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発酵は科学と哲学の交差点。

発酵は「科学と哲学の交差点」。
『発酵文化人類学』の重要なキーワードで。イベントでも話していることを改めてブログでまとめておきます。

例えばブドウ果汁がなぜワインになるのか。その基本原理は化学式にあらわすことができます。ブドウ果汁に含まれる糖分を、酵母が分解してアルコールに変えることで酒ができる。この原理は世界のどの国のワインでも普遍です。パンでもビールでもその基本原理はいっしょ。

そういう意味で、発酵は自然界で起こる普遍的現象であり、サイエンス(化学)の対象ということができます。

・そもそも発酵とはなにか。簡単にメモしておくぜ

なんだけどさ。そのワインを「美味しいかどうか」という視点で見てみるとちょっと考えかたのモードが変わってくる。ブルゴーニュの高級ワインは、普段チューハイ飲んでる人にとっては「酸っぱい、渋い!」となって美味しくないかもしれない。そこには飲む人の経験や美意識が大きく関わってくる。

酒の発酵という現象自体は再現性があるものだけど、個々人の感性には再現性がない。
この矛盾があるこそ、発酵はとても面白い。

「世界一美味しい酒」は存在せず、「自分にとってサイコーの酒」だけが存在する。日本でいちばん流通している大手メーカーの味噌でつくった味噌汁よりも、お母さんの手前みそ汁が嬉しい。こういう「自分が感じる美味しさ・幸せ」を考えはじめると科学の領域だけでは手に負えません。そこには歴史の変遷や人間の感性を踏まえた社会的な考察が必要になる。

物理学や化学などのは常に「普遍的な現象」を取り扱うもの。「オレは重力から自由だ!」と主張しても空を飛ぶことはできない。たいして哲学や社会学は「個別特異的な現象」を取り扱う。ある特定の瞬間の、他ならぬ個人やコミュニティにとっての意味を掘り下げていく。

発酵はその現象自体は普遍的なのだけど、それを美味いとするかどうかは受け取る側の個別の事情による。ボルドーの高級ヴィンテージワインを最高とする価値観もあれば、うちのおっかあのどぶろくが最高!とする価値観もある。

だから発酵は「科学と哲学の交差点」。普遍的なくせに答えがない。発酵の道を極めるためには、一方ではケミストリーや分子生物学、遺伝学を学び、他方では社会学や文化人類学、哲学や芸術を学ばなければいけない。

様々な視点を統合しないと日々当たり前に食べている味噌汁や酒のことを理解することができないんですね。科学の領域だけ取って見ても、発酵の謎は果てしない。最新の微生物学の知見を総動員してもお味噌の複雑な風味や健康機能をすべて解き明かすところまでいっていない。キムチにしたって発酵に関わる微生物の数が多すぎてその発酵プロセスの詳細はいまだ解き明かされていません。

そこにさらに社会的な謎が加わってきます。発酵は民族や宗教のルーツに深く関与しています。東アジアの発酵を司る「醸」という漢字を紐解いていくと「酉(とり)」という文字に行き着く。これは土中に埋める「酒壺」を意味し、同時に土に死者を葬る「棺」であり、さらに彼岸から故郷に戻ってくる死者の魂の象徴である「鳥」を意味していた。このように古代世界において、発酵させることは「生命の蘇り」を意味しています。

・発酵古代漢字の世界へようこそ。

なぜ異なる民族間に共通してそのような不思議なコスモロジーが発生したのかは謎に包まれています(ていうか僕の知っている限りちゃんと研究している人がいない)。

今年に僕が書いた『発酵文化人類学』は、微生物と人間の謎を巡る果てしない旅のはじまりなんじゃないか、と思っています。科学と哲学が交わるその場所に、生命の起源に関わるひみつがあるんじゃないか、そんなことを考えるといつでもワクワクしてくるのだぜ。

【追記】ちなみに「科学と哲学の交差点」のもととなるアイデアは農大の穂坂教授から授かりました。製麹や利き酒のメソッドだけでなく、思想も授けてくれた偉大な先生です。

編集は、面白いを「つくる」仕事。

週末に大学生向けイベント『Q学のススメ』で家入一真さんと対談で話したことのメモ。
学生のみんなからの質問のなかで、

「私はローカルメディアの編集を仕事にしていきたいんですが、どうやったら面白い人とつながれますか?」

というものがありました。ここには編集とは、面白いとは何か?という問いを立てるのに良いサンプルなのでちょっと掘り下げてみよう。

そもそも。「面白い」は誰がつくるのか?という問題。「面白い」は「水が冷たい」とか「海が青い」とか物理的にプロパティが決まっているわけではなく、人の判断によってバーチャルにつくられているわけです。つまり「面白い」は人によってつくられる。

では「面白い」をつくる人は誰かというと、それがまさに編集者なんだね。
才能を持った個人や、ユニークな場所やものごとの魅力を発見し、可視化し、みんなに紹介する。編集者は面白いを「つくる」仕事。

だからさ。編集を志す人が「どうやって面白い人とつながれますか?」と口にするのはパン屋さんになりたい人が「どこから美味しいパン仕入れてきたらいいですか?」というのに近い。
すでにメディアがつくった面白さを仕入れる発想をしているうちは良い編集者にはなれない。まずはパン種育てるところから始めねば。

僕の知人でいうと、ジモコロ編集長の柿次郎さんやのんびり編集長の藤本さん、スペクテイターの青野さんたちはほれぼれするほどの「面白さの目利き」なんですね。

「面白い人とつながるためには自分が面白い人であらねば」という話もあるけど、良い編集者を見ていると必ずしも面白く振る舞える芸人のような人である必要はない。「面白くあること」よりも「面白さを深く理解していること」が大事だったりする。もっと言えば人や場所やものごとの面白さを見出して誰かに紹介できる言語化能力やコーディネート力が「編集者的タレント」なんだね。

面白さを見出し、可視化し、つくりだす。面白さのパン焼くためには、まずは種を育てるところから。

・世の中には二通りの人間がいる。「一流」を見つける者と待ち続ける者だ

発酵古代漢字の世界へようこそ。

今年7月に丸善京都本店での安田登さんとの対談で着想を得て、先日の広尾の東江寺での「寺子屋」でなんとなく体系化してみた「発酵古代漢字」の世界。
古代アジアの漢字・象形文字から発酵文化に関係するものをピックアップし、そこから古代の人々の世界観を掘り下げるというニッチ極まる研究ですがたくさんの人から「面白いです!」と感想をもらいました(どうもありがとう!)。

【酉】の字から始まり、中国の殷・周の古代文化、日本の古事記などの神話に接続されるこの不思議な世界観、さわりのさわりだけなんとなくブログにまとめて、もっと掘り下げたら何らかの形式でまとめたいと思います。

発酵古代漢字を紐解いてみる

ではイベントで紐解いて文字をいくつか紹介します。

【酉】古代東アジアの発酵を象徴する「醸」の文字のルーツ。土中に埋める「酒壺」を意味し、同時に土に死者を葬る「棺」、さらに彼岸から故郷に戻ってくる死者の魂の象徴である「鳥」を意味している。古代世界において、発酵させることは「生命の蘇り」を意味しているのではないか?

【醸】前述の「酉」の酒壺に穀物を詰めて酒や調味料などを発酵させる。右側は①手に穀物の穂を持ってお祓いする意 ②死者の白装束の袂に神具と呪具を入れて胸が膨らんだ様から「発酵して酵母が湧き上がる」の意の2つの説があります(もしかしたらもっとあるかも)。どちらにせよ発酵が神事と深く関わっていたことを意味する漢字。

【風】風を受ける帆をあらわす「凡」のなかに入るのは、もとは虫ではなく鳥でした。異界から風に乗ってやってくる鳥たちは、故郷を懐かしむ死者たちの象徴。やがて鳥は爬虫類の要素が加わり、龍となる。空を飛ぶ爬虫類のイメージが「帆」のなかの「虫」。

【申】もとはカミナリの象形。これが転じて「神」という文字になっていきます。カミナリは「神鳴り」。別名は「稲妻」。カミナリが田に落ちると、窒素固定によって稲の豊作がもたらされます。そして米から酒を醸し、神に奉納する。田を介して人と神が対話する。僕の徳利コレクションのなかに、カミナリのモチーフが入ったたものがあります。

【田】自然のなかにグリッド(直線)を引いて秩序あるエリアをつくる。曲線で流れる川を水蛇と見立て、その力を理知的な直線の力で抑えて水の持つ破壊の力を防ぎ、恵みの力を引き寄せるためのランドスケープの設計技術。それを都市計画に応用したのが京都。水蛇は鴨川。神社で蛇の頭を抑える。

【龍】「龍」のつく日本酒の銘柄が多いのは、神から特別な力を与えられた蛇が龍であるように、発酵の力によって特別な力を与えられた水が酒であるからなのではないか…と僕は考えています。ちなみに龍は日本酒の仕込みに使う清水を生み出す森の守り神ともされてきました。

味噌の「噌」の文字の謎

【噌】「味噌」以外に使われることがない不思議な漢字で「にぎやかにする」ことを意味します。つまり味噌とは「味をにぎやかにするもの」。ただ語源まで辿ると実は政治的な意味を持つ文字でした。右側は「鍋にかけた蒸し器から水蒸気が上がっている」ことを意味します。そして左は蒸した穀物を食べる口…ではなくなんと「議論する」です。

これを字義通り取ると「キッチンで食べ物蒸しているあいだに人が集まってあれこれ議論するさま」ということになります。謎すぎる文脈ですが、実はこれも古代の殷まで遡るとヒントが見えてきます。古代殷では、政治家は料理家を兼ねていました。

【宰】政治を司るこの文字は「家のなかで包丁を振るうさま」を意味します。殷の伝説的宰相である伊尹(いいん)は優れた料理家であったようです。「包丁で食べ物を切り分ける=適切に資源を分配する=政治をとりおこなう」という発想であったようです。なお、包丁という単語のルーツは庖丁(ほうてい)という宰相の名前から。

「宰」の文字を踏まえると「噌」の文字の語源が見えてきます。古代アジアにおいて、政治はキッチンで行わていた、ということなのかもしれません。政治をすることと料理をすることはイコールだったのですから。

現在中国では「噌」の文字はほとんど使われていないようです。なぜその文字が日本の「味噌」に残っているのかはまだ謎。これから解き明かしたい…!

万物は発酵から生まれた…?

【壹】発酵古代漢字を調べていて衝撃的だったのが、数字の「一(壱)」の古いカタチである「壹」が「発酵して気が充実している壺」を意味していることを知った時でした。

老子の有名な「道は一を生じ…」というのは「道(タオ)は発酵である」ということ…なんですか?マジで!?
「壹」の文字を眺めていると「味噌仕込んだりどぶろく仕込んだりしながらほっこりしている老子」のイメージが湧き上がってきます。酒母がプクプクしているのを見ながら「道は一を生じ、一は二を生じ、三は万物を生じる…」とつぶやき「ヤバい、めっちゃいいこと考えついちゃった…」とご満悦の老子。

「道は一を生じ…」の一説に続く「万物は陰を負いて陽を抱き、沖気を以て和を為す」も大変に発酵的です。陰は「腐敗」で陽は「発酵」、その2つの弁証法的止揚によって「めちゃヤバい食べ物」が生まれる、という風に発酵デザイナーは読み解きます。

まだまだいっぱい紹介したい漢字があるのですが、その続きはまたの機会に。

アイデアの捨て漬けと、次世代の「発酵読モ」の登場

最近考えてることと、後半に大事な業務連絡。
ただいまヒラクはキャパオーバーで呆然としております。

「アイデアの捨て漬け」期間をとる

『発酵文化人類学』のプロジェクトが一段落して、来年以降の仕事のことを考えはじめているわけなんですが。最近の仕事はクライアントの要望ありきのいわゆるデザイナー仕事は皆無で、ゼロから自分のイメージを具現化するようなものばかり。

そして僕はめっちゃ優柔不断でどんどん発想が湧いてくるアイデアマンでもないので、ひたすらうだうだと悩みまくる。イメージが固まらずスケッチ描いたりメモ書いたりするものの、全然先に進まない。

もどかしいと思いつつ、でも僕にとってはこの「うだうだしている時間」がすごく大事だったりします。

考えてみれば、僕が発酵や微生物に関わることしかやらない!と振り切るのに三年くらい悩み続けたし『発酵文化人類学』も拙速になるのがイヤで、ずいぶん長い間寝かしてイメージを膨らませ続けたんですぜ。

脳みそだけで「これだ!」と閃いたアイデアはたいしたことない。なんとなくお題だけ出して、思いついたアイデアやキーワードを放り込んで数日寝かせる。そのアイデアの大半は発酵することなくしぼんでいく。そしてまた違うアイデアを…と何度も重ねていくとやがてイケそうなイメージが発酵してきます。

糠床を育てる時、最初いろんな野菜の切れっ端を捨て漬けするじゃないですか。ああいう感じで「アイデアの捨て漬け」をしないと美味しいものはできない。それなりにインスタントに美味しいっぽいものはできるかもしれないんだけど「それってただの塩漬けだよね?」程度のクオリティのものしかできない。

今欲しいのは時間。ゆっくり発酵させる時間だ〜!!!!

潜る時間の大切さ

「超浅漬け」みたいなアウトプットを納品してもそれなりに評価されたりするんですが、でもつくる側の魂は確実に蝕まれる。「発酵を待てないファストすぎ野郎」として。

・『孤独のグルメ』に見るベストタイミングの見極めと、こじらせ女子の呼吸と見切りがファストすぎる件について。

「でもでも!納品〆切あるし、まあまあのクオリティでいい仕事も多いですよね?」

昨今メディアが爆増しまくり、しかしユニークなコンテンツをつくる人的リソースは枯渇気味なので結果「とにかくサクッと手頃な値段でそれなりに納得感あるコンテンツ欲しいでござるよ!」というニーズが溢れ「発酵待てない問題」が発生し、糠漬けっぽい塩漬けが世に出回ります。

そして。そのニーズが発酵界に向かうと「とりあえずヒラク君に頼んどくか」という流れになりがち!最近なりがち〜!!しかも「山に篭ります宣言」をみんな読んでるので「◯◯さんの紹介で〜」みたいな建て付けを上手につくってきて、僕もそれなりに情に厚い人間なので「よござんすよ」とか応えがち!情にほだされがち〜!!

この流れを容認していると、近い未来ヒラク君は「話聞いてもらえるおじさん」に成り果てるであろうよ。

・話聞いてもらえるおじさん。

次世代の「発酵読モ」が登場してるよ

実はもうすでに発酵界の次世代ホープが登場しはじめている。

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例えば。写真左の熱燗DJつけたろうこと鈴木吉田研三くん、右の日本酒娘こと真野遥ちゃんははまごうことなき「発酵界の読モ」だ(詳しくは発酵文化人類学の第五章参照)。発酵への知識も愛も深く、表現力も素晴らしい。ただ現状二人ともまだキャリアの100%を発酵界にコミットできていないらしいので、コンテンツ発注主の皆さまにはどんどん案件をまわしてほしい(と僕がおせっかいしなくてもこの二人の才能なら問題なさそうだが)。

仕事の依頼があることはたいへんにありがたいこと!なの!!だが!!!
僕には次にチャレンジしてみたいことがあり、そのチャレンジのためにはまた学ばなければいけないこと、時間をかけて熟考しなければいけないこと、手や身体を動かして試行錯誤しなければいけないことがあるので「潜る時間」が必要。人前出て社交して「前から本読んでてファンだったあの人と対談できるなんて!ルンルン♫」みたい嬉しさがあるのは事実だが、涙を飲んで宣言する。

「去れマーラよ!」

つきましては、断腸の思いで問い合わせフォームを廃止しました。残る新規問い合わせの方法はテレパシーのみです。新規の依頼は来年の夏くらいまで受け付けません。あと、取材の依頼もご遠慮ください。ヒラクのことをそっとしておいてください。

人間界のみんな、すまない。僕は菌になります(今度こそ本気で)。

【追記1】そのわりにはやたらtwitterやってるじゃねーか!という突っ込みが聞こえてきますが、これは某グローバルIT企業が極秘開発した人工知能のアルゴリズムによって生成されているコンテンツです。このブログももちろんAIが自動生成しています。ということは、仕事の依頼もAIが対応すれば万事解決かもしれねぇな…!

