▶発酵文化人類学, ▷こうじLOVE, ▷酒に酔いしれる

日本酒づくりの伝説「宮水」を訪ねに、兵庫県灘へ行ってきました。

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西宮・魚崎・御影・西郷・今津で灘五郷と呼ばれる地域。

兵庫県の灘といえば、日本酒の聖地。
なぜ聖地になったかというと「宮水」という酒づくりに最高すぎる水が湧き出している地域だからなんですね。

というわけで、今回はソトコト8月号の「発酵文化人類学」の連動企画として、「発酵文化フィールドノート@灘」をお届けすることにします(←なんてエラそうに言ったけど、今思いついた)。

日本酒の伝統は、灘で完成した

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日本酒の元々のルーツは、奈良あたりの寺院でつくっていたものに遡る。
なんだけど、今僕たちが「This is 日本酒」と思っているものは、ここ兵庫県灘で完成したものなのですね。

日本酒に詳しい人だったら「寒造り」とか「生もと」とか、「三段仕込み」とかいう単語を聞いたことがあると思うんだけど、それは江戸時代中期に、灘の酒造りの発展のなかで定着していったのね。

灘で完成した日本酒の標準スタイルをざっくり説明すると「冬の寒い時期、水とこうじとお米だけで、三段階に分けて段階的に発酵させる日本酒」ということになる。

なぜ冬の寒い時期かというと、腐敗菌が少ないのと、低い温度でじわじわ発酵するから澄んだ上品な味わいになるから。水とこうじとお米だけという原料のしばりも、水のように澄んだ清らかな味わいを出すため。三段階に分けて仕込むのは、じゅうぶんなアルコール度数で安定した発酵をさせるため。

上記3つをざっくりまとめると、「スッキリしたお酒を安定してつくりたいYO!」ということになります。

裏を返せば、灘以前の酒造りでは、「甘ったるくてべったりしている」「他の菌が入って酸っぱくなっている」「蔵ごと腐ってそもそも飲めない」みたいなリスクがあったということです。これを克服したのが、灘の「冬に水とこうじとお米だけで三段階仕込み」の日本酒。「灘の生一本」というヤツです。

こうして江戸時代のデファクト・スタンダードになった灘酒ですが、技術革新以外にもう一つ強みがあった。それが「宮水」の存在ね。

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宮水発祥の地。西宮駅徒歩5分の街なかにあります。

「宮水」は、六甲山からしみだしてくる地下水。こいつが日本酒づくりに最強に適しまくっているらしいんだ、ブラザー!!(←スタパ齋藤調に叫んでみた)

この水、口に含んでみると日本の水としては「ちょっと硬い」。
「そこはかとなくドイツとかフランスあたりのオシャレフレーバー」を感じるわけさ。日本の水ってだいたい軟水なんだけど、「宮水」の「そこはかとない硬さ」が他の地域の酒よりも「スッキリ!辛口!上質感!」を醸し出した。これが灘酒の最大の強みだったんですわ(そこはかとなく欧米っぽいヤツがモテるのと同じ理屈かしら)。

で、実際灘の酒ってNOWどうなの?

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江戸時代には無敵だった灘の日本酒ですが、NOWどうよ?
ということで、御影駅の高架下にあるセンス良さげな立ち飲み屋さん「銀狐」でモダン灘酒を飲んでみたのだが。

…うん。うまい。なんだこの関西っぽいうまさ
例えば大黒正宗。いい意味で「若干くどい飲みくち」がハマる。
例えば仙介。けっこう酸味が残っているんだけど、爽やか。

僕が飲み慣れている宮城や山形のお酒は、香りも華やかで、後口が爽やかで喉にスッと消えていく酒が多い。
対して、灘酒は自己主張がある。「兄ちゃんが飲んでるのは、水じゃなくて酒ですから」というアクがあって、これを悪くいえば「古っぽい」となるし、よく言えば「味わうのが楽しい」ということになる。

ということでヒラクの仮説。
灘酒って「伝統づくりの総本山」というブランドがあるから、今トレンドの獺祭みたいな酒づくりはできない。でもそのままだと時代に取り残されてしまうから、「灘らしさのイノベーション」みたいなことを、小さな酒蔵が実験しはじめているんだと思う。
うーん、日本酒って改めて奥が深いぜ。

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おいしいお酒でした。ごちそうさま~。

 

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