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表現ではなく、構造を平易にする。読みやすい文章について

微生物やらデザインやら文化人類学やら、めんどくさいトピックスが多いヒラクのブログですが、昔から「読みやすいです!」という感想が多く、最近は「ウチの子どもにも読ませたいです」という人までいる(さすがに読めるのは中学生くらいからだと思うけど)。

嬉しい話だけど、まあ意外でもある。

わかりにくく書いているつもりはないけど、誰でも読めるように書いているつもりもないからね。難しい語彙も使うし、立て込んだロジックも多い。端的にいえばちゃんと本を読んできて、かつ人生経験もある程度積んだオトナに納得してもらえるように書いているつもりだ。

ただ、2つ心がけていることがある。

1つは「話しているように書く」こと(これは以前ブログに書いた)。

・「わかりやすい」は「読みやすい」ではない。しゃべると書くの関係性

もう1つは「日本語が母語じゃない人がストレスなく読めるような構造で書く」ということだ。実は僕のブログは、ゲストハウスやってた時代の外国の友だちも何人か読まれているらしい。

彼/彼女らがなるべく楽ちんに読めるようなことは若干心がけている。

さて。

日本語が母語じゃない人に伝わりやすい構造とはどのようなものであろうか。これは別に語彙を簡単にしたり、ロジックをわかりやすくすることではない。

ポイントは「主体」と「対象」のリンクを常に明確にしておくことだ。「誰が」「何を」「どうしているのか」の曖昧性をなるべく減らしておく。これだけでテキストの構造はめちゃわかりやすくなる。

僕がそのことに気づいたのは、僕自身がフランス語や英語で文章を読む練習をしている時だった。

読むのが不慣れな時に「読みやすい書き手」というものがいる。例えば小説家でいえば、フランス語だとアゴタ・クリストフであり、英語だとポール・オースター。

両者ともに、ストーリー自体はややこしいし、語彙も難しいのがバンバン出てくる。しかし読みやすい。なぜかというと「主語」と「述語」の連結が短く、かつ簡潔だからだ(読んだことある人はたぶん同意してくれると思う)。
さらに日本人が理解しにくい「時制のバリエーション」が少ないので、わからない単語やイディオムを飛ばしてもなんとなく読み進めることができる。

「読みやすい」というのは、表現を平易にすることではなく、構造を平易にすることだと僕は思っている(デザインと一緒ですね)。

ちなみにこの「異なる言語間の構造のギャップ」は、勉強を重ねて熟達してもなかなか埋め難い(英語と日本語で「行く」と「来る」が逆になる、とか)。もうちょい例を出すとだな。

「それは良くない」
という文の構造はわかりやすい。

「それは良くないと思う」
意味は同じだけど、この文には曖昧性がある(誰がそう思っているのかわからない)。

「それは良くないと、僕は思う」
この文なら、直感的に意味を掴むことができる(最初の例とニュアンス変わってるけど)。

日本語の主語の曖昧さは1つの言語的美学ではある。けど、同時にニッチな文化なので別に文筆家ではない僕は、テキストから曖昧で多義的な要素を意図的に落としている。
デザインにも言えることだが、コンテンツが直接示すメッセージとは別に、構造自体がメタメッセージを持っている(これはまあ文体と言っていいかしら)。優れた文章表現は、その言語に宿る固有の感覚をうまく使いこなしたものなのだと思われるが、僕はそれとは逆の方向性で構造を組み立てている。いつでも明快であり、AはAであってXではない、BとCは違う、世界の全部は別につながっていない、という分節的なアプローチでこのブログをやっているのさ。

2ちゃん用語とか、唐突な自問自答とかを飛ばして読むと、僕のテキストの組み立てはとてもシンプルなのであるよ。だから、僕がもし日本語を20歳過ぎて身につけたフランス人でも「意外難しいこと言ってるようで、読むの自体はめんどくさくない」と思える(はず)。

えっ、なんでそうするのかって?
言いたいことがややこしいからに決まってるじゃん。

おーい、海外の友だちのみんな、読んでるかい?

【追記1】もし僕が日本語ネイティブでない日本語使用者だったとしたら…と仮定してみた時に、いちばん読みやすそうなのは養老孟司さんの文章だと思う。余計な装飾や肉付けがない「スケルトン構造」のテキストだからね。ところがここまで情緒を削って構造的に組み立てると、日本語ネイティブには若干の違和感をもたらしてしまうという逆説。

【追記2】文章の話なのに、デザインの話のような内容になってしまったぜ。

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