【追記2】そんなこと言って、ぜんぜん仕事なくなってお金なくなったらどうするの?という突っ込みも聞こえてくるが、お金は人間界の価値観なので気にしない。

【追記3】つけたろうとはるちゃんにはマジで期待してる。はやく発酵界に本格参入してね。

【追記4】ここで言うマーラとは「中途半端に社交的な自分」のことで、他人のことではない。

元才女おばさん。アラサークリエイティブ女子が直面する危機のその先。

あなたは「元才女おばさん」をご存知だろうか?
言うまでもなくあなたは「元才女おばさん」のことを知らないだろう。なぜなら僕の造語だからね!

「はじめて聞いたワードですが、なぜか心がザワつきます…」
「ていうか、それ、私のこと…!?」

うん。詳細は知らないが、きっとそうなのだろう。
元才女おばさんは、貴女の身の回りにけっこういる。そして今僕のブログを読んでいる他ならぬ貴女のなかにも……

なぜかとっ散らかるキャリア

去年から今年にかけて、立て続けに「若い時に華々しいキャリアを送り、その後迷走した三十代後半〜四十代の女性」に会う機会があった。

「海外に留学したあとジュエリーデザイナーになって…」

おお。めちゃスゴいですね!それで?

「通訳になって…」

ふむふむ!海外の経験が役に立ちましたね。それで?

「外資系の秘書になりました」

めっちゃエグゼクティブじゃないですか!めちゃすごい!

…しかしなぜか今は特に大企業でもない会社の一般事務の仕事をしていたりする。もちろん人生において仕事のプライオリティは様々なので、本人がそれで納得していればいいのだが、話を聞く感じだとそうではない。危機感を感じて資格取得に走ったりするのだが、アロマの資格を取ったと思いきや、その次に経理の資格を取ったりして妙にとっ散らかっていたりする。

そう。その女性たちのキャリアを一言で表現するならば

「とっ散らかっている」

なのであるよ。知的だし、雰囲気も明るいし、見た目も若々しくなんならめちゃ美人で知識の引き出しも多い。しかし話しているとなぜかとっ散らかってくる。

「ワタシ…もう続きを聞きたくないです!」

わかっているよ。この話がある種の女子にとってハードコアな内容だということを。かくいう僕もずっとこのブログの下書きを公開することなく二ヶ月近く寝かしておいたんだ。だから無理せずこのへんで僕のブログを読むのをやめてブックマークに登録しているしいたけ占いのリンクをクリックしてくれたまえ。

そして二度と僕のことは思い出さないでくれたまえ。アデュー。

アラサークリエティブ女子の危機

さて。
華々しいキャリア変遷を経て、なぜかとっ散らかってしまった30代後半〜40代女性。これが元才女おばさんの定義。

元才女おばさんは現代日本における「女子の袋小路」の典型例のひとつだ。
その袋小路への分岐点は30歳前後。
そして異界へのドアを開けてしまうのは才能あふれるクリエイティブ女子なんだね。

チャーミングで、お洒落で、話も文章書くのもうまくて、なんならカメラマン級の写真も撮れて、全国各地にイケてる人脈を持ち。息しているだけで人が寄ってくるようなセンスフルなクリエイティブ女子。

大変羨ましい才能だが、しかし!アラサーを境に、その才能が真綿で首を絞めるように女子のキャリアを殺すことがある。凡人には想像もつかないことだが、才能は人を殺すのであるよ

それはどのような事態だろうか。
「なんでもできてしまう」が「とっ散らかる」にクラスチェンジするという危機だ。

選ばれしクリエイティブ女子は色んなことが「できてしまう」。そしてできてしまうゆえに、捨てること、絞ることができない。自分がやるべきことのプライオリティをつけることができない。

20代半ばすぎくらいまでは「マルチな才能の子猫ちゃん」という期間限定カテゴリーがあるが、いい年したオトナになってくると何か目指すべき道を見つける必要が出てくる。

そしてその猫さまは獏とした悩みを抱える。

「いったいワタシって、何者…?」

これが世にいうアラサークリエイティブ女子・アイデンティティクライシス問題だ(言っているのは僕しかいないが)。

アラサークリエイティブ女子が迷走すると元才女おばさんになる

アラサークリエイティブ女子が迷走する理由は、高確率で「自己承認欲求と自分の幸せが切り分けられない」という、自我のとっ散らかりだ。

「人から必要とされる、評価される」という事にあれこれ手を出し続けていると「マルチタレント」が劣化して「迷走している人」になる。なぜなら二十代の時に地道に下積みしてきた同年代が各領域のエキスパートとして頭角を現しはじめるからだ。

この時に苦難のアラサークリエイティブ女子が取る道は、

A:自分がこれだ!と思う分野を突き詰める
B:仕事以外のことに自分のアイデンティティを見出す
C:さらに色んなことに手を出してはやめるリピートにハマる

の3つで、残念ながらAの可能性が一番低く、Cの可能性が一番高い
(Cをさらにこじらせるとアヤしい自己啓発やスピリチュアル系のアクティビティにハマったりする)

「捨てる」「絞る」ということをしないままものの十年ほど経つとクリエイティブ女子は元才女おばさんにジョブチェンジすることになる。

「ヤバい…!ワタシ、元才女おばさんになりかけてる…てかもうなってる…?」

そうかもしれない。そして僕にはもうどうすることもできない。
「人に承認されること」を原動力に生きてきた人が、いい歳になって「自分で自分を承認する」人生にギアチェンジをするのはめちゃ難しい。
たとえば出産・育児と仕事をいい感じに両立するならば、説得力のあるキャリアを積み上げて労働時間に縛られず結果を出せるポジションをゲットするのが望ましい(あともちろんパートナーの協力も)。有能なクリエイティブ女子なら楽勝でいけそうな感じもするが、しかし「積み上げ」に必要な「捨てる」「絞る」スキルをおざなりにすると仕事を変えるたび「積み上げ」ではなく「迷走」になる。

二十代の時にサクッとジュエリーデザイナーになったり外資系の秘書になったりしたのは「みんなに認められる自分」になりたかったからであり、その道を極めなかったのは「もう目的を果たしてしまったから」だ。そのまま自己承認ジプシーで彷徨っているうちに、仕事では「認めてもらえる自分」になれなくなってくるので、性急な恋愛や結婚に走ってしまうかもしれない。

しかしその愛も仕事と同じで「自分を認めてもらうため」のものだから、やがて自分自身が飽きるか、あるいは相手がツラくなってギブアップしてしまうかもしれない。だって、相手もまた「僕のことも認めてほしい」と思っているのだもの。人間だもの。

・なぜKEYくんは「隣り合って」座るのか?『東京タラレバ娘』の倫子さんが不憫すぎる件

愛や仕事をジプシーとして彷徨ううちに、深い疲れがやってくる。かつて自分が簡単に手に入れられたものがいくら望んでも手に入らなくなり、ようやく何かつかめたと思ったらかつてのようにキラキラで形の整ったものではなく、どこかいびつで若干腐ったようなものだったりする。かつての記憶があるぶんだけ、自分がいま掴んでいるそれを直視するのはツラいかもしれない(しかしそのいびつさや若干腐った感じは己の写し鏡でもある)。

けれども。深く考えず手を出したその愛やキャリアがいったんおじゃんになった時、あらためて貴女が向かい合う人間関係、向かい合う仕事のありかたこそが、ほんとうの意味での「自分自身の人生のスタート地点」なのかもしれない。どうか資格取得とかに走ってその大事な「スタート地点」を見過ごさないでほしい。どうかあなた自身の幸せの道を歩いていってほしい。

…と後半はなかばトランス状態で書いてしまったが、これは僕小倉ヒラクが書いたものではない。天から使わされたメッセージがたまたま僕に憑依した or 通りがかりの柴犬がそうやってワンワン吠えていただけだと思って一笑に付してくれたまえ。

コスモスの花が咲く頃にまた会おう。アデュー。

 

【追記1】なおこのエントリーの完成にあたっては上勝のまちづくりプロデューサーの大西正泰さんにたくさんの助言をもらいました。元才女おばさんの心情を知り尽くした大西おじさんのいる徳島県上勝では絶賛有能な移住者を募集中だそうです。

【追記2】仲良しのクラシコム青木耕平おじさんが「元才女おばさんもアラサークリエイティブ女子も社会の宝!迷走するのは社会の仕組みのせいだ。ウチならその女子たちの能力を腐らせはしない!」と切々と訴えておりました。興味のあるスキルフルな貴女はぜひ青木さんの会社に注目してみるのはいかがでしょうか?

【追記3】とあるイベントで元才女おばさんの話をしたら、参加者の男子から「これは女性に限りません!オトコにもこの罠ある〜!」とコメントもらいました。うん、多分これは現代日本における典型例なのかもしれませんね。ちなみに「元才女おばさん」と対になるエントリーはこちら。「話聞いてもらえるおじさん」の講演会の最前列で熱心にメモを取る。それが元才女おばさん…!

・話聞いてもらえるおじさん。

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さいきんの発酵デザイナーの活動ふりかえり

ここ最近の備忘録。

「山に篭もる宣言」をした時点で時既に遅し!年内はあれこれ用事があってドタバタが続いているのでした。11月前半は2017年最後の大移動と各地で人に会いまくりの慌ただしいツアーでした。

・徳島県上勝でお世話になったソシオデザインの大西さんが山梨へ。ラジオ出演と夜の飲み会をアテンド。まちづくりと巷の女子を震撼させている都市伝説、元・才女おばさんの話題に花が咲きました。今や数多いる「地域プロデューサー」のなかでも大西さんの活動は地に足ついて素晴らしく、地域のシチズンシップを育てる教育者としても稀有なおじさんだと思います。

・五味家の「発酵してない姉」ことごみふみちゃんに招集されて、発酵兄妹三人で山梨県河口湖のMizno Hotelへ。フランス在住のJAZZミュージシャン兼国際交流プログラムのプランナーである仲野麻紀さんがお出迎えしてくれて「フランスでワークショップ&講演ツアーやりませんか?」とのオファーをもらいました。『発酵文化人類学』のフランス語版の出版企画も立ち上がり、来年以降が楽しみ。20歳からのフランスとのご縁がまた活発になりそうで嬉しい。
(ちなみにホテルのオーナー夫妻の長女は僕の早稲田の同じ専攻の同級生でした)

・河口湖から長野県の下諏訪へ。五味のアニキと山中湖の宿ホトリニテのオーナー高村ナオくんと年に一度の「男子三人やまなし会」。リビルディングセンターを訪ねたあと、ローカルな温泉を堪能しました。最近オープンした「マスヤゲストハウス」で地元の子たちと飲んで、最近の下諏訪界隈の盛り上がりを感じました。街並みといい文化といい、諏訪は異界感あって面白いね。
・新しいデザインの美意識の話をしよう。リビセンの本を読んで考えたこと

・下諏訪から川崎へ。味の素のラボを見学しにいきました。味の素というと僕の周りの人たちはあんまり感心しないのですが、実はれっきとした発酵調味料です。しかも日本独特のダシや発酵調味料の系譜から生まれたローカルプロダクト。実は名物広報の二宮くみ子さんが『発酵文化人類学』に感銘を受けてくれたらしく、VIP待遇でラボのあれこれを案内してもらいました。所長の児島さんも誠実な人柄で、僕のプライベートラボの相談にも乗ってもらってしまった!ランチはハンガリーで仲良くなったマイさんと真澄の若旦那の宮坂さんと合流。昨日まで真澄の本拠地、下諏訪にいたのになぜ都心で会うのでしょうか…?宮坂さんは僕と同年代のTHEニューウェーブな発酵界のホープ。12/2に松本でイベントご一緒するので長野の皆さまお楽しみに!

・川崎からいったん都内へ移動。ソトコト編集部へ行って出版ツアーの行商。55回におよぶツアーで1,000冊以上は余裕で行商していたようです。驚き!
実は出版ツアー終了前後から各地の本屋さんや大手取次店の力を借りて全国の本屋さんで『発酵文化人類学』が買えるようになってきました。あわせてまたもやマス媒体で本の紹介が相次いで、出版ツアーやっている時より売れるペースが上がってきている感じがあります。ふつう出版直後がピークでその後勢いが落ち着いてくはずなんですけど、この本はまだもう一段メジャーなところに行きたがっているようです。担当編集のハシモト選手いわく「5万部売ります!」、版元ボスの小黒一三さんいわく「10万部売るぞ!」だそうな(ほんとかよ)。

・都内を経由して島根県石見銀山へ。大好きな群言堂に、イギリスでお世話になったシューマッハカレッジの校長、サティシュ・クマールさんが来日するということで、講演会の前日入りしてサティシュさん御一行と他郷阿部家で晩餐を囲みました。『発酵文化人類学』がこういうカタチで本になったのは、実はサティシュさんからもらった言葉が原動力になっていて。「サティシュさんのおかげで本ができました!ありがとう〜!」と一冊本を贈答したら、サティシュさんの通訳兼アテンドで同行していた文化人類学者の辻信一さんが「あっ、この本僕も今読んでるよ!注目してました」とビックリ。僕も辻さんの本を読んできたのでビックリしたぜ。この夜もサティシュさんから滋味深い言葉をたくさんもらったよ。登美さん大吉さんはじめ、群言堂のみんなもサティシュさんたちとご縁ができてとっても嬉しい気持ちになりました。山梨の五味家、千葉神崎の寺田家のように、群言堂の松場家も僕の親戚のように感じています。来年は松場家の若旦那と一緒にシューマッハカレッジを再訪するぜ!
エレガントに、シンプルに。シューマッハカレッジの、学び合うコミュニティのつくりかた

・出雲空港から一路名古屋へ。出版ツアーがご縁で始まった「なごや朝大学」の発酵クラスのラストでした。夕方について受講生のみんなと利き酒講習兼懇親会で盛り上がり、翌朝7時から手前みそワークショップという楽しくもハードなスケジュール…!
(ちなみに二日酔いの受講者多数でしたが欠席者はいなかった。スゴい!)
「なごや朝大学」のコミュニティの雰囲気はとてもいい感じで、みんな好奇心いっぱいで地域の活動も頑張っていて、ハートウォーミングで風通しがいい。企画のオファーをしてくれた建築家の間宮さんはじめ、事務局の皆さまのナイスな人柄がこういうコミュニティをつくったんですね。ほんと最&高!名古屋のみんな、たった二ヶ月間でしたがお世話になりました。
朝イチで講座終了後、りんねしゃの大島サチエ姐さんのアテンドで中京テレビへ。こないだブログで書いた中京・東海地域の発酵食のルーツを探る企画の打診。中京テレビのディレクター陣と大いに盛り上がったので、何かしらスペシャル企画がスタートする!かもしれないよ。
・京都は貴族の味、名古屋は武士の味、東京は商人の味。

ほぼ一週間移動し続けてようやく山梨へ帰宅。色んな事がありすぎて頭がパンクした〜!
お目にかかった皆さま、どうもありがとう。また会いましょう。

備忘録なのでオチも教訓もないよ。ごきげんよう!

mishima_catch

ミシマ社のWEBマガジンで連載『10年後を考える』が始まりました。

久しぶりに新しい連載を始めることになりました。
本好きにおなじみミシマ社の『みんなのミシマガジン』で月一連載です。
しかも!!テーマは発酵ではなーい!!!

・第1回 時代はローカル!未来は明るい!ってホント?  <10年後を考える> | みんなのミシマガジン

10年後の未来はどうなる?つくりながら考える

10年後の未来、いったい僕たちはどうやって生きていくのであろうか…?
そんな問いかけからスタートし、この先どうなるかわからない感じで更新されていく予定。以前greenzのに掲載されて話題になった「豪族2.0」のその続きのような話になっていくのではないでしょうか。

・キーワードは”豪族2.0″! これからは一旗あげるために地方へ行く。発酵デザイナー・小倉ヒラクさんが考える、今とこれからの日本のカタチ | greenz.jp

実はこの企画1年くらい前、『発酵文化人類学』が出版する前まで遡ります。「これからの経済や働きかた」というソーシャルなテーマで本を書きませんか?というオファーだったのですが、考えれば考えるほど僕には太刀打ちできる気がしなくて「無理〜!」と一回あきらめかけたんです。

ミシマ社ホシノさんの「じゃあ連載やってみて、面白かったら本にしましょう」という衝撃的にユルい提案によって企画が再起動。一年越しにようやく最初のカタチに辿り着きました(ホシノさんすいません)。

「10年後を考える」というわりとそっけないタイトルもミシマ社さんからの提案。僕はわりとビジネスマインドなので、テーマもタイトルもちゃんとフォーカスしてキャッチーなものにして…とついつい考えちゃうんですけど、ミシマ社さんの編集方針はけっこう変わっていて、あえて物事を特定の方向に誘導しない、あえてのふんわり&そっけない編集を信条としているようです。

でも考えてみればだよ。ほんとに未知の面白いものって「やりながら考える」もの。最初にあんまり作り込みすぎると思いついたことを試したり方向転換しにくくなる。
「どうなるかわからない」という状態からスタートできる、というのはある意味最高にエキサイティングなわけです。考えてみれば僕の名刺変わりになっている「てまえみそのうた」とか「発酵文化人類学」とかもタイトルもキャッチーとは程遠いし、まさに作りながら考えて、それがだんだん発展していったプロジェクトでした。

なのでこれも焦らず時間をかけて、何か意義のあるプロジェクトに育てていきたいと思います。ミシマ社のみなさま、どうぞよろしくー!

