BLOG, ▶デザインを掘り下げる

電柱に見るデザインの退化。残念すぎる風景を変える方法を考えてみた。

山梨の我が家の前の道路が舗装しなおされることになり、あわせて電柱の取替工事が行われている。で、これがデザイナーとして気に食わない。

何が気に食わないって、美しくないし機能的でもない。非常に残念なシロモノなのであるよ。

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左が今までの電柱で、右が新しい電柱。ご覧のとおり、やたら電線の数が増えて、電柱からトゲトゲがいっぱい生えている。

街に住んでいる時は気に留めなかったのだけど、田舎にいると電柱というプロダクトは実に景観に違和感をもたらすものなのですね。

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この写真を見てよ。このケミカルな青色の電線、どう考えても森の景観にマッチしていない。

これは由々しき事態であるよ。単純に美観を損ねるから気に入らないという問題ではない。これだけデザインブームと言われ、デザイナーがもてはやされているというのに、日本全国に死ぬほど溢れかえっている電柱というプロダクトにおいて、デザインは退化しているのである。

僕たちデザイナーはいったい何をやってきたのだろうか。「未来のライフスタイルは〜」「社会の課題解決をするために〜」と散々エラそうな事言っといて、世の中が醜くなるのを止められない。恥ずかしい。

恥ずかしいので、代案を出してみよう。

▶電線を細くし、束ねてすっきりさせる
技術が進化した昨今、電線の伝導効率は改善しているはず。なので、何本も張り巡らせている電線の一本一本を可能な限り細くして、さらにそれを一本のまあまあ太めのケーブルにまとめる。このことで、断線のリスクも防げるはず。

▶電柱のアタッチメントをシンプルにし、過剰な鋭角を止める
素人なりの観察だが、新しい電柱には無駄なアタッチメントが付きすぎている。なぜそうなるのか。考えられる原因は「敷設作業のオペレーションが最適化されていない」ということにあると思われる。工事をする会社ごとにやりかたがバラバラなので、色んな工事方法に対応させるためにアタッチメントがどんどん多くなる(と思う。だってこっちの電柱とあっちの電柱で全然ちがうやりかたで工事してるんだもん)。ついでに、アタッチメントがあまりにもメタルメタルしていてトゲトゲしているので、光沢がなく、鋭角すぎない、かつ金属よりも耐久力のある素材に変えるべきだと思う(鉄は実は劣化しやすい)。

▶電線の色を風景に溶け込みやすい色に変える
電線の定番である黒や濃いグレー、そして問題のケミカルブルーなどはどれも自然のなかで浮きまくる色なので、これをなんとかする。ナチュラルホワイトに近いグレーやベージュ、マイルドなグリーンなどがふさわしいと思われる。

こないだイタリアのボローニャに行って印象的だったのが、電線が華奢ですっきり整理されていること(地下に埋めてはいなかった)。風景のなかでなるべく消えるようにデザインされていた。日本の田舎はヨーロッパとくらべて地震や積雪が多いので同じようにはできないかもしれないが、優秀なデザイナーがちゃんと考えれば、安全性とコスト、両方のハードルをクリアーできるはずだ。

はずなんだけど、どうしてそのようになる兆しが見えないのだろうか。
推察できるのは、電柱&電線業界が寡占状態になっているということだ。一社か二社で市場を独占しているので、プロダクトをニーズにあわせて改善する必要がない(だって競争相手がいないから)。なので、ユーザー都合ではなく自分都合でどんどんプロダクトの機能が複雑化していく。そしてクライアントもお役所が多いだろうから、美意識よりも「とりあえず壊れないように全部盛りで」というオーダーになる。その結果が、コレなのではないだろうか(←僕の仮説ですけど)。

もしこの仮説が本当だとしたら、何をしなければいけないかというと、破壊的イノベーションを起こす電柱ベンチャーの起業であるよ。大手の電柱&電線の1/2のコストで超イケてるデザイン、しかも敷設オペレーションマニュアルも完備されている。しかも営業マインドに溢れたドーベルマンみたいなヤツが突撃してくる。

こういうベンチャーが登場した時はじめて、大手のおっさんも「我が社もこのままではマズい!デザイン思考を取り入れよう」となり、僕の友人の才能あふれるなデザイナーが活躍する場が生まれるのであるよ。

ゆるふわなソーシャルベンチャーなんてやってる場合じゃない!社会を変えるには、電柱業界を変えるのだッ…!

 

【追記1】あくまで素人の考察なので、もし業界に詳しい方がいたらぜひ内実を教えて下さい。待ってるよ!

【追記2】調べてみると、電柱の持ち主は自治体ではなく電力会社や通信会社であることが多いらしい。ということは、この辺りに猛烈に営業をかければいいのか…と思っていたら、電柱の仕入れは競争入札で行われるそう。うーん、これは民間が一番食い込みづらい領域だなあ…。

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