕は地域の発酵食品を通してその土地の辿ってきた数百年をまるでドキュメント映画のように見ているんだ。

今回の展示では、僕がずっとやっているこの体験をみんなとシェアできたらいいなと思っています。たった一つのお漬物からこんないっぱいエピソードが出てきたスゴすぎる…!という感動をみんなと分かち合えたらいいなあ。

というのがまず動機の一つ。で、もうひとつ考えていることがあります。

▶発酵から生まれる未来のムーブメント
10代の頃からずっと海外を旅して、ここ2〜3年は海外での仕事も増えてきました。色んな国をまわるなかで、やはり日本の郷土食の多様性は素晴らしいなと実感します(もちろん日本だけが素晴らしいわけではないからね)。行政や経済界からも大きな価値を置かれてこなかった地域の食文化と農業が、いまだにその伝統と生態系を維持してこれたのは、実は発酵文化の存在が大きい。

発酵食品は加工することで付加価値をつくりだせ、しかも保存食なので遠い土地にも持っていける。その土地らしさを伝えるメッセンジャーとして江戸時代から地域のブランドをデザインしてきたわけです。現在でも、僕の友人の酒蔵や味噌蔵の醸造家たちがその土地の農業やコミュニティを応援する大事な存在として機能しているんです。

・小さな蔵が醸す農業と伝統の未来。発酵が生み出すローカルの可能性 | みんなのミシマガジン

こういう現実を見るにつけ、日本において発酵文化というのは美味しい、健康にいいという食の領域を超えて、地域の未来をつくる最重要ファクターであり、新しいムーブメントをつくるためのハブになりえるのではないか?と僕は思っているんです。

今回の企画ではめちゃローカルな内容を扱いますが、同時に表現方法としてはグローバル仕様でいきます。その理由は、僕が海外で出会って僕の活動を応援してくれている様々なムーブメントのオーガナイザーたちに見て欲しいから。

ローカルの価値は他の土地のローカルにこそ深く理解してもらうことができる。今日本で起き始めている発酵を巡る新しい流れは、日本だけでなく世界で起きている流れとつながっている。小さなものは大きなものに回収されて消えてしまうのではなく、小さなままどんどん増えて大きな変化を起こすことができる。まるで微生物のように。

この企画がこれから始まる未来の「発酵スターター」になるといいなと思っています。

小倉ヒラクより

試されまくっている発酵デザイナーの最近まとめ

ここ最近の僕は試されまくっている…!
最近進んでいるプロジェクトを備忘録がわりにブログに記しておきます。
(2018年 6月15日現在)

進行中のプロジェクトいろいろ

もうすぐ新作アニメが公開されるよ
7月から開催の東京都美術館「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」の出品作品&テーマソングのアニメ『おべんとうDAYS』がもうすぐ公開になります。とにかくこのアニメをつくるのがめちゃくちゃ大変でここ一ヶ月ゾンビのようになっていました。気がつけばアニメ五作目。しかも美術館の展示作品ということでかつてないクオリティ目指すぞ!と気合を入れているので、音楽も動画もめちゃメジャー感のあるナイスなアニメができつつあります。みんな楽しみにしててね。

ちなみにこの展覧会企画をきっかけにお弁当ハンターの阿部了さんやオランダの作家マライエ・フォーゲルサングさんとの楽しい出会いや気鋭の現代美術家の北澤潤さんとの再会があったり、アートディレクションを僕の本の装丁をしてくれたBAUMが手がけていたり、色んなご縁を感じています。

英語での『発酵文化人類学』レクチャーに挑戦するよ
参加三年目となるハンガリー・ブダペストのIPC(International Probiotics Conference)。オーガナイザーから「今年は発酵文化人類学のプレゼンしてよ!」とリクエストがあったので、今年はワークショップではなく本気のレクチャーをやります。いよいよ発酵文化人類学が海を渡る時がきた…!そしてたいして上手くない英語でちゃんとプレゼンできるのか?とドキドキ。6/18から5日間ほどヨーロッパに行ってきまーす。

発酵文化人類学の講義ができたよ
青山ブックセンターの企画の山下さんから「発酵文化人類学を講義にしませんか?」とお誘いしてもらって、本の内容をベースに文化人類学と微生物学を合体させた不思議すぎる講義ができました。「こんな謎すぎる講義に人来てくれるかしら?」とフタを開けてみたら超大盛況。とっても好評だったので今回で終わりではなく定期開催しようと思っています。

ALIFE 2018で子供向け発酵ワークショップやるよ
国際学会続きでもうひとつ。同じく今年7月にお台場科学未来館で開催される国際人工生命学会(ALIFE 2018)のメンバーの一員として加えてもらって、子供向けの発酵&微生物ワークショップを開催できることになりました。きっかけは情報学者のドミニク・チェンさんを会しての人工生命研究のパイオニア、池上高志さん、青木竜太さん岡瑞起さんたちとの出会い。

普段は発酵という古典的な領域で活動していますが、このワークショップではロボティクスやIT技術を使ったスペシャルプログラムに挑戦します(2016年に開催した発酵デザイン講座の延長線上の内容になる予定)。しかも国際学会なのでこれもまた英語!試されてる、試されてる自分〜!

