福島の発酵ツーリズム:
三五八(福島県会津若松)| 石橋糀屋

塩3:麹5:米8の麹漬け床

福島県の内陸寄り、会津若松は麹文化の集積地。
日本酒の銘酒も醤油・味噌蔵も多く、東北の麹文化を代表する土地のひとつ。

会津若松に住む人々のフェーバリット手作り品に『三五八漬け』という漬け物がある。これは塩3:麹5:飯米8の割合で混ぜて漬け床をつくり、そこに主に野菜を漬けていく「麹漬け」の代表格だ。

ぬか漬けや塩麹漬けより甘味や旨味の強い三五八漬けは、この会津の人々のスタンダード発酵食品。日常的に手作りされお茶請けやご飯のおともに重宝されている。

ぬか漬けほど手入れが難しくなく、塩麹漬けよりも玄人っぽい。僕も麹のワークショップをする時に三五八漬けのレシピをオススメしている。

米の生産地でかつ土地に財力があり、日光などを通して関東にも交易路がある会津ならではの贅沢な漬け物。野菜はもちろん魚や肉を漬けても最高の酒の肴になるよ。

どうやってつくる/食べる?

▶How to 仕込み
A:塩3:麹5:飯米8の割合で漬け床をつくる
B:食材をAの床に漬け、1〜3日ほど漬け込む

☆床をつくると麹の酵素により水を入れないのに床がドロドロに溶ける
☆食材を漬けると水分が出てビショビショになるので床を変える
☆つまりぬか床と違って小分けにして常にリフレッシュしながら漬ける

▶食べかた
・香の物に
・酒の肴に

ぬか床より味があっさり、塩麹漬けよりも甘味の強いバランスの良い味が◎

▶食べられている地域
福島県はじめ東北北陸

▶微生物の種類
コウジカビ、乳酸菌など

旅のメモ

今回訪ねた石橋糀屋さんは全国に数多くある麹屋(味噌や甘酒などを手作りする人向けの麹を製造販売するメーカー)のお手本のようなところで、商品の全量を麹蓋(底の浅い箱)で麹をつくっている。この麹蓋で小分けにつくると品質のムラのない麹が出来上がる。

石橋さんのお店には地元の人がひっきりなしに訪れ、お味噌や甘酒の手作りの話に花が咲く。麹の文化は職人文化であると同時に土地に根付いた手作り文化。会津の町は麹の民主主義が今なお残っている。萌え…!

取材のあとに石橋さんオススメの飲み屋に行って会津の酒を堪能したんですが、今回の発酵ツーリズム屈指の趣ありまくりの飲み体験でした。また会津に飲み行きたい…!

二日酔い気味で迎えた会津若松の朝焼け。情緒しかない…!


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