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僕は立ち向かう人ではなく、逃げてきた人だったのだ。

今年の春先くらいから、よくわからない憂鬱とプレッシャーを感じていた。
去年出した『発酵文化人類学』の評判がびっくりするぐらい独り歩きして、美術館や科学館の企画で分不相応なオファーがあって「さらに前を目指して頑張るぞ!」という情熱がたぎっている!

…ような気がしたんだけどさ。

今年の前半戦の大仕事が色々終わって、細々とした仕事を後回しにしてとりあえず数日間山梨の我が家で休むことにしたお盆休み。掃除や料理や庭仕事しながらひたすらゴロゴロする軟体動物と化していたら、ここ二年くらいの疲れがどっとやってきて、その重たい疲れがはがれてくるころに今度は自分がけっこう無理してきたことに気づいてしまった。

なにを「スゴいヤツ」になろうと頑張っているんだ、自分よ。
僕は立ち向かう人ではなく、逃げてきた人だったはず、なんだけど。

ここしばらく、たまたま運が重なって仕事で人から期待されてうっかり自分のことを「やればできる人」のように思い違えていたことに思い当たったんだよ。

僕が今こういう生き方をしているのは、自分に強い意思があったわけではなく、とにかくイヤなことから逃げてきたらたまたまデザインの仕事に行き着いて、その後微生物の道に入って発酵デザイナーになっていたにすぎない。

高校生の頃にバックパッカーになったのは、高校で友だちができなかったから。フランス行って美術の勉強したのもビジネスマンになる自分がイメージできなかったからだし、デザイナーで起業したのも自分がサラリーマンに向いてないと思ったからだし、デザイナーの道での挫折が微生物への道に入るきっかけだし、東京で忙しく仕事するのイヤだから山梨の山の中に引っ越した。

全部消極的!逃げて逃げて逃げまくったらここにいたんだよ!

競争に勝ち抜いたり、自分に打ち克ったり、上へ上へと急ぐ人生がイヤだったので山の中に引っ越して道楽みたいな生き方を選んだんだけど、結局人の期待や評価に一喜一憂しながらめちゃ頑張ってしまっている。

別に自分に向上心がないとは思わない。せっかく一生懸命仕事するんだったら何かしらインパクト出したいとは思う。思うんだけど、基本は「イヤなことから逃げてきた」という最初のモチベーションを忘れるとヤバい。頑張るのが苦手な人間が努力すべきことは、頑張らなければいけない環境に自分の身を置かないようにすることのはずだ。

なんだけど最近の僕は誰に言われてもいないのに頑張るモードに入っていた。
これはマズい。絶対に死ぬ!プレッシャーでぺしゃんこになって死ぬ〜!!

高みを目指して「立ち向かう人になる」というのは、謎にヒロイックな快感がある。
しかしそこに発生するプレッシャーに耐えられる人と耐えられない人がいる(例えば僕とか)。自分のルーツが「逃げてきた人である」ということを忘れないようにしないと、僕にはロクな未来が待っていないであろうよ。

別に誰に相手されなくても、微生物の世話したり山歩いたり本読んだりしてれば、それが僕にとっての満足な人生なのだから。

のんびりしたヤツにも、時には外に出て頑張らなければいけない時期がある。それが今であることは百歩譲って認めよう。でもそれはあくまで非常事態であり、速やかに事態を収拾してまたのんびりライフに戻らなければいけいないのだよ。

僕は全力で立ち向かわない人生を送りたい!

【追記】僕がいかに立ち向かわない人間であるかは下記のエントリーで確認されたし。

デザインとデザイノイド

『ミーム(遺伝因子)』という概念を提唱したことで知られる生物学者のリチャード・ドーキンス。僕はドーキンスが大好きで、なかでも『デザインとデザイノイド』というあんまり知られていない概念に強く惹きつけられている(デザイナーだからね)。

環境と時間がデザインを自律化させる

この概念は、生物がどのように進化して機能や形態を獲得していくかを紐解く時に使われる。

例えばだな。
カメラのレンズと昆虫の眼は、機能としてはよく似ている。けれども設計プロセスが違う。
カメラのレンズを、人間(デザイナー)が明確な意図をもとに設計した「デザイン」だとすると、昆虫の眼は、事前の目的なしにまるでデザイン自身が自律化して機能が生まれていく「デザイノイド」だ。

ドーキンスの考えでは、生物は進化する時に「外界を見たい」とか「空を飛びたい」という目的を持つことなしに、環境による淘汰を繰り返すうちに結果的に目がいい生き物とか空を飛べる生き物が誕生してしまうことになる。

デザイナーとしてトンボをリバースエンジニアリングしてみると、空を飛び複眼を持つそのデザインは全て必然的に思える。全てのパーツがトンボを完成させるために無駄なく機能しているように見える。が、トンボ自身にインタビューしてみたらば、

「そうっすかね?ぶっちゃけ特に意識はしてなくて。たまたまっすね。」

という答えが返ってくることだろうよ。

機能の水平移動が進化をもたらす

「空を飛びたい」と思って翼が生まれたのではなく、環境に対する淘汰と適応のフィードバックが長い時間をかけて「飛行」という機能を作り出した。

ドーキンスのデザイノイド概念にそって、もうちょい具体的に考えてみよう。

今地球上の動物で空を飛ぶことができる代表種としては、昆虫の他に鳥類がいる。
この種が地球にあらわれ、発展していった二億年くらい前は、今より地表の酸素濃度が低かったらしい。なので、鳥類は低酸素状態をサバイブするために、他の哺乳類よりも呼吸の効率を良くしなければいけなかった。

僕たち人間の肺は、空気を吸うたびに膨らんで、吐くたびにへこむという灯油を入れる時のポンプのような構造になっている。対して鳥の肺は空気を循環させる人間にはない高性能ポンプである気のうが接続されいて、肺をへこませることなくずっと膨らみっぱなしにすることができる。

この「ずっと膨らみっぱなしの肺」は、つまりバルーンだ。
鳥は身体のなかにバルーンが入った、体積に対する比重が軽い生き物なんだね。
(ついでに骨の密度も低い)

酸素の低い環境のなかで生き延びるための最適化は、鳥自身も予期していない副産物をもたらした。それは「身体が浮きやすい」ということだ。

鳥の初期の翼は、飛ぶためではなく木々の間を滑空するための前肢だったと推測される。
しかし、モモンガのような普通の哺乳類に比べて鳥類は滑空時間が長い(比重が軽いから)。

「あれ、なんか全然地面に降りないんだけど?」

というサプライズが起こり、それが発展していって「持続的に滑空できる=飛行」という機能が生まれたのではないか?という説はけっこう説得力がある。

ここでの進化のポイントは、機能の水平移動だ。
鳥に飛行を能にさせた要因は、翼ではなく肺なんだね。呼吸のための発達が、なぜか飛行という全然違う位相の機能を生み出してしまった。

呼吸→飛行という、普通だったら考えられない機能の水平移動が起きた。
生物の世界には、こういう予期しない水平移動がたくさんある。
最初に明確なグランドデザインと目的設定がないからこそ起きる偶然が画期的なイノベーションを生み出してきたんだね。

これが生物界における自律的デザインプロセス、デザイノイドの面白さだ。

発酵はデザイノイドだ!

僕の専門である発酵文化もまたデザイノイド的進化を遂げてきた。

例えば。和食の代表格としておなじみの江戸前寿司。
この寿司の起源をずっと辿っていくと、東海や北陸などのローカル発酵食である熟れ寿司になる。この熟れ寿司は、腐りやすい魚を保存するために、塩と乳酸菌による酸の力によって雑菌の繁殖を防いでいる。だから味は極端にしょっぱくて、酸っぱい。しかもつくるのに一年以上かかる。

昔の人は極端な味で手間のかかる寿司をいかに簡略化するかを考えた。
その結果、塩がなくても酸があればある程度の防腐機能をもたせることに気づき、さらに時間をかけて乳酸発酵させなくても、最初から調味料としての酢を添加してしまえばいいことに気づいた。

このイノベーションによってあっという間につくれるインスタント寿司=江戸前寿司が誕生したのだが、手間の簡略化は結果的に「ネタの新鮮さと豊富さ」「素材を活かした調理法」というそれまでの熟れ寿司にはなかった価値が生まれた。

ポイントは鳥類の進化と一緒で、最初からネタの新鮮さを目指したのではなく、いかに手抜きするか試行錯誤するうちに当初予想していなかった味覚が生まれてしまったということ。
そしてその味覚が多くの人を魅了したので、結局先祖の熟れ寿司よりもポピュラーな食べ物になってしまったんだね。

生物の進化にも人間の文化の進化にもこのようなデザイノイド的現象が満ち溢れている。
グランドデザインに基づいてエンジニアリングを進めるのではなく、各プロセスにおいてのベストを探って「考えながらつくる(というか自ずとできていく)」というデザインこそがイノベーションを起こすことができるのかもしれない。

 

過去の自分は今の自分の地層を成している。おべんとう展がはじまったよ!

上野の東京都美術館で今日から開催の企画展『おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』のオープニングレセプションに出席してきました。

巨大インスタレーションや写真、映像、イラストなど様々なアート作品に加えて、古今東西の貴重な民俗資料や親子で遊べる仕掛けがいっぱいの楽しい展覧会。僕は展覧会全体のイントロダクションとなる新作アニメと、そのアニメにちなんだ手描きの絵を展示しています。

・おべんとうの国を旅しよう!アニメ『おべんとうDAYS』ができるまで

お弁当ハンターの阿部了さんの味わい深い写真、オランダの Marije Vogelzangさんのファニーかつ社会性の高い体験型インスタレーション、 北澤 潤 (Jun Kitazawa)さんによるカラフルな縁日が美術館に登場する謎の異空間、小山田徹さんとその子どもたちによるお弁当コミュニケーションを可視化した作品や、森内康博さんによる日本の学校における隠された多様性をあぶり出していく映像作品、平野太呂さんと大塩あゆ美さんによる読者とのやりとりでつくるお弁当レシピ、さらに様々な博物館とコラボして集めたお弁当にまつわる民俗資料が混在するハイブリッドすぎる美術展(とはもはや言えないかもしれないが)になっています。

☆7/29にはダンスワークショップ付きのツアーもあります☆

で、ここから個人的な話なんですけど。
高校時代に僕は美大受験をしていまして(結局学費の問題で行けなかったんだけど)。20歳くらいまでは「絵描きになりたい」と思っていたんですね。

その後、色んな縁が重なって、僕はデザイナーになり、会社の経営者になり、そして微生物の研究の道に入って発酵の専門家になりました。

だから都美術館から出品のオファーが来た時に不思議な気分になったんです。過去の頃の自分が望んでいたであろうチャンスが、3回転半ぐらいグルグル回って今の自分に届いた。

今タイムスリップして20歳の頃の自分に、

「キミは絵描きにならずに微生物の道に入ることによって結果的に美術館からオファーがくることになっている」

と告げたら、

「何ワケわからないこと言ってんだよおじさん、あっちいけ」

となることだろうよ。汗

人生のなかで、前に進むために何かを捨てたり諦めたりすることがあります。なんですけど、新しい道を進んでいくなかで「かつて手放したもの」に予想もできないかたちで再会することがある。

何かを手放したとしてもそれは永遠のさよなら、ではなくて。過去の自分は、今の自分の「見えないけれど確かに自分をかたちづくっているもの」として僕の地層の一部を成している。

人生は本当に奥が深いんだ、20歳の頃の僕よ…!

ALL YOURSへチーム山梨より応援メッセージ!

頑張れ、ALL YOURS!

僕も仲良しで、山梨にもファンの多いアパレルブランド、ALL YOURSがなんと!毎日ファッション大賞にノミネートしました。
※日本で最も権威のあるファッションアワードの一つ。初代受賞はCOMME des GARCONS…!

コミュニティベースで人気を広げてきたALL YOURS、大賞もコミュニティベースで狙うというスゴいアイデアを敢行。1,000人に受賞の応援メッセージをクラウドファンディングで募っているようです。

・「第36回 毎日ファッション大賞」のために1000人の共犯者を作りたい!| CAMPFIRE

仲良しの木村くんの晴れの舞台、僕も何か力になりたい…!
ということで、チーム山梨でこのブログを借りて応援メッセージを送りたいと思います。

チーム山梨も共犯者になるよ!

ということで。
ALL YOURSのみんな、僕たちも共犯者に加えておいてください。

【共犯者 from チーム山梨】
佐野 潤一
赤羽裕子
斎藤和真
丹澤亜希斗(AKITO COFEEE)
高野雅子(AKITO COFEEE)
発酵兄(五味仁)
発酵妹(五味洋子)
発酵弟(小倉ヒラク)
石川幸之助(SUNDAY)
吉田陽介(NAP)
赤松智志(Hostel Saruya

他にもALL YOURSファンの山梨ピープルいたら、クラウドファンディングで名乗り出よう!

ALL YOURSは僕たちの世代の「まっとうなファッション」

ALL YOURSの服は、いっけんシンプルなんだけど服がユーザーのところに届くまでのプロセスにこそイノベーションがある。
トレンドと見栄と業界のしきたりで窒息していたアパレル業界に穴を開け、風通しをよくしようとしている「まっとうなファッション」を目指すブランドだ。

山梨チーム一同、ALL YOURSの大賞受賞とさらなるブレイクスルーを応援しているよー!
ALL YOURSが気になる人は、木村くんをゲストに迎えた僕たちのラジオ番組を聞いてね。


・発酵兄妹のCOZY TALK「オールユアーズのはなし」 | YBSラジオ

 

見えない生命と対話するキッズワークショップ、ALIFE2018で開催!

えー、またもや大きな告知です。
来る7/23&7/26、科学未来館で開催されるALIFE(人工生命)の国際学会のプログラムとして、子供向けワークショップを開催することになりました。

ふだんから味噌や麹の仕込みワークショップをやっていますが、今回はいつもとは違うよ!