来年大きな展覧会をプロデュースするよ
詳細は近日お伝えしますが、来年渋谷で大きな展覧会のプログラムディレクターをやります。テーマはもちろん発酵&微生物なんだけどちょっとバカバカしいぐらい壮大なテーマに挑みます(そしてまたもやバイリンガル仕様)。みんなの力を借りないといけない大きなプロジェクトなので、詳細公開したらぜひ協力してほしい〜

ミシマ社とのプロジェクトが進行中
Re:Sの藤本さんやタルマーリーを介して仲良くなって、WEBマガジンで連載もしているミシマ社の代表三島さんとともに二泊三日で秋田を旅してきました。ミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』の次号の特集はなんと、発酵と地域の未来!2016年のスペクテーター『発酵のひみつ』のように、僕はその号のナビゲーターを務めることになりそうです。さてどんなスゴい内容になるのやら…

ラボ建設がじわじわ進んでいるよ
本格的に発酵と微生物を研究するぞ!と山梨の山の中の敷地にセルフビルドで発酵ラボを建設中。土地を開墾して土を掘って基礎を打って…と土木工事から自分でやっているのでゆっくりとしか進んでいないのですが、ついになんとなくカタチが見えつつあります。

現状の完成図では、ブドウ畑のうえにオフグリッドのラボと小屋が浮かんでいるというなかなかアヴァンギャルドな絵が見えてきています。秋頃には試運転できるように頑張っています。しかもこのプロジェクト、ジブリの会報誌『熱風』で連載している作家の川内有緒さんも敷地内に小屋をたてるプロジェクトで加わって静かに盛り上がってきています。ブドウが育つ再来年くらいにきっとイケてるランドスケープが山梨の山の中に生まれているはず…!

などなど。最近の僕はひたすら試されている…!頑張って次の山に登るぞ〜!!プロジェクトでご一緒する皆様、どうぞよろしくお願いします。

 

ハスラー・ギーク・ヒップスター。

未知のものを発見する、仕組みをつくる、価値を与える。
新しい価値ができて、そこに需要が生まれる。事業やプロジェクトが生まれる時には価値のデザインのトライアングルが必要。そしてそのトライアングルは一人ではムリで、役割分担が絶対必要〜!!

プロデュースおじさんの職能3分割

…と最近痛感するわけです。
それはなぜかというと、仲良しのクラシコムの青木耕平さんとgreenzのおのっちさんの影響。

青木おじさん、おのっちおじさん、あと僕で「プロデュースおじさん」という謎の三人組が結成されています。

・プロデュースおじさんの脱力系ビジネス論がログミーで読めるよ!

この三人はキレイに職能が三分割されていて、

青木さん=ヒップスター
おのっち=ハスラー
ヒラク=ギーク

の役割。これが前述の「価値づくりの役割分担」なんですね。

ギークは自分の好きなことを延々と掘り続けるオタクで、ハスラーはそのオタクに「チームでやったらもっと掘れるよ」と声をかけて仕組みをデザインし、ヒップスターは「掘った穴を洞窟ホテルにして一儲けしよう」と掛け合わせで新しい価値をつくる。

それぞれ得意な力の使いどころが違うので一緒にいるわけです。

全部できる自分を手放せ!

「自分は全部できる!」と、器用な人ほど思いがちです。
実際に全部できたりするんだけど、それぞれが中途半端なレベルでまとまってしまう。自分の目指すもののレベルや規模が上がってきたら「全部できる自分」を手放してしまうほうが、実は自分の目指すものを実現しやすいのではないか…!?
と気づいたのは、青木さんとおのっちさんとよく一緒にいるからなのでした。

発見するのと、仕組みをつくるのと、価値を与えるのはそれぞれが違う領域のデザイン。

一人で全部やっても大した価値はデザインできない。自分ができるどれか一つを選んで最大化させる。そしたら同じく最大化を頑張ってる違う領域の仲間ができるのでもっと面白いことができるしお互いリスペクトできる。

僕のケースでいうと、ハスラーとしては無能、ヒップスターはまあまあできるが無責任になる、同じことを延々続けられるのでギークがベスト!ということにここ最近気づいたわけで。どこかのタイミングで自分の弱みや中途半端な強みを手放さないとキャリアがこじれるんだよ(特に「中途半端な強み」を見切るのが難しい)。

ほんと、僕もそう思います。

 

【追記1】なおヒップスターの青木さんは「ヒップスターの価値と思い違い」について詳細に掘り下げているので興味ある人は検索してみるといいんじゃないかしら?