【追記】このプロジェクトのなかで改めて話を聞いてみたい人はこんな感じ。近々ゆっくりお話させてもらえたら嬉しいデス。

鈴木ナオ(greenz編集長) / 竹内昌義(みかんぐみ)/ 青木耕平(クラシコム)/ 伊藤 菜衣子 (Saiko Ito) / 群言堂のみんな / 江副直樹(Bunbo)& COOPチーム / シューマッハカレッジ&ダーティンホールトラストのみんな /

京都は貴族の味、名古屋は武士の味、東京は商人の味。

出版ツアーで全国行脚をしまくった結果、だんだん日本列島における「味覚の地域性」を言語化できるようになってきました。
東北、北陸、甲信越、首都圏、東海、関西、中国山陰、九州、沖縄とそれぞれ「味の美意識」に多様性があり、僕の専門の発酵文化から見るとそれがよくわかる。

で。ちょっとわかりやすいモデル分けをしてみるとだな。
京都・名古屋・東京の三都は明確に味覚の基準値が違う。その違いは「誰がつくった味覚なのか」で説明できそうです。

京都は「貴族」が、名古屋は「武士」が、東京は「商人」が味覚の基準をつくった。
貴族の味は澄んでいて、武士の味は濃厚で、商人の味は軽くて粋。暮らしの違いが味に反映されるわけです。

さいきん通っている名古屋をはじめとする東海圏(愛知、岐阜、三重、静岡)は知られざる「濃厚旨味大国」。たまり醤油や八丁味噌、みりんなど旨味調味料のバリエーションがやたらいっぱいあり、ローカルの個性的な蔵が元気にものづくりをしています。
さらに日本酒も侮れない!(特に最近僕が気になるのは愛知県知多の澤田酒造)。関東でも関西でもない不思議な美意識と歴史が息づいているんですね。

なんなら東海エリアを「旨味の首都」と呼びたい…!
これからちょっと時間をかけて東海エリアを深掘りしたいと思います。

【追記】東海エリアと並んで気になっているのが沖縄本島をはじめとする南洋琉球エリア。泡盛や豆腐よう以外にも不思議な発酵食品がたくさんあります。こっちも深掘りしてえ…!

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発酵文化をモダンに楽しむ!山梨発酵ツアーに遊びにおいで〜

週末は、OZマガジン企画の女子旅ツアー。山梨の発酵スポットのアテンドをしてきました。どこも自分にとってはなじみの場所ですが、改めてツアーで回ってみると山梨ってほんとに郷土食と発酵文化が豊かだなあと再認識。

各地を巡り歩いてきましたが、山梨の郷土食は他のどこにも似ていないユニークなものがたくさん。とりわけ発酵文化はすごく洗練されていて、現代の若い人の口に合うものがたくさんあります。昨日のコースを体験したらほとんどの人は山梨のモダンな郷土食にハマってしまうこと間違い無し!美味しいもの&発酵好きは山梨に引っ越してくるといいよ!

山梨のおいしい発酵ツアーの様子

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完熟の甲州ぶどう。ラブリーな紫色…!

今回のツアーで回ったのは『発酵文化人類学』でも取り上げた、山梨の発酵文化の魅力がよくわかるワイン・お味噌・甲州スタイルのお寿司の3つ。

お昼は本にも登場するマルサン葡萄酒でワインテイスティングしながらぶどう畑の下でピクニック。
午後はこれまたおなじみの五味醤油のワークショップスペースで麦麹の仕込み体験。
夜は甲府中心地にある福寿しで僕の大好きなワインとお寿司のペアリングを堪能しました。

▶マルサン葡萄酒でワインピクニック
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ぶどう畑からツアースタート。左がOZプロデューサーの沢田さん。今回色々お世話になりました。

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マルサン葡萄酒の若尾くん。スカミュージシャン兼ワイン醸造家。ブドウ栽培のエキスパートでもあるナイスガイ。

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ちょうど仕込み中のシーズンなので蔵のなかも見学。発酵中のワインに大興奮の図。

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ワインを発酵させる前段階。ブドウ汁と果皮を一緒につけこんで赤ワインになる色素やタンニンを抽出していきます。

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なんとも言えない不思議なニオイが醸し出されていきます。

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ブドウの樹の下でワインテイスティング。

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新橋の立ち飲み屋もビックリの盛り上がりっぷり。

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ランチは山梨の食材でつくった和風お弁当と、もぎたてのブドウ。かぼちゃやおにぎりと赤ワインがよく合うんだよ。

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ランチをつくってくれたのは勝沼のブドウ畑のなかにあるサンキング・カフェ。ここのご飯めっちゃ美味しんです。オーナーのタクさんは元ハリウッドランチマーケットでいちいちナイスセンス。

▶五味醤油で麹ワークショップ

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場所を勝沼から甲府に移して、おなじみ五味醤油へ。

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ワークショップスペースKANENTEで醤油麹をつくりました。あわせて和食の発酵文化や麹について発酵弟(僕)と発酵妹(五味洋子ちゃん)でレクチャー。

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ちなみにOZ tripでもこのKANENTEとワークショップについて取材してもらいました。

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味噌蔵見学。ほとんど全員醸造蔵の見学は初体験。

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できたての米麹。ほんのり甘い香りがします。

▶福寿しでお寿司とワインのペアリング

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『発酵文化人類学』でも書いたように、僕が山梨に来てビックリしたのは「お寿司と地元のワインのペアリング」というカルチャー。山梨以外ではまず味わえない、ユニークすぎる楽しみかたなんですね。

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山梨のお寿司屋さんはオードブルが充実していて、なかなかお寿司本体にたどり着かないところが多い。笑
写真は小淵沢のオーガニック野菜たち。ケールの葉っぱがおいしかったぜ。

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この福寿しでは、お寿司は手渡しで食べるスタイル。直接渡すとお米がふんわり潰れず美味しいかららしいのですが、ナイスキャラすぎる大将とアイコンタクトできるのが単純に楽しい…!

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常にハイテンションでフォトジェニックな大将。カウンターで食べれば各メニューの説明をお笑い芸人のような話芸で説明してくれます。

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あまりにも楽しい&美味しすぎて大盛り上がりのツアーでした。
みんなどうもありがとう〜!

山梨の郷土食は、とってもモダンでハイセンス。
ハイセンスなガールズ&ボーイズたち、遊びにおいで〜!

2017年の読みもの系エントリーまとめ

こんにちは、ヒラクです。
気づけば10月後半。秋も深まり、2017年末が見えてきている…!
考えてみれば、今年の僕の仕事は『発酵文化人類学』を書いて、出版ツアーで全国まわるということしかしてません(驚)。デザイナーっていくつもプロジェクトが並行するのが当たり前なので、「一年に一つしかやらない」という働きかたは新鮮…!

ということで。このブログの更新もほとんどが本の出版に関わるものでした。
ただ、その合間に書いた平常運転の読みものエントリーがかつてないほど読まれていたようなので、改めてまとめておきます。

2017年春以降の読みもの系エントリーまとめ

・彼女たちは、号泣しながら谷を登ってくる。『東京タラレバ娘』テレビドラマの安すぎるエールについて
タラレバ娘テレビドラマ版のレビュー。脚本や演出には納得いかないこともありましたが。吉高由里子さんがキュートでした。なお、この話はアマノ食堂の連載にもスピンオフしました。

【外部リンク】地底から這い上がったタラレバ娘が最初にありつくカルボナーラ | アマノ食堂

・お気楽に生きるという処世術。
仲良しのクラシコム青木耕平さんと対談した時に考えたこと。凡人の処世術はいかに競争しないかということなのです。ちなみに対談記事は下記リンクからどうぞ。

【外部リンク】ビジネスの動機は「愛」。 偏愛を貫いてオンリーワンになる | クラシコムジャーナル

・同時代を生きる。文化はコレクティブに織り合わされる。
5月に愛知で開催された森道市場に参加してきた時のメモ。活動している領域は違っても不思議に「同時代を生きている」と感じる仲間がいるのは本当に幸せなことです。

・一生懸命に生きる誰もが「ちょっとヘン」。『逃げ恥』の爽やかな感動の理由を考えてみた。
逃げ恥の漫画最終巻を読んで深く感動したので思わずメモ。個々人の「ちょっとヘン」の総和が「ふつう」なのだが、僕たちはつい「ふつう」というものが実在すると思ってしまいます。

・「先生」禁止!
本を出したり発酵の講座をやっていたりすると「先生」と呼ばれることが多くなってくるのですが、どうしても僕はその違和感に耐えきれません(>_<)

・フィンテックは新世代のセーフティネットなのか? polcaやVALUについて考えてみた
今年大ブレイクした新世代フィンテック(IT技術を使った金融サービス)について僕なりに考えてみました。これは新世代のお金儲けなのか、それともセーフティネットなのか?

・夏の読書感想文。21世紀の民俗学、数学する身体。私小説の未来について
夏に読んだ本の感想。地味なエントリーかと思いきやものすごく読まれました。僕も改めて読み直してみて「コイツ良いこと言ってんなあ」と感心してしまいました(←手前みそ)。

・二極化する20歳の世界観。早稲田大学で三年間講演をしてわかったこと。
母校早稲田で三年間、夏に講演をしています。そこで驚愕した「20歳の若者たちの不思議な保守化」についての考察。

・暮らしかたという病。シアーズカタログに見る、暮らしをカタログ化する欲望
ヒカリエで開催された『これからの暮らしかた展 Off Grid-Life』に山梨代表で参加した時に感じたこと。オルタナティブの価値観を広めるために、またカタログを再生産するという矛盾。
たくさんのコメントをもらってSNSでも議論が盛り上がりました。

・性善説と性悪説、社会を動かすのはどっちだ?「信じ合う社会」へのいばらの道。
成熟した社会とはいったい何なのか?ヨーロッパ市民社会と新興ITテクノロジーから「性善説の世界」の可能性について考えてみました。もとはTwitterの連続ツイートで、こちらもたくさんの人からコメントをもらいました。

・食に関わるということは、世界に関わるということ。
関西のカルチャー誌『IN/SECTS』に寄稿した文章をブログで再掲。かつてアーティストを目指すはずだった感性の若者たちが、現代に目指すのは食の世界では?というおはなし。

・新しいデザインの美意識の話をしよう。リビセンの本を読んで考えたこと
いつもその活動に共感している諏訪のリビルディングセンターについて。新しいデザインの美意識は「構築」的ではなく。「工作」的。

・話聞いてもらえるおじさん。
「無条件に他人に話を聞いてもらえるようになった結果、過去に売れた自著に書いてある鉄板エピソードを人前でひたすらリピートするだけ」の恐怖のおじさんについて。

 

リスト後半「二極化する20歳の世界観」以降から、とつじょ普段の二倍くらいのペースで記事が読まれるようになりました(理由は謎)。
そして今年後半くらいからTwitterと連動するエントリーが増えたので、コメントや感想も増えました。僕のブログの読者の皆さまは知的&良心的な人ばかりなので、いつも素敵なコメント読んで楽しんでます。ありがとう。

名編集長はおばちゃん化する仮説。

美術手帖編集長と銀座で対談してきました。

こないだ発売された「新しい食特集号」の出版記念イベントでお呼ばれして、編集長の岩渕さんとなぜ美術のメディアが食に注目するのかをあれこれ掘り下げました。

日本各地で開催されている芸術祭に郷土食が欠かせないこと、コミュニケーションをテーマにした現代美術のトレンドに食がマッチしていることなどなど、アートと食のシンクロっぷりがよくわかりました。

名編集長は、おばちゃんである。

でね。
岩渕編集長とははじめましてでした。アート雑誌の編集長と聞くと、ウッディ・アレンの映画に出てきそうなひねくれインテリメガネの優男みたいな人が出てきそうですが、予想に反して岩渕さんは素朴かつ実直な佇まいのおにいさん。話も気取ったところがなくとっても聞き上手でした。めっちゃ気さくでオープンハート!

イベント終了後、美術手帖編集部とご飯食べにいってワイワイ話しているなかで、予想外の岩渕さんの気さくっぷりについて言及したらば、

岩渕「ヒラクさん。いい編集長を目指そうとすると、おばちゃんになるんです。」

えっ、いい編集長は、おばちゃん…ですか?

岩渕「だって初対面の人と仲良くなって色々話を聞かせてもらうわけでしょ。だからアタマ良いふりしちゃダメだし、誰でも気さくに気持ちよくコミュニケーションできなきゃダメ。それってつまり、おばちゃんでしょ」

確かに…!地方で会う徳の高いおばちゃんの特長だ!それ。

最近出会った編集長を思い返してみれば…
ソトコトの指出編集長…おばちゃん!
OZマガジンの古川編集長…おばちゃん!
のんびりの藤本編集長…おばちゃん!
美術手帖の岩渕編集長…おばちゃん!

みんなめちゃ腰低い!気さく!謙虚!でも信念ある-!
徳高いおばちゃんの条件兼ね備えてる~!!!!

考えてみれば『暮しの手帖』伝説の初代編集長の花森安治さんなんて見た目からしておばちゃん的。そうか、名編集長はおばちゃんなのか。

皆さま、この驚くべき事実をご存知でしたか?
(僕は昨日まで知りませんでした)

【追記1】「徳高いおばちゃん」は「話聞いてもらえるおじさん」の対極をいくスタンスだと言えますね。

・話聞いてもらえるおじさん

【追記2】女子編集長もやはり徳高いおばちゃんに帰着するのでしょうか?まさか「話聞いてもらえるおじさん」になる傾向があったりして。

【追記3】編集長各位、失礼いたしました。お話できて嬉しかったデス。

パック酒は美味い!純米大吟醸だけが日本酒の快楽じゃない。

こんにちは、ヒラクです。
このブログの場を借りまして、日本酒好きの皆さまに言いたいことがあります。

パック酒(普通酒)を侮るなかれ!パック酒は美味い!!
こだわりの純米大吟醸ばっかり飲んでも、日本酒の真髄はわからない〜!!!

