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発酵するデザイン。表現には「笑い」が必要だ

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ここしばらく僕がデザイナーとして作ってきたものを振り返ってみると共通点があることに気づいた。「笑い」だ。

研ぎ澄まさない、突き詰めない、突っ込みどころを残す。

「てまえみそのうた」がそのきっかけだったかもしれない。それまで「カッコいいデザイン作りてえなあ」とか「最先端なことやりてえなあ」と思っていたけれど、このアニメをつくったあたりから「こういうのが僕にはしっくりくるのかも」と思い始めた。

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鶴岡の木村屋さんと一緒につくったこの「かわらチョコ」も脱力感というか、間抜けなところが絶妙に気に入っている(デザインしてくれたますこえりさん、ありがとー)。そもそものモチーフとなった鶴岡の「かわら人形」がなんというか、見るだけでぷぷっと笑ってしまうような愛嬌に満ちている。

僕はデザインを通してそういう世界をつくりたいのかも。

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大学時代からの親友の家業であるアウグスビールのデザインも、突っ込みどころ満載というか、冗談っぽい楽しさがあっていいなと思う(←手前みそですが)。なんでこういうデザインにしたのかというと、人は酔っ払うと気が大きくなって、SNSに「オレ/ワタシ、今最高の状態にいる」ということを言いふらしたくなる。そんなときに、この瓶の写真を投稿するだけで「ほろ酔いの愛嬌」が表現されたら楽しいよね、と思ったりしたのだよね(泥酔になると迷惑だけど、まあビールだからさ)。

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今ちょうど仕上げ中の、千葉の寺田本家と一緒にデザインしている「うふふで醗酵」。酒づくりの原料である麹や酒粕を使った調味料ラインの立ち上げなのだけれど、ブランド名は蔵の入り口に立てかけてあるお札から拝借した。「うふふで醗酵」っていい響きだよね。

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デザインは「書」を全面的に押し出しているけれども、それはいわゆる「由緒正しい和!」というものではない。仮名文字を多用することで、寺田本家のみんなの持っている「おおらかさ」とか「屈託のない感じ」を見えるようにしたかった。
余白の中に研ぎ澄まされた線が刻まれるのではなく、余白の外へと溢れていくような楽しさと柔らかさも書道は表現できるんじゃないかなあと思う(葉山さん、グッジョブ!)。

まもなく完成したデザインをお披露目できる予定。もうちょい!

「笑い」があることで、知らない世界への扉が開く

僕の考える「笑い」は、いわゆる広告的な「ネタ的笑い」ではなく、もっと屈託のない、肩の力が抜けて思わず笑顔になってしまうような「愛嬌」のようなものだ。

デザインは何のために必要なのか。
それは「知らない世界への扉を開ける」ために。世の中には様々なテクノロジーがあるが、そのテクノロジーが僕たちの暮らしの中で使われるためにはサービスやモノとしてアウトプットされなければいけない。
つまり、「自分のあずかり知らぬ領域が、自分の暮らしに導入される」という違和感を解消するためにデザインが必要だったりする。食でも医療でも建築でも、デザインは「見知らぬテクノロジー」と「見知った自分の暮らし」を橋がけするために力を発揮する。

でね。
そんな時に「笑い」というのは、この異質なものの距離を近づけてくれるように思われる。人間関係においても、冗談や茶目っ気は人の距離を近づける。僕にとっての「笑い」は、専門領域にある知識や技術を、日々の暮らしというフィールドにおろしてくるための媒介、初対面の緊張した関係の時にウィンクしてみる仕草のようなものだ。

もうちょっと考えてみる。
“emerge”という英単語がある。これは「生まれ出てくる」「湧き出てくる」というような意味で使われるのだけれども、僕はこういう「湧き出てくるようなデザイン」を作りたいのかもしれない。黄金比的な方程式で設計されるのではなく、そこら中から自然発生的にプクプクと湧き出てくるようなデザイン。そこに見事な造形美はないかもしれないが、どことなく愛嬌があってそばに置いておきたくなるようなデザイン。

そう、それはつまり「発酵しているデザイン」なのであるよ。

(たまにはデザインについてのメモ)

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【追記】ちなみに僕が個人的に気に入っているのが、全国の楽しい醸造家たちとのトークイベント『発酵男子のCOZY TALK』のイベントフライヤー。毎回あれこれと楽しい想像をしながらデザインしています。

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