抽象性のサーカス。

さいきん仲良くなった友人にALL YOURSというアパレルブランドをやっている木村くんというナイスガイがいる。彼は思考力も行動力も過剰な「止むに止まれぬ理由でなんでもやりすぎてしまう系譜」に生きる男なんだね。

・木村くんゲスト回のラジオ『発酵兄妹のCOZY TALK』はこちらから。

世間には木村くんのように自分の言うこととやること一切に着地と答えを探さずにはいれない苦行に励むレア人間が一定の割合で存在している。

世間で流通している友人関係や仕事でのコミュニケーションって「ふわっとしている」ものが大半。

「◯◯さんって良い人だよね」

という世間話から、

「直近の事業課題は△△で〜」

というビジネストークまで、よく考えてみれば「良さって何?」「直近っていつからのこと?」という掘り下げなしになんとなく「そうだよね〜」という空気感で処理されている。

ところがたまに「そうだよね〜」と空気に流されるのが苦手なヤツがいて、そいつは「何それどういうこと?」としつこく問わずにいられない。しかもその突っ込みは他人だけでなく絶えず自分自身にも向けられる。結果そいつが言うことやることから「ふわっと感」が排除されることになる。

この強度が日常にドロップされると過剰感になる。

言葉や行動に強度を求めずにはいられない気質の人は、ふんわりした日常のコミュニケーションの場で自分の過剰さが浮き上がってしまう。それに耐えきれず自分の過剰さを相対化するために過剰な人種とつるみだすと、過剰な人間で構成される過剰なコミュニティが形成され、よりハードコアに世間から浮き上がっていく。

ご存知だろうか?
世の中には「ニッチな趣味でつながるサークル」が数多あるのだけれど(鉄道とか蘭とか)。それと同じ熱狂度で「抑えきれない過剰さでつながるサークル」が存在している。

このサークルが集うお茶会や飲み会は常人には理解できない強度で定義された概念がバンバン飛び交う抽象性のサーカスになるんだよ。

現実世界から抽出された概念を華麗にジャグリングし、社会を構造的に分析することで走り出す「仮説という名の馬」を乗りこなし、つながるはずのない事象を形而上学的次元で接合させるアクロバティックを「ブラボー!」と愛でるのが「抽象性のサーカス」。このサーカスは過剰界の住人以外には見ることができない。

 

「まだやってたのかおじさん」になりたい。

ここ一年色んなジャンルの人たちから「発酵×◯◯」で企画をやりたいと声がかかります。

直近の2〜3ヶ月だけ取ってみても

・発酵×密教(高野山飛鷹全法さんと)
・発酵×経済(ミシマ社三島さんと)
・発酵×コミュニティ(コルク佐渡島さんと)
・発酵×精神医学(星野概念さんと)

などなど、異種格闘技戦にも程がある…!な状態になっているんだよ。

「これは一体どうしたことだ?」と思いつつ、発酵好きを越えてたくさんの人が微生物の世界に興味を持ってくれていることはほんとに嬉しいことです。

で。こういう流れがしばらく続くと考えた時にだな。
僕は、まだやってたのかおじさんになりたいなと思うんですね。

「えっ、どういうこと?」

例えば僕に「発酵×◯◯企画やりましょう!」と声をかけてくれた人は、その企画が終わったらまた自分の領域に帰るなり、また別のコラボできるところへ移っていくわけじゃないですか。
それで10年以上経って、その人がある時ふと

「そういや昔、発酵×◯◯ってやったなあ…」
「あれ、一緒にやった小倉ヒラク君って今何やってるんだろう?」

と思い出して僕のことを検索してみた時に、

「やってた!ヒラク君まだやってたのか〜!!」

という存在になれたらいいなと。
これがつまり、まだやってたのかおじさん

世間の興味も流行も移り変わっていくじゃないですか。毎シーズン、たくさんのトレンドワードの船があっちこっちの海を渡っていく。

そのなかで僕は発酵&微生物という「港」でいれたらいいなと。
しかもその港はスーパー開かれていて、いつでも各国からの船から人や荷物が降ろされてくる。歴史が積み上がっているので「あの港から見える景色を一度見てみたいもんだ」と噂される。そういうの最高…!

ということで、僕はまだやってたおじさんという港になります。
ちょっと奥まったところにあるけど、見晴らし良くていい風吹いてるよ。