【そもそもALIFE2018とは】
人工知能のさらにその先にある「そもそも生命のシステムとは何か?」を領域を超えた研究者たちが集まって考える国際学会。東大の人工生命研究のトップランナー、池上高志さん主催のAlife Lab.主催の複雑系科学の最前線に触れられるカンファレンスです。
公式サイトはこちらから。

今回のプログラムの目玉はこれだ!

・微生物の働きを可視化する電子キットをお披露目!
東大池上高志研究室とコラボして、微生物の働きがデータになって可視化される電子工作キットをお披露目します。コンピューティング×発酵という前代未聞の電子デバイスで遊ぼう!

・身近な発酵の面白さから、微生物の世界の謎まで実感できる!
今回のテーマは「見えない生命と対話する」。単なる仕込みのワークショップを超えて、微生物の世界の仕組みや生物の織りなすミクロな生態系の面白さがわかってしまう愉快なプログラムを準備しています。

・コンピューティング×発酵。温故知新のクロスオーバー体験
今回はせっかくALIFEの研究者たちとコラボするので、僕からの生物学のレクチャーにあわせるかたちで、どのように生物の代謝をデータやアルゴリズムに変えていくのかの体験型レクチャーも予定しています。異なるジャンルの知をクロスオーバーに学べるよ!

一緒に開発している東大池上研の俊英(左二人)と、ALIFE2018のオーガナイザーの一人、岡瑞起さん。

ちなみにこのプログラム。国際学会での開催ということもあり日英バイリンガル。
海外の親子と日本の親子両方で楽しく学びます。

各回15組づつの募集でぼちぼち枠が埋まっているので、気になる方はお早めに!
子どもはもちろん、親も楽しめるワークショップです。

プログラム詳細と申込み

ALIFE for Kids | キッズ向けワークショップ

人工生命国際学会「ALIFE 2018」の関連イベントとして7月23日、26日にキッズ向けワークショップ「ALIFE for Kids | Future Biology for Kids」を開催します。
1日目は微生物を扱う方法を実践的に学びます。2日目にはキットを使って微生物とのコミュニケーションやミクロな生態系の知覚を試みます。子供たちの好奇心を育み、楽しく学べる体験型ワークショップとなっておりますので、ぜひ、両日共にご参加されることをおすすめします!

▼開催概要
【目的】
A:目に見えない生き物と対話する
B:微生物の見つけ方や育て方を学ぶ
C:ミクロの生態系の働きを可視化して理解する

【対象年齢】6〜17才(Day.1 は5才以下のお子様もお楽しみいただけます)
【定員】15組/回
【参加費】一日のみ:7,000円/組 2日通し:12,000円/組

▼プログラム

Day1: 見つける、つくる
7/23 10:00 – 12:30
・会場近くの微生物を捕まえて観察してみよう
・発酵食品の仕込みを通して微生物のことを学ぼう

Day2: 見えない生命を可視化する
7/26 10:00 – 12:30
・オリジナル電子工作キットを使って微生物の働きを可視化します
・どのようにセンサーが微生物の働きを読みとるのか、実践的に解説します

【参加方法】
下記チケット販売サイトよりご購入ください。
http://alifeforkids.peatix.com

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ALIFE 2018は、「Beyond AI」というテーマのもと、2018年7月23日~27 日に日本科学未来館にて開催されます。7月7日までRegular Ticket を販売中。
http://2018.alife.org/registration/
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『発酵文化人類学』が雑誌ダ・ヴィンチ「ひとめ惚れ大賞」を受賞しました。

大ニュースだ〜!!

去年出版した『発酵文化人類学』が、本の情報誌ダ・ヴィンチ最新刊「ひとめ惚れ大賞」のコーナーでななな、なんと!栄えある大賞を取りました

審査員を務めるコルクの佐渡島庸平さんが推薦してくれたのがご縁となって、出版から一年以上経った本が受賞という快挙!佐渡島さん、ありがとうございます。

著者インタビューでは、本を書くプロセスや届け方をメインにお話をしました(内容の話をすると文字数がおさまらない…!)。
従来の流通のやりかたにこだわらず、読者と一緒になってつくってきた動きを評価してもらって本当に嬉しいです。

ちなみに僕の仕事が何かのアワードを受賞するの、2014年のグッドデザイン賞以来。賞を取ることが目的とは思わないけれど、やっぱり嬉しいものですね。

いまだ勢い衰えない『発酵文化人類学』、まだ読んでない方はこの機会にぜひどうぞ。ダヴィンチ編集チームの皆さま、お世話になりました!

おべんとうの国を旅しよう!アニメ『おべんとうDAYS』ができるまで

おべんとうの国を旅しよう!
2018年7/21から始まる、上野東京都美術館『おべんとう展』の出展作品としてつくった新作アニメ『おべんとうDAYS』を公開しました。

作詞作曲:松本素生(GOING UNDER GROUND)
振り付け:flep funce!
映像制作:小倉ヒラク
企画: 東京都美術館『BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン』

プロジェクトのあらまし

「東京都美術館です。ヒラクさん、お弁当をテーマにした展覧会にアニメ作品を出展しませんか?」

「えっ?美術館?お弁当?アニメ?出展???」

2017年の秋に届いた情報量の多すぎるオファー。都美術館って、印象派の展覧会やってる老舗のミュージアムだよね。なのにお弁当?そして展覧会に出展する人って美術家とかなんじゃないの?僕、発酵界の人なんだけど…

とドキドキしながら東京都美術館に出向いたところ、めちゃ知的でフレンドリーな学芸員チームの皆様が出迎えてくれました。

コミュニケーションデザインとしてのお弁当をテーマに展覧会を企画しています。お弁当から始まるコミュニケーションのかたち、自然との向き合い方、文化のつながりを現代美術作品や民俗学の資料をミックスして表現したいなと思っていて…」

という説明を聞ききはじめてすぐに、「あ、これ絶対ヒットする企画や!」と確信。何より「コミュニケーションデザインとして食文化」というテーマは僕の『発酵文化人類学』のメイントピックス。僕、美術館と仕事したことないけど、このテーマならきっとできる気がする…!

「わかりました。では展覧会の予告にもなるような素敵なテーマソングつくりましょう!もちろん、ダンス付きで!( ー`дー´)キリッ」

とその場で「歌って踊るお弁当」という謎すぎるコンセプトが誕生。
『てまえみそのうた』『こうじのうた』に続く、歌って踊る食アニメの新作をつくることになったのだな。

音楽はGOING UNDER GROUNDの松本さん!


オフィシャルWEBサイトより。写真真ん中が今回音楽を手がけてくれた松本素生さん。

僕のつくるアニメ作品は、70%くらい音楽で決まります。つまり、どのミュージシャンにお願いするかがプロジェクトの成功の鍵を握っている…!

としばらく悩みまくった結果、GOING UNDER GROUNDの松本さんのところへお願いしにいくことに。理由は以下の3つ。

① デビュー20年から一貫して変わらず素敵な曲をつくりまくり!
② めちゃポジティブで気持ちが温かくなる声とメロディ
③ 前に僕がイベントで呼ばれたカフェで夜バーをやっていた(BAR天竺)

GOING UNDER GROUNDの最新曲。ずっと変わらず良い…!ていうか今のほうが良くない…?

音楽や芸能業界に何のコネもない発酵デザイナーが松本さんのバーに押しかけて「曲つくってください!」とダメもとで頼んでみたところ、

「オレ、料理するの好きなんですよ。子どもと一緒によく上野に展覧会見に行くし。やりますよ!」

とまさかの快諾。う…嬉しすぎる…!

プロジェクト初期のイメージボード。ここから松本さんと二人で曲のイメージを膨らませていきました。

そして2017年が終わり、お正月を過ぎた頃にBAR天竺に松本さんを訪ねていきました。

「ヒラクさん!曲できましたよ!!」

とカウンターからギターを取り出して歌い出す松本さん。

「うんまい♪うんまい♪うんまいお弁当♬」

と一発で口ずさんでしまうポップすぎるメロディー。最高すぎる!
さらにスタジオ収録の合間につくってくれたデモ版も聴かせてくれて、あれ、なんだろうこのアレンジ?リズムもベースも口で演奏するdoo-wop(ドゥーワップ)スタイル…?

「お弁当の曲でしょ。だから口で演奏しようと思って!」

ててて、天才すぎる…!メジャーミュージシャン、スゴすぎ〜!!
ほんとに松本さんにお願いしてよかった……。

親子で踊るおべんとうダンス

最高の音楽ができる!ならば最高のダンスをつくるしかない!

ということでダンスの振り付けをお願いしたのは『てまえみそのうた』『こうじのうた』の愉快なダンスでおなじみのflep funce!の二人。

「親子で踊れてお弁当がつくりたくなって、かつワークショップも盛り上がるような…」

といつものごとく無理難題の依頼をしたのですが、全然動じない二人。

「せっかくだから子どもが自分でお弁当つくりたくなって、それを大人が見守るようなダンスがいいね〜」


手前が子ども。後ろが大人。大人が子どもを応援するダンスです。

そしてできあがった親子で踊れるおべんとうダンス。なんと!展覧会の会期中にダンスワークショップやるので遊びに来てね〜。

flep funce!今回もグッジョブ!

ストーリーと見どころ

最高の音楽とダンスとともに完成した『おべんとうDAYS』。
歌って踊れるPV仕様(3分21秒)なんですが、実はストーリーがあります。本編だけだと短すぎてよくわからないので、ブログで補足しておきます(まあストーリー関係なく楽しめるようになっているんですが、せっかくおはなし考えたからみんなに伝えたい…!)。

「えっ、マッドサイエンティストと山の神さまの間に生まれた猫型女子?」

と突っ込みが聞こえてきそうですが、なんでこんな設定が生まれたのか僕にも謎です。汗
主人公ね子ちゃんとお目付け役のロボット、おべんとウサギが弁当箱型乗り物に乗って、色んな時代の色んな文化を旅します。そこで最高のお弁当食材を集めて山の向こうで仕事(職業:神さま)しているパパに届けにいくぞ!というのが基本のストーリー。

戦国時代や江戸時代の工夫満載のビックリお弁当や、インドやアフリカ、ヨーロッパのお弁当も登場。武将や木こり、海女や江戸の町人などなど、様々なキャラクターが出てきます。さらにおべんとう展に出展するお弁当ハンターの写真家、阿部了さんやオランダのアーティスト、マライエ・フォーゲルサングさんも登場(あと一瞬だけ『てまえみそのうた』のキャラも出てくるよ)。


世界各国のお弁当が登場。ちなみに現物は展覧会で見られるよ!

お弁当が出てくる有名な絵巻物や写真集のサンプリングも多数。さすがにマニアックかしら…と思ったら学芸員チームに見破られた!

季節の食材を使ったお弁当も登場。これは江戸時代の春の行楽弁当。お花見や相撲見物のときに食べられていたそうです。美味しそう…!

今回をきっかけに知ってハマった江戸のビックリしかけ弁当箱。碁盤や瓢箪、お城や魚など奇想天外なお弁当箱を取り上げました(←現物見たすぎて京都のお辨當箱博物館まで行った)。

あとアニメ制作のことについてもちょっとだけ。
これまで僕がつくったアニメの2倍くらい動きと作画の質が緻密になっています。最後のサビのパートでは六人が同時に踊るので、そのパートだけで作画量数百枚。汗

作画にあたって一番試行錯誤したのはカラーパレット(色のバリエーション)。最終的にたどり着いたのは、日本の伝統色の見本帳。そこから食べ物の色だけを抜き出してカラーパレットをつくっていきました。紫=ナス、オレンジ=人参、青=浅葱、ピンク=桜などなど。

食べ物の色で食べ物描くとめちゃくちゃ美味しそうに見えることにビックリ。日本の色彩感覚スゴい…!

みんなでつくろうおべんとう!

考えたことと、これからの展開


ね子ちゃんとおべんとウサギの最初のスケッチ。

今回のプロジェクトで考えたことと今後について。

▶アニメをつくる時に考えたこと
今回のアニメの裏テーマは「お弁当からみる多様性」。
最高のアニメをつくるべくディスカッションを重ねた学芸員チームの多くは女性。精力的に働きながら子育てしている人も多い。その人たちと一緒につくるのだから、

お母さんのお弁当、最高!みたいなのは絶対つくらないぞ…!!

ということを決めました。忙しい時に100%ていねいにお弁当つくるなんて無理だし。あとは僕の友だちにはお父さんのほうがお弁当つくっている家庭も多い(ちなみにヒラク家は母が料理苦手の仕事大好き人間で、それが主人公一家のキャラ設定に影響しています)。

かならずしもていねいじゃなくてもいい。
誰が誰につくってもいい。
完璧じゃなくてもいい。
どんなかたちでも「やろう!という気持ちがある」ということをリスペクトする。

これがストーリーをつくる時の僕のポリシー(そして僕の発酵デザイナーとしての活動のポリシーでもある)。あともうひとつ。

お弁当は日本の誇るべき伝統!みたいな安易な日本称賛もイヤ〜!!

確かに日本はお弁当文化がかなりユニークに発達した国ではある。でも、他の国にも美味しくて楽しいお弁当文化があるんですね。

例えばインドのデリバリー弁当のダッバーワーラー。デザインめちゃ可愛いエチオピアのインジェラボックス(インジェラはエチオピア独自の発酵クレープ)。そしてもちろんヨーロッパにも。僕がフランスに住んでいた時は、よくランチボックスにパンやお惣菜を入れて友達と公園でピクニックランチしたり。

つまりお弁当の楽しみは万国共通!
その家の、その文化それぞれの最高のお弁当がある。絶対的な正解がないのが食文化の醍醐味なんだよね。

お弁当のつくりだす文化の多様性。そしてつながるコミュニケーション。
このスタンスは、映像以外にも松本さんのつくってくれた歌詞にも反映されています。

心と心つなぐお弁当。できたら満点だ!

