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ワタシがやるんだ!主役が増える社会を作ろう。

こんにちはー、ヒラクです。
先週は絵本の締切でドタバタ。ので、ちょっと更新に間があいちゃいました。

さて。
1/19の日曜日に、森の番長こと沖倉善彦さんの講演会「俺は木で喰っていく。に行ってきました(←スゴい講演タイトル)。
合同会社++からも、安田さんが企画と進行サポートで出張。建設業界の重厚な雰囲気のなか、東京の森と木の原状、製材業の意義について改めて色々と考える場となりました。

番長との出会い

今をさかのぼること2年半ほど前。
当時まだフリーランスのデザイナーだった時代、とある工務店の仕事で沖倉さんと出会いました。

「東京にも、山の仕事がある」

と聞いて出かけた、吉祥寺よりもさらに西側の武蔵五日市。
そこの取材で出会ったのが、妙に男前のオーラを出しまくっている製材師のおじさん。

そのおじさんに「東京の山は、俺たちがいなくなったらもう終わりだ!」なんてアツく語られた瞬間から、僕たちの運命が変わっていったのよね~。今思えば。

さて。
そんなこんなで沖倉さんと面識が出きた頃に、僕、長らく住んでいたゲストハウスを出ることにしたんですね。現在の++の事務所のほど近くにある、築60年以上の平屋の古民家に引っ越すことにしたのです。

大きな庭に、土壁、昔なつかしい建具のあるラブリーな家だったのですが。
一点残念だったのが、クッションフロア(樹脂でできたフローリング風の床)。そのチープな感じが、古民家の風情とチグハグだったわけです(でもよくあるんだよね~こういうケース)。

ならば、あの製材師の沖倉さんに頼もう!
と声をかけたのが、実はSMALL WOOD TOKYOが生まれたきっかけなのですよ。

ヒラク「あのー、家に東京の木でフローリングをひきたいんですが。賃貸でも大丈夫ですか?」

番長「もちろんだ!敷くだけでいいぞ!」

ヒラク「設計士さんが、すぐ反るからやめとけって言ってるんですけど」

番長「ちゃんと製材しないから反るんだ。うちのは大丈夫だ!」

(えっ…、この人のこの強気、何事ですか?)

 

ヒラク「あのー、雑誌とかによく載ってる、白いスギとかパイン材がいいと思ってるんですぅ…」

番長「赤がいいぞ!赤いスギ!節もいっぱいだ!

ヒラク「あ~そうですか…。じゃあ赤で。」

(あーあ、ナウで洒落オツな古民家リノベにしたいな~と思ってたのに…とほほ)

 

なッッ………!?
むちゃくちゃイケてますやん!


©福本伸行

番長「どうだ?いいだろう。」

ヒラク「ヤバすぎです。」

番長「しかも、これを使うことで、東京の森が蘇るんだぞ」

なッッ………!?
むちゃくちゃイケてますやん!

©福本伸行

これはもう、売るしかない!安田さん奮起。


出会った当時の二人。右が合同会社++のもうひとりの代表、安田さん。

白と赤の色ムラのある、節がいっぱいのフローリング。
言葉にすると、なんかイマイチっぽいけど、実際やってみたら、イケてるしヤバい!

…とヒラク家が盛り上がっていた頃、++のもうひとりの代表、安田さん(←当時フリーの編集者)は「森のことを仕事にしたい」と思っていました。そんな折に僕と一緒に仕事をすることになり、「武蔵五日市に、面白い製材所があるんだよね」と、安田さんを誘ったところ、なんと沖倉さんと意気投合。

「いっしょに東京の森を再生するぞ!」

と、運命の邂逅が果たされたのでした。
※詳しい経緯は、SMALL WOOD TOKYOのこの記事をお読みください。

 

さて、そこからは怒涛の展開。
合同会社++を立ちあげ、沖倉製材所と共同でプロジェクトを始め、デザイン事務所がリスク承知で自分で木を売るという無茶な行動に走ったのでした。

それから1年半弱。
いや~、大変だった。販売の仕組みや経理の仕組みが全然わからず、赤字も出しました。みんなのDIY力もメキメキ上がりました(←ヒラクを除く)

そして気づいたら、月の売り上げが300万円を超えていました。
家の床を敷いたとこから、思えば遠くへ来たもんだ。

主体になった瞬間、人はキラキラする。

えーと。別に思い出話をしたいわけではなかったのでした。

何を書きたいかというと、「人は、自分が主体になった時に超キラキラする」ということ。
2年前から比べると、番長も安田さんも本当に変わった。

どう変わったかというと、なんかキラキラしているんスよ(←ときに『ギラギラ』と形容して良いほどアツい)。
「もうワタシに迷いはない!」「一生懸命すぎてもはや Do or Die!」という、振り切った顔つき&行動をするようになったな~と。

沖倉番長も、昔から言動は変わっていないのでしょうが、製材業は「建設業の下請け」として、なかなか自分の意志で動きにくいことが多いことは確か。対して、編集やデザインだって、ともすれば「誰かが伝えたいことのエージェント」になりがちなワケです。

つまり、アクションの主体ではない。
ところが、例え大きなリスクを背負うことをいとわず、沖倉さんも安田さんも「状況を変えるアクションの主体」になった。(ちなみにリスクってのは、自分のものが売れなかったら、その分の手間賃は誰も責任持ってくれないってこと)

キラキラの正体は、この「主役感」ね。
今まで黒子の、見えない存在だったものが、意思決定をして、普通の人に語りかける主体になる。
その過程を通して、ブレークスルーが起きる。

(思えば、五味の若旦那との付き合いも長いけど、やっぱり「主役」になった感じあるな)

「応援する」「支える」みたいな仕事も大事ですが、僕はこの「ワタシが変える」的な強気のアクションをする人が好きなんですね。
特に、一次産業や、地域で長く続いてきた産業の生産者は、もっとジャイアン化するのが面白いと思う(←ヒラクの希望)。

国家規模の大きな産業の拡大を「支える」「応援する」ために、地域の小さな産業で働く人達は一生懸命やってきた。(製材業はゼネコンやビルダーの建材納品業者として、味噌屋や酒屋は業界大手のメーカーのOEM業者として)

でもね。そんな時代はもう終わりだ!

 

これからは、生産に関わる人達が、直接自分の作っているものを欲しがっている人にコミュニケーションを取る。で、コミュニケーションに長けている人たちは、コミュニケーターであることに飽きたらず生産の現場に入っていく。
んでそれができたら、代理店も商社も通さず直接流通に乗っかてしまう。

そうやって、小さな産業が新しい販路とコミュニケーションを開拓していって、そのケーススタディが一般化していく。
となるとどうなるか。社会に「主役が増える」ということで、それはつまり「キラキラする人が増える」ということ。

おお、いいじゃん、それ。
やってみようぜー!

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