ということを最近身をもって知ったので改めてノートしておきたいと思います。

灘酒という高倉健的カッコ良さ

こないだイベントで兵庫に行ったときに地元の灘の酒を飲みまくりました。
近年のモダンな日本酒ブームのなかであんまりイメージ良くない灘の酒ですが、僕は好きです。菊正宗とか剣菱の昔気質の純米とか本醸造をビシっと燗つけて飲む快楽はハンパない。
なんなら普通種のパック酒でもいい。繰り返しますが灘酒最高

日本酒飲みなれてきた頃は「灘酒なんて飲まねえ〜!」と生意気言ってましたが、日本酒への愛が深まるとともに灘酒の老舗の酒の素晴らしさに目覚めていきました。喉にスッと落ちていかないクセのある辛味、ジョン・ボーナムのドラミングの如く絶妙にモタっとしている香り、これは灘が開発した最高の快楽。

灘酒の良さは例えてみるならサウナ。
なんでおじさん達が苦しげに熱風に蒸され、水風呂でカチコチになっているのか。

「そんなに風呂上がりのビールが美味いのか」

と、若者には理解できません。しかしサウナをバッチリキメるとビールよりも強烈な快楽があるわけなんですね。おじさんだけが知る快楽の秘密のドア、それが灘酒

灘酒がシブいのは「アルコールの辛味を隠そうとしない」点にあります。酵母がつくるアルコールはほんとは無味ですが、辛さを感じる味覚センサーを誤作動させます。最近のトレンドの酒は甘味によってこのアルコール特有の辛味を隠そうとする。でも灘酒は誤作動による「痛辛い幻覚」をむしろ強調します。

「酒を飲む」という行為は、突き詰めれば認知感覚のバグを楽しむ文化なわけです。
要は「ほんとはいらないもの」なわけで、灘酒はこのあたりの「いらんことするから楽しいんじゃい!」というスタンスは激カッコよく、同時にソフィティスケートされた味覚に慣れた世代にはとっつきにくい。つまり高倉健

普通酒の快楽

日本酒に興味ある若い人に言いたいのが「パック酒(普通酒)は美味い」ということ。

※普通酒って何?という方は↓のコラムを参照。
・日本酒に貴賎なし!磯の食堂でおじさんたちがウニ味噌と熱燗を囲む幸せを語ろうか。| アマノ食堂

先入観を取っ払って灘とか伏見の大手酒蔵がつくる普通酒パック酒をレンチンして燗酒で飲むと問答無用に美味いです。顆粒だしをバッチリ入れた昔気質の街場のラーメンが美味いのと同じように。

これは戦後のおじさん達を虜にした「快楽の究極系」なんすよ。
パック酒をレンチンする快楽は奥深い。超ピュアな純米大吟醸が現代アートだとすると、レンチンパック酒は初期スピルバーグのアクション映画みたいな楽しさがあります。
ヌーベルバーク好きなシネフィルがサム・ライミを偏愛するように日本酒ラバーはレンチンパック酒を愛でるのです。だって美味しいんだもん。

 

【追記1】灘と伏見の酒以外で美味しかった普通酒/本醸造は、宮城の浦霞、新潟の吉乃川、石川の菊姫のにごりと宗玄、長野の七笑、高知の酔鯨などなど(もちろん他にも日本津々浦々いっぱい美味い普通酒がある)。

【追記2】農大で学んだ僕の師匠、穂坂教授は古今東西の酵母と酒を知り尽くし、日本酒の品評会の審査員をやる立場にも関わらず一緒に飲みいくと普通酒をニコニコしながら飲んで「酒に貴賤なし!」と言い切る哲人でした。深ぇ…!

【追記3】ボディがしっかりしている普通酒はいったん60℃くらいまで温度上げてそこから40℃前後ぬる燗まで温度落ちた時が格別に美味しかったりします。
最初からぬる燗よりも、一度ガン!と上がった後にじわじわ冷えていくのが味がまろやかになります。通は一度熱した徳利を氷で急速冷却して再度燗にしたりするんだよね。

【追記4】夏に飲む燗酒は美味しい。冬だと「あったまる〜!」というほっこり感が先に来るけど、夏だとちゃんと味がわかります。夕涼みしながらうっすら汗かきながら夏燗酒も乙なものですよ。乙!

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©山田芳裕 へうげもの

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【新規案件停止のお知らせ2017】僕は山に籠もって菌になります。

ヒラクです。こんにちは。秋がやってきましたね。

秋といえば、仕込みの季節。
夏に元気すぎて暴走気味だった菌たちを冷蔵庫から取り出して、発酵食品の仕込みや菌の培養を再開できるナイスな季節です。

すると当然、人間界から離脱して微生物界に没入することになるわけですよ、奥さん。

「これってもしや、いつものもう仕事しないぜ宣言…!?」

ご明察。今年の夏は人生で最高峰に人間界で頑張ったので、そろそろ限界です。

・【発酵文化人類学】全国縦断55ヶ所、2000人に本を届けた出版ツアーの成果発表!

2017年秋、僕は山に籠もって菌になります…!

来年春までやることいっぱい!

出版ツアー終わって一息ついたのもつかの間、カレンダー見たら来年春までスケジュールが埋まっているではないか!イベント登壇とか、講座とか、研究会や学会の参加とかフィールドワークとか、気づけばいっぱい予定が入っている〜!

人前出たりどこかに行く用事のほかに、お家に籠もって研究したり仕込みしたり、デザインしたり物書きしたりする時間もいっぱい必要。あと語学や生物学の勉強もしたい!
つまりもう追加で仕事する余地ない!

さらに。来年春までに完成させなければいけない超大型案件が2件くらい入っている(そのうち一つは魔のアニメ制作)。
しかも。今月から家の敷地にセルフビルドで発酵ラボも建て始める予定。

もうムリ〜!もう限界〜!
というわけで…

山梨の山の上に篭もることにします

以下、いつものテンプレですが、新規案件停止のお知らせ。

2017年秋〜2018年冬にかけて、発酵デザイナー小倉ヒラクは山に篭もって研究を深めることにしました。したがって、仕事を大幅に制限することにします。

新規のイベントと原稿の依頼は受けません。

トークイベントの登壇も司会業もファシリテーションも講演もやりません。WEBや雑誌の新規連載や著作の出版も現状話が進んでいるもの以外やりません。これからやる仕事は、研究(=発酵)と設計(=デザイン)のみです(←発酵デザイナーだから)。

もうすでに約束したお仕事以外は、大変ワガママを言って恐縮なのですが、2018年5月以降までお待ちいただければ幸いです。

「どうしても、どうしてもヒラク君にお願いしたいことがある!」という人は、以下の3つの抜け穴のうちどれかを通ってご依頼ください。

・仁義に訴える  ex: 義兄弟のよしみでここは一つ…的なのれんに腕押し作戦
斜め上に面白い企画  ex: ダライ・ラマ14世と発酵について語る企画
・微生物の世界に参入 ex: こうじづくり講座で麹菌を培養する

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取材や打ち合わせ等で家を出ることもなるべくしたくないので、どうぞ我が家まで来てください。おいしいお茶を用意して待ってます。

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運が良ければステキな雲海も見られますよ。

「ヒラク君、なぜせっかく引き合いの多いこのタイミングでそんなワガママを言うのだい?」
「ここで世間に出ずに、いったいいつ出るんだね?」

なるほど。そういう考えもできなくはない。しかし。僕はこの2〜3年を自分のピークとするつもりはない。
なぜなら僕は世界一の発酵デザイナーになるという山を一生かけて登ることに決めたから。バックミンスター・フラーと高峰譲吉をハイブリッドにした唯一無二の存在になるためには、ノイズを消して研究を深めまくる必要がある。

やがて発酵デザインという概念が世界に浸透し、各国の俊英たちが活躍し始めてもなお「やっぱオリジネーターはヤバい」と認めてもらうために、2017年は山にこもって菌たちと生きることにします。

というか、僕はもう菌になります(何度も言ってるけど、今回こそは本気だぜ)。
それではみなさま、ごきげんよう。

yameruyoB

 

【追記1】すでに約束した、あるいは継続している仕事については頑張ります。お声がけしてくれた皆さま、ありがとうございます。

【追記2】「出版ツアーに集中したいんで仕事しないよ!」モードが終わったら今度は「研究したいんで仕事しないよ!」モードなので僕はいったいいつ仕事しているんでしょうか?

【追記3】「そんなこといってどうせ依頼きたら受けちゃうんでしょ?」と鼻で笑われないように、問い合わせフォームの導線を削除しました。奥さん、ぼかぁ本気です…!
(心のキレイな人のみが問い合わせフォームに辿り着くことができます)

【追記4】なんて生意気なヤツだ!と怒られそうですけど、違うんです。僕、ほとんど病気レベルで仕事サボりたい欲が溢れまくってるんです(たぶん前世で過労死したんじゃないかな)。詳しくは↓の関連記事をどうぞ。

話聞いてもらえるおじさん。

あなたは「話聞いてもらえるおじさん」をご存知だろうか?
言うまでもなく、あなたは「話聞いてもらえるおじさん」のことは知らないだろう。なぜなら僕の造語だからね!

最近イベントで話したりSNSでつぶやくたびに静かに世間をザワつかせている「話聞いてもらえるおじさん」現象についてちゃんとまとめておかねばなるまい。

話聞いてもらえるおじさんとの邂逅

初出はこちら。

「いいい、いるいる〜!村のはずれの橋のたもとで見たことある〜!」

とハードコアパンクのヘッドバンキングのように頷く人も多いことでしょう。イベント会場や打ち合わせ、飲み屋の席で「だからさ、いつもみんなに言ってることなんだけどね…」と後輩やファンに格言調のエピソードを披露しているおじさんは、確かにこの世に存在しています…!

僕が「話聞いてもらえるおじさん」の存在に気がついたのは、とあるトークイベントの場でのこと。そのおじさんの話は巧みで、破綻がなく、気付きも学びも確固たるスタンスもある。

しかし、グッとこない。心、揺さぶられない。

「あれ、いい話聞いてるはずなのに、なんだろうこの違和感は…?」

と強烈な感じたわけです。これは一体いかなる現象なのか?と落ち着いて考えてみるに、言葉の使い古し感が僕に違和感を抱かせた原因ではないかと。
トークイベントが盛り上がる時って「話している本人もかつて口にしたことのなかったような新鮮な言葉や着想」が生まれる瞬間。つまり「ライブ」であり「フレッシュ」な瞬間に「これぞ「トークの醍醐味!」と感動がある。

・トークイベントはエンターテイメントだ!大御所バンドのツアーに学ぶ、お勉強イベントをエンタメに変える方法論

「内容」だけではなく「今そこに何か新しいことが生まれている気配」が人の心を動かす、はずなんだけど、人はキャリアのある時点においてこの「新たなものを生み出すスリル」を手放すことがあるのかもしれません。

話を聞いてもらえるおじさんの誕生

ちょうど同じようなタイミングで、今度はとある高名な評論家おじさんのワークショップを書籍化した本を読んでいたら、やはり同じように感じることがあったわけです。

「悪いこと言ってないんだけど、なんか押し付けがましい…。バブル期に栄えたリゾート地にあるログハウス風の喫茶店で飲む800円の水出しコーヒーみたいなフレーバーがする…!」

ここでもやはり「過去に自分のアイデンティティを確立させたエピソードを切り貼りしてる感」がスゴい。しかも本人もうっすら自覚しているのかワークショップに参加しているお客さんに「君たちの世代はこういうこと勉強しないと思うんだけど、ダメだよそれじゃ。頑張んなさいよ」と説教モードになることで己へのツッコミをブロックしていたりする。

しかるべきキャリアを積み、属する業界でそれなりの地位をゲットし、後輩に教え育てる立場になると「過去」への接し方が変わる。おじさんがキャリアを形成する過程において「過去」は「挑戦し乗り越えるもの」だったはずが、ある程度キャリアが形成されると「自分に利益をもたらすもの」になる。

すると過去の自分の武器であった「挑戦するメリット」が「失敗を犯すデメリット」に転化し、今の自分の武器である「型をなぞるメリット」とぶつかり合うことになる。このシーソーが「過去を守る」ほうに傾くと、悪い意味で己の「古典芸能化」が始まる(スゴい古典芸能は常に挑戦しているのだが)。

するとどんなに良いことを言っても、言葉のはじっこが腐っていく。
自分が「腐っていく」ことを自覚するのはツラいので、おじさんは「腐敗検知センサー」の電源を抜いて、物置にそっとしまう。そして前述の「過去の鉄板エピソード」の無限リピートに耐えられるようになる。

「話聞いてもらえるおじさん」は惰性の産物ではなく、努力の結果だ。そして費用対効果の良さでいえば非常に合理的なキャリアのピークでもある(既存のものの再生産なので効率がいい)。

しかもそこにはそれなりの「需要と供給」が存在する。「自分の青春を彩った本のエピソードを肉声で聞きたい」と願うカルチャーおばさん/おじさんが一定数存在し、トーク会場の前のほうで熱心にメモを取るのだが、しかしその内容はすでに過去の本に書いてある…!

このように「話聞いてもらえるおじさん」にはある種のサステナビリティがある。「ある種」というか、完成度かなり高い…!「前線で頑張ってる感」を失うかわりに得るものがいっぱいあるので「話聞いてもらえるおじさん」は拡大再生産されるのだね。

鶴見俊輔に見る「話聞かせてもらえないおじさん」という境地

最後に「話聞いてもらえるおじさん」としてのキャリア形成の対極の例として、哲学者の大御所、鶴見俊輔さんの例を挙げよう。

編集者の後藤繁雄さんの著書に『独特老人』というインタビュー本がある。吉本隆明さんや淀川長治さんなどの「各界の重鎮」に著者が話を聞きに行く、という体裁なのだが鶴見俊輔さんだけはインタビューではなく「対談形式」になっている。ていうか実際読んでみると「逆インタビュー」だ。鶴見俊輔さんが後藤繁雄さんに「自分の話はいいんだ、俺は若いあんたの事にに興味がある」と質問しまくるんだね。

これはスゴいことだ。鶴見俊輔さんは本の刊行当時80歳くらいのはずだけど、いまだ自分を「教える側ではなく、学ぶ側」だと信じている。つまり「これから変わる存在」だと信じている。か、カッコいい…!

キャリアを積み重ねていくある時点で「話聞いてもらえるおじさん」へのルートの分岐点に差し掛かる。自身を「チャレンジャー」と見なす道と、「成功者」と見なす道の分岐点だ。

 

【追記1】ちなみに僕は「話聞いてもらえるおじさん」になりたくないんですけど、これを目指すべきキャリアの終着点とする人ももちろんいるはずなので、選択は人それぞれ。

【追記2】男子だけザワつかせるのはフェアではないので、そのうちトーク会場の前のほうでメモを取る「元・才女おばさん」の問題についても取り上げる(予定)。

【追記3】下記の関連ブログもどぞ。

・東大生がバイトするなら、家庭教師よりもスタバのほうがいい理由。

・「話聞いてもらえるおじさん」になってはいけない。

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新しいデザインの美意識の話をしよう。リビセンの本を読んで考えたこと

諏訪のリビセンから本が届いた。
東野唯史・華南子夫妻はじめリビセンチームが手づくりでつくった”ReBuild New Culture”がとっても良い本だったので考えたことをまとめておくぜ。

課題先行ではなく、文化先行

「Rebuild New Culture(新しい文化をつくりなおす)」というタイトルがまず彼ららしいし、僕たちの世代の価値観を端的に現しているいいキャッチコピーだよね。
本来、”Re”と”New”って矛盾してるわけじゃん。だから「新しい文化をつくる」か「あるべき文化をつくりなおす」のどちらかが正しい、のだけどリビセンの活動を見ているとまさに「新しいもの」を「つくりなおす」ことで生み出そうとしている感じがある。

「ピカピカの新品がいい」「全てプロのメーカーが用意した高品質なレディメイドがいい」という価値観自体が新しい世代(特にローカルに住むヤツら)にとって「古くて色あせて見えるもの」だ。「もうすでにあるもの」に「自分たちの手で新たな価値を加えていくこと」にワクワクする。そんな価値観を「新しい」と思う。だから「新しい文化をつくりなおす」だし、なんなら「つくりなおすことで生まれる新しい文化」と解釈してもいい。

リビセン(REBUILDING CENTER JAPAN)を知らない人に軽く説明しておくと、解体される建物から回収した建材を売るリサイクルショップで、そこにデザインコンサルや施工サービスが付随している。自分でDIYできるお客さんは建材だけ買って自分でアレンジすればいいし、工務店のように施工サービスを頼むことができる。だけどサービスを頼むとしても完全お任せではなく、施主自身もDIYすることが前提になる。

つまり古材リサイクル+DIYのナイスなホームセンターだ。オーナー夫妻がデザイナーだからそこに素敵なデザインもある。

設立経緯を読んでみると、リビセンがつくられる背景には地方における空き家問題と技術継承という「社会課題」があるわけなのだけど、課題を解決するためにつくった事業なのかというと僕はそうではないと思う。

課題先行ではなく、文化先行。
「こういう美意識の、こういう文化をつくりたい。なんならそれをたくさんの人とシェアしたい」というクリエイティビティや好奇心がまずあって、そこに課題解決がくっついている。

エゴイスティックなデザインからの離脱

僕がこの本を読んで、東野夫妻の言葉から考えたのは「新しいデザインの美意識」のこと。特に後半のR不動産の馬場さんの対談に示唆的な言葉がいっぱいある。ちょっと引用してみると

馬場「リビセンの空間って何かを寄せ付けない感じではなくて、いい感じの隙みたいなものがあるんだけど、きっとプロじゃない人達が関わっていることによる色々な隙が、知らず知らずのうちに安心感や心地のよさみたいなものをつくっているんだろうね」