▶今後の展開について
このアニメは展覧会に先行して公開されるPRソング。
と同時に展覧会の出展作品でもあります。なので展覧会場で上映されます。でもせっかく美術館の空間に展示するので、よりアニメと他の展示が楽しめる仕掛けを考える予定。

今のところのアイデアですが、アニメのストーリーがより立体的にわかる絵本的なイメージボードをつくろうかなと思っています。

そして。展覧会会期中の7/29にダンスの振り付けを手がけたflep funce!と一緒に親子で楽しむダンスワークショップをやる予定です。詳しくはまた都美術館からお知らせがあると思うのでお楽しみに!

さらに!なんとミュージアムショップでこのアニメのキャラクターのデザイングッズが販売されるようです(これからデザインする)。お土産にピッタリの可愛いグッズをつくるのでこちらもお楽しみに!

展覧会は7/21から!


展覧会のメインビジュアル。デザインは『発酵文化人類学』の装丁を手がけたBAUM。スゴい偶然…!

最後に展覧会の告知でーす。
『BENTO おべんとう展-食べる・集う・つながるデザイン』の開催期間は7/21〜10/8。

前川國男設計のめちゃ雰囲気のある会場に、マライエ・フォーゲルサングさんや北澤潤さんの巨大インスターレション、阿部了さんや小山田徹さんの写真作品、大塩あゆ美&平野太呂さんや森内康博さんの映像作品、さらに色んな博物館とコラボした貴重なお弁当箱コレクションの展示などがギッシリ詰まった見応えのある展覧会になりそうです。

家族で、友人で、もちろん一人でもどうぞ遊びにきてくださいね。僕も何日か会場に滞在する予定です。

☆☆おべんとう展のオフィシャルサイトはこちら☆☆

都美術館の学芸員チームの皆さま、松本素生さん&flep funce!、手伝ってくれたみんな、ほんとにどうもありがとうございました。アニメも展示会も目指せ大ヒット!

【求むスポンサー】渋谷ヒカリエd47 MUSEUMで『47都道府県の発酵』やります!

こんにちは、発酵デザイナーの小倉ヒラクです。
普段から僕のブログ読んでいる人、はじめましての人に呼びかけです。

ヒカリエ8階のギャラリーで大きな展覧会やるから、協力してほしい〜!!

来年2019年の春から僕の企画で『47都道府県の発酵(仮)』という展覧会が始まります。
会場は渋谷ヒカリエd47 MUSEUM。全国から知られざるローカル発酵食を集めて体系化し、日本の郷土食の多様性の秘密を解き明かす…!という壮大な企画に挑戦するので、この場を借りてスポンサーを募りたいと思います。

☆そもそも僕は何者?という人はこちらをご覧ください

プロジェクトのあらまし

ではまずプロジェクトのあらましから。
そもそもなぜこんな壮大な企画をやるのか?

▶日本各地に根付く不思議な発酵食品
僕は発酵と微生物のスペシャリストとして全国各地の発酵文化を訪ねて歩いているのですが、しばしば「ななな…なんだこれは?」とビックリするような不思議な発酵食品に出会います。
それもひとつやふたつではなく、北から南、山間地から離島まで、人口わずか数千人の小さな村にびっくり仰天!な発酵文化が継承されているんですね。

▶酒や味噌だけじゃない!ユニークすぎる発酵文化の宇宙
日本の発酵食品というと、日本酒や味噌、醤油や納豆など日常の食卓になじみのあるものが思い浮かびますが、実は各地にあるローカル発酵食品の多くがスタンダード発酵には当てはまらない多種多様なミクロコスモス。土地の特色を活かした漬物や調味料、分類を超越したガラパコス発酵食品やなぜか古代や海の外のを受け継いでいる不可思議なルーツ発酵食品などなど、「日本の発酵とは◯◯である」という先入観を粉々に吹き飛ばす発酵ミクロコスモスが広がっているんだYO!

▶発酵から日本の郷土食の多様性が読み解ける?
拙著『発酵文化人類学』でもいくつか不思議なローカル発酵文化を取り上げました。そこから見えてくるのは、土地や気候の特性や人の暮らし、そしてダイナミックな歴史の変遷。発酵デザイナーの僕からすると、ローカル発酵食を紐解くことはその土地の気候風土、文化や経済を読み解くのに等しい。

ということはだよ。
全国のローカル発酵文化を紐解けば、日本の驚くべき食文化の多様性が読み解けるということではないかしら?

発酵から日本食の秘密にアプローチできるということではないかしら〜!!

…という気づきが今回の展覧会をやることになった最初のきっかけ。
その気づきからしばらくして、渋谷ヒカリエのD&DEPARTMENTに立ち寄った時に展示担当の黒江さんと世間話しているうちに、

「じゃあd47 MUSEUMで展覧会やりましょう!」

という流れになっていきました。
コンセプトもある。会場もある。協力してくれる人たちもいる。そして何より熱意がある。

これはもう、やるしかない…!
絶対とんでもなく手間と時間かかるけど、絶対に面白くなる自信がある…!!

プロジェクトの概要

それでは次にプロジェクトの概要を説明します。
展示をメインにいくつかのプロジェクトを組み合わせます。

▶渋谷ヒカリエ8階 d47 MUSEUMでの展示
47都道府県+離島からその土地に根ざした発酵食品を集め、展示します。
ただモノを展示するのではなく、製造方法、生まれた背景、系譜も編集&デザインしてプレゼンテーションします。で、僕的にこだわりたいポイントは以下の3つ。

・普段見聞きしない知られざる発酵食品を優先して取り扱う
ex: くさや、すんき、碁石茶、セン、松浦漬け、黒糖焼酎など
・ただのカタログで終わるのではなく、製法や系譜、微生物の扱いなどを分類・体系化
・海外の人にも楽しんでもらえるように英語表記&英語の広報もやる

【展示期間】2019年4月5日(金) ~ 6月10日(日)

▶関連イベントの開催
展示期間中に関連イベントを開催します。展示だけでなく実際に手にとったり味わったり生産背景がリアルにわかる機会をつくってよりディープに発酵の宇宙を感じてほしい…!

・各地域からゲストを招いてのトークイベント/バイリンガルの発酵文化ガイダンス
・各地のリアルローカル発酵ブツが手に取れるマルシェの開催(渋谷ヒカリエ8階)
・リアルローカル発酵食品を味わえる料理の提供(d47食堂)

▶書籍『47都道府県の発酵』の制作
今回の企画を書籍に編集します。カタログとしてはもちろん、日本の発酵の系譜と多様性を読み解ける楽しく奥深い本にする予定。展示開始にあわせて販売します。

…ここまでがヒカリエ8階で定番のパッケージ。
しかし!今回はもうひとつ、この企画ならではのスペシャルプログラムがあるんだよ〜!

日本各地を巡る「発酵ツーリズム」に出ます

今回の企画を完遂するためには、言い出しっぺの僕が展示する発酵食品の製造現場を全てまわらなければいけない。すなわち…

47都道府県の発酵を訪ねる旅=発酵ツーリズム

に出なければいけないということなんだよ。
ということで、僕は今年の夏過ぎから各地の醸造現場を訪ねる旅に出ます。

去年の『発酵文化人類学』の出版ツアーのごとく、通常運転の仕事をストップして日本全国をまわってひたすらアーカイブしまくる旅に挑戦するぞ〜!去年も4ヶ月で55箇所まわったし、多分イケる…やればできる〜!!

・【発酵文化人類学】全国縦断55ヶ所、2000人に本を届けた出版ツアーの成果発表!

旅の期間中、僕のWEBとD&DEPARTMENTのメディアを連動して「47都道府県のローカル発酵レポート」をガンガン公開していきます。そのアーカイブが編集されて展示と本になっていきます。展示本番はもちろん、旅の期間中にも応援してくれる皆様をディープな発酵の宇宙に誘ってしまおうという算段なのだぜ。

【旅する期間】2018年8月〜年内いっぱいを予定

スポンサー大募集!

各地から発酵食品を集めたり、全国旅したり、大規模な編集やデザイン作業も必要!
しかも日本のローカル郷土食をアーカイブできる千載一遇のチャンス、海外の人にも来てほしいから翻訳したり広報したりの手間も必要!つまりけっこうな予算がかかる!

ということで、スポンサーを大募集したいと思います。

第一弾の募集は、企業や行政、財団法人などのスポンサーを募ります。

・各地の志ある食品メーカー
・発酵で地域のPRをしたい地方自治体
・旅行や移住促進、地方の求人などを扱う企業/団体
・直接関係ないんだけどピンとくる人

用意したのは、以下の2コース!

☆☆発酵サイコー!コース:85(ハッコー)万円☆☆
・僕のWEBサイトでの取材記事の掲載
・展覧会公式ウェブサイトの掲載
・トークイベントへの出演
・公式書籍 広告ページへの掲載
・会場内、告知物への掲載

☆☆圧倒的名誉コース:250万円☆☆
・発酵サイコー!コースのメニュー
・イベントネーミング含め圧倒的名誉な特別メニューを一緒に考案
・チーム一同命が続く限り圧倒的に感謝し続けます

詳しいスポンサー募集用資料はこちらから:PDFへリンク

これが基本パッケージ。
それとは別に、僕が旅するのと連動してまちおこしやイベントをやってみたい!という人は別途ご相談ください。

最初に募集するのは5枠(うち圧倒的名誉コースが1枠)。
応募多数の場合は企画コンセプトと相談のうえお返事させてください。申し込みは以下のフォームからどうぞ。

【一次募集〆切】2018 7/20(金)23:59まで!

お名前

所属

メールアドレス

好きなご当地発酵食品

期待していること応援メッセージどうぞ

※事務局の窓口に直接メールが届きます
※個人情報は他の用途には使いません

▶個人スポンサーの募集について
「ワタシのもできることないかしら?」と思っているそこのアナタ!展覧会期間が近くなってきたら個人向けスポンサー募集もやるので、少しだけ待っててください。
必要!みんなの力も必要なんだ〜!!
(実はプロデューサーおのっちから「まずはB to Bから固めよう!」とアドバイスされた)

愉快なチームで頑張るぞ!

今回の企画を手がけるチーム体制について。
手前みそなんですけど、最強の体制になったのでちょっと自慢していいですか?


▶小倉ヒラク:ディレクター
企画&言い出しっぺは僕です。


▶D&DEPARTMENT:開催&事務局
ナガオカケンメイさんをヘッドに、展示担当の黒江さんが企画の開催&事務局を受け持ってくれます。お世話になりまーす。


▶小野裕之:営業&プロデュース
企画営業のプロデュースに大親友のおのっちさん。greenz.jpはじめ幾多の事業で培ったプロデュース力でこの企画を強力バックアップしてくれます(特にお金まわり)。
今回の企画で生まれるコンテンツを価値に変えてくれるプロデューサー、よろしく頼んだー!


▶藤本智士さん&チームRe:S:編集&クリエイティブディレクション
さらにサプライズきたぞーーー!!ローカルメディア界のレジェンド、藤本智士さん(Re:S / のんびり)が今回の企画のクリエイティブディレクターに就任します。これはもう絶対にハイクオリティすぎるものができるに違いない…!

まずはこの布陣で始めて、企画の進行とともにさらに新たな仲間がきっと加わる、はず…。
それでは皆様との良きご縁と支援を願いつつ、次なる愉快な発酵の冒険へ出発〜!

最後にヒラクの所感を聞いてください

最後まで読んでくれてありがとう。最後に今回僕が考えていることをメモしておきます。
ちょっと長いんだけど、読みたい人はお付き合いください。

▶発酵食は土地の記憶のアーカイブ
僕がもう10年近く発酵文化のことに関わっているなかで、どうやら日本においてこの発酵というものはその土地のシンボルであり、物言わぬ(けど食べれる)風土や歴史のアーカイブなんだということがわかってきました。

例えば東北のある小さな村に伝わるお漬物。それを紐解いてみるとその土地独特の気候風土はもちろん、わざわざ手間のかかる仕込みを通した村人たちのコミュニティ作りの知恵、さらには中世〜近世の日本の経済や海運などもわかってしまう。

「えっ、それは大げさじゃない?」

と思うそこのアナタ!いやほんとなんだよ。詳しくは僕の著書『発酵文化人類学』を読んでいただけるとよくわかるのだが、発酵食品は制限された環境のなかで生きていくしかなかった昔の日本人たちのサバイバル術が生み出した独自すぎる技術の宝庫。建築家なら建物を見て、民俗学者なら祭りを見てその土地の記憶を引き出していくのと同様に、発酵デザイナーである僕は地域の発酵食品を通してその土地の辿ってきた数百年をまるでドキュメント映画のように見ているんだ。

今回の展示では、僕がずっとやっているこの体験をみんなとシェアできたらいいなと思っています。たった一つのお漬物からこんないっぱいエピソードが出てきたスゴすぎる…!という感動をみんなと分かち合えたらいいなあ。

というのがまず動機の一つ。で、もうひとつ考えていることがあります。

▶発酵から生まれる未来のムーブメント
10代の頃からずっと海外を旅して、ここ2〜3年は海外での仕事も増えてきました。色んな国をまわるなかで、やはり日本の郷土食の多様性は素晴らしいなと実感します(もちろん日本だけが素晴らしいわけではないからね)。行政や経済界からも大きな価値を置かれてこなかった地域の食文化と農業が、いまだにその伝統と生態系を維持してこれたのは、実は発酵文化の存在が大きい。

発酵食品は加工することで付加価値をつくりだせ、しかも保存食なので遠い土地にも持っていける。その土地らしさを伝えるメッセンジャーとして江戸時代から地域のブランドをデザインしてきたわけです。現在でも、僕の友人の酒蔵や味噌蔵の醸造家たちがその土地の農業やコミュニティを応援する大事な存在として機能しているんです。

