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【47発酵ツーリズム】川の味を醸す。鮎のなれずし

岐阜の発酵ツーリズム:
鮎のなれずし(長良川流域)| 川原町泉屋

長良川流域の川の味を醸す

岐阜の南半分、岐阜市を中心とする長良川周辺の食のアイデンティは鮎。
鮎は岐阜の河川文化のシンボルであり、その鮎をなれずしにして保存食とした。

泉屋さんがつくる鮎のなれずしは子持ち鮎のなれずし。子持ちということは、「内蔵を取らないまま漬ける」ということだ。隣の滋賀県で広く食べられるフナのなれずしでは、硬い鱗と腐敗を招く内蔵を取って漬けるのだが、泉善七では鮎を魚まるごと内蔵ごと漬け込み、塩漬けで約半年、米を入れて4〜5ヶ月ほど発酵させて完成。

出来上がったなれずしには内蔵由来の臭みが全く無く、フナのなれずしよりも酸味が少なく澄んだ旨味が特徴。これは鮎は昆虫などの小動物を食べず、川の岩苔などを食べるベジタリアンの魚であることが大きな理由だ。苔の質は川によって違い、上質の鮎は森の奥から湧く清水で取れるという。

つまり鮎は「川の味」そのもの。そして鮎のなれずしは「川を味を醸したもの」だ。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:新鮮な鮎を生のまま高塩度の塩漬けにし、耐塩性乳酸菌により発酵。
B:塩漬けになった鮎の塩を洗い、今度は飯米の漬け床で漬ける。

この時に塩分が下がるので、多様な乳酸菌や酵母による二次発酵が起こり、チーズのほうな熟成香や旨味が生まれる。発酵の酵素作用によりドロドロに溶けた米も酒肴や調味料として珍重される。

▶食べかた
・スライスしたものを酒の肴にする
・酵素で溶けたお米を調味料やパテとして使う

▶食べられている地域
岐阜市を中心に長良川流域

▶微生物の種類
初期:耐塩性乳酸菌 後期:様々な乳酸菌や酵母類の複合発酵

旅のメモ

長良川を筆頭に、岐阜市周辺のアイデンティティは川(北部の飛騨地方は山)。
岐阜は鵜を使って鮎を捕る「鵜飼い」をシンボルに、川沿いに情緒あるお屋敷や長屋が連なる「川の街」。そのアイデンティティを発酵に当てはめた時に真っ先に思い浮かんだのが鮎のなれずしだった。

なれずしと言えば滋賀のフナのなれずしが、文化としては広範囲に普及しているのだけれども、鮎のなれずしも泉善七の努力によって確かな個性を確立した。特筆すべきは、メスの鮎を内蔵ごと漬け込むイノベーションだ。それまではオスの鮎をフナのように内蔵を除去して漬け込んでいたものを、内蔵まるごと漬けることによってエレガントな旨味を獲得した。

泉屋の五代目当主、泉善七さんいわく「川によって味が全然違う。ワインのように鮎のなれずしは川のテロワールなんだ」。め…名言!

鮎のエサとなる岩苔は、緑色よりも赤色が美味しいと言う。光学的に考えてみると、赤色の光合成をするということは、太陽光が豊富に降り注ぐ川よりも、森の奥にある源流に近い川ということになるのかもしれない。

ちなみに岐阜市に行った理由は、僕がデザイナーとして独立した直後からお世話になっているNPOオルガンの蒲さん。かつて岐阜で花開いた旦那文化を継承する粋なアニキ。蔵の取材の後は、泉さんと蒲さんの三人で飲みに行って、山梨の甲州ワインとブルゴーニュの白ワインを飲み比べました。旦那文化サイコー!!


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