東野「デザイナーが入りすぎると面白くなくなるってことをある時から思うようになってきたんです」

華南子「これでいいんだ、これなら自分にもつくれるかもって思える隙があるのはリビセンとしていいなって思ってるんです。私は文学部卒で建築も全く勉強したことなかったし、ものが何からつくられてるって考えたこともなかったんです。極端なことを言えば、肉じゃがは肉じゃがだし、机は机、それ以上わからない。(中略)でも私が、東野さんと一緒になったら、どうやら世の中はもっと因数分解して見ることができるぞって気がついた。(中略)もし東野さんが神経質で『華南子それじゃダメだ。俺がやる!』みたいな感じだったら『つくるのマジつまなんない』みたいな感じになってたと思うけど、そうじゃなかったから楽しめた」

「わかる、めっちゃわかる〜!」と思う人、多いんじゃないでしょうか。
このやりとりって「デザインに対する意識の変容」なんですね。この本のボキャブラリーで言えば、「構築的」なものより「工作的」なもの。「作品のデザイン」ではなく「状況のデザイン」。デザイナーのエゴからデザインがふわっと離れていって、社会を改善するツールになる。

この「状況をつくりだす、ツールとしてのデザイン」という美意識に、古材リサイクル+DIYというリビセンの方法論がバッチリはまっている。課題が美意識を生み出したのか、美意識が課題を解決しているのか、「卵が先か鶏が先か?」的な状況だが、とにかく時代の追い風がめっちゃ吹いている。

(いちおう)僕もデザイナーなので、なぜこのような意識の変容が起こったのか考えてみるとだな。まず「デザインというものがあるていどまで浸透した」という時代背景があるだろう。30年前よりも圧倒的にデザインが身近なものになり、デザイナーという仕事も市民権を得て、デザインされた雑貨やインテリア用品のセレクトショップも増えた。ちょっとしたイベントのチラシも地方の物産品にもこなれたデザインが施されている。

つまり20代〜30代のデザインリテラシーは30年前よりも相対的に高まっている(たぶん)。すると「作品としてのデザイン」をそれほど必要としなくなってくる。つまりデザインを「崇めて鑑賞するフェーズ」から「自分なりの使いこなすフェーズ」に移行する。

もし「鑑賞する」なら教科書的に完成度の高いデザインがいいのだが、「使いこなす」なら余白が多いほうがいい。なんなら完成品よりも半完成品のほうが応用が利く。手に馴染むもの、ふだんの生活感覚にあったものがいい。理想に近づけるデザインよりも、現状をより良くするデザインがいい。そのためのツールとアイデアとネットワークが欲しい。

リビセンの言う「新しい文化」とはツールとアイデアとネットワークからなる「コミュニティ」のことなのであるよ。

東野夫妻、素敵な本ありがとう。近々遊びに行きまーす。

【追記】ワタシもこの本読みたい!という方はこちらからどうぞ。

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カルピスに受け継がれる、遊牧民族の発酵健康ドリンクの系譜

いつの間にか3年目を迎えた食のWEBマガジン『アマノ食堂』の連載。
今年6月に掲載されるはずが、僕の出版ツアーのドタバタやらメディア運営元の社内事情やらが重なってお蔵入りになった記事を僕のブログで蘇らせることにしました。

出版ツアーが落ち着いたので連載も再開しています。最新回は以下(外部リンク)。

【第26回】ミャンマー・シャン族のローカル納豆に見るアジア的発酵薬膳のルーツ
【第27回】胃弱ボーイズ&ガールズに朗報!「フランスの外食重たすぎ問題」攻略法

アマノ食堂さん、これからも引き続きよろしくどうぞ。

カルピスに受け継がれる、遊牧民族の発酵健康ドリンクの系譜

味噌汁飲んでますか?発酵デザイナーの小倉ヒラクです。
僕の住む山梨では、梅雨が来る前に真夏が到来してしまいました。皆さま夏風邪など引いていませんか?

さて。今回のテーマは編集部からお題をもらいまして「カルピス」です。
誰しも子どもの頃に一度は飲んだことがあるであろう、あの水玉のパッケージの甘酸っぱい飲み物。

ちなみにカルピスをつくっているカルピス株式会社はこのWEBマガジンを運営母体の関連会社(アサヒグループ)。つまり、

「ヒラクさん、カルピスのPRプリーズ!」

というお願いなのですが、僕はこの連載では特定の商品をアピールすることは原則しないことにしています。なんだけど。このカルピスの文化ってのは大変に奥深くかつ面白いので、

「好き勝手にカルピスのこと書いてOKならやりますよ!」

という了承のもと。カルピスの秘密を紐解いてみることにしました。
さあそれでは行ってみよう!

乳酸菌マニアのメチニコフと日本の乳酸菌ブーム

いきなり壮大な話になって申し訳ないのだが。カルピスを語るためには、日本における近代の黎明期から語らねばならない。

パスツールやコッホと並ぶ、微生物界における巨人の一人にメチニコフという超奇人の学者がいます。彼は免疫システムの存在に気づいた先駆的な生物学者なのですが、晩年はヨーグルトにめちゃくちゃハマっていました。

当時ブルガリアのローカル発酵食だったヨーグルトを「これを食べれば乳酸菌が腸内を腐敗させる菌が繁殖しないようにさせる。つまり不老長寿食である!」と大絶賛し、世界各地に「第一次乳酸菌ブーム」を巻き起こしました。

このブームの余波は日本にも及び、1912年には大隈重信の強力プッシュのもとメチニコフの論考を『不老長寿論』というタイトルで翻訳。「日本人の健康を乳酸菌で健康にするぞ!」と気合を入れたのか、1914年には大隈重信は首相に返り咲き、日本における乳酸菌ブームを推進していきます。

20世紀初頭のこのムーブメントに前後して誕生したのが、後の日本の健康食を支えることになる国産ヨーグルト、そして乳酸菌飲料の代表格であるカルピスなのでした。

みんな、知ってた?カルピスって歴史ある発酵食品なんですよー!!

カルピスのルーツ

カルピスのルーツを辿ってみると、創業者の三島海雲さんが内モンゴルでたまたま見かけた乳酸食品がヒントになっているそうな。

これは馬の乳などでつくられる、アイラグ等と呼ばれる乳酒の一種(酒といってもアルコールはほとんどない)を加工してつくられる酸っぱい乳製品。
カルピスに含まれる微生物及び発酵プロセスの詳細は公開されていないのですが、この乳製品の文化を詳しく見てみるとカルピスの謎がちょっとだけわかりそう。

アイラグを加工してつくる乳製品は、家畜の乳を乳酸菌と酵母菌で発酵させて健康機能を高めた乳飲料。ポイントは関与している菌が乳酸菌だけではないこと。ヨーグルトでは通常乳酸菌しか関わっていないのですが、ここでは10種以上の乳酸菌の他に、乳に含まれる糖分をエサにする複数の酵母菌も加わって複雑な発酵が行われます。

酵母菌が発酵すると、かぐわしい香りと味のコクが加わります。これが乳酸菌のつくる爽やかな酸味とあわさることで、ヨーグルトとは明確に違う風味をつくり出すのだな。

この乳製品には様々な健康機能があるとされていて、モンゴルや中央アジアの国々では肺炎などの呼吸器系の疾患や生活習慣病などに効き、発酵菌たちがつくる多量のビタミンCが含まれるため、野菜を豊富に取れない遊牧民の滋養強壮ドリンクとして重宝されてきました。

ただし欠点もあります。それは「保存がそんなに効かない」ということ。牛乳そのものよりは長持ちするのですが、しばらくすると味が劣化し、雑菌の混入(コンタミネーション)が起きてしまう。だからアイラグのようなものは遊牧文化特有のローカル発酵食品なのですね。

さて。ではカルピスはどうなのかしら?
乳の種類の違い(馬or牛)はあれど、乳酸菌と酵母菌を両方働かせるあたりモンゴルの乳製品と同じような機能を持っていそう。牛乳を最初に脱脂(油分を取り除くこと)するので、口当たりはマイルドというか生臭くない。

そして大きな違いは保存性。スタンダードカルピス(原液濃縮タイプ)の成分表示を見てみると、酸化防止量や保存料は入っていない。しかし室温で何ヶ月も持つ(開封しても冷蔵庫ならけっこう持つ)。この保存性の高さは、

・ 出荷時に加熱・密封して発酵菌の働きを止める(風味が変質しにくい)
・ 高い糖分によって腐敗を防ぐ(ジャムと同じ原理)
・ 乳酸菌の出す酸によって雑菌の混入を防ぐ(ヨーグルトと同じ原理)

などのオペレーションによって担保されている。カルピスは原液を割って飲むのが基本のスタイルなのだが、そこには保存料を使わずに腐敗を防ぐという工夫があったわけだ。よくできてるねえ。そもそもカルピスが発売されたのは今から100年前のこと。今のように発達した保存技術はなかったので、発酵の知恵によって防腐機能を持たせたんだね。

菌が生きてないと意味がない?

「えっ、そもそもカルピスって発酵食品なの?」

と驚いた人も多いと思いますが、このコラムを読んで

「えっ、乳酸菌生きてないんだ!」

と思った人も多いことでしょう。そうなのよ。ヨーグルトやヤクルトをはじめとする乳酸菌飲料と違って、カルピスのなかに生きている菌はいない。

「じゃあ発酵の意味なくない?」

と不安になるかもしれないが、そうではないのさ。
発酵菌がいなくなっても、発酵菌が作り出した有用物質が入っていることが大事なんだ。乳酸菌や酵母がつくり出す有機酸やアミノ酸、ビタミンやペプチドなどが入っているカルピスは、発酵食品ならではの健康機能を持っている(たぶん)。

過去の乳酸菌に関するコラムでも説明した通り、大事なのは「お腹のなかが元気になること」で、そのためには発酵菌が必ずしも生きて腸に届く必要はないんだね。

【第24回】乳酸菌は腸内の『怒りのデスロード』を疾駆するマックスだ! | アマノ食堂

僕もこのコラムを書くために久しぶりにカルピスを飲んでみたのだけど、思っていたよりずっと爽やかで美味しくてビックリ。スタンダードな濃縮タイプを炭酸水多めで割って飲んでみたら、こないだのジントニックのコラムのような「オトナのカルピスソーダ」になっていたので、休肝日はカルピスでキメたいとおもいます( -`д-´)キリッ

【第25回】ジントニックを飲めば、バーの哲学がわかる?奥深きシンプルカクテルの真髄 | アマノ食堂

いやはや、実に奥が深いカルピスの世界。小さい頃は「甘酸っぱくておいしー!」と無邪気に喜んでいたものですが、ここにも発酵のチカラが働いていたとは…
カルピスの皆さま、今度ヒラクに色々教えてくださいね。

それではごきげんよう。

【追記1】ちなみにメチニコフの「乳酸菌不老長寿説」ですが、20世紀半ばまで「菌が人体のなかで生きていけるわけないだろ」という理由で「トンデモ学説」扱いされていましたが、ここ最近の解析技術の超発達により乳酸菌が腸内細菌の生態系に良いフィードバックをもたらすことがわかり、あらためてメチニコフすげー!ということが証明されました
(余談ですが、酒もタバコもやらずヨーグルトを食べまくったメチニコフは、71歳という微妙な歳でこの世を去りました。言っとくけど、発酵は万能じゃないからね!)

【追記2】ちなみにアイラグをはじめモンゴルの乳製品に詳しく知りたい人は、石毛直道さん他著の『モンゴルの白いご馳走 大草原の贈りもの「酸乳」の秘密』(チクマ秀版社)をどうぞ。

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【発酵文化人類学】全国縦断55ヶ所、2000人に本を届けた出版ツアーの成果発表!

『発酵文化人類学』の全国出版イベントツアー、無事終了!

2017年4月から始まり、五ヶ月かけて北は北海道、南は沖縄まで日本縦断して全国各地のコミュニティに本を届けにいきました。予想していたよりはるかに盛り上がり、愛に溢れすぎていたツアーの成果発表をお届けしたいと思います。押忍!

出版ツアーの結果報告アウトライン!

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イベント回数:55回 クローズドのお話会&ワークショップ含む
回った都道府県:24都道府県
北海道/秋田/山形/宮城/長野/山梨/千葉/東京/新潟/愛知/大阪/京都/兵庫/滋賀/三重/広島/岡山/鳥取/島根/福岡/佐賀/鹿児島/熊本/沖縄
動員人数:ざっくり2000人※そのうち100名超え×5回
一緒に話した人:62名 醸造家24名、専門家15名、クリエイター23名
メディア掲載数:50以上
全部把握できていないので、もしかしたら60〜70くらいあるかも。掲載メディアの種類は、多い順から 新聞>雑誌>テレビ・ラジオ>WEB

▶インディーバンドのレコ発ツアーもびっくりなイベント三昧!
ツアー期間が5ヶ月=150日。そのうち20日は海外に出張にいっていたぶんを差し引いてカウントしてみると2.5日に1回全国を移動しながらイベントをやっていた計算になります。特にイベントが集中していた7月は1.5日に一回というインディーバンドのレコ初ツアーみたいな状態になっていました。よく身体が持ったぜ…!

▶五ヶ月のあいだ通常業務凍結!お金は大丈夫…?
ツアーをやりきるためにデザインの仕事やコラム執筆などの仕事を凍結し、期間中はほぼイベント出演と取材対応に集中しました。そのあいだ当然現金収入がないわけで、ツアーが終わるころには無一文になるのでは…と思っていたのですが、通帳の残高がなぜかほとんど減っていないという奇跡!これも各地でイベント企画してくれたホストの皆さまの気遣いと、毎回満員御礼で迎えてくれた参加者の皆さまのおかげ。ありがとう!

▶色んなメディアにいっぱい掲載されたよー!
ツアー期間中に『発酵文化人類学』及び発酵デザイナーの活動を取り上げてくれたメディアは軽く50以上。ふだんはWEBメディアが多いのですが、今回は圧倒的に新聞や週刊誌、文芸誌、テレビ・ラジオなどのいわゆるマス媒体が多かったようです。昔から本を愛読してきた高野秀行さんや小田嶋隆さんのような作家や、往来堂書店やTitle、恵文社のような本の目利きのプロにもオススメしてもらって励みになりました。わーい!

・最近の発酵デザイナー&発酵文化人類学のメディア掲載まとめ【2017 8〜9月】

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▶地元山梨でベストセラーに!
YBSラジオ/テレビや山梨日日新聞に大きく取り上げてもらったり、本にも登場する愉快な醸造家たちとイベントで盛り上がったり、ヒラクの地元山梨にいっぱい応援してもらっています。甲府の春光堂書店では100冊以上の売り上げを記録し、全書籍中ぶっちぎり年間1位のベストセラー確定だそうです。岡島のジュンク堂書店でもフェアを開催してもらっています。これはほんとに嬉しいぞ〜!

ツアーをやるにあたっての方法論

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ツアーを企画する時にいくつか考えたことをメモ。そもそもの出版プロジェクトの概要はこちらをご一読あれ。

・【発酵文化人類学】一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。

▶地方優先
開催されたイベントの大半が、首都圏外の地方。『発酵文化人類学』は地方に暮らすみんなのために書いたので「集客楽ちんな東京でしかやりません」というのはあり得ない。地方の、小さな町や離島のコミュニティに会いにいってこの本を届けねば…!というのが最初に強く願ったことでした。

▶採算度外視
なぜ一般的に地方で出版イベントが開かれないのか。理由は ①集客が難しい ②出張費がかかる、の2つ。そこで今回の出版ツアーでは「採算度外視」「お客さんの多寡は問わない」というスタンスを取ることに。上手くいけば旅の予算を稼げるし、そうじゃなくても気にしない。採算度外視、赤字覚悟ッ…!

▶個人でブッキング
ふつう出版イベントは出版社の担当スタッフが企画するのですが、採算度外視の責任を出版社に取らせるわけにはいかないので、ほぼぜんぶ自分で勝手にブッキングし、自分ひとりで本を売るという方法を取りました。よく本代のお釣りが切れて、イベント参加者の皆さまの親切に救われました。ありがとう…。

▶誰かと一緒に話す
数十回のイベントをやりきるにあたって大事なのは「自分が飽きない」こと。そのためには、誰かと対談スタイルにするのが一番!ということで、今回のイベントでは醸造家はもちろん様々なジャンルの人たちとトークをしました。発酵界において、これほど異種格闘技戦をしているヤツはいないのでは…?
(詳細は後半のリストを参照くだされい)

▶地域の価値の再発見
沖縄や北海道、愛知や滋賀などで開催したイベントのテーマは「地域の発酵文化の再発見」。その土地に伝承されてきた発酵文化を参加者や醸造家のみんなとじっくり掘り下げ、愛でまくりました。

ツアーのハイライトをピックアップ!