・小さな蔵が醸す農業と伝統の未来。発酵が生み出すローカルの可能性 | みんなのミシマガジン

こういう現実を見るにつけ、日本において発酵文化というのは美味しい、健康にいいという食の領域を超えて、地域の未来をつくる最重要ファクターであり、新しいムーブメントをつくるためのハブになりえるのではないか?と僕は思っているんです。

今回の企画ではめちゃローカルな内容を扱いますが、同時に表現方法としてはグローバル仕様でいきます。その理由は、僕が海外で出会って僕の活動を応援してくれている様々なムーブメントのオーガナイザーたちに見て欲しいから。

ローカルの価値は他の土地のローカルにこそ深く理解してもらうことができる。今日本で起き始めている発酵を巡る新しい流れは、日本だけでなく世界で起きている流れとつながっている。小さなものは大きなものに回収されて消えてしまうのではなく、小さなままどんどん増えて大きな変化を起こすことができる。まるで微生物のように。

この企画がこれから始まる未来の「発酵スターター」になるといいなと思っています。

小倉ヒラクより

試されまくっている発酵デザイナーの最近まとめ

ここ最近の僕は試されまくっている…!
最近進んでいるプロジェクトを備忘録がわりにブログに記しておきます。
(2018年 6月15日現在)

進行中のプロジェクトいろいろ

もうすぐ新作アニメが公開されるよ
7月から開催の東京都美術館「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」の出品作品&テーマソングのアニメ『おべんとうDAYS』がもうすぐ公開になります。とにかくこのアニメをつくるのがめちゃくちゃ大変でここ一ヶ月ゾンビのようになっていました。気がつけばアニメ五作目。しかも美術館の展示作品ということでかつてないクオリティ目指すぞ!と気合を入れているので、音楽も動画もめちゃメジャー感のあるナイスなアニメができつつあります。みんな楽しみにしててね。

ちなみにこの展覧会企画をきっかけにお弁当ハンターの阿部了さんやオランダの作家マライエ・フォーゲルサングさんとの楽しい出会いや気鋭の現代美術家の北澤潤さんとの再会があったり、アートディレクションを僕の本の装丁をしてくれたBAUMが手がけていたり、色んなご縁を感じています。

英語での『発酵文化人類学』レクチャーに挑戦するよ
参加三年目となるハンガリー・ブダペストのIPC(International Probiotics Conference)。オーガナイザーから「今年は発酵文化人類学のプレゼンしてよ!」とリクエストがあったので、今年はワークショップではなく本気のレクチャーをやります。いよいよ発酵文化人類学が海を渡る時がきた…!そしてたいして上手くない英語でちゃんとプレゼンできるのか?とドキドキ。6/18から5日間ほどヨーロッパに行ってきまーす。

発酵文化人類学の講義ができたよ
青山ブックセンターの企画の山下さんから「発酵文化人類学を講義にしませんか?」とお誘いしてもらって、本の内容をベースに文化人類学と微生物学を合体させた不思議すぎる講義ができました。「こんな謎すぎる講義に人来てくれるかしら?」とフタを開けてみたら超大盛況。とっても好評だったので今回で終わりではなく定期開催しようと思っています。

ALIFE 2018で子供向け発酵ワークショップやるよ
国際学会続きでもうひとつ。同じく今年7月にお台場科学未来館で開催される国際人工生命学会(ALIFE 2018)のメンバーの一員として加えてもらって、子供向けの発酵&微生物ワークショップを開催できることになりました。きっかけは情報学者のドミニク・チェンさんを会しての人工生命研究のパイオニア、池上高志さん、青木竜太さん岡瑞起さんたちとの出会い。

普段は発酵という古典的な領域で活動していますが、このワークショップではロボティクスやIT技術を使ったスペシャルプログラムに挑戦します(2016年に開催した発酵デザイン講座の延長線上の内容になる予定)。しかも国際学会なのでこれもまた英語!試されてる、試されてる自分〜!

来年大きな展覧会をプロデュースするよ
詳細は近日お伝えしますが、来年渋谷で大きな展覧会のプログラムディレクターをやります。テーマはもちろん発酵&微生物なんだけどちょっとバカバカしいぐらい壮大なテーマに挑みます(そしてまたもやバイリンガル仕様)。みんなの力を借りないといけない大きなプロジェクトなので、詳細公開したらぜひ協力してほしい〜

ミシマ社とのプロジェクトが進行中
Re:Sの藤本さんやタルマーリーを介して仲良くなって、WEBマガジンで連載もしているミシマ社の代表三島さんとともに二泊三日で秋田を旅してきました。ミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』の次号の特集はなんと、発酵と地域の未来!2016年のスペクテーター『発酵のひみつ』のように、僕はその号のナビゲーターを務めることになりそうです。さてどんなスゴい内容になるのやら…

ラボ建設がじわじわ進んでいるよ
本格的に発酵と微生物を研究するぞ!と山梨の山の中の敷地にセルフビルドで発酵ラボを建設中。土地を開墾して土を掘って基礎を打って…と土木工事から自分でやっているのでゆっくりとしか進んでいないのですが、ついになんとなくカタチが見えつつあります。

現状の完成図では、ブドウ畑のうえにオフグリッドのラボと小屋が浮かんでいるというなかなかアヴァンギャルドな絵が見えてきています。秋頃には試運転できるように頑張っています。しかもこのプロジェクト、ジブリの会報誌『熱風』で連載している作家の川内有緒さんも敷地内に小屋をたてるプロジェクトで加わって静かに盛り上がってきています。ブドウが育つ再来年くらいにきっとイケてるランドスケープが山梨の山の中に生まれているはず…!

などなど。最近の僕はひたすら試されている…!頑張って次の山に登るぞ〜!!プロジェクトでご一緒する皆様、どうぞよろしくお願いします。

 

ハスラー・ギーク・ヒップスター。

未知のものを発見する、仕組みをつくる、価値を与える。
新しい価値ができて、そこに需要が生まれる。事業やプロジェクトが生まれる時には価値のデザインのトライアングルが必要。そしてそのトライアングルは一人ではムリで、役割分担が絶対必要〜!!

プロデュースおじさんの職能3分割

…と最近痛感するわけです。
それはなぜかというと、仲良しのクラシコムの青木耕平さんとgreenzのおのっちさんの影響。

青木おじさん、おのっちおじさん、あと僕で「プロデュースおじさん」という謎の三人組が結成されています。

・プロデュースおじさんの脱力系ビジネス論がログミーで読めるよ!

この三人はキレイに職能が三分割されていて、

青木さん=ヒップスター
おのっち=ハスラー
ヒラク=ギーク

の役割。これが前述の「価値づくりの役割分担」なんですね。

ギークは自分の好きなことを延々と掘り続けるオタクで、ハスラーはそのオタクに「チームでやったらもっと掘れるよ」と声をかけて仕組みをデザインし、ヒップスターは「掘った穴を洞窟ホテルにして一儲けしよう」と掛け合わせで新しい価値をつくる。

それぞれ得意な力の使いどころが違うので一緒にいるわけです。

全部できる自分を手放せ!

「自分は全部できる!」と、器用な人ほど思いがちです。
実際に全部できたりするんだけど、それぞれが中途半端なレベルでまとまってしまう。自分の目指すもののレベルや規模が上がってきたら「全部できる自分」を手放してしまうほうが、実は自分の目指すものを実現しやすいのではないか…!?
と気づいたのは、青木さんとおのっちさんとよく一緒にいるからなのでした。

発見するのと、仕組みをつくるのと、価値を与えるのはそれぞれが違う領域のデザイン。

一人で全部やっても大した価値はデザインできない。自分ができるどれか一つを選んで最大化させる。そしたら同じく最大化を頑張ってる違う領域の仲間ができるのでもっと面白いことができるしお互いリスペクトできる。

僕のケースでいうと、ハスラーとしては無能、ヒップスターはまあまあできるが無責任になる、同じことを延々続けられるのでギークがベスト!ということにここ最近気づいたわけで。どこかのタイミングで自分の弱みや中途半端な強みを手放さないとキャリアがこじれるんだよ(特に「中途半端な強み」を見切るのが難しい)。

ほんと、僕もそう思います。

 

【追記1】なおヒップスターの青木さんは「ヒップスターの価値と思い違い」について詳細に掘り下げているので興味ある人は検索してみるといいんじゃないかしら?

抽象性のサーカス。

さいきん仲良くなった友人にALL YOURSというアパレルブランドをやっている木村くんというナイスガイがいる。彼は思考力も行動力も過剰な「止むに止まれぬ理由でなんでもやりすぎてしまう系譜」に生きる男なんだね。

・木村くんゲスト回のラジオ『発酵兄妹のCOZY TALK』はこちらから。

世間には木村くんのように自分の言うこととやること一切に着地と答えを探さずにはいれない苦行に励むレア人間が一定の割合で存在している。

世間で流通している友人関係や仕事でのコミュニケーションって「ふわっとしている」ものが大半。

「◯◯さんって良い人だよね」

という世間話から、

「直近の事業課題は△△で〜」

というビジネストークまで、よく考えてみれば「良さって何?」「直近っていつからのこと?」という掘り下げなしになんとなく「そうだよね〜」という空気感で処理されている。

ところがたまに「そうだよね〜」と空気に流されるのが苦手なヤツがいて、そいつは「何それどういうこと?」としつこく問わずにいられない。しかもその突っ込みは他人だけでなく絶えず自分自身にも向けられる。結果そいつが言うことやることから「ふわっと感」が排除されることになる。

この強度が日常にドロップされると過剰感になる。

言葉や行動に強度を求めずにはいられない気質の人は、ふんわりした日常のコミュニケーションの場で自分の過剰さが浮き上がってしまう。それに耐えきれず自分の過剰さを相対化するために過剰な人種とつるみだすと、過剰な人間で構成される過剰なコミュニティが形成され、よりハードコアに世間から浮き上がっていく。

ご存知だろうか?
世の中には「ニッチな趣味でつながるサークル」が数多あるのだけれど(鉄道とか蘭とか)。それと同じ熱狂度で「抑えきれない過剰さでつながるサークル」が存在している。

このサークルが集うお茶会や飲み会は常人には理解できない強度で定義された概念がバンバン飛び交う抽象性のサーカスになるんだよ。

現実世界から抽出された概念を華麗にジャグリングし、社会を構造的に分析することで走り出す「仮説という名の馬」を乗りこなし、つながるはずのない事象を形而上学的次元で接合させるアクロバティックを「ブラボー!」と愛でるのが「抽象性のサーカス」。このサーカスは過剰界の住人以外には見ることができない。

 

「まだやってたのかおじさん」になりたい。

ここ一年色んなジャンルの人たちから「発酵×◯◯」で企画をやりたいと声がかかります。

直近の2〜3ヶ月だけ取ってみても

・発酵×密教(高野山飛鷹全法さんと)
・発酵×経済(ミシマ社三島さんと)
・発酵×コミュニティ(コルク佐渡島さんと)
・発酵×精神医学(星野概念さんと)

などなど、異種格闘技戦にも程がある…!な状態になっているんだよ。

「これは一体どうしたことだ?」と思いつつ、発酵好きを越えてたくさんの人が微生物の世界に興味を持ってくれていることはほんとに嬉しいことです。

で。こういう流れがしばらく続くと考えた時にだな。
僕は、まだやってたのかおじさんになりたいなと思うんですね。

「えっ、どういうこと?」

例えば僕に「発酵×◯◯企画やりましょう!」と声をかけてくれた人は、その企画が終わったらまた自分の領域に帰るなり、また別のコラボできるところへ移っていくわけじゃないですか。
それで10年以上経って、その人がある時ふと

「そういや昔、発酵×◯◯ってやったなあ…」
「あれ、一緒にやった小倉ヒラク君って今何やってるんだろう?」

と思い出して僕のことを検索してみた時に、

「やってた!ヒラク君まだやってたのか〜!!」

という存在になれたらいいなと。
これがつまり、まだやってたのかおじさん

世間の興味も流行も移り変わっていくじゃないですか。毎シーズン、たくさんのトレンドワードの船があっちこっちの海を渡っていく。

そのなかで僕は発酵&微生物という「港」でいれたらいいなと。
しかもその港はスーパー開かれていて、いつでも各国からの船から人や荷物が降ろされてくる。歴史が積み上がっているので「あの港から見える景色を一度見てみたいもんだ」と噂される。そういうの最高…!

ということで、僕はまだやってたおじさんという港になります。
ちょっと奥まったところにあるけど、見晴らし良くていい風吹いてるよ。

【第6期スタート!】発酵デザイナーのこうじづくり講座 in 甲府五味醤油

お味噌やお酒、和食のもととなる「こうじ」。
ちょっとした工夫と知識があれば、初心者でも家庭でこうじ菌を育てることができます。

発酵デザイナーが東京農業大学で研究に研究を重ねた「おうちでかんたん こうじづくりメソッド」で、和食の真髄である「こうじ」を手づくりしてみませんか?

2015年にスタートし、のべ1000人以上が受講した「発酵デザイナーのこうじづくり講座」、待望の第6期(2018年春)をスタートします!

楽しくこうじづくりをスタートできる4つのポイント!

1:一度覚えれば自分で繰り返し作れます。
従来の常識を打ち破る、素人でも再現できるカンタンメソッドなので、一度ワークショップで仕込み方を覚えると、次回からお家で繰り返し手づくりすることができます。

2:一人暮らしでも使いきれる量を仕込みます。
忙しいシティガール&ボーイでも気軽に使いきれる少量で仕込むので「作ってみたものの、使い道が…」という心配はありません。保存方法やレシピも伝授します。

3:教材のこうじづくりキット&絵本がついてきます。
何度でも繰り返し使える「こうじづくりキット」一式と、教科書となる絵本「おうちでかんたん こうじづくり」を贈呈。いつでもどこでも何度でもこうじづくりを楽しめます。

4:発酵の原理がわかる楽しいレクチャーも同時開催。
仕込みの合間に、発酵の仕組みと日本の醸造文化のツボがわかるレクチャーと、みんなでこうじダンスの実演をします。歌って踊って楽しくこうじのことを学びましょう。

第6期の会場は、山梨県甲府!