どのイベントもそれぞれとっても感慨深かった…!なかでもツアーのハイライトになったイベントをいくつかピックアップ!

▶4/15 山梨県甲州市 “発酵兄妹のCOZY TALK in 塩の山ワインフェス”
キックオフはもちろん山梨から!僕の地元甲州市で開催されたワインフェスで、発酵兄妹の三人で公開ラジオ収録&出版トーク。

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▶4/24 愛知県日進市
愛知の発酵チームと盛り上がりまくったイベント by りんねしゃ。三河みりんや澤田酒造、種麹メーカーのビオックの若旦那たちが集まって「愛知の発酵おもしれー!」と参加者みんな大興奮。

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hoto by Rehink Fukuoka Project

▶5/16 福岡県博多 “贈与と協同の人類学”
福岡のRethink Booksにて家入さんの対談イベント。フィンテックやIT技術による贈与経済やアナーキーな性善説などについて話しました。この時話されたことはpolcaによって現実になりました。家入さんすげー!

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photo by アイデアにんべん

▶5/23 沖縄県宜野湾 “沖縄の発酵文化人類学”
沖縄宜野湾のカフェユニゾンで開催された『沖縄の発酵文化人類学』。たぶんこの回が全ツアーを通しての参加者最高記録。泡盛の老舗、崎山酒造廠や沖縄きっての凄腕パン屋宗像堂、琉球大学の外山博士まで加わってこちらもとんでもないお祭り騒ぎに。アイデアにんべんの黒川さん、ユニゾンの三枝さんお世話になりました―!

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▶6/5 北海道札幌市 ”バックパッカー的発酵人生のススメ”
札幌ヒシガタ文庫では、地元の食や農業に関わるキーパーソンとともに和気あいあいと盛り上がりました。企画は大学時代からの親友、UNTAPPED HOSTELの神くん。トークが60人強で、二次会が50人以上だったので、こっちも合計100名以上。札幌コミュニティはアツかった…!

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▶6/10 秋田県秋田市 8/27 兵庫県神戸市  ”トージ・コージ!”
『発酵文化人類学』後半のハイライト、新政酒造杜氏の古関さんとは秋田市と神戸三宮で二回トーク。合計200名近くの人がディープな日本酒トークに駆けつけてくれました。二次会では若い蔵人たちが泣きながら仕事への情熱を語る会で、なんか青春だった…!

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photo by のんびり

ツアー中、イベントの中日は各地の醸造どころを訪ね歩きました。写真は秋田県横手市の羽場糀店の麹室。全量こうじ蓋で製麹するというとんでもない麹屋さんでした。そんじょそこらの酒蔵が叶わないほどのハイクオリティ。

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▶7/2〜3 鳥取県智頭 ”タルマーリーのひみつ”
このブログの読者にはおなじみタルマーリーでもトーク&ワークショップを開催。格さんが採取した野生の麹菌を使ってみんなで麹づくりにチャレンジ。トークも大盛況で最高すぎました。

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photo by スタンダードブックストア

▶7/19 大阪府心斎橋  ”のんびりおじさん、ジモトをヒラク!”
毎回とんでもない盛り上がりを見せた関西の出版イベント。スタンダードブックストア心斎橋でのジモコロ柿次郎さん&のんびり藤本さんとの鼎談イベントも100名超えの大フィーバー。関西人の話芸に負けてなるものか…!と東の意地を見せました(たぶん)。

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▶7/20 京都府京都市  ”論語と発酵で読み解くあわいの時代”
京都丸善本店では能楽師の安田登さんと対談。古代漢字を紐解きながら論語や能、さらに発酵の起源を読み解くという謎すぎるトークの行方は、やがてシンギュラリティや人類の未来にまで辿り着くという全イベントのなかでもっとも深淵な内容でした。

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hoto by ロフトワーク

▶7/21 東京都渋谷 ”謎発酵”
東京で屈指の盛り上がりを見せたのは、渋谷ロフトワークでの情報学者ドミニク・チェンさんとの対談イベント。空海の話から始まり、ホモ・ファーメンタム(発酵する人間)の起源や一神教文化の限界、糠床とウェルビーイングに至るまで次から次へと情報が溢れ出てくる刺激的すぎる時間でした。予約開始即日でソールドアウトでびっくり!この日も模様は今度wired上で全文書き起こしが公開されるのでお楽しみに!

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▶8/1 広島県広島市 ”日本酒から見える社会のミライ!?
広島では中国・山陰の日本酒の雄、竹鶴酒造の石川杜氏と日本酒真剣勝負。前から噂には聴いてはいたけれど、石川さんはとんでもない醸造家でした…!前列にはお洒落な若者、後列には醸造業界の重鎮たちが並ぶ地方ならではの客層でした。

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▶9/10 千葉県神崎町 “寺田本家の蔵出し祭り”
ツアー終盤のハイライトは、寺田本家の蔵出し&ライブ&出版イベント。発酵好きコミュニティとパラダイスすぎる夏の終わりの夕べをエンジョイしました。

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ツアー千秋楽は島根県石見銀山の群言堂。イベント終了後に出雲へヤマタノオロチのお参りへ(『発酵文化人類学』はヤマタノオロチの話で始まりヤマタノオロチの復活で終わるからね)。本をお供えして旅の無事を感謝しました(日差し強くて無礼にも帽子かぶりっぱなし…汗)。ベストセラー祈願!

ツアーでご一緒した皆さま

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hoto by BEEK

ご覧のとおり本当にたくさんの人に助けられてツアーをやり遂げることができました。
関わってくれた人リストは以下(敬称略)。

▶醸造家
五味仁&洋子(五味醤油)
萩原弘基(塩山洋酒)
土屋幸三(機山洋酒)
村井裕一郎(ビオック)
澤田英敏(澤田酒造)
なかじ(発酵研究家)
鈴木順子(ソレイユワイン)
若尾亮(マルサン葡萄酒)
三角祐亮(角谷文治郎商店)
崎山淳子(崎山酒造廠)
宗像誉支夫(宗像堂)
冨田泰伸(七本鎗)
柴田千代(チーズ工房【千】)
城慶典(ミツル醤油)
古関弘(新政酒造)
渡邉格&麻里子(タルマーリー)
藤井栄作(菊孫商店)
助野彰彦(菱六)
本地猛(東海醸造)
石川達也(竹鶴酒造)
太田真(太田與八郎商店 )
寺田優(寺田本家)

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▶食の専門家・研究者
安斎伸也(たべるとくらしの研究所)
石田香織(嬉楽)
大島幸枝(りんねしゃ)
中村優(料理家・台所研究家)
服部吉弘(LaLaLa Farm)
中島デコ(ブラウンズフィールド)
森本桃世(発酵料理家)
鈴木研三(熱燗DJつけたろう)
真野遥(発酵食研究家)
マツーラユタカ(つむぎや)
梶晶子(HAPPY DELI)
小川さやか(文化人類学者)
外山博英(琉球大学微生物学者)
ドミニク・チェン(情報学者)

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▶クリエイター・起業家
指出一正(ソトコト編集長)
遠藤一郎(未来芸術家)
橋本安奈(発酵文化人類学担当編集)
家入一真(CAMPFIRE)
アサダワタル(コミュニティ難民)
宇田川裕喜(BAUM)
藤本智士(Re:s)
徳谷柿次郎(ジモコロ編集長)
黒川真也(アイデアにんべん)
周防苑子(ハコミドリ)
土屋誠(BEEK)
小林直博(鶴と亀)
柳下恭平(かもめブックス)
イワサキケイコ(sagyo)
鈴木ナオ(greenz編集長)
磯木淳寛(小商い編集者)
りょうかん(ホンバコ)
井尾さわこ(emorv)
安田登(能楽師)
田中辰幸(ツバメコーヒー)
伊藤菜衣子(暮らしかた冒険家)
竹内昌義(みかんぐみ)
里花(シンガーソングライター)
古川誠(OZマガジン)

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▶お世話になったオーガナイザー
但馬武&山川知則(HOME)
吉田創(阪神百貨店)
皆藤将(美学校)
北見晏穂(中目黒蔦屋書店)
山下優(青山ブックセンター本店)
榊原雅樹(コロボックル)
神輝哉(UNTAPPED HOSTEL)
中川和彦(スタンダードブックストア)
高橋かおる(茅野 Cafe ZO)
MOTOKO(写真家)
森田真佐美&鈴木秋香&草柳翔(四角大輔コミュニティ)
西村史之(artos Book Store)
宮川大輔(春光堂)
高橋祥子(emorv)
井上英司(広島 T-SITE)
梅田久美(HOSTEL NABLA)
野村マイ(Knotwork)
発酵サミットin犬山チーム
石塚千晃(バイオクラブ)
岩井 巽 (東北スタンダード
黒江 美穂 (D&DEPARTMENT)
細貝太伊朗(ツバメコーヒー)
木村淳子(ぼでが)
久保山義明(佐賀基山町世話役)
三浦類&小森ミサ(群言堂)
全国のCOOPのみなさま
塩の山ワインフェス企画チーム
かもめブックス
Rethink Books & Dice project
CAFE UNIZON
捏製作所
りんねしゃ
BAUMチーム
秋田のんびりチーム
いすみ平和道場&ブラウンズフィールド
NONAME PRODUCE

メディア掲載リスト

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▶新聞
朝日新聞日曜版
毎日新聞全国版
毎日新聞山梨版
山梨日日新聞
中国新聞
週刊読書人
読売新聞山形版
山陰中央新報
北海道新聞
赤旗新聞
公明新聞
山陽新聞
岐阜新聞
佐賀新聞
神奈川新聞
福井新聞
宮崎日日新聞
四国新聞
東奥日報
岩手日報

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▶雑誌
ダ・ヴィンチニュース
週刊新潮
週間朝日
週刊読書人
BIGISSUE日本版
AXIS
美術手帖
la la begin
天然生活
クーヨン
伊勢丹FOODIE
OZ TRIP
Kotoba
婦人之友
anan SPECIAL
文藝春秋

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▶WEBメディア
アットリビング
ウーマンエキサイト
早稲田weekly
菌トレ!
MTRL(ロフトワーク)
Reallocal
OTOTOY
Videlicious

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▶ラジオ&テレビ
フジテレビ 「ホウドウキョク」
YBSラジオ山梨放送 「キックス」
YBSテレビ 「てててTV」
広島ホームテレビ「ぽるぽるTV」
全国FMネット 「サードプレイス」
J-WAVE 「ブックバー」、「ロハストーク」
Tokyo FM 「Time Line(佐々木俊尚さんナビゲート回)」
Tokyo FM 「Time Line(小田嶋隆さんナビゲート回)」

※これ以外にも掲載見つけたらご一報ください!

ツアー振り返りとベストセラーに向けての展望

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ということで。五ヶ月間に渡って全国を縦断した『発酵文化人類学』の出版ツアー。実際にやってみてどんなことが起こったのでしょうか?振り返ってみると…

▶『発酵文化人類学』からのスピンオフ企画が誕生!
今回の出版ツアーがきっかけになって色んな企画が生まれていきました。沖縄では発酵をテーマにしたテレビ番組が生まれ、愛知では市民大学の発酵講座が生まれ、安田登さんやドミニク・チェンさんとの出会いからまた新たな研究企画が生まれ…と新たなプロジェクトがどんどんスタートしています。僕が関わっているものもあれば、僕関係なくその土地の人でスタートしたものもあります。すごいことだぜ!

▶地域コミュニティの新たな結びつきもできた!
愛知や滋賀、札幌など、イベントに参加したジャンルの違うコミュニティ同士が顔を合わせて交流が始まるケースもけっこうあるみたいです。食や健康にとどまらず、ソーシャルデザインやイノベーション、デザインなど様々なトピックスを扱う本だからこその面白いつながりだな〜と嬉しく見ています。

・出版ツアーの折り返し地点の振り返り。発酵でつながるコミュニティ

▶ほんとに「カルチャーとしての発酵」が認知されつつある…!
『発酵文化人類学』を出版してから、アートやデザインの雑誌に特集してもらったり、文芸誌に取り上げてもらったりと従来のカテゴリーを超えた「カルチャーとしての発酵」が認知されつつあるのを感じます。イベントに参加してくれる人の裾野も圧倒的に広がっていよいよ「ブームからムーブメントへ」の流れを実感してきているぜ。

4月末の出版から何度も増刷を繰り返し、現在5刷目を控え20000冊に届くところまで 部数を伸ばしている『発酵文化人類学』。ここからどこまでベストセラー街道を歩むことができるのでしょうか…?

全国各地のイベントに参加してくれた皆さま、イベントを企画してくれた皆さま、ほんとにほんとにどうもありがとう!編集チーム一同まだまだ頑張りまーす。

 

【追記1】僕が著者として頑張れることは力を尽くしてみたので、ここから先のブレイク具体は編集チームのハシモトさんとハヤノさんにかかってきます。出版社のビジネスモデルは増刷からがほんとに儲かるんだよ。頑張って〜!

【追記2】2017年末に、同じく全国出版ツアー中の編集者藤本智士さんと「めっちゃローカルな本の売りかたやってみてどうだった?」イベントをやる話が出ています。詳細決まったらまたお知らせします。

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最近の発酵デザイナー&発酵文化人類学のメディア掲載まとめ【2017 8〜9月】

引き続きメディア掲載ラッシュが続いています。6〜7月もスゴかったけどここ最近はさらに裾野が広がっている感じだぜ。

・最近の発酵デザイナー&発酵文化人類学のメディア掲載まとめ

ということで、8〜9月の発酵デザイナー&発酵文化人類学のメディア掲載をまとめておきます。行ってみよう!

カリスマ書店が『発酵文化人類学』をイチオシしてくれてるぞ!

▶kotoba 29号
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集英社の文芸誌『kotoba』で、千駄木の往来堂書店さんが今、特に推している本として『発酵文化人類学』のことを書いてくれています。恐縮すぎるー!!!
(ちなみに往来堂書店さんはJ-waveの番組『ブックバー』でも取り上げてくれました。ありがたすぎる…!みんな往来堂さん行って本を買いまくろう!)

▶婦人之友 2017年10月号_DSC3637

雑誌婦人之友の書評コーナーで、西荻の書店Titleさんが『発酵文化人類学』のレビューを書いてくれています。タルマーリーの『腐る経済』も一緒にレビューされていて嬉しい限り。
ここもとっても素敵な書店です。

『発酵を中心に据えてみることで、その周りにいる人が、どんどん人間性を回復させているように見えることが、不思議であり面白い』

と素晴らしいコメントを書いてくれています。そうなんです。発酵は「人間らしさの象徴」なのです。みんな、Titleさんでも本を買いまくろう!

デザイン&アート界にも進出!

▶AXIS 2017年10月号_DSC3648

なんと!デザイン誌のAXISでインタビュー記事が掲載されています。味覚や食文化を「デザイン」と捉え、人間の味覚と食文化の未来についてお話ししました。手前みそですけど良いこと言ってるよ。
ちなみに知人から「不思議な文脈でヒラクさんの記事が紹介されていますよ」との連絡が。

・「AXIS」の本文フォントが変わった!基本フォントとなった「AXIS ラウンド50」とは?

文字組みにも注目して読んでいただければと思います。笑

▶美術手帖 2017年10月号
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アート雑誌の老舗、美術手帖ではなんと!巻頭特集で超ロングインタビューが掲載。そして僕のラボでの麹づくりの様子が表紙になってるー!事件すぎるー!あとこの特集めちゃくちゃ内容濃くて面白いです。

・発酵デザイナー、美術手帖の表紙を飾る!

発酵のエヴァンジェリスト活動、推進中!

▶lala Begin 2017年 10・11月号
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『Begin』の女性版ファッション誌「発酵美人と呼ばれたい」コーナーでインタビューと僕オススメの発酵食品が掲載されています。服やエステにお金使うのもいいけど、発酵に投資すると料理上手&ピカピカ美人になれますよ。発酵は女子のコスパ最高の投資だ!