第5期までは東京での定期開催でしたが、今期から僕のホームである山梨での開催となります。そんな簡単にアクセスできなくなるぶん、山梨を満喫できるプログラムを盛り込んでみたぜ!

会場の五味醤油の蔵見学できるよ!
新会場は甲府の老舗味噌屋、五味醤油のワークショップスペース<KANENTE>。
ワークショップが終わった後は、発酵ニュージェネレーションの代表格である五味兄妹がけっこう丁寧に蔵の案内をしてくれます。プロのこうじづくりの現場をじっくり見てみよう!

会場ではホストに一緒にラジオ番組『発酵兄妹のCOZY TALK』をやっている五味兄妹がもてなしてくれます。ワークショップ後には蔵やお店を見学&お買い物できまーす。

夕方は夜の甲府で山梨ならではの発酵の真髄を体験!
せっかく山梨に来るのだから、すぐ帰らないで夕方から甲府の街に飲みに繰り出してみたらどうでしょうか。五味醤油から徒歩数分の『発酵居酒屋 かえるの寄り道』をはじめ、オススメのスポットがたくさん。飲み行くぞ!希望者にはワークショップ時にインフォメーションをお伝えしますのでぜひどうぞ。

熱燗体験の会場は<かえるの寄り道>はこんな感じ。発酵しまくりメニューがいっぱいのフレンドリーな料理屋さん。

最近あちこちから「実は山梨ってめちゃユニークな発酵大国なんじゃないか…?」と噂されている通り、他の地方では味わえない国産ワインや郷土食をはじめ、様々な発酵文化が根付いています。特にここ数年はイケてる飲食店が続々オープンし、お店の無限はしごすらできる…!

ついでに最近はゲストハウスもできているので泊りがけでもいいかも…?
僕も夜飲みに行くのでお時間ある人はいっしょに乾杯しましょう。

さらにパワーアップした特典いろいろ

出版ツアーで全国の醸造蔵を訪ね、さらにアップデートしたこうじづくりメソッドを導入!これまでより高い成功率になった…はず!
(とりわけ詳しくアドバイスくれた菱六の助野さん、どうもありがとうございます!)

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スペシャル種麹プレゼント!
素人でも扱いやすい種麹を使い切りぶんだけプレゼント!おうちでも試してみてね。

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講座オリジナルのアドバンスド資料
教科書となる絵本『おうちでかんたん こうじづくり』には載ってないマニアックな情報を網羅した資料を講座参加者にこっそりお渡しするよ…!

五味醤油のお手製お味噌汁or甘酒振る舞うよ!
五味醤油のこうじを使ったお手製味噌汁or甘酒も味わえます。プロのこうじづくりのテクニックも教えてもらえるかも…?

二泊三日の初日「仕込み」を体験。続きはコミュニティページで

本来、二泊三日かかる糀つくり。
このワークショップでは参加しやすいように、一日のWSでこうじを作ることができるよう工夫しています。当日みんなで仕込み、レクチャーでこうじができる仕組みを知ることで成功率を高めます。(万が一失敗した場合でも、無駄なく使える活用法をお教えします)

ワークショップ終了後は、各自が自宅へ持ち帰り、こうじが成長していく様子をFB上でグループを作ってシェア。どのタイミングで、どうしたらいいかをアドバイス&フォローします。
https://www.facebook.com/DIYkoji

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最終的には、こんな感じでお米にこうじ菌がモコモコしていきます。
参加した仲間と一緒にこうじを育てていくなかで「人生が変わった!」という人も。

そのほかにも発酵の基礎知識、糀の活用方法、こうじ使いの裏ワザなどを懇切丁寧に伝授します。人数限定なので、ご参加はお早めに!

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発酵デザイナーのこうじづくり講座

☆8月は酷暑のためおやすみ。9月から月イチで定期開催します。
9/1(土) 14:00〜17:30 ※12席限定

場所:五味醤油ワークショップスペース<KANENTE>
→会場へのアクセスはこちらから
→新宿駅からのバスも便利です ※中央三丁目で下車徒歩2分
参加費:7,500円(こうじづくりキット&こうじ600g&DVD絵本&種麹&スペシャル蔵見学)
定員:各回12組程度 子供連れ歓迎&子供のぶん無料!
※すでに「おうちでかんたん こうじづくり」の絵本をお持ちの方は絵本のぶん値引きします

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こうじづくりワークショップ専用申込みフォーム

お名前 (必須)

メールアドレス (必須)

ご希望の日にち (必須)
9月1日

参加人数 (必須)

何かあればご自由にどうぞ

小倉ヒラク:発酵デザイナー。「見えない発酵菌たちのはたらきを、デザインを通して見えるようにする」ことを目指し、全国の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作、ワークショップを開催。東京農業大学で研究生として発酵学を学んだ後、山梨県甲州市の山の上に発酵ラボをつくり日々菌を育てながら微生物の世界を探求している。ラジオパーソナリティの他海外での発酵の伝道師として活動中。『てまえみそのうた』でグッドデザイン賞2014を受賞。新著『発酵文化人類学』が3万部を超えるニッチなベストセラーにl

最後にイベントレポートもご一読あれ。

記念すべき第一回を開催した「てしごとぶ nou.」のイベントレポートを連載しておきます。
そうそう、こんな感じの講座なのです。

糀(こうじ)と過ごした3日間

和食文化の基礎を築くものである麹。
お米に花が咲くと書いて糀(こうじ)と呼んだそうで本当にモコモコふわふわお花が咲いたようになるのです。
今回は、趣味から研究者にまでなってしまった発酵デザイナーのヒラクさんをお招きしててしごとぶで去年作ったお米で、こうじ作りをしました。

こうじ作りといっても、WSでやる作業はシンプルでお米を蒸して、種麹(麹の元のようなもの)か、みやこ麹(スーパーで簡単に手に入る麹です)をぱらぱらとまぶし、箱に詰める。

1日目はそれだけなのです。

その後の温度管理が勝負なのですが、なんだ、こうじ作りってとても簡単じゃないか。とビックリしました。(先生の工夫の賜物です)しかも、ヒラクさんは、麹がどういう状態にあったら心地よいのか、どうなったら失敗してしまうかなどをとてもわかりやすく、素人でも簡単に感じられるように解説してくれるのです。

また途中、ヒラクさん(コージーズ)のこうじのうたに合わせて参加者みんなで踊ったのですが(振付がついてます!)なんだか、踊ったことで、場に麹菌が広がった感じというか、参加者みんなが米粒で、発酵したようなほっこりとした盛り上がりをみせました( ^ω^ )

楽しかった!笑

そして、お米を蒸す間に、麹の歴史や文化、科学を学ぶ。
これがまた面白い。

中国にも似た菌はいるけれど、ここまで味覚のベースになって、使いこなしているのは日本独特であること。
日本に存在している菌を、目的毎に選び出し、技術を生み出して使いこなしている麹の文化こそ、クールジャパンであるということ。大豆と麹と塩というとてもシンプルな食材である味噌は、なぜか地域それぞれに味の個性があること。

ヒラクさんの話を聞いていると、こうじが可愛らしくて、愛おしく感じてくる。

そして、日本の食文化、農の文化の深さと面白さを垣間見ることができました。話の途中で、和食の危機について話をしてくれたのですが、

醤油も味噌も、その後ろにある麹の文化、それがないと成り立たない食文化であるけど、それが見えない、問題が遠く見ないところにあると問題意識は薄れる。
だからこそ、五感で感じて欲しくて、この活動をしている。と話してくれました。

てしごとぶの活動も、そこが一つの目的であって、遠くなってしまった、私たちを支える食や農、暮らしのこと。それはとても遠くて、自分ごとにするのは難しいのだけど、自分たちの手を使い、五感を駆使して感じる考える。

全てはそこからだと考えて、手を動かし、感じる場所を作っています。
麹を通してそういった活動をしているヒラクさんに今回WSをお願いすることができて本当に良かったと感じた瞬間でした。

さて、話が少し飛躍しましたが、こうじ作りの本番は、WSが終わってから!という、てしごとぶでも前代未聞の、それぞれ持ち帰り、実況中継しあうという今回のWS。

早速持ち帰った夜から、3日間、逐一皆で、糀の今を報告しあいました。
これが、なんと楽しいこと!!!同じ環境で作ったはずでも、持ち帰ると糀の動きは全く違う。

それぞれ出先で仕事をしたり遊びをしたり、過ごし方はバラバラなのに、同じ目標に向かってこうじと向き合っているこの3日間がとても面白かった。
糀くんも、だんだんと着実に姿を変えていって、これが、菌が育っていく過程なんだ、と実感することができました。

さてさて、こうじ中心に過ごした3日間。
いろんなことを学び、感じました。

やっぱり、知っていることとやってみることの差は大きい。今回、このような素晴らしい機会をいただいて本当に感謝です。

ヒラクさん、今年は、こうじ作りをもっと身近にする活動により力をいれていくようで、WSもこれからたくさん開催されることだと思います。とても楽しみで、これからも応援したいです。

そして、次は、それぞれ仕込んだ麹を(仕込みも実況中継しながら)出来上がりを自慢しあう。まさにてまえこうじのWSなんかもやりたいなぁと妄想はモコモコと発酵するばかりであります。

糀に振り回された(いい意味で)3日間。
ヒラクさん、参加者の皆様本当にありがとうございました。

てしごとぶ

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みんなでレッツ「手前こうじ」!

35歳は、垣根を越えてチャレンジする年だ!

2018年2月に開催された道東誘致大作戦の一コマ。冬のオホーツクを満喫してきたぜ。

35歳になりました。
去年のテーマは「見えないものを見る年」でしたが、微生物の世界を求めて各地を巡りまくるディープな一年になりました。

・34歳は、見えないものを見る年だ!

・一球入魂!旅と学びと出会いに満ちた2017年の振り返り

・『発酵文化人類学』一周年記念!3万部重版&フランス語版&続編ができるよ!

『発酵文化人類学』の出版と、出版ツアーで日本全国をフィールドワークしまくったことにより、微生物と文化人類学とデザイン・アートの融合という、僕にしかできないユニークな仕事が見えてきたような実感があります。

そのうえで次にどこを目指すのか。
目指すは発酵文化人類学の方法論を携えて、垣根を越えてチャレンジすること。

「垣根」の定義は2つあって。
一つは「ジャンルの垣根」を超えること。もう一つは「国境の垣根」を超えること。

1つめのクロスオーバーはここ一年でカタチが見えたので、それを継続する。
そして今年新しく挑戦するのは、国境を越えて発酵デザイナーの活動を広げていくこと。

国外の情報を国内に紹介するのではなく、僕が各地を歩いて見知ったことを異なる文化圏に伝えていくこと。それが今年以降のチャレンジになります。

まずは今年6月のハンガリー・ブダペスト。
そして夏の科学未来館で開催されるALIFEの国際学会、来年春のフランス・パリでの出版イベントツアーと、活動の領域を広げていく予定。

…いや、正直言うとめちゃ不安です。
言葉や文化の壁もあるし、その先に何が待っているかどうかも確かじゃない。

なんだけど、今このタイミングでやるべきことだと思うし、きっと愉快な出会いが待っている。その直感を頼りに、先へと進んでいこうと思います。

ローカルかつボーダーレス。これが2018年以降に目指すことだ…!

応援してくれているみんな、いつも本当にありがとう。
今年も朗らかに愉快に、前へと進むんだ!

プロデュースおじさん、イタリアへゆく。

業務連絡です。
明日5/4から一週間、クラシコムの青木耕平さんと一緒にヨーロッパへ行ってきます。
前半はフランス・パリ、後半はイタリア・ミラノ。

プロデュースおじさん二人の今回の本丸は、イタリア滞在。
デザインとビジネスをかけ合わせた敏腕キュレーターの安西洋之さんのコーディネートで、現地の注目スタートアップや老舗企業の経営者たちに会いまくってきます。
(ちなみに前半のパリ滞在は僕の『発酵文化人類学』仏訳プロジェクトを現地のディレクターたちと作戦会議&のんびりお散歩)

海外のビジネスやクリエイティブというとアメリカや中国の情報ばかりが目立ちますが、実はマイペースのプロデュースおじさんが参考にすべきモデルはイタリアにあるのでは…という仮説を現地に行って確かめてくることにします。

・プロデュースおじさんの組織論。 | logmi

この旅の模様は、何かしらのかたちでコンテンツになる予定(たぶん)。
パリとミラノの皆様、一週間お世話になりまーす!

【追記1】プロデュースおじさん三人組のおのっちさんは今回残念ながら欠席。次回は一緒に行こうね。

【追記2】醸造現場にももちろん行くよ。

暮らしのなかのゆったり感。『青葉家のテーブル』を見て感じたこと

僕の住む家は山の中すぎてテレビの地上波が入らない。
で、たまに東京の実家に戻って家族と地上波のテレビを見ていると「なんか情報量多すぎじゃない?」と感じてしまう。バラエティ番組やニュース番組を筆頭に、世界観が大事なドラマ番組すらせわしなくて疲れてしまう。

毎日色んな用事で疲れてるんだから、夜テレビ見る時くらいリラックスさせてよ!と思うんだけど、テレビ画面のなかは現実よりも忙しい。

「ゆったりできる動画コンテンツ」はもはや地上波のテレビには期待できないのかしら?