▶OZ TRIP 2017年秋号_DSC3645

旅好き女子のバイブル、OZマガジンの旅の特集号にも掲載。古川編集長といっしょに山梨発酵ツアーを巡りました。五味醤油のワークショップスペースの前で発酵妹とオシャレな感じで写真に収まっています。
ちなみに一般の人も参加できる山梨発酵旅のスペシャルイベント企画が開催中です。発酵兄妹やマルサン葡萄酒の若尾くんも登場する間違いない内容ですぜ。

・発酵美人1DAYスペシャルイベント in 山梨 | OZmall

▶ISETAN FOODIE 2017年9/6号IMG_20170922_153718813

伊勢丹の食の広報誌の特集「発酵のもろもろ」でお酢や動物の発酵飼料などについてあれこれコメントしたり「美味しいねぇ〜!」とはしゃいだりしてます。お肉とお酢はとっても相性が良いんですね。みんな、美味しいお酢をゲットすべし!

▶赤旗新聞で連載中!
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僕の最初の絵本『てまえみそのうた』の頃から応援してくれている赤旗新聞でミニコラムを連載中です(8〜10月まで全5回)。かなり好評らしく、読者から感想の投書などが来ているそうです。嬉しいぜ。

WEBメディアの掲載情報はこちら

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・“発酵”ってなに?──東京塩麹が塩麹作りを体験! 発酵業界参入に名乗りをあげる | OTOTOY

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・BioClub×ドミニク・チェン×小倉ヒラク 「謎発酵」発酵文化人類学&謎床出版記念イベント | MTRL ロフトワーク

13-04
・小倉ヒラク×ドミニク・チェン、発酵好きの二人による出版トークイベントレポート | 菌トレ!

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・発酵デザイナーはローカルを目指す、そして菌になる | reallocal

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・菌が食べ物をおいしくする!? 2017年の自由研究は発酵食品づくりに挑戦しよう | Woman excite

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・話題本「発酵文化人類学」小倉ヒラクさん基山町でこうじ菌への愛を語る | 大学基山

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・発酵デザイナーに聞いた、「食品だけではない、発酵の最先端」の話 | Videlicious

多すぎてまとめるのにものすごく時間かかってしまった…!
まだしばらくメディア掲載ラッシュが続くようです。どひゃー!

(私のメディアの紹介忘れてない?という方はご一報くださいね)

食に関わるということは、世界に関わるということ。

大阪発のカルチャーマガジン『IN/SECTS』最新号の特集「新しいもの、未知なるもの」で寄稿したコラムを僕のブログに転載します。最近の食の潮流について僕なりに考えてみました。

この『IN/SECTS』、つくっている人の手触りがザラザラと伝わってくるエネルギーのある雑誌です。関西圏以外の人で読みたい人はネットショップからどうぞ


 

食に関わるということは、世界に関わること。

デザイナーとしてのキャリアを歩んできた自分が、発酵の道を志したのもそんな意識があったのかもしれません。
美味しいものが好き、生産の現場が好きだという興味を超えて、食に関わることで僕たちを取りまく社会の課題を捉えたい、ものづくりや自然の本質を深く認識したい。これが僕たちの世代(20代〜30代)の新しい「食との向き合いかた」です。

「発酵デザイナー」という変わった肩書の僕の仕事は発酵や微生物のメカニズムや価値をデザイン技術を使って可視化すること。料理家のようにレシピを開発するわけではなく、微生物との付き合い方を誰にでもわかりやすい方法にして伝えることです。例えばお味噌づくりのワークショップをする時に、料理家だったら「いかに美味しい味噌を仕込むか」が大事ですが、僕にとっては「味噌をつくることを入り口に、微生物の働きを理解してもらう」ことがゴールになります。
発酵食品を食べたりつくったりすることは、目に見えない自然の世界を旅するための「ひみつのドア」です。それを食全体に拡げて表現すれば、食べること、料理することは自分と世界の関わりを知るための入り口なのです。

自分と世界の関わりを知りたい。この感覚って何かに似ていませんか?
そう。一昔前の「アートやデザインに興味がある」「自分を表現したい」という関心が、食に向かって注がれているんですね。僕がグラフィックや音楽、あるいは五感を使ったワークショップを通して発酵食のことを伝えている理由の一つに「アタマではなく感性からミクロの世界の面白さに気づいてほしい」という思いがあります。

まるでアーティストを志すかのように食の世界を志す感受性の持ち主たちは、食べることを通して新しい社会の関わり方のビジョンを作り出すはずです。
例えば。乱獲される漁業資源を救うための「食べる」。伝統的な和食を現代のライフスタイルに仕立て直して「食べる」。新たな世代が始めているこのような「食のカタチ」には、食べる喜びにアートのもたらす美意識、社会の課題解決のための事業センスや未知の知識への学びが組み合わされ、社会を変えるアクティビティとしての機能が備わっています。僕にとっての「発酵」もそう。微生物の見えない視点から人の意識を変え、世界の見方を変え、文化や経済のあり方を変える「デザインの起点」なのです。

小倉ヒラク:
発酵デザイナー。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、山梨県の山の上に発酵ラボをつくり、日々菌を育てながら微生物の世界を探求している。新著に『発酵文化人類学』(木楽舎)。


編集部の小島さん、ブログ転載こころよく了承してくださってありがとうございました。
次号楽しみにしてまーす!

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発酵デザイナー、美術手帖の表紙を飾る!

おーいみんなー、大事件だー!

アート業界の老舗雑誌、美術手帖に発酵デザイナーが大々的に取り上げられているよ!ていうか、なんと表紙も飾っている〜!
ふきんの上でお米をバラしているこの光景、昨年に受講者1,000人を達成した『発酵デザイナーのこうじづくり講座』のひとコマです。

・1000人達成!発酵デザイナーのこうじづくり講座

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美術手帖チームがなんと四人も山梨の僕のラボを訪ねてくれて、一緒に麹を仕込んだり散歩したりしながらお話ししたことが10ページの長編記事にまとまっています。
記事を書いてくれたのが、2016年のスペクテーター『発酵のひみつ』でも活躍したライターの神田桂一さん(著書の『もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら』がヒット中)。
単なる取材記事というよりは神田さんのメッセージも微妙に押し出された読み応えのある記事に仕上がっています。

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最高なのがこのページ。僕が『発酵文化人類学』で考えたテーマが素敵なインフォグラフィックスにまとまっています。イラスト書いてくれた藤田翔さん、ありがとう!

ちなみに麹づくりの様子や僕のラボで分離したカビ(水分抜けてカピカピになってるけど)なども収められています。
インパクトある写真を撮ってくれたのは25歳の気鋭のフォトグラファー、原田数正くん。『鶴と亀』の小林くんをおびやかす次世代の才能かもしれない…!

企画編集を担当してくれた森さん&近江さん、本当に素晴らしい記事をありがとうございます。2014年のソトコト、2016年のスペクテーターに続いて、2017年の発酵デザイナーの現在地がまとめられた「名刺記事」として色んな人に広めたいと思いマス。

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紙面には鳥取智頭のタルマーリーや埼玉県飯能の野口種苗研究所、吉祥寺のタイヒバンや札幌の食べるとくらしの研究所、さらに料理研究家の大御所、土井善晴さんやアリス・ウォーターさんも登場しています。巻頭で特集された岩間さん、船越さんの記事もめちゃ読み応えがありました。あと食じゃないんですけど後半に『21世紀の民俗学』の著者の畑中さんの寄稿文もあります。

・夏の読書感想文。21世紀の民俗学、数学する身体。私小説の未来について

さらに特筆すべきは60年代からの食の潮流をまとめた年表。俯瞰的に食の世界のトレンドの変遷を見ることができます。

食専門の雑誌ではできない、ユニークかつディープな食の特集になっています。
こんな素敵な雑誌に取り上げてもらって光栄だぜ…!

・SPECTATOR最新号『発酵のひみつ』は僕の本だ!(と言いたい)

・ソトコト 2014年12月号 特集インタビュー&かるた

 

性善説と性悪説、社会を動かすのはどっちだ?「信じ合う社会」へのいばらの道。

性善説と性悪説について。

こないだ東ヨーロッパ行って驚いたのが、バスに乗る時に切符がなくても乗れてしまうシステム。これはつまり「みんな当然切符持ってるよね。だからチェックしなくていいよね」という性善説システムで社会が動いているということです。

でね。実はこのシステムは管理コストを省ける合理性があったりする。
ヨーロッパに住んでいた時いろんなものが性善説で動いていることにビックリしました。なぜかと聞くと「市民はすべからく成熟していること」が前提の制度設計だからだそう。

性善説と性悪説の合理性の違い

性善説の制度設計は「悪いことしてないかチェックするコスト」がかからないので実は合理的だとも言えます。

対して日本は社会の基本原理が性悪説で動いているかもしれません。
例えば朝の通勤電車の遅延証明。いい年した社会人が「私はウソついてません」と会社に届けるなんてよく考えたらヘンな話です。誰かがズルをするロスは防げるけど一方ではチェックするための手間とコストがかかる。

性善説で動くシステムとどっちが合理的か。
性善説が不合理になるのは「ズルするロスが管理するコストを上回るとき」。
性悪説が不合理になるのは「管理するコストがズルするロスを上回るとき」。

つまり「みんなズルをする人間と見なすかどうか」でどちらの人間観を取るかが決まるわけです。日本の制度設計は「市民はみんなズルをする」前提です。

ネット上にあらわれるアナーキーな性善説

で、ここから本題。
ネット上で新しく登場するサービスは性善説で設計されているものが多いように感じます。特にベンチャー起業がリリースする型破りなサービスは性善説の極地。
楽観的なビジョンで生み出されているという理由以外に、人員や予算が小さいので管理コストを抑えるための合理性もありそうです。

クラウドファンディングを筆頭とする互助的なフィンテックサービスは性善説でないと意味をなさない
この「アナーキーなまでの性善説」は性悪説で動いてきた日本人のマインドをザワつかせます。「こんな仕組みにしたらズルするヤツが溢れて社会が崩壊するのでは?」というように。

考えてみれば、僕と同世代かもっと下の新しい世代が立ち上げる事業は、ネットかリアルを問わず、性善説かつ互助的な思想を持ったものが多い。それが社会のインフラに浸透していくためには「無意識に刷り込まれた性悪説マインド」を凌駕していくことが必要です。

…とか書いてみたんだけど、なんかムズカしそうだよね(>_<)

クラウドファンディングやpolca、VALUのようなサービスは、世代によって受け取られ方が全然違うものになるでしょう。何十年も電車の遅延証明書を出してきたおじさんは「見返りを求めずに投資をするシステム」を理解するのが難しいかもしれません。「契約」ではなく「応援」を選ぶ価値観が、余裕がある時の慈善活動ではなく人生の中心を占めるという価値観。

「僕こういうことしたいんだけどお金足りない」
「そっか。じゃあ僕の使ってね」

というやり取りは契約じゃないので拘束力はない。

「きっとアイツはやり遂げるし、別に僕に直接お返しがこなくてもいいや」

というのが性善説の世界。「疑う」ではなく「信じる」ということで社会が回る。
他者を信じることで積み上がる「信用」を社会資本として自分の人生を設計する。

フィンテックやSNSが生み出す「性善説」の世界は、必然的に僕たちの成熟度を試すモノサシになります。悪意を持って使うと短期的には仕組みをハッキングして個人的な利益を得ることができますが、仕組み自体が存続できなくなります。「キミのことを信じてるよ」と言われた時、真に自分が試される。

「お互いを信じあう社会」への道はけっこう茨の道かもしれません。
でも、僕たちの世代がここのハードルを超えないとあんまり生きやすい社会は待ってないかもしれないですね。だって、管理コストを維持するだけの体力が日本に残っているか微妙だし、また何十年も電車の遅延証明書をもらいにいくんだよ?

ブロックチェーンのようなテクノロジーの発展が、外部から僕たちの行動規範を善なるものへと変えてくれるのか?それとも性善説とともにテクノロジーを否定して前近代的な世界へ退行するのか?あるいは僕たち自身が自発的に新しい社会の規範を生み出していくのか?

「外部からの変化を待つ」か「自分から変化を起こす」のか。個人の行動が試される時代だぜ。

暮らしかたという病。シアーズカタログに見る、暮らしをカタログ化する欲望

昨日のヒカリエ「これからの暮らしかた」展で話したことを忘れないうちにメモ。僕が話したかったのは「暮らしかたという病」について。現代において「暮らしかた」について語ることは、実際にどういう風に暮らすのかというより「暮らしをカタログ化したい」という欲望の発露なのでは?という問いかけでした。

「暮らしのカタログ化」という欲望はベンヤミンのパサージュ論に端を発し、片岡義男やJJのアメリカンウェイ・オブ・ライフの歪んだ輸入、そこから80〜90年代のライフスタイル雑誌に至る「消費社会における自己表現」という側面を持っています。「暮らし」が自己目的化するから「病」になります。
「これからの暮らしかた」を語るということは「僕たちがいかなる病にかかってもがいているのか」ということの検証です。楽観的な未来予測や社会の展望を語ることではありません。

「暮らしかたが〜とか言っている時点でウチら超こじらせてね?」

という自己確認無しに次には進めないと思います。

シアーズカタログに見る暮らしのカタログ化

20世紀初頭まで「ライフスタイル」は文化の無意識のうちに沈んでいました。社会学者ベンヤミンの「パサージュ論」は流行遅れになったパリのアーケード街から「無意識に沈んだライフスタイルの夢」を拾い上げる試みです。

「ライフスタイル」が明確に意識化されるのは20世紀初頭のアメリカにおいて。
20世紀初頭アメリカで生まれた「シアーズカタログ」はファッション、インテリアやガーデニング商品が網羅された、日本でいうNISSENやフェリシモのはしりのような「暮らしのカタログ」。

このシアーズカタログにおいて、暮らしかたがカタログ化され、選択可能なものと見なされるようになります。

第二次大戦後、最大の戦勝国となったアメリカはシアーズカタログにあるような、ピカピカの家電や芝生の手入れされた一軒家で暮らす上品な家庭を「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」と標榜し、ヨーロッパへのコンプレックスを払拭した「アメリカ発のライフスタイル」を主張するようになります。

ところが60年代後半ベトナム戦争ががこじれてアメリカン・ウェイ・オブ・ライフ的な価値観の揺り戻しがアメリカの若い世代から登場し、「ホール・アース・カタログ」という消費社会に対する「オルタナティブなライフスタイルカタログ」が生まれます。思想はアンチだけどカタログ化という手法は一緒。

オルタナティブなライフスタイルカタログ

アメリカで生まれた「ライフスタイルのカタログ化現象」は日本で見事にローカライズされました。シアーズカタログはNISSENやフェシリモに、ホール・アース・カタログはPOPEYEや宝島などのカルチャー誌に変形され、2010年代に至るまで日本のメディアと小売のベースになっています。

でね。「これからの暮らしかた」展は「これからの」とあるようにオルタナティブなライフスタイルを提案し、かつ47都道府県というフレームで分類するカタログ的な方法論を取っているが、これはホール・アース・カタログのような「オルタナティブとしてのカタログ」なんですか?とキュレーターに質問してみました。

暮らしかた冒険家の肩書を持つ伊藤さんの答えを僕なりにレジュメにすると、

「ソーシャルなことをやっていると課題マニアみたいな人が多くて、否定することがアイデンティティになってしまう。だから未来に対して前向きに活動する人たちを集めて見える化したかった」

とのこと。つまりホール・アース・カタログのさらにアンチということになります(オルタナティブなもののオルタナティブだからね)。
カウンターカルチャーがそれなりに社会に根付いて形骸化してきているのでアンチを唱えて眉間に皺寄せてるよりは「楽しく未来をDIYしていきまーす!」みたいな朗らかさを切り取ってみるのもいいよね、という提案。

シアーズカタログの世界が終わった後のライフスタイル

これは「何回転かひねった朗らかさ」なので、実はものすごくハイコンテクスト。

「こじらせていることをメタ認識したうえで意識的に朗らかにふるまう」というのがトレンド性を持つところに「構造的な歪み」があるなと僕は感じます。「自分で暮らしをつくろう」というのは「ライフスタイルカタログの重力圏からの脱出」という意図があるのだけど、それもまたカタログ化されるというリターン・トゥ・フォーエバー感…!

そして。みかんぐみ竹内さんのコメントも面白かった。
シアーズカタログは当時のアメリカの国策であるモータリゼーションと郊外都市の開拓の推進に紐付いている。つまり国家的な産業施策を、民間事業が消費しやすいインターフェイスにアレンジしたものであるという建築家ならではの指摘。

「もし『これからの暮らしかた』展が、来たるべき時代のライフスタイルカタログであるならば、シアーズカタログとは真逆の「ロジスティクスと郊外の縮小」に直面する時代のライフスタイルの提案になるのかもしれない」

と竹内さん。歩いていけるヒューマンスケールのコミュニティでの暮らしの必然性が浮かび上がってくるといいよね、という期待がこの展示には込められているのかもしれない。

「発展する社会」と「縮小する社会」のあいだ。「選んで消費する人生」と「自分でつくる人生」のあいだで葛藤し、もがき苦しむのが「暮らしかたという病」の症状。
「カタログ化されたライフスタイル」の呪縛を解くためにカタログの手法をハックし、しかもそれを地方でなく東京でやるというアクロバット…!

20世紀アメリカで生まれた、暮らしをカタログ化し消費可能なものとする「ライフスタイル産業」は普遍的なパラダイムではない。けれどもその局地的パラダイムを「思考の前提」としていることに疑問を持たずに「暮らしとは」と語ること自体が、ある種の病の兆候なのかもしれません。

 

【追記1】ちなみに前半の僕のこの話のあと、後半はツバメコーヒー田中さんの爆弾発言が炸裂しまくって会場が爆笑に包まれました。キュレーターの伊藤さん竹内さん、示唆に富んだ話をありがとうございます!また会って話しましょう。

【追記2】ホール・アース・カタログがオルタナティブな思想を「カタログ」という既存の方法で編集したのは一緒のパロディなのではないか?と今回このエントリーを書きながら思ってしまった。

【追記3】もちろん僕自身もこの病と無縁ではない。というか、自分のスタンスで生きようとする多くの人たちは少なからずこの歪みを共有している(たぶん)。

 

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アタマ発酵本。発酵文化人類学から生まれた関連本セット販売企画やるよ!

セットで読みたい『アタマ発酵本』キャンペーン始めます!

「なぜこんなニッチすぎる本が売れるのか…?」と出版業界をザワつかせているらしい僕の新著『発酵文化人類学』。出版から四ヶ月が経ち、口コミで全国に広がりながら、間もなく5回目の増刷を迎えるまでに。

・手前みそからシンギュラリティまで。『発酵文化人類学』の詳細はこちら!

そう。祭りはまだ終わっていないッ…!
ということで。『発酵文化人類学』のさらなるヒットを祈願して新たに企画を立ち上げました。その名も「アタマ発酵本」セット販売キャンペーン!

出版ツアーから生まれた謎すぎる関連本

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京都丸善本店で安田登さんと対談した時の集合写真。満員御礼でした!

全国各地で開催した発酵文化人類学の出版ツアー。そこで様々な領域で活躍する面白い人たちと対談をしました。

・【全国の皆さまに会いにいくよ】発酵文化人類学全国ツアーの日程リスト

中でも特に印象深かったのが7月19日から21日まで3日連続で開催された、合同出版記念・異種格闘技トークベント

1日目:編集者藤本智士さんの新著・ 魔法をかける編集
2日目:能楽師の安田登さんの新著・あわいの時代の『論語』
3日目:情報学者ドミニク・チェンさん松岡正剛さんの対談本・謎床 思考が発酵する編集術

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渋谷ロフトワークで行われたドミニクさんとの対談イベント。詳細は下のリンクから。

・BioClub×ドミニク・チェン×小倉ヒラク 「謎発酵」 | MTRL

ジャンルの異なる三冊の本の著者と合同で出版記念パーティを開催。これが連日超満員で盛り上がったんですが、話はイベントだけでは>終わらなかった…!

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こんな感じでamazon上で謎すぎる関連本が爆誕…!

イベントが終わってしばらくすると驚くべき出来事が発生。amazon上で『発酵文化人類学』を介してジャンルがバラバラすぎる四冊の本がなぜか関連本として表示されるようになりました。ツイッター上での著者同士のやりとりを見てセットで本を買う人も続出。

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大阪スタンダードブックストアで開催されたイベントには100名来場!左から店長の中川さん、ジモコロ編集長柿次郎さん、藤本さん、ヒラク。

つまりジャンルよりもソーシャルのつながりで本が関連付けされる現象。

これめちゃくちゃ面白くないですか…!?と興奮したので、ホントに四冊をセットにして売ることにしました。だって、どの本もめちゃくちゃ面白いんだもの!

アタマ発酵本とは何ぞや?

『アタマ発酵本』とは、僕小倉ヒラクがジャンルの違う四冊を勝手に発酵というキーワードで括ったシリーズ本。 各出版社にお願いして僕の自腹で本を買い切り勝手にオリジナル帯とPOPまで作って有志の本屋さん及び僕のブログでセット販売するという、面白い読書を提案したい! という熱意だけで生まれた誰が得するのかよくわからない企画です。

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この企画のためにオリジナル帯をデザインしました。シリーズ感出てる!

【あわいの時代の『論語』】〜身体と心を発酵させる〜
孔子の『論語』を古代漢字から読み解きながら、人間の起源と古代の超感覚をあぶり出していくという、異次元能楽師の安田さんにしか書けないユニークすぎる本。論語のことはもちろん、能のこと、漢字のこと、身体のことがわかります。つまりサイコー!

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安田登:能楽師。宝生流ワキ方。ボディワークやデジタルメディア、ギリシャ語やシュメール語、古代中国の象形文字の語学など多彩な領域を研究。古代シュメール神話「イナンナの冥界巡り」の上演をプロデュース。

【魔法をかける編集】〜社会の発酵のさせ方を知る〜
編集という概念を拡張し、どんな人でも社会に価値を埋め込めるようにするための具体的なメソッドと発想法をローカルメディアの生けるレジェンド藤本さんが大公開してしまった必読書。地域コミュニティに関わる全ての人は読むべし。つまりサイコー!

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藤本智士:編集者。2000 年代半ばから兵庫に本拠地を置きながら東京を介さない新世代のメディアを作り続けている。伝説のローカル雑誌「Re:S」秋田県庁発行のフリーペーパー「のんびり」のプロデュースを手がける。

【謎床】〜世界の謎が発酵する〜
日本文化、ITテクノロジー、ゲーム、バーチャルリアリティ、生物学に認知科学など様々な領域を横断しながら社会の仕組みや人間の感性に問いを投げかけまくる、濃厚にも程がある対談本。ドミニクさんが松岡正剛さんの膨大な知を巧みにガイド。つまりサイコー!

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ドミニク・チェン:情報学者。メディア論や人工知能、生物学など様々な領域を横断した情報体系を研究。偏愛で つながるコミュニティサービス「シンクル」 などの開発を手がけるIT起業家であり、 IT 業界きっての発酵好きとしても有名です。

【発酵文化人類学】〜発酵から世界を見る〜
発酵と文化人類学を組み合わせ、微生物的視点で人間の社会や文化を掘り下げるという「発酵カルチャー本」。発酵好きコミュニティにとどまらず文系から理系まで色んな人に読まれているようです。つまりサイコー!

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小倉ヒラク:発酵デザイナー。山梨県甲州市の山の上で菌を育てながら暮らしながら、研究したりデザインしたりラジオのパーソナリティやったりしています。

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四冊をセットで読むと一冊よりも愉快かつディープな読書体験ができます。例えば…


・発酵をキーワードに思索を深める!
・オススメ順に読んで解像度を上げる!
・四冊を行ったり来たりして楽しる!
・さらに他の本へと興味を発展させる!


というように。
僕の本はともかく、他の三冊ともにマスターピースであると力強く断言しておきます。
ただでさえマスターピースを関連付けて読めばたくさん発見があること間違い無し!

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かもめブックス柳下さん
「やあ皆さん!今回の企画は僕のやっているかもめブックスが全面バックアップしているよ!うちの店頭でも『アタマ発酵本』の棚を展開しているので遊びに来てね!」

柳下おじさん、ありがとう…!

アタマ発酵本はこうやってゲットすべし!

resume

▶ヒラク書き下ろしの読書読本と一緒に読むべし!
僕が四冊をどんな順番で、どうやって関連づけて読んだのかをフリーペーパー形式にして用意しました。このフリーペーパーだけで結構読み応えあります。このブログから注文 or かもめブックスで買った人にプレゼントするので、これを読書読本にして読書を楽しんでください。

▶フォームorかもめブックスでゲットすべし!
オリジナル帯&フリーペーパー付きの『アタマ発酵本』は、下記のフォームor共同企画のかもめブックス@神楽坂でお買い求めください。

四冊セット:7,300円(税&送料込)
三冊セット:5,700円(税&送料込)
※任意の一冊を除く三冊セット。ex:発酵文化人類学/謎床以外の3冊
☆☆9/22(金)を目安に申し込みを締切ります☆☆

お名前 (必須)

メールアドレス (必須)

配送先住所(必須)
 

セット内容(必須)
 四冊セット 任意の本を除く三冊セット

☆三冊セットの場合、除外するのは…
 発酵文化人類学 あわいの時代の『論語』 魔法をかける編集 謎床

メッセージどうぞ!

※最初は限定20セットからスタートします。注文が多かったらまた次考える!
※発送まで5日から1週間ほどかかります
※待ちきれない人はかもめブックスで直接購入してください
※お支払い方法は僕からの返信メールにてご案内します

それでは皆さまのご注文お待ちしております!レッツ愉快な読書!

 

【追記1】ウチの本屋でも「アタマ発酵本」の棚つくりたい!という志ある本屋さんがありましたらご一報ください。帯やフリーペーパー、POPのデータをお渡しします。

【追記2】本80冊ぶんを自腹で買いきったので初回20セットはなんとか完売したい!

【追記3】協力してくれた晶文社(謎床)、春秋社(あわいの時代の『論語』)、インプレス&ミシマ社(魔法をかける編集)、木楽舎(発酵文化人類学)と著者の皆さま、かもめブックススタッフ一同僕の趣味に付き合ってくれてどうもありがとう〜!

【追記4】ちなみに前回の増版記念企画の『発酵文化人類学オリジナルTシャツキャンペーン』、大好評でなんと!200枚以上が売れていきました。すすす、スゴい…!

Tshirt

引き続き、ベストセラー目指して頑張るぞ(もちろん僕の本だけじゃなくて)!

東京が「ノスタルジーの街」になる近未来。

『発酵文化人類学』の出版ツアーで全国行脚するために仕事の8割を4ヶ月くらいお休みにしてしまったので外に出る用事がないとけっこう時間があります。ヒマな一日は朝からBBCニュース見てバイオとかフィンテック関係の記事を読んで、昼に本を読んだり辞書引いたりして夜にyoutubeとかamazonプライムで映画や動画見たり、のんびりしているようでわりとたくさん情報をインプットしています(あと発酵の仕込みも)。

直近の目的のないインプットは後でわりと役に立つ、はず…!

・ヒマが大事だ!誰よりも自由なネズミについて

東京から距離を置いた場所で暮らして、かつ海外に仕事で行く機会が増えてきたいま思うのは「東京は最先端の街ではない」ということ。東京はヨーロッパやアジアの地方都市とだいたい横並びな感じになってきたのではないかと感じます。何か新しい情報や出来事は東京を経由しないて海外のどこかの街で直接出会うことになる。

この実感は地方に住むとより強くなります。

「東京が最先端の街じゃなくなった」ということは「東京に暮らしていたら自動的に新しい情報がインプットされる」というメリットが減少しているということかもしれません。東京で忙しくしているより、地方でのんびり暮らしているほうが何か新しいことを学ぶにはいいのかもね(東京で暇な人はある意味最強だけど。クラシコム青木さんとか)。

こないだもブダペストの学会に行ったら、アジアからの若くて元気で感じのいい街場のボーイズ&ガールズな研究者がたくさんやってきて、レベルの高いプレゼンテーションをしていました。日本は僕が一番若いくらいで、大半がおじさん…!
東京が象徴的ですが、日本全体で新しい世代の芽が育たない現象が起きているかもしれない。

・二極化する20歳の世界観。早稲田大学で三年間講演をしてわかったこと。

1970年代のタルコフスキーの映画『惑星ソラリス』のなかで未来のメトロポリスとして描かれた東京も、コンクリートが黄ばんで劣化していくとともに、どこか古ぼけた景色になっていく。東京のストリートカルチャーをいっぱい吸収して自己形成してきたヒラクとしては寂しいことだけど、東京は「ノスタルジーの街」になっているし、これからその流れはさらに加速するのだろうね。

でもさ。
何か新しいことに興味を持てば自然に視点が外に開くわけじゃん。そしたら元気に未来へ向かっていくアジアはじめ他の文化に学ぶことがたくさんあるということだから、なかなか楽しい時代が始まっていくのだとも言えそうデス。

二極化する20歳の世界観。早稲田大学で三年間講演をしてわかったこと。

こないだ母校早稲田に講演に行ってきた時の話。
文学部の宮崎薫教授のキャリア教育の一環として「就活しなくてもヘンな仕事してても楽しく生きているセンパイを見せたい」という謎のオーダーで年に一回の講演を三年間やっています。

保守的すぎる感想にビックリ!

毎回200名くらいの学生たちに発酵デザイナーの仕事を紹介するのですが学生の反応にビックリ。講演終了後に学生にアンケートを取ると、

「大学卒業したら安定した大企業に就職して、20代で結婚して子ども産んで主婦になる人生が当たり前だと思っていましたが、ヒラクさんのような生き方を見てビックリしました」

みたいな子が毎年2〜3割います。ていうか年々割合が増えている印象。どこの昭和だよ!?
あるいは、

「ヒラクさんのような生き方は才能がある人だからできることであって、私もやりたい事があるのですが自分は才能がないのであきらめます」

ろいうコメントも散見されます。
20歳ぐらいで自分に才能あるかどうかなんてわからないから!もしわかったとしたらそれはそれでオマエ才能あるから!

というように、講演後に返ってきたアンケートの半分強が「昭和すぎる保守」あるいは「まだ始まってもいないのに諦めている」という状態で、残り3割弱が「ぼんやりした感想」、残り1割が「逆ギレ」で、最後の一割が「私もやりたいこと頑張ります!」という元気なりアクションです。この比率は三年間ほぼ同じ。講演を終えた後に、

「なあんだ、発酵デザイナーとか言って面白そうなことしてるかと思いきや、ずいぶんアナクロなことやってますねえ。僕たちの時代はもっと先端を行っているんですよ」

的なリアクションもらったらセンパイとして恥ずかしい〜!とビクビクしていたんだけど、現実はその逆。なんでこんなに昭和なの?

二極化する20歳のビジョン

コンサバな世界観で生きている子たちがいる一方、僕の出演するバイオ/ソーシャル系のイベントには、

「高校生です!自宅で細胞培養してまっす!将来はバイオベンチャーやります!」

みたいな超元気な子も来てくれます。
考えて見るに、現代は「あんまり将来に期待してない子」と「自分の手で未来をかえられる実感のある子」の二極化が激しい時代なのかしら。

安定を求めて昭和な人生ルートを選ぶことに疑問を持たず、まだ見ぬ自分の才能を半ば諦めている…という20歳の子たちは感性がないわけでははなくて。実は鋭敏な感性で「現実を直視したらアタマがおかしくなりそうだから過ぎ去ったはずの時代が永遠に続くことにしておこう」と自分に言い聞かせている。
うっかりその鋭敏な感性のセンサーを使って「これから来るべき日本の未来」を覗いてしまうことを恐れているのでしょうか?だからそのセンサーが誤作動しないように、過去のファンタジーで自衛している
そういうふうにでも仮定しないとこの三年間にもらった彼らからのメッセージが理解できません。

いっぽうで「来るべき未来」を普通より広く柔軟に見ることのできる子たちは自分の可能性に可能性を見出すことができる。自分のやりたい事、才能を信じることができれば国境や文化を超えて新しい情報やネットワークを使って自分のフィールドをつくることができる。こうして極端な二極化が起こる。
まあまあ自分のことを信じていて、まあまあちょっと先の現実を考えて、でも基本的にはぼんやりしているというどっちつかずの真ん中の子はどんどんレアになっていく。

と仮定してみると、これはもう今までのサラリーマン文化が崩壊してものすごく流動的な社会がやってくるのでしょうか。

二年間打ちのめされてきたので、三年目は作戦を練りました。
終始一貫して「アナタたちの感性は正しい!」「自分では信じてないけど才能めっちゃ眠っている!」と120%全肯定しながら話を進めていくと最後にちょっとだけみんなの顔が明るくなったよう気がしました。

彼らの言葉にならない顔つきや態度はその次代を映し出すメタメッセージ。
そう。20歳の直感はいつだって正しい。たぶん。