……というのは前置きの話。

本題は、仲良しの青木耕平おじさんが営む『北欧、暮らしの道具店』が最近リリースしたドラマ『青葉家のテーブル』のトピックスなのであるよ。

ECサイト発のドラマの「ゆったり感」

センスが良くて使いやすい雑貨ECサイトの草分け北欧、暮らしの道具店がオリジナルのドラマをつくった。しかもちゃんと予算と手間をかけて(主演は西田尚美さんだし、主題歌はサニーデイ・サービス)。

仲良しの友人のつくったものだけに若干見るのに躊躇があったよね。本業じゃない動画制作で、もし微妙な出来だったらどうしよう…。コメントしづらい〜!!
あるいは。そこらの映画顔負けの超スゴい仕上がりだったらそれはそれで僕は何も言えないのではないか…

と危惧していたのだけど、いざ見てみた感想はどちらでもなかった。

『青葉家のテーブル』は、昨今見ない「ゆったり感」に溢れている。
ストーリーも空気もテンポも「ゆったり」している。このフィーリングがとても好ましいと思ったよ。

制約がないことの贅沢さ

ストーリーや制作の背景の詳細はこちらを読んでもらうとして。
ビジネスサイドから「ECサイトがドラマをつくる意義は〜」みたいなことを語る人はたくさんいそうなので、僕なりの『青葉家のテーブル』の感想を言うとだな。

このドラマは「映画の空気感でつくったテレビドラマ」で、その結果「長尺のプロモーションビデオ」のような仕上がりになった動画コンテンツだと僕は感じた。

スポンサーの制約があるテレビドラマは、1話のなかにはもちろんCM前のタイミングで盛り上がる山場をつくらなければいけない、視聴率を取るためにトレンドのキーワードをたくさん盛り込まなければいけない…という事情でストーリーのアップダウンがやたら激しいものになる。

でもね。
『青葉家のテーブル』は一企業が純粋に作りたくて制作したドラマなので、そういう業界的な裏事情は関係ない。青木おじさんと店長の佐藤さんはじめ、スタッフの「こういう世界を見たい!」という美意識がノンフィルターでダイレクトに具現化されている。

その結果、ノイズの少ない、必要なだけの時間カメラを回して登場人物の感情の機微や、暮らしのディティールをすくいあげる映像になっている(僕が好きなのは、意味不明な言葉で短歌をつくってそれの感想を言い合うシーン)。
人の目をひく派手なキーワードやストーリー展開は、時として空気感のディティールを殺してしまうことがある。だけど『青葉家のテーブル』では、そういうキャッチーな要素が排除されたぶんだけ、この家族の一挙一投足に共感することができる。なんなら映像を見終わった後に自分の家族や、あるいはこれからできるかもしれないコミュニティに思いを馳せることができる。

こういうのがつまり「映像作品としての余白」であり、「ゆったり感」なのだね。

僕はこの短編ドラマを見て「テレビでもこういうドラマがあったらいいなあ…」と思った。それはこの映像が、今のせわしなくてどこかケチくさいドラマの「ほんとはありえた空気感」を体現しているではないか…と思ったよ。

そしてその空気感は同時に『北欧、暮らしの道具店』が醸し出すものでもある。
僕は別に「ブランドCMとしてよくできている」と言いたいわけじゃない。

そうじゃなくて、青木さんたちにとってECをやるのもドラマをつくるのも「世知辛くない、ゆったりした暮らし」を体現するためのアクティビティとして等価だ、ということなんだよね。モノを売って利益を出すのももちろん大事だけど、さらにその先に「自分はどのように暮らしていきたいのか」という問いかけがある。

なんだか社会がケチくさい、みんな自分のことばかり気にかけて殺伐としている。そういう世知辛さは人生におけるけっこうなストレスだ。このドラマにしてもECサイトの記事にしても『北欧、暮らしの道具店』にはそういうストレスを和らげてくれるゆったりとした空気が流れている。この空気感の突出具合が、逆説的に今の社会への問いかけになっている。

青木さんにとってのビジネスとは「問い続けること」。
だから「問いの可視化」としての映像制作はけっこう必然性があることだったんだと僕は思うよ。

…と、ビジネスと切り離して純粋に映像作品としての話をするぞ!と意気込んだものの、やっぱり無理だったぜ。ビジネスとしてのエモさがこのドラマを必然的に生んだ、と考えるのが自然なのかもしれませんね。

青木おじさん、第二話はよ!

「今できること」の延長線上に未来がある。

先日、新卒で大手企業に就職した知り合いの女の子からメールが来ました。
仕事はどう?と聞いたら、

「もうちょっと力つけたらやりたい職種の会社に転職したい」

とのこと。
そうかい。じゃあちょっと発酵おじさんの意見を聞いておくれ。

もしやりたい仕事があるなら、力つく前に転職したほうがいいし、やる気出ない仕事をいくらしてもそもそも力つかないよ。今に一生懸命になれなければ望む未来は来ないからさ!

雲の上から自分を見ている神さまがいて「イヤな仕事を三年間も我慢してエラい!ご褒美に希望の職種に転職させてあげよう」と都合よく他人に引っ張り上げてもらえることなんてありえない。実際は「三年間それなりにやりがい感じて頑張った結果」を足がかりにして、自分の力で一歩一歩登っていくんだよ。

今やっている仕事がやる気でなかったら「やる気でない仕事をやってきた自分」に対して社会から評価が下され、それをベースに次の仕事が割り当てられることになる。
今やっている仕事に意義を感じていたら、同じ原理でそこに評価と次のキャリアが期待される。やる気なくても充実していても、とにかく「それをやっている」ということが既成事実として外部から認識され、評価される。

「やる気ない自分」はカウントされず「やる気ある自分」だけカウントされる、というのは都合のいい解釈でやる気ないと「コイツは惰性でやる気ないこと続けてるな」というカウントになるんだね。

ということで。
さいきん10代の中高生や20歳くらいの就職で悩んでいる子たちがよく僕に会いに来てくれるんですけど、何か言えるとしたら「今を大事にしたらいいよ」ということ。

今自分が好きなこととか、大事にしている感覚を優先してリスペクトできないオトナの言うこと聞く必要ないと思います。ほんとに(例えば僕とか)。

「今の我慢」を担保にしたら未来がもらえる。こういう謎の価値観がこの時代を生きる子どもたちにも刷り込まれているのがほんとに驚きです。「今できること」の延長線上に未来がある。今を生きるアナタは、大事な「今」を取り上げようとするマインドセットから全力で逃げたほうがいいと僕は切実に思うよ。

未来はわからない。
それでも明るい未来を望むなら、集中すべきは「今」だ。力いっぱいの「今」の先に望む未来が待っている。

 

【追記】余談ですが、この話はよくあるダメな恋愛話に似ています。。「好きな人がいるんですけど、好きすぎて振られるのが怖いのでなんとなく告白された好きじゃない人と付き合おうかと思ってます」というこじらせた人が散見されますが、この場合好きな人も告白してきた人もどっちも逃すことになります。今を生きろ…!

『発酵文化人類学』一周年記念!3万部重版&フランス語版&続編ができるよ!

あまりにも刹那の出版界で、一年間サバイバルできたよ。生き延びたよ〜!!!

去年出版した『発酵文化人類学』が一周年を迎えました。
ありがたいことに、売り上げが落ちていません。取り扱ってもらえている本屋さんもだんだんと増え続け、SNSやクチコミでじわりじわりと拡がり続けているようです。

つまりだな。
出版から2〜3ヶ月で大半の本が淘汰されて絶版になってしまう諸行無常すぎる書籍の世界において『発酵文化人類学』は淘汰を生き延びることができたということなのであるよ。

「なんと!本の内容が素晴らしいからですね」

いや、僕はそうは思わない。昨今、内容が素晴らしくても不遇な行く末をたどる本がたくさんある。仮に僕の本の内容がイケていたとしても、それだけがサバイブの理由じゃないんだ。

この本を応援してくれたコミュニティの力。
これこそが『発酵文化人類学』が生き延びた最大の理由。つまり僕はみんなに生かされている…!!

コミュニティが発酵する

ご存知の方も多いと思うけど、この本は一般的な本とはだいぶ違う方法論でつくられ、流通している。

・事前に本を読みたい人からの意見(800人超!)が反映され
・取次を通した流通を使わず、自前のメディアで注文をとり
・著者が自力で全国55ヶ所を行商してまわり
・志ある読者や本屋のみんながクチコミで拡散してくれた

という、業界の慣習でレバレッジをかけることをせずひたすら顔の見える関係性を積み上げ続けることで、発売直後から重版出来を重ね、去年末の段階でなんと!2万部まで到達することができたんですね。

一週間で重版出来!の舞台裏。マーケットではなくコミュニティに届ける。

これすべて、コミュニティの力が起こした奇跡。嬉しい…嬉しすぎる…!!

最初は「いかに本を広めていくか?」という作戦だったはずが、みんなの声を聞き、みんなに会いにいって話をするうちに、大事なことに気づいたんだよ。

もしかして、一冊の本がつくりだすこの「つながり」こそが、『発酵文化人類学』の本体なのではないのではないだろうか?

一冊の本というプロダクトを介して起きる「コミュニケーションの環」こそが本質。
もはや著者と読者という立場を超えて、相互にインスピレーションと実践の贈与がグルグルまわる。この本がきっかけになって生まれたことが、本と等価の表現になっているのではないのだろうか?

「何をヒラクくんは大げさに!」

と思うじゃないですが、でも現実にここ一年で起こったことを見てみると僕の実感はブラフではない…!

全国55ヶ所を行脚した出版ツアー。写真はそのなかでも最高のハイライト「沖縄の発酵文化人類学」@宜野湾カフェユニゾン。100名を余裕で超える参加者で盛り上がりまくり、なんとこれがきっかけでテレビ番組が企画されたようです。すごい…!

僕が今までやってきた発酵のフィールドワークが地域を巻き込むプロジェクトに。
秋田での発酵文化人類学ツアーはイベント『トージ・コージ』WEBマガジン『なんも大学』にスピンアウト!秋田の発酵のルーツが紐解かれる貴重な機会になりました。

・トージ・コージ! | なんも大学

本がきっかけで、なんと寺田本家の旦那と新政の杜氏が出会ってしまった!
異なるジャンルの醸造家同同士のつながりも生まれて嬉しい限り。

本に登場する醸造蔵や地域を訪ねる『発酵文化人類学巡礼ツアー』に出る人がたくさんいるそうです(自分でもホントかな?と疑いたくなるけどホントだよ)。

同世代で最もスケールの大きな視野の情報学者、哲学者のドミニク・チェンさんとの対談。二人で発酵的な世界の可能性に気づき、ITテクノロジーと微生物をかけあわせたプロダクト開発のプロジェクトがスタートすることに。前からファンだったドミニクさんと最高のかたちで縁ができて嬉しすぎる…!

・明晰夢とアブダクション  ドミニク・チェンの醸され「発酵メディア」研究 | wired

大学時代から本を愛読していた探検家高野秀行さんとも『発酵文化人類学』がきっかけになってお話することに。東南アジアやアフリカの知られざるディープ発酵(納豆)文化を介して、日本の発酵のルーツが前世代の農大の先生たちとは違うカタチで見えてきた…!
お互い珍食好きなので、憧れの大先輩と発酵仲間になることができました。嬉しいぜ。

・謎の未確認発酵物体を追え | 早稲田WEEKLY

『美術手帖』の表紙&特集巻頭インタビューに登場。他にも文芸雑誌やデザイン誌、カルチャー誌などに記事や寄稿が掲載されまくり、発酵がアートや哲学の世界にインスピレーションを与えるというスゴい時代が到来してしまった…!

『発酵文化人類学』の舞台となる、日本全国のローカルで活躍する第一人者たちともたくさんコラボしました。とくにRe:Sやのんびりを立ち上げたローカルメディアのレジェンド藤本智士さんの合同出版企画や発酵文化を訪ねるツアーが光栄すぎた…!
さらにビックリしたのが藤本さん自身が僕にインスピレーションを受けて著書『魔法をかける編集』の全国出版ツアーを始めてしまったこと。

・出版記念イベントツアー日程一覧! 藤本智士 | note

「55ヶ所行脚はしばらく破られない記録になるだろ」と思ってたら藤本さんに速攻で抜かれた(59ヶ所)。センパイすごいっす…!

WEBで連載中のミシマ社の三島さんも『発酵文化人類学』を面白がってくれて、なんとミシマ社の雑誌『ちゃぶ台』の次号の特集(経済と発酵)に藤本さんとともに登場予定!

転がってる…話が転がりすぎてる〜!!!

そしてついにビジネス界にも発酵の魅力が波及。2017年秋の働き方の祭典TWDWや敏腕編集者佐渡島庸平さんが主催するコルクラボのイベント企画に波及していきました。

・プロデュースおじさんの脱力系ビジネス論がログミーで読めるよ!

食やライフスタイルから始まり、アートや思想界をインスパイアし、さらに働きかたやコミュニティの理論にも波及する。

発酵の力、恐るべし…!

さらにさらに。発酵デザイナーが勝手に思いついた学問がリアル講義になってしまったー!大好きな青山ブックセンターで連続講義になっちゃうんだよ。
昨今アカデミアで叫ばれている「文系と理系の垣根を超える学際的なオルタナ学問」って、つまり発酵文化人類学のことじゃん!みんな遊びに来てね〜

これまでの10年間の活動の集大成がこの『こうふはっこうマルシェ』。
微生物界への扉を開いてくれた発酵兄妹とともにホーム山梨で盛大なイベント企画。発酵文化人類学でおなじみの醸造家たちが全国から集まるハイセンスすぎる祭りに、全国から1万人以上のお客さんが遊びに来てくれました。

・HAPPY&COZY!1万人が醸された『こうふはっこうマルシェ』レポート。

ちなみに「こうふはっこうマルシェ」の象徴となるジャズバンドで演奏しているのは、なんと!発酵文化人類学の編集チームのハシモトさん(トランペット)とハヤノさん(ベース)。

今回ここまでの拡がりを生んだのは、ひとえに二人の頑張りがあったからこそ。
本をつくって売るのはチームプレイだ!ありがとう〜!

3万部重版&フランス語版&続編出版決定!

ということで一周年記念を祝うニュースです。以下時系列でお届けします。

2018:ネクスト重版出来。ついに3万部突破!

まだまだ売るぞ!ということで、6刷目の重版出来です。ついに、ついに3万部突破〜!ハシモト担当編集いわく「ぜったい5万部いきます!」、そのボスのソトコトのファウンダー小黒さんいわく「10万部売る!」とのことです。ま…マジですか?

2019:フランス語版出版&フランスツアー!

色んなご縁が重なり、2019年の春に『発酵文化人類学』にフランス語版の出版とフランスツアーのプロジェクトがスタートしました。発酵ワールドの魅力を僕の第二の祖国、フランスにプレゼンしまくってきたいと思います。もちろんパリだけじゃなく地方にも行くよ!

2020:『発酵文化人類学』第二弾は世界編!

そしてそして、第二弾も出版するぞ〜!『発酵文化人類学』のあとがきで予告したように、次の舞台は世界!アジアやヨーロッパなど世界各地の発酵文化をたどりながら「人間にとって食べるとは何か?」「微生物は世界の未来に何をもたらすのか?」というより深い問いを皆様にぶつけたいと思います。

今から編集チーム&版元(木楽舎)に予告しておくよ。
初版は最低2万部!目指せ出版ドリーム〜!!!!

ということで。
『発酵文化人類学』を応援してくれたみんなに御礼です。

目次すらできてないのに事前注文してくれた発酵ラバーのみんな

ニッチすぎる内容&無名な著者にも関わらず本を注文してくれた本屋さん

自分のブログやSNSでオススメしてくれた読者のみんな

出版イベントを誘致してくれた全国55のオーガナイザー

イベントに一緒に登壇してくれた60名超の醸造家&クリエイター

イベントで一緒に盛り上がってくれた各地の参加者のみんな

謎すぎる内容の本を取り上げてくれたメディア関係者

日本全国の土地に根ざしたものづくりを続ける醸造家たち

ほんとうにありがとう。
『発酵文化人類学』はみんなでつくりあげる「贈与の環」です。

一周年記念をこんな素敵なカタチでお伝えできることに無上の喜びを感じています。

…とブログ更新しようとしたら、

ちょ、ちょっと待って!
僕の知らないところでもう企画が始まってる〜!!

著者が先こされてる〜!!!

https://twitter.com/kakijiro/status/989525079074652162

なんだよみんな…

「リアル贈与の環」しれっとやらないでよ…

僕はもう何も言えないし、涙で何も見えない…

ほんとに発酵に出会ってよかった。
微生物がこんなにも素敵な出会いをプレゼントしてくれた。

最後に『発酵文化人類学』のなかでいちばん気に入っているフレーズを引用してエントリーの締めくくりとします。


北から南、西から東。
日本の土地の隅々に人の営みと自然の恵みが結び合わされた多様な文化が息づいている。

「発酵文化人類学」の舞台になるのは、ヒトと自然がおりなす暮らしの芸術の世界。
そしてその舞台の主役は、他ならぬアナタだ。

アナタが手前みそを仕込むたび、また家族と友人と食卓を囲むたび、何千年も受け継がれてきたバトンが次の世代にパスされる。

美しい酒を醸すように、美しい社会を醸していこうぜ。


2018年4月27日 小倉ヒラク記す

 

【追記1】記念企画してくれた灯台下暮らしチーム&くいしん、そしてお祝いのコメントしてくれたみんなありがとう〜!泣けるぜ

【追記2】これから夏くらいまでまた関連イベントやフェアが始まります。全国のオーガナイザーや本屋のみなさま、お世話になります。

発酵デザイナーのイベント予定【2018春〜夏】

こんにちは。ヒラクです。暖かくなってきてイベントシーズンがやってきました。
春〜夏にかけてのイベントスケジュールをまとめておきます。4ヶ月で全国55ヶ所周った去年と比べると今年はのんびりペース。これぐらいがちょうどいいですね。

ご予定合うかたはどうぞ遊びにきてね。

春〜夏にかけてのイベント一覧はこちら!

▶5/11〜13 森、道、市場 @ 愛知県蒲郡

全国のイケてるメーカーやアーティストが集まるモンスターイベント、森道に今年も参加!
発酵居酒屋ブースで利き酒やったり、ライブ番組のパーソナリティやりまーす。

▶5/26 澤田酒造170周年記念イベント @愛知県知多


知多の老舗の酒蔵、仲良しの澤田酒造の170周年記念イベントで、なんとメインゲストで出演します!ちなみに160周年記念のメインゲストは小泉武夫センセイだったそうな。緊張するぜ…
イベント詳細はこちら

▶5/27 星野概念さんと対談 @渋谷パブリッシングブックセラー


精神科医兼ミュージシャンで最近いとうせいこうさんと共著『ラブという薬』を出した星野概念さん(大の発酵好き!)と対談します。会場は僕の『発酵文化人類学』を出版直後からイチオシしてくれていた渋谷パブリッシングブックセラーさん。絶対に面白いイベントになるのが確定している…!詳細は近日。

▶6/2 DML Seminar @立命館大学東京キャンパス


イタリアを拠点にデザインとビジネスの研究を行う安西洋之さんのお誘いで、立命館のセミナーでお話します。微生物をキーワードにビジネス、アート、デザイン、サイエンスを横断するプロジェクトのお話をする予定です。ふだんの話とは違ってかなりビジネスや戦略論寄りの話しになると思います。
イベント詳細はこちら

▶6/3&10 発酵文化人類学 連続講義 @青山ブックセンター本店

大好きな青山ブックセンターさんからお誘いしてもらって、発酵文化人類学のリアル講義をすることになりました。わーい!二週連続の講義で、前半は人類学をベースにした文化論、後半は発酵をベースにしたサイエンスの二本立てです(一回だけでも参加OK)。文系理系の垣根を超えて、微生物の不思議な世界をご案内します。気合入れて臨むので楽しみにしててね。
ちなみにこの講義に関連して、対談イベントを予定しています。そちらも豪華ゲストが登場予定…!
講義の詳細はこちら

 ▶6/9 復活!発酵デザイナーのこうじづくり講座 @甲府KANENTE

『発酵文化人類学』出版ツアーでお休みしていたこうじづくり講座を再開しまーす。開催場所は僕のホームの山梨へ。甲府の老舗五味醤油のワークショップスペースで月イチ開催の予定です。せっかく山梨に来てもらうので、発酵をテーマにした観光ができるように連動企画を仕込んでいます。みんな、こうじをつくりに山梨にカモン!
詳細は4月中にお知らせします。どうぞよろしくー

▶6/15 早稲田大学文学部キャンパスで講演

毎年恒例のキャリア教育の講演会を今年もやります(なんと4年目!)。
僕の母校で「自分勝手に生きるといいことあるよ」という話をします。今まではキャリアデザインの話が多かったのですが、今年はデザインとサイエンスをテーマにちょっとディープな話を学生たちにする予定です。激動の時代、身につけるべきはサバイバル力…!
お昼すぎに38AV教室でやってます。早稲田の学生以外でもご自由にどうぞ。

▶8/4 菱六の助野彰彦さんと対談 @ 東京都立川アイムホール

友人のナイスな商店かわしま屋さん企画のスペシャルイベント。早稲田〜東京農大のダブル先輩である京都のもやし屋助野センパイと対談します。この日はもうひたすら麹のマニアックな話を微に入り細に入り話しまくる予定。今から楽しみで寝られねえ…(嘘だけど)。
詳細はこちら

 

また追加イベントがあったら随時このページに更新していきます。
「ウチのイベント忘れてない?」「ダブルブッキングしてるで!」という方はご一報くださいね。速攻で平謝りします。

「いつもやる気」はありえない。価値の創造と運用のマネージメント。

こないだ大学の後輩でもあるメディアアーティストの市原えつこさんから「独立して二年間経って、独立当初のようなやる気がなくなってきました」という相談がありました。

https://twitter.com/etsuko_ichihara/status/982610076899786753

で、僕がその時思ったのは「そもそも常時やる気なんておきない」ということ。「100%内発的なやる気」はレアメタルのような希少資源なので、ゆっくり採掘するのが吉です。

僕の話をするとだな。
僕は自分でもビックリするぐらい「やる気あるタイム」が少ない。たぶん創造的なことをできる時間はよくて15%くらいで、あとはやるべきタスクを消化したり調べものしたり整理整頓したりお昼寝したり。

「なんだその怠け者っぷりは!もっと気合入れて仕事したらどうなんだ?」

という突っ込みも聞こえてきそうですが、僕はやる気タイムの割合を増やす気もなく、考えているのは限られた15%の価値をいかに引き出すか

思うに、「やる気」ってのはそんなに出ないからこそ価値があるんですよね。

だから「常に100%創造的な自分」を目指すライフハックって「三食全部サーロインステーキ食べる」みたいで胃もたれしそう。「たまに出るやる気」にレバレッジをかけて日々をのらりくらりと暮らすのが結局は長く続くと僕は思います。

やる気を「希少なもの」とカウントするのか「常時あるもの」とカウントするので仕事に対する取り組みが変わってくる。

「希少なもの」としてカウントすると、やる気ないタイムは「希少資源のマネージメント」として割り振られることになります。常に資源を採掘しまくるより、適切な量を採掘してその価値をマネージしたほうが生産性が良い、と言えるのではないかしら?

表現やプロダクトが生まれるのは「やる気ある(創造的)タイム」ですが、その表現やプロダクトの「価値」が生まれるのは「やる気ない(運用)タイム」だったりする。

だからやる気ないタイムはやる気あるタイムと同じく大事なんです。
やる気ない自分は、やる気ある自分のマネージャーの役割。

やる気あるハイテンションな時に「こんなことやりたい!」と用事を仕込んでおいて、やる気がフェードアウトしたタイミングで「やれやれ」と用事を片付けていくバランスで僕の仕事は回っています。ずっとやる気あると片付かない用事がどんどん増えるので、やる気はぼちぼちくらいじゃないと破綻する…!

「いつもやる気100%」って思うほど良いものじゃないと思う次第です。

自分のなかに「良い読者」を育てる。

最近はずいぶん文章を書く仕事が増えました。
で、その時にいつも気をつけていることがあります。

「書く自分」の前に「読む自分」を育めているか。

何か文章を書いた時に一番最初にそれを読むのは自分自身。自分という最初の読書のレベルが自分の書くもののレベルを決める。だから上等なものを書くためには、自分のなかに「上等な読者」がいる必要があります。

でもさ、書く訓練より、読む訓練のが難しいんだよね…!
その理由としては、書くことには仕事として対価が発生する可能性があるのに対して、読むことには対価が発生しないから。

「読む」というのは「120%の好き」からしか発生しない。

でもほら、誰にも求められない「好き」って現代における希少資源だもんね。
見返りを求めない「好き」からしか表現のセンスを育てることはできない。

良いものをつくりたい!と思ったら、良いものにたくさん触れる時間を持つことが大事。日本はありがたいことに文章でも食でもデザインでも知恵を絞ればお金ない若者でもアクセスできる回路があります。数百円あれば、叡智が詰まった古典の本が買えるし、美術館や博物館のアーカイブにたっぷり触れることができるし、こだわりの飲食店の定食を味わえる。

 

【求むエースな人材】リビセンでポスト東野唯史な敏腕デザイナーを大募集している件

こんにちは、ヒラクです。またもやこのブログで求人企画やるよ!。
諏訪にある仲良しのReBuilding Center JAPAN(通商リビセン)が、

時期エース候補のデザイナー!

を絶賛募集中だよ!とのこと。こないだのかもめブックス/鴎来堂の柳下おじさんの時と負けず劣らずのハイスペック求人きたぞー!

・【求むナイスな人材】かもめ柳下おじさんが右腕を募集している件

(僕のブログにハイスペック求人の話がくるのは、読者の皆様に才人が多いということなのかしら…?)

DIYカルチャーを刷新するリビセンのコンセプト

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リビセンの店内の様子。各地からレスキューした古道具や古材でいっぱい!

さてさて。
リビセンを知らない人に軽く説明しておくと、解体される建物から回収した建材を売るリサイクルショップで、そこにデザインコンサルや施工サービスが付随している。
自分でDIYできるお客さんは建材だけ買って自分でアレンジすればいいし、工務店のように施工サービスを頼むことができる。だけどサービスを頼むとしても完全お任せではなく、施主自身もDIYすることが前提になる。詳しくは僕のブログのこの記事をどうぞ↓

・新しいデザインの美意識の話をしよう。リビセンの本を読んで考えたこと

で、今回オーナーの東野夫妻に頼まれたのはデザイン部門の次期チーフ候補。
現状メインのデザイナーとして稼働しているのはファウンダーの東野唯史くん。なんだけど事業をより発展させていくために現場を任せられるデザイナーを絶賛募集中だそうな。

うん。なんかわかるよ。
個人事業が事業化していくステップで、デザイナーはより全体を俯瞰できるクリエイディレクターにならなきゃいけないタイミングがあるからね。一個一個の現場も大事だけど、リビセンというコンセプトを守らなきゃいけない時期にきてるんだね〜!!

・古材で文化を作るリビルディングセンタージャパンの挑戦 | BAMP

リサイクルとモダンデザインを融合する新鋭よ来たれ!

IMG_0583
山梨の我が家から一時間ちょいのリビセン。キッチンの建具をゲットしました。

激しくリスペクト&共感するリビセン。
古材を使った空間やインテリアのデザイン設計の才能よ来たれ!
ということで、オーナー夫妻の東野華南子ちゃんに「どんな人がいいのかしら?」と聞いたところ、以下のような返答が。

kanako

今回の採用で求めている職能は、ズバリデザイナー。もっと未来を切り開いていくことに力を使っていくために、デザインプロジェクトを自走させることができるデザイナーを採用したいなと思ってます。 夫の東野唯史のデザインが必ずしも好きである必要はないけれど、古材が好きで古材の可能性を信じることができることが求められます。
古材の新たな可能性を探りつつデザインできれば大丈夫!古材をツールに、世の中たのしくしていけたらいいね、と思ってます。 』

だそうな。そして募集したい人材は具体的には、


 

▶実務経験があり実際に店舗設計や住宅設計をメイン担当で複数経験したことがある

▶クライアントや業者とのやりとりを最初から最後まで担当できる

▶クライアントの事業計画書・収支計画書を元にその店舗(ビジネス)が成功へと向かうデザイン的な提案から、リノベーションによるデザインを行うため、リノベーション独特の様々な状況に対して柔軟に対応し、デザイン的な変更や改善を素早く対応していける

▶自社で制作できないプロダクトや施工技術に関して新たに作家さんやアーティストさん、・職人さんと共同してデザインや制作活動を行うことで空間の価値を高めることを楽しんで取り組める

▶古材いっぱい運ぶのでできれば力持ち!


 

というスキルを持っている人だそうな。むむむ、こりゃ挑戦しがいあるぞ…!
雇用条件としては、

・正社員(試用期間中は契約社員)
・月給要相談(諏訪でちゃんと生きていける金額、最低20〜25万円は保証)
・賞与・社宅・有給制度あり
・設計以外にも色々仕事あるよ

だそうです。
で、リビセンがこれからこんなこと取り組むよ!というメッセージとしては、

☆現在は遠方のプロジェクトも多いけど、ここから少しずつ諏訪近郊のプロジェクトに絞っていって、もっともっと諏訪という地域を掘り下げてリビセンらしい楽しいコミュニティをつくっていきたい!

☆今回の募集はポスト東野唯史&私のパートナーの募集でもあって。 これまで東野さんとペアで空間をつくってきたことしかないので、どんなひととどんな哲学持って一緒に空間をつくっていけるのか、とても楽しみ…!

だそうです。

「むむむ!これは気になる!ぜひ名乗りあげたい〜!」

という人のために問い合わせフォームを開設しました。以下からどぞ。

※4/21で締切りました!応募してくれた皆様ありがとう!

お名前

メールアドレス

リビセンが気になる理由は?

座右の銘をどうぞ

今までの経歴アピールや質問をご自由にどうぞ

※リビセンの窓口に直接メールが届きます
※個人情報は他の用途には使いません

それでは良きご縁がありますよう。

【追記1】僕は求人エージェントじゃなくて。友だちの縁で勝手に求人しているので詳しいこと聞かれてもよくわからない!ので何かあったらメールフォームから詳細聞いてね。

【追記2】なおちょっと前に仲良しの仕事百貨でも求人がありました。僕のこのエントリーはこの求人を受けてさらにエース候補!という内容です。求む才気煥発なデザイナー!

【追記3】年末の柳下おじさんの求人企画は大成功。近々「その後どうですか?記事」を寄稿してもらう予定です。お楽しみに!

発酵とファッションはよく似ている。逃れられぬトレンドという宿命。

『発酵文化人類学』の出版記念企画として、雑誌ソトコトの連載バックナンバーを無料公開!  なぜそんなことをするかというと、書籍版は過去の連載記事を全部無視した「完全書きおろしREMIX」だからなのだ!
発酵とファッションはよく似ている。逃れられぬトレンドという宿命。
 ソトコト2016年4月号掲載
「発酵」は日本に脈々と受け継がれてきた伝統文化。そしてこの伝統というシロモノ、昔から変わらないというものではなく、実は時代の流れにあわせて変わり続けているのです。
今回は、発酵文化から日本人の好みの変遷を考察してみたいと思います。

日本人の死因と、食生活の変化

昔と今でがんの種類を比べてみると面白いことがわかります。日本では高度経済成長期を境として、それまで最もポピュラーだった胃がんが減り、かわりに腸のがんの患者がどんどん増えていきました。これは何を意味しているのかというとだな。塩をたくさん摂ると胃がんにかかり、動物性の脂質やタンパク質をたくさん摂ると腸のがんにかかるということなのね。
つまり、昔のひとはしょっぱいものを食べ過ぎて死に、今のひとは動物性の食品を食べ過ぎて死ぬ、という傾向なわけだ。動物性のものを食べるようになったのは食生活が欧米型に移行したからなのは理解できる。ではしょっぱいものを食べ過ぎていたのなぜか?
それは「冷蔵庫がなかった」という理由が大きい。低温設備がない状態で食品を保存するには、塩をたくさん入れて発酵させる必要があったのですね。

塩味と酸味

ほら、よく古民家の縁側とかで漬物かじりながらお茶飲んでるおばあちゃん、みたいな光景があるじゃないですか。このしょっぱいもの好きなおばあちゃんは、酸っぱいものがニガテなんだね。日本酒も酸っぱいものが「火落ち酒」として嫌われるように、昔の日本人は酸っぱいもの=ダメになった食べ物と思っていたフシがある。
翻って現代に生きる僕たちはどうよ。朝起きたらヨーグルト食べるし、夜はバルでワイン飲んだり、酸っぱいものが大好き。反対に塩味のキツいお漬物がニガテ。このように、同じ日本人といっても、時代とともに味覚や好みは変わってくものなのです。

日本酒とファッション

例えば日本酒を例にとってみよう。昔の日本酒って、甘いか辛いかどちらかの味が好まれた。昔は砂糖が簡単に手に入らないから、甘いもの=美味いものだった。そして同時に、水のようにキリッと澄んだ辛口の日本酒も高級な味として嗜まれた。
しかし、そんなトレンドも最近は変わりつつある。僕と同世代、30〜40歳の若い醸造家がつくる酒に、ワインのような酸味と濃厚な旨味があるものが出てきた。これは紛れもなく、「新しい味覚の持ち主による新しい感性」なわけです。
えーと、この感覚何と言ったらいいのかなあ。80年代のTVドラマの登場人物がさ、肩パッド入ったDCブランドのジャケットとか着てるの見てもお洒落だなあって思わないでしょ。当時はこれが最先端で高級だったんだな、とは思うけどピンと来ない。かわりに、マーガレット・ハウエルのプレーンな白シャツをラフに着ているアイツお洒落だなあ、なんて思うわけです。
伝統文化である発酵食の世界にも、このような変化が起こっているのです。若い人は、自分と同世代の醸造家がつくる調味料やお酒を飲むといいですぞ。その時に、醸造家のファッションがイケてたらなおいいね!

【追記】僕の個人的な見解ですが、「最近若い人が食べてくれないんです」と嘆かれている発酵食品は、しょっぱすぎるものが多い。その代表格が、滋賀の熟れ寿司。これは「昔のひとの味覚によって作られた食べ物」の典型。熟れ寿司の未来は、伝統を貫き通すことではなく新しい感性でイノベーションを起こす必要があると思う。


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みりんで考える「甘み」の哲学


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みりんで考える「甘み」の哲学
 ソトコト16.1月号掲載

どの家庭の台所にも置いてある調味料の定番、みりん。実は人間の味覚と生理作用を考えるときに大変示唆に富んだ存在なのです。今回はみりんを例にとりながら、人間にとっての「甘み」とは何かを考察していきましょう。

そもそもみりんとは何か?

新橋のSL広場でサラリーマン100人に聞いてみてもおそらく一人も答えられないであろう、みりんの製造過程。すごーくざっくり言うと「水のかわりに焼酎で仕込む甘酒」です(と書くとみりん業界からの突っ込みを受けそうですが)。

麹(こうじ)を焼酎で加水し、そこにもち米を投入。麹菌がもち米を糖化し、焼酎のアルコール分が腐敗をブロックします。そのまま数ヶ月かけて発酵させ、日本酒のようにもろみを絞ってボトルに詰めてできあがり。これが伝統的なみりんの製造方法。江戸時代頃にレシピが確立され、大正時代にほぼ完成されたようです。
スーパー等で売られている「みりん風調味料」というのは、この伝統的なみりんの味を糖類やアルコールを添加することでシミュレートした調味料のことで、発酵食品であるみりんとは別物なのです。

ブドウ糖とショ糖の違い

さて、そんな米と水と菌だけで作られたみりん。その糖度はめちゃ甘いメロンの軽く二倍以上。麹菌による、デンプン糖化酵素の力を極限まで引き出すことでこんなにも甘い食品を作り出すことができるのか…と先人の発酵技術の洗練っぷりに感心しきりです。
それでは次に、みりんに含まれている糖の種類の話をしましょう。みりんの糖の主体はグルコース、別名ブドウ糖です。対して、コーヒーに入れるスティックシュガーはスクロース、ショ糖といいます。同じ糖といっても種類が違うのですね。多くの食品に添加され、僕たちが普段親しんでいるのはショ糖。甘みの特徴としては、ガツン!と甘みが来て、スッと引いていきます。それに対して、みりんに含まれるブドウ糖はもうちょっと穏やかな波を描くんですね。じわっと甘みが来て、余韻を残しながら去っていく。

試しに本格みりんをストレートで舐めてみてください。すごく甘いんだけど、そこに丸みと余韻があるのに気付くはず(みりんはアルコール度数がけっこうあるので、おいしいからといって飲み過ぎはダメですよ)。

ナイスなみりんは、和食に魔法をかける!

和食に砂糖を入れるのは今や定番ですが、かつてはこんな便利な粉はなかったわけなので、みりんをおおいに活用していたはずです。砂糖とみりん、その違いを考えると、ショ糖とブドウ糖の味の違いに行き着きます。和食の持ち味は、丸みとあと引く余韻と、麹やダシの作りだす旨味です。この特性にみりんの甘みはピッタリ合う(というか、そういう食材によって日本人の舌が作られてきた)。

ふだん砂糖を入れているところを本格みりんを贅沢に使ってみると、いきなり料理がやたら上手くなったように錯覚します。食材の味の奥行きが出て、口にした時に味がスッと舌に吸い込まれていくようなテクスチャーが出てくるんですね。
それはなぜかというと「発酵によって形づくられた日本人の味のDNA」が覚醒するからなのですね。

料理上手の近道は、調味料の特性を知るところから。
手始めはみりん!普段みりん風調味料を選んでいる人は、ぜひ米と麹だけでつくった本格派を手にとって見てくださいね。

【追記】余談ですが、みりんはアーバンな知的労働者にオススメしたい。知的労働は脳を酷使しますが、その脳のエネルギー源となるにはブドウ糖のみ。アタマを目いっぱい使った日の食卓は、みりんをたっぷり使ったブリの照り焼きなんていいんじゃないですかね。

 


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発酵でつながるローカルのコミュニティ

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▶発酵でつながるローカルのコミュニティ ソトコト17年11月掲載

「この土地ならではの発酵文化の話を市に来てほしい」と日本各地からお誘いを受けます。現地の醸造蔵を見学したりローカル発酵食を食べて、その後に地域のコミュニティのみんなと対話する。そんな仕事をやっていると、発酵を通して地域にある様々なコミュニティがつながっていくことに気づきます。

発酵に紐づく様々なキーワード

一口に「発酵」と言っても、そこには様々なキーワードが紐付いてきます。郷土食、健康、農業、歴史、ローカルビジネス、DIY、子どもの食育、おばあの知恵、etc… 人によって発酵に期待することは様々。となると「発酵について話すよ!」と呼びかけると、そこには色んな人種が集まるんですね。醸造家はもちろん、農家や漁師、エステやセラピーをやっているキラキラ女子に工芸作家や郷土史家、食育サークルのママさんや行政職員、若い起業家やアンテナ張ってる大学生、給食センターのおばちゃんまで、多様性ありまくりでカオス!な場ができあがります。何度もこういう場面に遭遇しているうちに「実は地域コミュニティでこんなにも多様な人が集まって対話する機会って珍しいんじゃないの?」という気づきがあったわけなんだな。

異なるコミュニティに横串を刺す

札幌でトークイベントをした時のこと。これぐらい大きな街になると、そこにはジャンルごとに地域コミュニティがあります。カルチャー好きコミュニティと農業コミュニティは普段ほとんど接点がないんだけど、両コミュニティとも僕の発酵イベントに興味を持ってくれる層だったりする。こういう場ができると、イベント後の懇親会が盛り上がるんだね。「ずっと前から名前は知ってました!」「なかなか会う機会がなかった!」と、異なるコミュニティが出会うきっかけになる。

発酵は「良い関係性の発見」であると僕は定義しています。この原理は、微生物の世界にとどまらない。今まで接点のなかった異なる存在が結びつき、ケミストリーが生み出される。微生物の世界で麹菌や酵母、乳酸菌が出会うと美味しいお味噌やお酒ができ、人間の世界ではHIP HOPなお兄ちゃんと地元の農家のお母さん、アツい志を持った市役所員が出会うと素敵なコミュニティやプロジェクトが生まれていくわけなんですね。

異なる領域にいても、地域のために何かをしたい!という気持ちは一緒。そこからジャンルを超えたプロジェクトが始まることもしばしば。

いつの間にか発酵は「バラバラになった関係性」をつなぎあわせる接着剤のような役割を社会のなかで期待されるようになってきたのかもしれません。実際に酒蔵や醤油蔵の醸造家が地域コミュニティのまとめ役を担っていることも。

今回、この連載をまとめた本を全国のみんなに届けて回るなかで「発酵を起点に始まる地域のコミュニティ」そして「文化の多様性」の可能性に気づきました。

あ、あと懇親会が盛り上がってくるといつのまにか僕、隅っこでひとりポツンと取り残されがちなことにも気づいたよ。地元コミュニティが盛り上がるのは嬉しいけど、ちょっと切ないぜ


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